王子様になろう!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 氷邑
芸能 2Lv以上
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 1.9万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/28〜09/30

●本文

 お笑い番組『ガハッ! とチャンネル』のプロデューサーは、不機嫌な表情でケーブルテレビで放映されている高校サッカーの試合を見ていた。
 その試合の注目選手は「爽やか王子」の愛称で人気のあるカッコイイ高校生だった。
 彼を声援する女の子(中にはおばさんもいる)の黄色い声援が、嫌でも聞こえてくる。
「ったく、高校生にもなって「王子様」って呼ぶなよ」
 そう愚痴りながらも、これは番組の企画として使えるかも‥‥とプロデューサーは一瞬考えた。

 翌日、以下のような番組企画を強引に提案した。

<王子様になろう!>
 芸能人達は、巷で話題の「爽やか王子」に負けない王子様に扮すること。
 必ず「〜王子」と名乗ること。
 「王子」と銘打ってあるが、女性の男装参加も認める。

「プロデューサー‥‥それ、今話題の爽やか王子に対抗していませんか?」
 スタッフのツッコミにギクッ! となるプロデューサーだったが
「面白ければ何でもいいんだよっ!」
 とキレた。

 子供じみたプロデューサーの対抗心により生まれたこの企画、成立するのだろうか?

※成長傾向:容姿、発声、芝居、演出

●今回の参加者

 fa1339 亜真音ひろみ(24歳・♀・狼)
 fa2495 椿(20歳・♂・小鳥)
 fa3503 Zebra(28歳・♂・パンダ)
 fa3622 DarkUnicorn(16歳・♀・一角獣)
 fa4044 犬神 一子(39歳・♂・犬)
 fa4559 (24歳・♂・豹)
 fa4584 ノエル・ロシナン(14歳・♂・狸)
 fa5316 希蝶(22歳・♂・鴉)

●リプレイ本文

●外見と中身は別♪
 最初に登場の王子様は、本人曰く「動かず、喋らずなら王子様」の椿(fa2495)。
 髪を切る前のイメージを保つためにつけ毛仕様、上品な藍色のクラシカルなロングジャケットベルベットスーツ、アスコットタイで貴族的雰囲気を醸し出しているのは、まさに王子様と言っても過言ではない。アンティークなシルバー系アクセサリが、上品さを際立たせている。
 優雅な仕草、上品な微笑で華麗に登場した椿の姿は、完璧な王子様である。
「大食い王子デス、宜しくお願いシマス」
 内ポケットからマイ箸箱をシャキーンと取り出し、高級そうな箸を取り出し
「割箸不使用のエコ精神が、俺のモットーデス♪」
 王子様であるが、エコ精神アピールも忘れずに。

 大食い王子として登場したのは、スマートな体型に似合わない食事量が「四次元胃袋」と称され、多くの芸能人に知られている為である。
 本日は単なる大食いではないのだが、残念ながら、その姿は観客にお見せできない。
「今回は箸を持っての登場デスが、ナイフ&フォーク使いも一流デス。親に躾けられましたからネ」

●美しき歌声
 ノエル・ロシナン(fa4584)は、ウィーン少年合唱団のような出で立ちの「ソプラノ王子」として登場。
「どうしてこの格好か? ですって? 僕のこの美脚を見よ!」
 少年合唱団、というからには、衣装は半ズボンである。そこから見える脚が、ノエルが強調したい王子としての魅力らしい。少女のような外見の彼ならではのアピールポイントといえよう。
「それでは、『桜』を歌わせていただきます」
 甘く柔らかい正統派ボーイソプラノで歌うソプラノ王子の歌声は、観客を魅了した。

 舞台袖では、大食い王子が歌声に聞き惚れながら30人前ラーメンをお召し上がり中。

●ハプニングはつきもの
「レディースアンドジェントルメーン、イリュージョンショーへようこそー♪」
 フリルシャツ着用という、それなり王子様をイメージしたマジシャン風衣装で登場したZebra(fa3503)の明るい声が、会場に響き渡る。
「俺は「イリュージョン王子」。4649!」
 上機嫌でステージマジック中心とした手品を披露。
 まずはお得意のカードマジック。
 トランプの出現や消失、巨大化等のマジックは、観客を盛大に沸かせた。
 ソプラノ王子に協力してもらい、瞬間消失・移動マジック、何も無い箱からのハト出現のマジックも優雅な手付きで行った。
「最後は、イリュージョン王子の「脱出マジック」だ!」
 番組スタッフが準備した煌びやかな箱に入る前に、観客にお辞儀するのを忘れない。 入ったのは良いが‥‥出られなくなるというハプニングが!
 箱を揺らし
「ちょっと、事故事故ーっ!!」
 と助けを求めるが、演出と思われ、番組終了まで出られなかった。

 それを見ながら、大食い王子は椀子蕎麦を流れるようなスピードでお召し上がり中。給仕さん、真っ青っ!

●甘味侍、見参
 胸に白いさらし巻き、袴姿に模造刀を持ち登場したのは「甘味王子」の亜真音ひろみ(fa1339)。
 男装はライブでしたことがあるから恥ずかくない、というが、王子と呼ばれるのは顔から火が出るほど照れ臭いようだ。
(「これも甘味の為だ‥‥!」)
 顔を赤らめながらも、凛々しい侍の如く登場。
 実家が剣術の合気柔術の道場ということもあり、披露したのはも模造刀による演武。
 先程までの照れはどこへやら、気を引き締めた真剣な表情で見事な演武を披露。
(「伊達に道場の師範はやっちゃいないさ」)

 これで終了か? と思われたが、スタッフが椅子とテーブルを用意。
 テーブルには、モンブラン、栗羊羹といった栗の和洋菓子が勢揃い。彼女の好物である特大パフェの用意も忘れずに。
「あ、あくまで仕事として食べるんだよ? でも、体を動かした後の甘味は格別だ」
 甘味王子として振る舞っているが、クールな表情を崩さないよう注意。
 甘味好きと公言しているが、ファンが抱いているクールなイメージは大事にしたい。
 モンブランを一口食べ
「あ、つい甘味にひかれて‥‥」
 と苦笑。
「剣術と甘味に関連性はないんだけど、甘味を食べると疲れが吹き飛ぶよ」
 菓子完食後、口の周りをナプキンで拭いてからクールな微笑で退場。

 対抗意識燃やしてマスネ? と思いつつ、大食い王子、10人前巨大お好み焼5枚を完食。

●一理ありですが
 犬神 一子(fa4044)の出で立ちに、観客は唖然とした。何故なら、褌一丁だから。

「俺は褌を締めているから「フンドシ王子」だ。皆、王子というものに幻想を持ちすぎだ。王子といったら王の子供、王と言ったら、普通、白髭の爺さんが相場だろう? その息子は、俺くらいの歳の王子じゃないのか?」
 仰ることはわかりますが、基本概念、ぶち壊しですよ? フンドシ王子様。
 その後、フンドシ王子による褌主張が続いた。

 大食い王子は、それを他所に鮭のチャンチャン焼丸ごとをご満悦♪

●優雅な癒し系?
 気まずい雰囲気を払拭するかのように登場したのは、半獣化で雪豹の尻尾と耳出し、童話の世界から抜け出してきたような蒼地に銀糸で繊細かつ贅沢な刺繍が施されているクラシカルな王子様姿の笙(fa4559)。
 コンセプトは『魔女の呪いで獣の姿にされた』ふわもこ王子。

 ふわもこ王子は、実験好きの魔女に実験台にされ、聞くも涙、語るも涙の忌まわしき呪いにかかるが、愛を知り、愛される事でこの姿から解放されるのである。
「気合で戻れない事はないのだが‥‥愛を教えてくれる女性を待っているのだ」
 ホスト以上の流し目で、艶やかオーラを醸し出してアピール。

 いきなり優雅なワルツ調の曲がな流れると同時に、ふわもこ王子は歌って踊った。
 ぶっつけ本番で優雅に振る舞えるのは、様々な教養を修めた王子様だから。
 ダンス終了後、ふわもこ王子様が一言。
「俺は何事にもパーフェクトだが、いきなり一流私大入試問題を出されても答えられないっ!」
 ふわもこ王子の最大の魅力、ふわもこ尻尾の虜となった女性観客者達は「それでも構わないわ!」と応援。
 流し目を送りながら、ありがとうと礼を述べるふわもこ王子。
「撫でるのは女性限定。野郎に撫でられる趣味はない」
 先程と違い尊大な態度だが、そこがまた女性受けしている。
「もふもふ感第一なので、朝晩の尻尾ブラッシングは欠かせない」
 その台詞と同時に、スタッフがブラシを持って「どうぞ」とお辞儀をしてふわもこ王子に手渡す。
 尻尾お手入れの仕草にも、上品さが漂う。本来は癒し系キャラだったのでは?

 その頃の大食い王子、五重塔ハンバーグ×10皿、気品溢れる優雅なナイフ捌きで制覇!

●乱入上等!
 ふわもこ王子退場と同時に、サングラスを掛け、観客の中に潜んでグラビア雑誌を眺めながら虎視眈々と他の王子達をチラ見していたが、我慢できなくなくなり、サングラスをはずし会場に乱入する者が。
「それで王子を名乗るとは笑止千万! グラビア王子が勝負を申し込むのじゃ!」
 グラビア雑誌を床に叩きつけ、ビシッとポーズを決め勝負を挑むのは、学ランにさらし、白のゴスロリ褌姿の「グラビア王子」に扮したDarkUnicorn(fa3622)。
 ふわもこ王子は、それを無視してさっさと退場。

 スタッフが用意した作り物の白馬に乗って舞台に上がると、赤いバラを咥えたり、知的な伊達眼鏡をかけて読書したりと、様々なポージングをするグラビア王子の学ランはチラリズム全開。
 スタッフは暗幕を用意すると、グラビア王子の姿を隠した。スタッフが退場すると、グラビア王子はバラ風呂にご入浴中。
 風呂の中で、白を黒に変えたゴスロリ褌、ウサ耳、ウサ尻尾をつけて兎のポーズ。飛び跳ねる姿は、王子様とは言い難い。
「しまった! ノリ過ぎて王子であることを忘れてしまったのじゃ!」
 後悔、既に遅し!

 女性観客と別層ファンの黄色い声援を聞きながら、大食い王子は、平らげたカレー皿をうんざりしながら数えていた。

●ボロくても王子様
「ロケ弁の余り欲しい!」
 舞台登場前にスタッフに主張する「貧乏性王子」の希蝶(fa5316)。
 貧乏生活に慣れきった彼らしい王子様である。
 そんな彼の衣装は‥‥お世辞にも質素と言えないものであった。

「皆、王子様は外見じゃないさ! 俺の衣装だけど、全部人様からの貰い物‥‥要は『おさがり』とか、さり気に施された刺繍は、実は補修とか言うけど、今日の衣装は、めっさ普段着だし? ポケットに穴開いてて小銭ばら撒いたとか、そんなプチエピソードもあるぞ。ついさっき! ほら、証拠の穴」
 上着のポケットを裏返して見せて貧乏性を主張しているが、ネタとしか思われていないだろう。
「繕えば全然オッケー!! 多少破れようが、カギ裂き作ろうが、擦れようが‥‥夜鍋仕事で解決だ!」
 豊かさばかりが王子様ではないのだ、と、好印象な笑顔で主張する貧乏性王子様。
「勿体無い精神と心の豊かさこそ王子! 貧乏性は世界を救うっ!」
 このお言葉は、戦前、戦時中世代の心を大いに揺さぶったとか。
「紙は無闇に捨てない! 裏紙利用や、折ったらステキな卓上ゴミ箱が出来るぞ!」
 貧乏性王子の別名は「エコ王子」である。「タッパー王子」でも可。

 正論、と感心しながら大食い王子、金魚鉢パフェをお召し上がり中。
「食後に珈琲お願いしマス♪」
 
 そう言うと、五鉢目を手にする大食い王子。
 最強の王子様は、椿かもしれない‥‥。