ハロウィン・コメディアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
氷邑
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
10/31〜11/04
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●本文
「ディレクター、次の企画を考えました!」
笑いを取ろう企画が次々と成功したためか、お笑い番組『ガハッ! とチャンネル』のADは、以前にも増し、積極的に更なる企画を持ち込むようになった。
記念すべき一回目はサイレントコメディ、二回目は日本語が通じない外国人相手のコメディ、三回目はスポーツの秋にちなんでのコメディだった。
「今回の企画は何だ?」
ディレクターは、煙草を吹かしながら聞く。
「これを見ればわかります」
「どれ‥」
企画書の内容はこうである。
<「お化けの仮装で笑いを取ろう!」(仮)企画書>
今回の観客は、視聴者の中から抽選で選ばれた保育園児、幼稚園児50名(保護者同伴)
テーマは『お化け』。
出場者には、お化けの仮装してもらい、カボチャを使ったコントをしてもらう。
持ち時間は三分。下ネタは失格、退場とする。
「ハロウィンにちなんでの企画か。時期的には丁度良いね。面倒臭いから、今回はこれでいこう。毎度になるけど、プロデュースはキミに任せた」
「ありがとうございます!」
早く昇格させてくれよ‥と思いつつ、ADはペコリと頭を下げた。
『ガハッ! とチャンネル』では、お化けに仮装して芸を披露してくださる出場者を募集しています。
我こそは! と思う芸人、役者の皆様の出場をお待ちしております。
ピン、グループ問いません。
優勝者には素敵な商品を進呈します。
●リプレイ本文
●開始一時間前
ミーティングルームに集まった参加者は8名。企画初の出場者満員御礼である。
「今回のコメディですが、ハロウィンということでお化けに扮するという行為であれば半獣化、獣化を許可します。今回の審査員は抽選で選ばれた6歳以下の子供50名とその保護者です。採点ですが、今回は審査結果時に発表します」
ADの説明の後、出場者はそれぞれの用意に取りかかった。
「僕は、コントの補佐と裏方仕事全般をする」
座敷童子の扮装でコントするかと思われた斑鳩・透馬(fa4348)がそう宣言。それを聞いたディレクターは、出場者じゃないのかよ‥とがっかりした。
「音響頼んでいいかな? これを流して欲しいんだ」
志羽翔流(fa0422)が斑鳩にMDを手渡す。
「いいよ」
それを機に、協力を要請する出場者が斑鳩の元に集まり、舞台セットの手伝い等の段取りを説明した。
●一番手:だいふく(fa3566)
トップバッターは初出場のだいふく。完全獣化して、狼男に扮して登場した。
最初に「こんばんは」と挨拶をした後、コントを始めた。
「今日は、カボチャではなく、カボチャの中身を持ってきました。実はこのカボチャの中身にはとある噂が。呪いのカボチャの中身を食べると、お腹がパーンて破裂しちゃうとか、プッキーンと耳鳴りするとか。これの病名はパンと破裂し、プッキーンという音が聞こえることから『パンプッキーン症候群』と呼ばれているそうです」
彼のコントはこれだけだった。難しいネタだったのか、子供達はつまらなさそうにだいふくを見ていた。
●二番手:+(fa4173)
同じく初出場の+は、シーツお化けに扮して出場。「皆さんこんばんは」と挨拶をした後、コントを始める。
「カボチャをこの前買って煮ようと鍋に入れようと思った所、鍋にカボチャが入らないので見てみたらカボチャ切るの忘れてた訳ですよ。これには驚いて、カボチャを手から滑らせて床にボチャと落ちてしまった訳ですよ。終り」
最後に「皆さんありがとうございました」と言って礼儀正しく退場。子供達の何人かは退屈そうにしていた。
●三番手: 回路(fa4668)
久々にコメディシリーズに参加の回路は、子供心を完全ゲットするべく燃えていた。
仮装は完全獣化による化け狸。本人曰く、お子様向け番組『ぱぱままとずっと』の人気キャラ・たぬたんのコスプレ、とのこと。
自信満々に登場するが「たぬたんじゃなーい!」と子供達がごねる。誰が見ても全然違うのだから当然だが。
「ボクはたぬたんの弟でたぬざえもんって言うんだ、宜しくね」
と必死で誤魔化す。子供の夢はぶち壊してはいけない。
カボチャはどこで使っているかというと‥彼が穿いているものを良く見て欲しい。カボチャパンツ、所謂王子様パンツは本物のカボチャを使っている。大きめのカボチャをくり抜き、徹夜で作ったものだ。
そんな彼のネタは、スイカ割りならぬカボチャ割り。子供達にしてもらおうかと声をかけたが、希望者がいなかったので自分ですることに。目隠しして、バットを持ってカボチャに向かってまっすぐ歩く。
ここだ! と思ったところで、カボチャを叩く。すると、カボチャ真っ二つと思いきや、少し小さいカボチャが出てきて、それからまた少し小さいカボチャが出てきた。
「マトリョーシカかいな! あ、マトリョーシカっちゅーんは、ロシアの民芸品で、人形の中に人形が入っとるモンや。良い子の皆、覚えたかな? 覚えた子は元気良く返事してねー?」
と言うが、返事をする子供は僅かだった。
●四番手:駒沢ロビン(fa2172)
初出場の駒沢は、黒いローブ、三角帽子で魔女の仮装をして登場した。
右手にはジャック・オー・ランタンの姿の「ジャック」、左手にはシーツを被ったゴーストの「オスカー」のパペットを嵌めている。
古城の外壁を描いた板を舞台に設置し、その後ろに駒沢が座る。彼は胸から上を板の上に出し、両手のパペットは板の上辺を足下にしている。舞台中央には、大鍋が置いてある。
「こんにーちはー」
駒沢が元気良く挨拶すると、ジャックも「こんちはー」と挨拶し、オスカーは「おばんでぇぃ〜す」とちょっとずれた挨拶をした。声はそれぞれの役に合わせ、意識的に変えている。
「オ、オスカー、おばんなんて‥」
お母さん達をちらっと見た駒沢が目を逸らすと「勇気あんなお前」とジャックが突っ込み、オスカーは「え、僕勇気ある? イヤッホウ!」と喜ぶ。
そんな会話を続けているうちに、制限時間が迫ってきた。
「ジャック、オスカー、そろそろ皆とバイバイの時間だよ」
ジャックとオスカーは寂しがり、どうにかならないかと言い出すと、駒沢は舞台中央にセットしてある大鍋の前に立った。
「うーん、じゃあね、このお鍋にジャックとオスカーの顔を浸して‥ちちんぷいぷい‥えいっ!」
オスカーは「わー」と驚き、ジャックは「これで皆寂しくねえよなっ! また来年なっ!」と別れの挨拶をする。
これで終わりかと思われたが‥駒沢は鍋の中からお化けや魔女、カボチャ等のマスコットを入れた大鍋を用意し、先程のオチの要領で、子供達に向けて撒いた。子供達は喜んで、それらを拾った。後方にいて取れない子供達には、スタッフが手渡した。
コントが終えた後、駒沢が舞台を去るまで盛大な拍手が送られた。
●五番手:エディ・マカンダル(fa0016)& ベクサー・マカンダル(fa0824)
この番組のレギュラーとなったベクサーだが、今回は実兄エディとコンビを組んでの出場となった。ネタは『正義の味方とハロウィンのお化けの戦い』。ハイネックの黒いシャツ、大きめのハロウィン風カボチャパンツを穿いたベクサーがハロウィンのお化け役、黒いラバー系のライダースーツと白いヘルメットを被ったエディが正義の味方役である。セットは安っぽい作りの屋外、セットの下に水を張って池を作っている。
ベクサーは少し盛り上がったセットの上に立ち、のエディを迎える。
「これ以上、皆のお菓子を奪うのはやめるんだ!」
とエディは呼びかけるが、応じてもらえない。ベクサーが合図をすると、突然前後の足下の床が抜け、エディが立っている足下は平均台のような細い水平の棒しかない状態になった。
「これでもくらえ!」
ベクサーが隣にあるセットの岩を叩くと、その中にカモフラージュされていたバレーボールのスローマシンが動き出し、ボールの変わりにカボチャが発射される。エディは左右に避けるが、何発か発射されているうちに命中し、もんどりうって後ろ様に池に落ちてしまう。
なお、食べ物を粗末に扱っていないことを『使用したカボチャは番組終了後、スタッフ一同が美味しくいただきました』と点滅テロップで表示されている。
ライダースーツの緩衝剤のおかげで無傷だが、緩衝剤が水を吸って重くなり浮き上がれないところでコントは終了し、エディはスタッフに助けてもらう。終了、というが、カメラは回っている。
疲労してぐったりしているエディの元にベクサーがやってきて「Trick or treat」と手を出すが、エディは「ねぇよバカ」と苦笑して答える。
ヒーローもの、ということもあり子供達は大喜びで拍手し、ヘルメットを取ったエディの顔を見たイケメン好きのお母様方も大喜びであった。
●六番手:志羽翔流
トリを務めるのは、第一回優勝者の志羽。完全獣化して、猫又に扮しての登場だ。二つある尻尾だが、ひとつは作り物である。衣装は体操着にカボチャ柄の昔懐かし提灯ブルマだ。
ネタは『カボチャを使っての運動会の出し物』、というが、実際は大道芸。あらかじめ録音しておいたアナウンスは、斑鳩に頼んで流してもらうことになっている。
『次の競技は、カボチャを使った出し物です。まずは、カボチャジャグリングをお楽しみください』
まずはカボチャジャグリング。小さいカボチャをお手玉の要領で投げ、徐々に数を増やしていく。
『続きましては、カボチャ傘芸です』
ジャック・オー・ランタンのカボチャを傘の上に乗せ、起用にクルクル回している。大きいもの、中くらいのもの、小さいものを同時に。
『最後を締めくくるのは、大勢のカボチャによる水芸です』
カボチャの尖端から、水が出るように細工してある。志羽が両手に持っているカボチャからも水が出ている。あらかじめ舞台に設置されたカボチャからも、水が出て、噴水を思わせるような演出となっている。
マカンダル兄妹のインパクトが強かったせいか、志羽の印象は薄れてしまった。
舞台が終わったら、スタッフ、斑鳩に手伝ってもらい、自身も水浸しになった舞台を掃除。
●審査結果
「では、審査結果を発表します。今回は、子供達が用意したお菓子の詰め合わせの総数で決定しました。優勝は‥エディ・マカンダル&ベクサー・マカンダル!」
ベクサーがフッと笑ったのに対し、エディは飛び跳ねて喜んだ。
「優勝商品は、皆さんがコントで使用したカボチャです」
それを聞いた瞬間、マカンダル兄妹と他の出場者達は唖然とした。こんなもののために出場したのかと‥。
「いらない‥」
「いらねぇよバカ!」
マカンダル兄妹は、優勝して損したと思った。その中でも一番不評だったのは、回路が穿いていたお手製カボチャパンツだった。
余談。
番組終了後、まともな優勝商品として子供達が用意したお菓子の詰め合わせと商品券1万円分がマカンダル兄妹に手渡された。