お年玉コメディアジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
氷邑
|
芸能 |
フリー
|
獣人 |
フリー
|
難度 |
易しい
|
報酬 |
0.9万円
|
参加人数 |
7人
|
サポート |
0人
|
期間 |
01/03〜01/07
|
●本文
「プロデューサー、新しい企画を考えました!」
笑いを取ろうと日夜努力しているお笑い番組『ガハッ! とチャンネル』のAD、平井・平良は今日も張り切っている。
「今回の企画は何だ?」
「これです!」
「どれ‥」
企画書の内容はこうである。
<「お年玉で笑いを取ろう!」(仮)企画書>
今回の観客は、視聴者の中から抽選で選ばれた小学生から高校生(保護者同伴)
テーマは『お年玉』。
出場者には、お正月に親、あるいは親戚からお年玉を貰った子供の仮装をしてもらい、それに合ったコントをしてもらう。
持ち時間は三分。下ネタは失格、退場とする。
「お年玉か。ガキの頃、お年玉を親に預けたのはいいが、どこに消えたんだか‥‥ということがあったな。新春企画としてのネタか。これでいいんでない? 毎度になるけど、プロデュースはキミに任せる」
「ありがとうございます!」
僕はいつになったら昇進するんでしょうか‥‥と思いつつ、平井はペコリと頭を下げた。
『ガハッ! とチャンネル』では、小学生〜高校生の仮装をして、お年玉をネタにした芸を披露してくださる出場者を募集しています。
我こそは! と思う芸人、役者の皆様の出場をお待ちしております。
ピン、コンビ、グループ問いません。
優勝者には、お年玉として賞金10万円が贈られます。
●リプレイ本文
●一番手:白鳥沢 優雅(fa0361)
名を示しているかのように、優雅さを強調しているエレガントなガウンを羽織って登場の白鳥沢。
「お年玉‥‥それはエレガントかつ優雅なものさ‥‥」
意味が同じなのは、気にしない方向で‥‥。
よーく見ると、エレガントなガウンには多くのポチ袋が飾られているが、その中身は‥‥アルミ性のお金(一円玉)である。
金を使いすぎた、というオチらしい。
●二番手:八嶋かりん(fa4978)
八嶋のコントは『呪いのお年玉』。
内容は、親戚から貰った今年のお年玉のポチ袋に『呪』と書かれていたところから始まる。親戚の音声は、スタッフは喋ることに。
「何ですか、この文字」
『ああ、それ開けたら大変な事になるらしいポチ袋。珍しいだろ?』
珍しい、というよりは不気味なんですけど‥‥。
「サラっと、そんな物をお年玉にしないで下さい」
『うん?、要らないなら返して』
「いや、貰っておきます」
ポチ袋を開けようとする八嶋に『開けたら大変だよ』という親戚の声が聞こえてくた。
その後どうなったのか‥‥は、時間切れのため残念ながら語られなかった。
●三番手:クッキー(fa0472)
最年少の出演者、クッキーはどのようなコントを見せてくれるのだろうか?
彼が登場すると「クッキーくーん♪」というお姉様(おば様も混ざっている)が黄色い声援を送る。
コント内容は、親戚からお年玉を貰った直後に親に「じゃあ、コレお母さんが預かっておくね」と体よく持っていかれた子供、という設定だ。
コントのテンポはホスト風ピン芸人のような感じで、延々と1人で気持ちを語るという感じで喋る。それに合わせてか、クッキーはホストのような衣装を着ている。
出だしには「素直な気持ち」とつけて子供ながらの気持ちをネタにしている。
「素直な気持ち‥‥お正月は何故か、ママに朝早くから年に数える位しか会わない親戚に会いに行けと言われます」
「素直な気持ち‥‥親戚のオジさんから貰ったお年玉は、何故かママは『じゃあ、貯金しておくわね♪』と持っていかれたまま帰ってきません」
「素直な気持ち‥‥僕は知ってます。ママが僕から持っていったお年玉は、夕ゴハン代に変わってる事を‥‥」
「素直な気持ち‥‥それだけならいいけど、何故か僕のお年玉でママが化粧品を増やすのはどうしてだろう‥‥」
こんな感じで、三分間語り続けた。
実際のところ、クッキーは重度のマザコンなので、お年玉を母親に持っていかれてもあまり気にしていないようだ。
●四番手:マリアーノ・ファリアス(fa2539)
マリアーノのコントは『親戚への挨拶回りから帰ってきた中学生が、部屋でお年玉袋の中身を確認する』。
事前に手元の映像が後ろのスクリーンに映るようにしてもらっている。
最初一分は当たり障りのないお年玉の開封と状況説明で、その後徐々におかしなことに。
「これはおばあちゃんからだね」
中身は五百円札だった。
「これいつの? さすがおばあちゃん」
五百円札とは‥‥今となってはレアものである。
「これはひいおじいちゃん、と」
中には寛永通宝が数枚入っていた。
「ひいおじいちゃん、これは古すぎるって‥‥」
ひいおじいちゃん、かなりの時代劇マニアのようで‥‥。
「これは探偵やってる叔父さんからか」
中には何か印字された紙が入っていた。
「なになに? 『お母さんのへそくりは額縁の裏』‥‥叔父さん、いつの間に!? 『推定五万円』‥‥この情報、誰の所にもっていくのがいいかな‥‥」
どうしようか悩むマリアーノだったが、気を取り直して次のお年玉を開封。
「これは売れない芸人やってる従兄のお兄さんからか‥‥ん?」
袋を逆さにして振ると、ビー玉が一つ落ちてくた。
「‥‥これだからいつまでも売れないんだよ」
一旦スクリーンの映像を消し、異様にでかいお年玉袋を見せる。
「これはテレビ局に勤めてる父さんから‥‥何入ってるんだろ?」
中から「お年玉 5000円」と書かれた賞金ボードが出てきた。
「五千円でこれはやりすぎ! こんなの作る分も普通にくれればいいのに!」
さらに袋の中を探ると
「その五千円は‥‥何これ?」
スクリーンに「5000円 ただし、賞金ボード代として」と書かれた領収書が映っている。テレビ局ならではのオチでコントは終了。
●五番手:紗草みりん(fa2632)
紗草のコントは『外国育ちの為にお年玉と言う風習を知らない叔父』を持つ少女。
正月に、その叔父の家に訪れた際に『叔父さん、お正月恒例の姪が喜ぶアレちょーだい』と両手を出し要求。
日本では新年になにかを上げると喜ぶ(根回し時に少女が敢えて『金銭』とは伝えなかった結果)と言う勘違いから、叔父はと正月早々から様々な品物をブレゼントしてくれた。
叔父がくれたものは
『ガス会社のタオル』『有名な洗面器』『薬局の前のカエル』
『「オペラ座の怪人」の怪人が付けてる様なマスク』』『ラムネのビー玉』
『スパイ7つ道具にある水に溶ける紙』『偽ブランド『ヒルメス』の鉛筆』
『タコ焼きの鉄板』『大凶の御神籤』
‥‥等。
「私にくれたもの」とかいう歌があったわね、とふと思い出す紗草。
それらに対し「そーそー、お正月って言えばコレだね」‥‥って、これは違うよっ!」とツッコミしつつコントは進展。
しまいには直球で「叔父さん、お小遣ちょーだい」と要求するが、姪の成長を喜ぶ叔父がプレゼントしたお年玉は、既に母に取られていたと判明。
「もうね、笑うしか‥‥」
うなだれながら泣き笑いするというオチで、紗草のコントは終わった。
●六番手:白海龍(fa4120)
彼のコントは『アメリカの小学生』なので、チルドレン風味たっぷりのセーターと、半ズボンを着用して小学生の仮装をしている。
モノボケをメインにするため、ステージの上にはアメリカンなテーブルとチェストを設置してある。
ヘルメットを被り、スケボーに乗って舞台袖からガーッと滑ってくる白海龍。
「ただい‥‥」
まで言ってチェストにぶち当たり「まーっ!」と叫びつつ転倒し、ステージ中央までまでゴロゴロ転がる。
この時点で、観客はクスクス笑っている。
暫く床の上で大袈裟にのたうち回ってから立ち上がり、スケボーを抱え、家の奥にいる母親に呼びかける感じで「ママー!」と叫び、ママの相槌があったという筋書きで話し始める。
「ねえママ、今日スコゥール(学校)でフリェンド(友達)のタァケシィ(ネイティブ発音)に聞いたんだケド、ジャポァニーズではニュウイャアー(お正月)に子供にマネィ(お金)をくれるらしいんだヨ。僕も欲しいヨ! ねえママ〜欲しいヨ〜欲しいヨ〜!」
おねだりモードに突入したが、ママが無視しているので続けて話す。
「くれたら、ママがマネィをジョォニィ(犬)の小屋にエブリディ隠してる事ダディに言わないからサァ‥‥ママ、顔怖いヨ。え、チェストの中に入ってる? ホント?」
嬉々としてチェストを開けると、中から黒ずんだバナナが出てくた。
「バナナやん!」
物凄く正しい関西弁で突っ込むと、舞台は暗転。
吉本風オチで白海龍のコントは終了したが、観客の笑いは止まりそうもなかった。
●七番手:チェダー千田(fa0427)
最後に登場したのは、記念すべき第一回コメディシリーズで優勝した千田。
良く動き、良く喋るムチャキング。人懐っこい顔を太フレーム、横長六角形の伊達眼鏡で隠し、黄帽、ランドセル、名札をつけた小学生ルックで登場。
そんな彼のコントは『一人RPG仕立てコント』である。
それはある年のお正月のこと。突如何者かによって世界中のお年玉が奪われてしまった!
「おしょうがつにへいわをとりもどすため いけ! のりあき!」
王様の声(あらかじめ録音済み)の後、スタッフが差し出した王様に貰った『竹ものさしブレード』を手に、小学生のりあきの旅は続く。
新作ゲームが買えず絶望する町の子供を励まし、お年玉など無くても大丈夫と豪語する外道・マンビキーをやっつけ、初詣でにぎわう神社を手伝い新たな道を切り拓き、次なる町へついに辿り着き、ラスボス・女帝ママンズと決戦!
その正体は、世界中の母親の心配心。時空を超えて集まり具現化したのだ。
『お年玉は私が管理するのだ! 子供に渡すとどうせロクなことに使わない! たとえ憎まれようとも、これも世界中の子供達のためを思ってのこと‥‥』
「違う! お年玉は子供たちの希望だ! 夢だ! 勇気だ! 使い道を考えながらワクワクする最高の一瞬、大人のエゴには奪わせない!」
激戦と口論の末、のりあきはママンズを撃破した。改心したママンズは、倒れる寸前お年玉を世界に帰し力尽きた。
『全てのお年玉よ、あるべき所へ‥‥ぐふっ』
ついにお正月に平和が訪れた。子供達と共に、のりあきもお年玉を握り締め駄菓子屋へ走るのであった。自分の母親に半額を預けた後に。
息もつかせぬ展開に、観客達は瞬きもせず釘付けになっていたが、コントが終わると同時に盛大な拍手を送った。
●審査発表
番組プロデューサーにより、審査結果が発表された。
「発表します。今回の優勝者は、白海龍とチェダー千田のお二人です。お年玉を求めるコントで観客を惹きつけ、笑いを提供してくれたのが最大の理由です」
二人には「十万円」と書かれたお札プレートが手渡された。二人にとっては最高のお年玉だ。