笑・奈落佳人 アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
氷邑
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.8万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/01〜01/05
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●本文
「奈落佳人って知ってる?」
午前4時44分44秒に、奈落佳人なる人物が現れ、恋の怨みを晴らしてくれる。
中高生を中心とした若い世代の間で広まっている都市伝説であるが、時にはデマも流れている。
ごく普通の高校生は、幼馴染みのあの子をどうしようか悩んでいた。
あの子は、可愛くて誰にでも懐きやすい。それ故、高校生は幼稚園時代から可愛いあの子に付きまとわれていた。
どうにかしたいと思っていたその時、輪になって楽しそうに噂話をしている女子の話を聞いた。声が大きいので、自然と耳に入る。
話の内容は、巷で噂になっている「奈落佳人」についての話題だった。奈落佳人の呼び出し方、恋の怨みの相手を奈落送りにする方法が語られていたが
『姿見から出てくるのは、その日によって違うんだって。運が良ければ一発で奈落佳人が出るとか』
最後の一言に何それ? と思ったが、噂が本当ならあの子を奈落送りにしたいと思った。
<1日目>
午前4時44分44秒、薄暗い部屋の中央に置いた姿見の前に立ち、奈落佳人を呼び出した。
姿見が一瞬光ったかと思うと、1人の女が目の前に立っていたが‥‥そこにいたのは「おかん」だった。
おかんは、早口で延々と高校生相手に井戸端会議を始めたが、太陽が昇ると同時に姿を消した。
<2日目>
今日こそは! と昨日の同じ時間に佳人を呼び出したが‥‥現れたのは赤褌一丁の日焼けした汗臭い筋肉男だった。
男は筋肉! と長々と自らの筋肉を大アピールし、太陽が昇り消えるまで満足そうに話し続けた。
<3日目>
次の日も、凝りもせず佳人を呼び出したが‥‥今度は大きなハリセンを持ったお笑い芸人だった。
スパーン! と高校生の頭を叩き「ノーリアクションかいっ!」と関西弁で説教。
長々とボケツッコミの極意を話し出すが、太陽が昇ると同時に姿を消した。
<4日目>
今日は出るよな‥‥と不安になりながらも佳人を呼び出すが、現れたのは、酔拳を得意とする瓢箪を持った若者だった。
酒くさっ! と思いつつ離れようとしたが、若者はのろりと動き出し、いきなり強烈なパンチを高校生の顔面に食らわせた。
<5日目>
酷い目に遭っても全く懲りていないのか、今日も佳人を呼び出す。
姿身に映った人物は‥‥中華風の衣装を身にまとった美女だった。
「ああ‥‥ようやく会えた‥‥」
佳人の美しさに見惚れていたが、3分後、佳人は姿を消した。すぐに話しかけないと彼女は依頼無しとみなし、帰ってしまうらしい。
その数分前、同じ噂を耳にした少女が興味本位で佳人を呼び出した。
姿見から姿を現したのは、楕円形の眼鏡をかけた厳しい雰囲気の教師だった。
少女は、太陽が昇るまで教師にみっちり勉強を教えられた。
噂話を鵜呑みにしてはいけない。その中には、真実もあれば、デマもあるのだから‥‥。
奈落佳人の話も、真偽は定かではない。それでも試してみますか?
<登場人物>
奈落佳人:中華風衣装を身に纏った謎の女性。
おかん:割烹着が似合う40〜50代のおばちゃん(おばちゃんに扮することが可能なら男性も可とする)
筋肉男:日に焼けた肌、鍛え上げた見事な筋肉が自慢の汗臭い赤褌男。
お笑い芸人:ボケツッコミにうるさい(男女不問)
酔拳使い:酒を飲めば飲むほど強くなる拳法の達人。
高校生:騒動に振り回される依頼人(男女不問)
※上記以外の人物は自由に設定してください。
※高校生以外の人物は、違うシーンであれば一人二役も可能です。
●リプレイ本文
「奈落佳人って知ってる?」
午前4時44分44秒に姿見の前で奈落佳人が出るよう祈ると、奈落佳人が現れ、恋の怨みを晴らしてくれる。
中高生を中心とした若い世代の間で広まっている都市伝説であるが、時折デマもあるようで‥‥。
●VS幼馴染み
高校生(桐尾 人志(fa2341))は、美少女にしか見えない幼馴染み(ジュディス・アドゥーベ(fa4339)) に困り、彼をどうしようかと考えていた。
彼の写真を目の前に突き出しては、あれこれ回想する。
「こんなに可愛えのに、僕と同じ男やなんて‥‥ツレションする毎に切のうてたまらん‥‥」
そんな時、学校でクラスの女子達が話していた奈落佳人のことを思い出した。奈落佳人が現れ、対価と引き換えに恋の怨みの相手を奈落送りにするとか。
『姿見から出てくるのは、その日によって違うんだって。運が良ければ一発で奈落佳人が出るとか』
一発勝負でもかまへん! と、高校生は佳人を呼び出すことに。
●VSお笑い芸人
午前4時44分44秒、高校生は姿見の前で佳人が来るよう祈る。
姿見から現れたのは「こんばんはー♪」とハイテンション、勢いを重視した元気娘なお笑い芸人(高白百合(fa2431))だった。
「ども」
高校生が挨拶するが、面白くない反応とみなしたお笑い芸人は、目を見開いてハリセンを高校生に突きつけた。明らかに「私には武術の心得がある」といわんばかりに。
「それじゃあかん! こっちがボケたらあんたはツッコミ入れなあかん。ほれ、そこに座り」
「僕、将来は公務員目指してますんで」
その言葉に耳を貸さず、お笑い芸人は話し出す。
「ええか? ボケとツッコミちゅうのはコミュニケーションの基本や。就活でも男口説く時でも、とにかくボケツッコミが大事やねん。相手が自分に何を求めてるのか、自分が求めるのを実現するにはどう反応すべきか即座に考えるっちゅうのが、とにかく重要なんや」
「僕、男やから男は口説かへん」
「屁理屈言うな!」
お笑い芸人は、ハリセンで高校生の頭を思いっきり叩いた後、お笑いのコツを再び話し始めた。
「ボケツッコミは関西人の就職活動に不可欠とか言うな!」
太陽が昇り、お笑い芸人の姿が消えると同時に高校生は叫んだ。
●VS筋肉男
今日こそ佳人を。そう信じて再度挑戦するが、現れたのは筋肉男だった。
半獣化してアフロヅラで耳を隠し、金剛力増によるマッチョスタイル、下半身はサポーター着用の上で褌、画像修正をスタッフにお願いした河田 柾也(fa2340)が演じている。筋肉男の撮影は別撮りで行い、撮影時は筋肉男と高校生の掛け合いで行うことに。
「HAHAHA! お嬢さん、ボクの筋肉に御用ですか?」
全身にワセリンとドーランを塗っているので、見事な日焼けマッチョ振りである。
「汗くさ!」
「出でませ、上腕二頭筋・レフト&ライトっ!」
「いやあの、筋肉見せびらかされても」
「男なら背中で語りましょう、ダブルバイセップス・バック!」
「そのテの雑誌編集部に行けっての!」
筋肉男は自慢の筋肉を語り続けていたが、太陽が昇ると同時に消えた。
●VS奈落佳人
今日こそは! と佳人を呼び出す。
姿を現したのは、無口で超然とした態度を保ち、高価な髪飾りをつけた神秘的な美女(烏丸りん(fa0829))だった。
「佳人様‥‥ですよね? 何て美人さんなんや‥‥」
美人と言われ、ほんのり頬が赤らむ佳人。
「実は、奈落送りにしたい子がいて‥‥」
話題を振られた佳人は、こくこくと頷く。経緯を説明したがあまりにも長かったので、佳人は太陽が昇る前に姿を消した。
「‥‥帰られてしもた。話の長い男は好かんとですか」
●VS酔拳使い
佳人さん、今日も来て! と祈る高校生だったが、現れたのは青の男性用チャイナ服を着て、紐を括り付けた瓢箪をグルグル回している若き酔拳使い(加羅(fa4478))だった。 目は垂れ、笑顔でとろーんとしている。
「酒くさっ!」
高校生に気が付いていない酔拳使いは、部屋にある本棚に衝突した。
「あぁ〜すみまひぇん〜おへわにらってらーぅ(あぁ〜すみません〜お世話になってまーす)」
本棚に向かいベタに謝るが、高校生に気付くと、瓢箪の酒を飲みながら近づき
「おにぃーさん、お酒飲みますか〜?」
と酒を勧める。
「僕、未成年ですから」
高校生に近づき、手の届く範囲までずっと飲みながらへろへろ千鳥足で移動していた酔拳使いだったが、目の前まで来て目が据わり、態度が豹変した。
「誰がてめーに飲ませる酒があるかあぁぁああ!!」
巻き舌で叫びながら、高校生に強烈な顔面パンチを食らわす。
「酔っ払いは社会の迷惑です」と言い、高校生は倒れた。
●VS漫画家
今日も祈る高校生だったが、現れたのは〆切間際の修羅場中の漫画家(桜 美琴(fa3369)) だった。
どてら姿、中は上下スエット着用、髪は後ろで一括りでバラけ、黒縁眼鏡で顔に墨が付いている。すっぴん(に近いメイク)の目の下にはクマが出来てる。どういうわけか、机、原稿、道具、ペットのハム太(ハムスター)も一緒に召還されている。
「あの‥‥『白い天使達』描いとる桜先生ですか?」
「そうだけど」
桜は「待ってました」と血走った目で、鬼気迫る雰囲気で高校生をアシスタントとして扱使うことに。
「あ! 手伝って! ベタくらい出来るでしょ?」
「僕描けませんよ? コミケには行きますけど」
問答無用! と、桜は道具一式を高校生に手渡した。
「のろのろするな! トーン張って! 指定は書いてあるわ!」
「指定?」
「分からない? 何のためにココにいるの! 役に立たないなら国に帰れ!」
桜はイラつき、高校生に八つ当たりする。
「あ〜もう駄目っ! 落ちる! 絶対落ちる〜!」
と奇声を発したり
「うふふ‥‥そうよ〜! こうでなきゃ〜うふふふ」
と笑い出したり、静かになったかと思えば寝ていたりだが、高校生の仕事振りチェックは怠っていない。
「定規はティッシュで拭くぐらい常識でしょう! ボタ落ちしたじゃないのっ!」
等、細かく指示する。
夜明けと共に、原稿は無事完成。手伝ってくれたお礼として、桜は高校生に直筆サイン色紙を手渡すと「で、できた〜!」とエコー付きで消えた。
色紙を手にしたまま、高校生は倒れた。
●VS受験生
今日も必死に祈るが、姿を現したのは近所に住んでいる大学受験浪人生の先輩(千音鈴(fa3887))だった。
後がなく、色々な意味でギリギリ状態。「必勝・合格」と書かれたハチマキに瓶底眼鏡、おさげ、半纏姿だった。センター試験目前ということもありピリピリし、「落ちる」「滑る」等の単語に過剰反応する。
「先輩やないですか。とりあえず、何か食べましょう!」
「いきなり何? あぁぁ! 今日のノルマまだ終わってないのに!」
そんな先輩を無視し、高校生は夜食のマグロの中落ちと鍋焼きうどんを作る。食べ終えた後、先輩は勉強を始めた。
「本番まであと少し‥‥この問題教えて! え、解けない? 現役高校生が分からないなんて、陰謀ね。私を不合格にしようって魂胆ね。皆、後ろ指さすのよ。『あのお嬢さん五浪ですって』って。もうすぐ六浪!? 消しゴムが『落ちた』? 口が『滑った』? い、いやぁぁぁ! 六浪は嫌ぁぁぁ!」
錯乱から一転、愚痴を延々鬱々と話し出す。
「大体、落着いて勉強出来る家庭環境じゃないし、私立は経済的に‥‥。無駄な完徹を‥‥ははは‥‥合格が遠のく‥‥」
涙を流しながら笑うと、先輩は姿を消した。
「僕も来年同じ大学受けるんですけど、明日は我が身やね」
●VS偽佳人
翌日、ようやく佳人(ジュディス・アドゥーベ=2役)が現れた。
「佳人様‥‥相変わらず美人さんや‥‥。今日はチャイナドレスでご登場なんですね」
呼び出された佳人は、高校生にニッコリと笑う。
高校生は、早速幼馴染みの話を始めた。佳人はきょとんとした顔で話を聞いていたが、奈落送りの話が出たところで、困った顔をする。
「すみませんけど、それ人違いですよ〜」
偽佳人は、コスプレ好きの女の子だった。
その後、日が昇るまで一人ファッションショーを続けた。トランクから様々な服を取り出しては一瞬で着替え、姿見に引っ込んで着替えたりした。
「あ‥‥住所と電話番号聞き忘れた。後でデートのお誘いしよ思ったのに‥‥」
●VSおかん
今日こそは佳人さんを! と必死の形相で祈る高校生だったが、姿見から現れたのはおかん4人組だった。
和服に割烹着、纏め髪スタイルの河田おかんが、手首のスナップを効かせて話し出す。
「奥さん、明日のスーパー○×、卵1パック85円やって!」
「卵は△○の方が2円安かったで。○×は先着10名の牛肉が狙い所やな」
頭にカーラー、豹柄ジャージの上に割烹着姿の千音鈴おかんが突っ込む。
「うちのおとん、日曜日は居間でごろごろするばっかで何にもしてくれへん。もー邪魔で邪魔で」
フリフリの派手な割烹着とメイク、ひっつめ髪の桜おかんが話題を切り替える。
「んですねぇ」と、赤い割烹着に帽子のまるで還暦のおじいちゃんの様な姿の加羅おかんが相槌だけを打つ。
「千音鈴さんお肌ぴちぴちねぇ、何か秘訣あるん?」
桜おかんの質問に、何もしてへんと応える千音鈴おかん。
「茶も出さんと気ぃ利かん子やなぁ」
怒涛の井戸端会議を続けるおかん達が茶を要求するので、急いで用意する高校生。
「もう嫌や‥‥」
おかん達に完敗した高校生であった。