怒・奈落佳人アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 氷邑
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 易しい
報酬 7.1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/16〜01/20

●本文

「奈落佳人って知ってる?」

 午前4時44分44秒に、姿見の前で「佳人様、おいでください」と唱えると奈落佳人なる人物が現れ、恋の怨みを晴らしてくれる。
 中高生の間で広まっている都市伝説‥‥であったが、20代以上の若者の間でも有名な噂話になっているが、時にはとんでもないことが起きることがあるとか‥‥。

●第一話
 大学生のヒカルは、現在付き合っている相手のことが心配だった。
 ルックス良し、愛想良し、誰にでも優しいので、いつかは誰かに鞍替えし、別れ話を持ちかけられるのではないかと思っている。
 どうしようかと思っていたその時、講義の時に聞こえた奈落佳人の噂話を思い出した。

『奈落佳人の機嫌を損ねると、痛い目に遭うんだって』

 という一言がひっかかったが、奈落佳人に相手を奈落送りにすれば、余計な心配は無用。
 ヒカルは佳人呼び出しを実行するため、姉の部屋から姿見を拝借した。

 午前4時44分44秒、ヒカルは姿見の前に立ち、奈落佳人を呼び出した。
 姿見が一瞬光ったかと思うと、突然、目の前に中華風の衣装を身に纏った美しい美女が現れたが‥‥
「気持ち良く寝ていたのに起こすんじゃねぇよ!!」
 と、強烈なパンチをくらった。本日の佳人は、熟睡中だったようで‥‥。

●第二話
 中学生の次美は、一年生の頃から密かに付き合っているサッカー部員の彼と別れようと思った。
 学年問わず、ほとんどの女子生徒が彼の虜だ。人気者の彼とこれ以上付き合うと、いつか必ず痛い目に遭う。そう確信したからだ。
 学校帰りに本屋に立ち寄った時、オカルト雑誌で奈落佳人の存在を知る次美。

 眠気を堪えながら、次美は姿見の前に立ち、奈落佳人を呼び出した。
 そんな次美の目の前に現れたのは‥‥中華風の衣装が乱れて、今にも衣装を脱いでしまいそうな奈落佳人だった。
 本日の佳人は、相当酔っ払っているご様子。未成年である次美は断ろうとしたが、鋭い目つきで睨む。
 そんなことをお構い無しに、姿見から次々と酔っ払い達が登場。
 たーんと飲もうという誘いに乗った佳人と共に、嫌々次美も宴会に加わる羽目に‥‥。

●第三話
 次美が佳人に出会った翌日、同じ噂を耳にした少年は興味本位で佳人を呼び出した。
 この日の佳人は、かなりグレていた。
 部下達の厳しい監視、連日の奈落送りに嫌気がさし、黒のフィンガーレスグローブ、長い丈のスカートのセーラー服を身に纏い、右手には竹刀を持っていた。いつの時代のスケバンですか? と尋ねたくなるほどの不良娘(というには微妙な年齢だが)と化していた。おまけに化粧はかなり濃い。
 少年は、太陽が昇るまで不良佳人に絡まれ、強請られていた。
 ‥‥ご愁傷様。

 噂話を鵜呑みにしてはいけない。その中には、真実もあれば、とんでもないこともあるのだから‥‥。
 奈落佳人の話も、真偽は定かではない。それでも試してみますか?

<登場人物>
 奈落佳人:中華風衣装を身に纏った正体不明の謎の女性。
       一話では寝起きが悪く、二話は酒乱、三話は不良娘と化す。
       一人が演じるも良し、三人別々に演じるも良し。
 ヒカル:第一話の依頼人。寝起きの佳人に殴られる(男女不問)
 次美:第二話の依頼人。酔っ払った佳人に絡まれる少女。
 少年:最も悲惨な目に遭う可哀相な依頼人。
 

※上記以外の人物は自由に設定してください。
※ヒカルの相手性別不問。同性のお付き合いも可です。
※依頼人以外の人物は、違うシーンであれば一人二役も可能です

●今回の参加者

 fa2605 結城丈治(36歳・♂・蛇)
 fa2772 仙道 愛歌(16歳・♀・狐)
 fa2903 鬼道 幻妖斎(28歳・♂・亀)
 fa3487 ラリー・タウンゼント(28歳・♂・一角獣)
 fa3516 春雨サラダ(19歳・♀・兎)
 fa3802 タブラ・ラサ(9歳・♂・狐)
 fa3928 大空 小次郎(18歳・♂・犬)
 fa4548 銀城さらら(19歳・♀・豹)

●リプレイ本文

「奈落佳人って知ってる?」

 午前4時44分44秒に姿見の前で奈落佳人が出るよう祈ると、奈落佳人が現れ、恋の怨みを晴らしてくれる。
 最初は中高生の間で広まっている都市伝説‥‥であったが、今では20代以上の若者の間でも有名な噂話になっている。とんでもない話になっているようだが‥‥。

●寝起き佳人、登場!
 大学生のヒカル(大空 小次郎(fa3928))は、高校時代の体育教師である山田源蔵(結城丈治(fa2605))のことが忘れられない。女みたいだ、とからかわれ続けた美少年のヒカルは、男らしくなりたいとボクシング部に入部した。
 山田は、時には厳しく、時には優しくボクシング初心者のヒカルを指導した。そして‥‥いつの間にか恋愛感情が芽生え恋仲となり、ヒカルは普段は優しいが、喧嘩になるとヒーローチックな熱血漢という性格となった。
 大学生になっても、山田のことを忘れられない。離れていればいるほど、恋しくなるのだ。講義中に山田のことを考えている時だった。後ろの席の女子達が『奈落佳人』の話題をしていたのを聞いたのは。
(「誰かのものになる前に奈落送りにすれば‥‥」)

 山田を奈落送りに実行すべく、ヒカルは部屋の中央に置いた姿見に向かい午前4時44分44秒に奈落佳人を呼び出したその時、ヒカルは急に誰かに殴られたかたのように倒れた。
「‥‥たく、気持ち良く寝ていたのに起こすんじゃねぇよ!!」
 起き上がったヒカルが見たのは‥‥寝巻き姿の奈落佳人(仙道 愛歌(fa2772))。
 まだ殴り足りないらしく、強烈なパンチを繰り出した。
「喰らえ! バーニング・マグナム!!」
 掛け声と共にフィニッシュブローを叩き込み、ヒカルは壁に叩きつけられた。
「まだまだ‥‥! 俺の燃えるハートはこんなもんじゃ消せないぜ!」
 ボクシング部時代の血に目覚めたのか、口元の吐血を拭いながら吠えるヒカルだったが‥‥佳人の強烈なアッパーに敗れた。
(「や‥‥山田先生‥‥」)
 山田のことを思いながら、ヒカルはゆっくりと倒れた。

●酒乱佳人、登場!
 のんびりと性格の次美(春雨サラダ(fa3516))は、自分が傷つく前に、密かに付き合っているサッカー部の彼を奈落送りにしようと、眠気を堪えて姿見の前に立ち奈落佳人を呼び出した。
「彼は〜本当に皆の人気者で〜私、付き合ってるのがバレたら、やばい〜かも。佳人さま〜お願いします〜」
 願いを声に出しながら、次美は姿見に必死に祈る。
 カッ! と姿見が光ったかと思うと‥‥急に部屋が酒臭くなった。
 次美の目の前に現れたのは‥‥中華風の衣装が乱れて、今にも衣装を脱いでしまいそうな一升瓶を持った奈落佳人だった。
「そこのお嬢さ〜ん、一緒にのも〜」
 着乱れ佳人が、次美の肩を叩いて飲酒を勧めるが「私〜未成年ですよ〜」と断る。
「あぁん? アタシの酒が飲めないってのかぁ?」
 否定するなり、酔っ払い佳人が鋭い目つきで次美を睨み、飲めないんだったら酌をしろと一升瓶を渡し、いつの間にか持っていたコップに酒を注がれる。
「佳人ちゃーん、一緒にのもー!」
 佳人の後を追うように、銀城さらら(fa4548)が姿見から現れた。それと同時に、アフリカの少数部族のお面を被り、太鼓を叩きながら何かにとりつかれたかのように一心不乱に踊り続けている鬼道 幻妖斎(fa2903)も現れた。
「あの〜人の部屋でドンチャン騒ぎは困ります〜」
 次美が止めさせようとしたら
「アンタ、一遍死んでみる?」
 と鬼道は暴れだした。酒乱で厄介な存在らしい。
「アタシはね、脱ぐと凄いんだよ」
 騒ぎの中、妖艶な発言をして一枚ずつ脱ごうとする佳人を次美は止めた。
「や、やめてください〜」
 銀城は、着乱れた佳人に脱げ脱げ〜と囃し立てている。そんな彼女は、シラフというタチの悪い人物である。
 結局、次美は嫌々ながら宴会に引きずりこまれてしまった。
 酒を飲まされそうになったら「はう〜、お酒、だめですよぅ〜」と断り続けた。
(「は〜ん、お部屋めちゃくちゃ〜」)
 次美の部屋は、空の一升瓶が多数転がり、つまみが散乱していた。
 彼との別れもどうでもよくなるくらい酒乱共に酒を注ぎ続け、仕舞いには彼との別れは「まぁいいか〜」と諦めた。
(「お掃除、私一人でやるの〜?」)
 夜が明けた頃、次美はへなへな〜とへたれこんだ。

●ハプニング発生!
「監督、少年役の役者が急遽出演できなくなったと、たった今連絡がありました!」
「何だと!?」
 突然のハプニンブに驚く監督だったが、スタッフの中から少年に相応しい者を選び、代役として演出させることにした。戸惑うスタッフだったが、台詞無し、簡単な演技という監督の指示に従い、代役を了承した。

●不良佳人、登場!
 奈落佳人の噂を聞いた少年は、興味本位で呼び出してた。
 姿見から少しずつ姿を現した人物は‥‥十数年前のスケバンスタイルの不良佳人だった。化粧がかなりケバい。
「あんたかい、アタイを呼んだのは」
 その言葉に、少年は何の反応も示さなかった。
「がっかりだよぉ!」
 持っていた竹刀で床を思いっきり叩きつける不良佳人。
「まぁ、いいか。今日は、アタイがアンタに恋という物を教えてやるよ」
 どこからともなく、紙芝居を用意する。少年を無視し、紙芝居を続ける不良佳人。絵はとても下手だったが、そういうことはお構いなしに延々と続けた。
 夜が明けた頃、佳人は「またな!」とキメポーズを取りで去っていった。
 少年は、興味本位で何でもやらないでおこう‥‥と決心した。

 怒れる佳人様は、次はあなたのところに来るかもしれません‥‥。