Blue in Red 6アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
氷邑
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
3万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
01/28〜02/01
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●本文
青は、南国の孤島を取り囲むように広がったネイビーブルー。
赤は、その孤島に聳え立ったホテルの中で起こる惨劇を象徴する血。
日本国の謀略によりランダムに集められた32名の一般市民が、たった一つの生存権を賭け、孤島のホテルで殺し合いを行う。
帰る事も、逃げる事も出来ない人間の極限が見せた弱さ、醜さ、美しさ、裏切り、愛情、友情、絆。そして運命を捻じ曲げようとする比類無き強さ。
千ページ以上にも及ぶ良い意味でも、悪い意味でも問題作と言われたこの長編小説の映画化が決定し、撮影は順調に進んでいる。
撮影は、内閣総理大臣・真山壱がいるモニタールームのシーンから始まる。
・シーン1
内閣総理大臣・真山壱は、政府が化学を駆使して作り上げた殺人兵器『キリング・ドール』をじっと見つめる。
彼の最愛の女性、妻そっくりの外見の、幼い娘を成長させた顔立ちの兵器に、壱は2人のことを思い出す。
血で汚れたキリング・ドールを綺麗にするよう、壱は秘書の神凪華に命じる。
・シーン2
赤城拓也は、再び恋人・青嶋奈緒美を殺した犯人を捜し始めた。
最愛の女性を奪った者は、誰であろうと容赦はしない!
その決意を固めた彼の表情は、犯罪者的人格『赤い狼』であった。
・シーン3
カッターを手にし、息を切らしながら走っているのは高校教師の田沼。
死の恐怖に怯えた田沼は、誰某構わず切りつけた。
暴走する田沼に接近しようとしている人物は、同じく死に怯えながら逃走中のOLの美咲。
・シーン4
拓也、いや、赤い狼がホテル内を歩いている時、彼を誘惑しようとする結婚詐欺師の亜依。
赤い狼は「邪魔だ」と払い除けるが、彼女はしつこく纏いつく。
この女が奈緒美を? と疑問を抱く彼が取った行動は‥‥。
・シーン5
壱は、ゲームが中盤に差しかかったことに喜び、そろそろ自分の姿をお披露目してもいいだろうと思った。
秘書は、放送で負傷者を除く全参加者は大広間に来るよう伝える。
大広間に集まった参加者がスクリーンに映し出されたのは、真山壱本人だった。
彼が告げたのは、新しい参加者が加わったということだけだった。
<登場人物>
赤城拓也:本編の主人公。復讐を決意したことで「拓也」と犯罪者的人格「赤い狼」の人格が融合。
神凪華:真山の命令で、参加者として参加の秘書。
田沼:死の恐怖で己を見失った高校教師。
美咲:死に怯えながら必死に逃走中のOL。
亜依:拓也(赤い狼)を誘惑する結婚詐欺師。
真山壱:内閣総理大臣。
前半は声のみの出演(一人称:私、二人称:君/諸君 、〜たまえ)
後半は画面越しであるが初登場。
冷酷非情、国粋主義者、選民思想に凝り固まった人物。
田沼は名前、美咲、亜依は苗字を。所持している武器は各自で考えること。
武器はホテル内を破壊する恐れのある重火器の類意外であれば問わず。
<これまでの生存者、死亡者(五十字音順)>
生存者:赤城拓也、梶原ゆう、数井療子、カナ芳村、神凪華、霧咲彰吾、榊都
坂崎明憲、志水剣一郎、月凪鈴、都築哲司、檜村零児、方城瑞希
丸山高貴、本木美鈴、矢田メイ、ユーリー芳村、渡辺雄一
死亡者:青嶋奈緒美、青柳健一、亜澄涼子、飯田健太郎、海馬厚司 、神田カンタ
野川夏希、野川邑吏、尾藤裕二、藤吉住男、渡キリエ
<映画設定>
・大きな舞台の別の一場面としてリンクしている。
・参加者が何故集められたは各々設定。
・参加者には全員孤島に入る前にマイクロ爆弾を取り付けられて、島から出ると爆発。
・ホテルの外は森、罠有り。
●リプレイ本文
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キリング・ドールを見つめ、真山壱(joker(fa3890))は妻子のことを思い出し、声にならない声で何かを呟き、右手をキリング・ドールの頬に沿わせる。自信と狂気に満ち溢れた何時もとは違い、今にも崩れ落ちそうなほど弱々しい壱であった。
血で汚れたキリング・ドールを綺麗にするよう、壱は秘書の神凪華(沢渡霧江(fa4354))に命じる。
シャワーで濡れないようにダークブルーのスーツを脱ぎ捨て、畏怖を覚えつつ、禊をしているような気持ちでキリングドールを身体と長い髪を洗う。
「愛した人と同じ顔のキリング・ドールに殺される運命か‥‥皮肉なことだな。総理ともあろう男が」
シャワー音の中、途切れ途切れに華は呟く。
服は、あえて普通の少女らしいものを着させた。戦闘面については、華は一切考慮していない。彼女ならそんな小細工に頼らなくても、圧倒的な戦闘能力を持っているのだから。
●
方城瑞希(七瀬・瀬名(fa1609))は、ホテルの外の森にトラップを仕掛けに向かった。
「安全な場所を確保しないと‥‥」
そう考えていたが、着いた森には政府が仕掛けたトラップがあった。
「此処にも安全は無いのね」
ホテルの中も、外も安全な場所が無い。それを知った瑞希はがっくりと力が抜け膝から崩れ落ちてしまうが、気を取り直しホテルに戻る事にした。
月凪 鈴(紗原 馨(fa3652))と梶原ゆう(沢渡=2役)と部屋に閉じ篭っていたが、食料も尽きてしまったので外へ探しに行くことにした。
「ねぇ、ゆうはお腹空かない? 実は僕、お腹空いちゃったんだよね。何処かで何か、探してくるよ。一緒に行く?」
「うん」
鈴とゆうは、固く手を握り合って二人で食料を探しに出た。廊下から外を見、外の森に気付き森へと向かう。臆病なゆうだったが、鈴と一緒なら不思議と怖くなかった。
「危なくなったらすぐに逃げようね。僕、ゆうには怪我して欲しくないんだ‥‥」
「それは私も同じだよ、鈴」
友情を確かめあった後、鈴は森に足を踏み入れたが、森の入り口付近のトラップにかかってしまった。足下に紐が引っ掛かってしまい、その衝撃で周囲に仕掛けられた爆弾が一斉に爆発し、爆音は森周辺に鳴り響いた。鈴とゆうはまだ生きていたが、既に虫の息だった。
「ごめ‥‥ん、やく‥‥そ‥‥守れ‥‥な‥・・か‥‥」
ゆうにその言葉を残すと、鈴は事切れた。その後を追うように、ゆうは息を引き取った。
「奈緒美‥‥おまえの仇は俺が必ず‥‥」
亡き恋人、青嶋奈緒美に語りかけるよう、自分自身に言い聞かせている赤城拓也(ディノ・ストラーダ(fa0588))。
ホテル内を殺してくれる相手を求めて彷徨っていた榊都(楼瀬真緒(fa4591))は、思い詰めたような優しい感じの拓也を見付けた。彼なら頼めば優しく殺してくれるだろうか? と思いながら、近付こうとした時、ビクッとして、背中が総毛立つような殺気を覚えた。
拓也は思い詰めてはいたが、滲み出る優しさが見えていた。それなのに、一変して沸き立つ怒りの中に、残忍そうな狂喜を孕んだ表情へと変わっていたように見えた。
「マミィの借りは‥‥必ず返す」
拓也は、別人格である犯罪者的人格『赤い狼』と拓也本人の精神をリンクしている状態だった。本能的に危険を察知した都は、近寄ろうとした足を止め、踵を返すと躊躇いもなく逃げ出した。自分が何故、逃げているのかも気付かずに‥‥。
●
ホテル内に怪我人がいないか探索中の数井療子(観月紫苑(fa3569))は、その最中、廊下を歩いていた田沼秀雄(七瀬・聖夜(fa1610))と鉢合わせした。
田沼はセクハラで裁判を受けるも、総理の陰謀により無罪となった。このゲームに参加させられることを知らされぬまま。セクハラでは強気だが、実際は気が弱く臆病、一つの事に執着すると周りが見えなくなってしまう性格である。
「痛っ‥‥」
療子は一瞬びっくりした後、「キミ、大丈夫?」と声をかけて近寄ろうとするが、
カッターナイフで二の腕を切りつけられ、後ずさった。
「こんな所に居るお前が悪いんだ。僕は、生きたいんだ!」
傷を押さえながら、療子は落ち着いて、何もしないから、落ち着こう、と声をかける。
「おまえは邪魔だ!」
カッターで療子に傷を負わせた秀雄は、制止の言葉には耳を貸さなかった。療子はこのような状況では誰の言葉も信じられないだろうな、と制止しようとするが、効果がなかった為、次の攻撃の隙を見て秀雄に体当たりして転倒させ、逃走した。
「う、うわ〜」
突き飛ばされた事により恐怖心が倍増し、秀雄は逆方向に逃げ出す。
怯えながら逃走する秀雄の目の前に現れたのは、包丁を持った花沢美咲(大道寺イザベラ(fa0330))。
「あんた‥‥何で此処にいるの?」
突然の再会に、美咲は動揺を隠せずにいる。
「キ、キミは‥‥」
「あたしを忘れたの? この傷を見ても思い出せない?」
美咲は、自分の鎖骨の傷を見せた。これは‥‥忌まわしい過去の痕跡だ。彼女は秀雄に陵辱されたことが原因で、高校を中退したのだ。
「美咲さん、キミ悪いんだよ。僕の前に現れたんだから」
「みんな死んじゃえばいいのよ‥‥!」
「う、うわあああ!!」
逆上して襲い掛かってくる美咲の攻撃を避けながらもカッターで向う秀雄だが、なかなか攻撃が当たらない。不利だと判断した秀雄は、美咲からも逃げ出した。
傷を負った療子は、途中の部屋に逃げ込んで呼吸を整えた。田沼を落ち着かせられなかったために新たな被害者が出るであろう事に暫し落ち込んだ後、傷の手当ても兼ねて室内を探索。途中、ふと何かが机の上にあったことに気付き、それに目を止める。
「これは‥‥」
家族写真のようだったが、古ぼけているため、誰だかわからない。
●
紫が特徴的な模様のスリット入りのマーメイドドレスに身を包み現れ栗原亜依(レーヴァ(fa5257))は、色仕掛けを武器にする結婚詐欺師だ。詐欺がばれた時の護身用の超小型のナイフを、何時でも使えるようにガーターベルトに仕込んでいる。
「はあい、あたし亜依っていうの。あなたは?」
亜依は、赤い狼の人格である拓也を誘惑しようと悩ましげな性質で幾人もの男を落としてきたように声をかける。
「何の座興だ、女」
女性の武器のひとつ、色気を前面に出す亜依に全く興味無しの赤い狼。
「つれないわねぇ‥‥。でもそういうヒト、好きよ」
赤い狼の腕をつかんで自慢の胸を押し当てようとする。ふっと笑った顔は意外に優しく、奈緒美を思い出させるような笑顔だった。亜依は、この表情で男を油断させ、今まで詐欺を成功させてきた。
落ちる、と思ったその瞬間、赤い狼は隙を見て攻撃に転じ、亜衣を易々とステッキで弾き飛ばす。
「くぅっ‥‥」
・亜依の顔に奈緒美の姿がだぶり、ステッキの突きが喉に達する寸前で止めてしまう赤い狼。
「ふん、私の中の拓也に救われたな女」
赤い狼が油断した油断した隙をつき、愛はガーターに隠していた超小型ナイフを赤い狼の肩に突き刺した。
「何!?」
バランスを崩して螺旋階段を転げ落ちる赤い狼。
●
『全参加者に告ぐ。自力での行動が不可能、およびこの放送が聴取不可能な者を除き、大広間に集合するように。案内ではなく命令だ。また、この放送が終了すると同時に、すべての戦闘を停止すること』
ホテル内に、華のアナウンスが響き渡る。
大広間で何が行われるのだろうか。恐怖と不安を隠しきれないまま、行動可能の参加者は、大広間へと移動した。
負傷等で移動できない参加者以外が全て集まった時、大広間にワーグナーの『ワルキューレの騎行』が流れ出し、それと同時に大スクリーンがゆっくりと現れた。
スクリーンに映っているのは、スーツにオールバック、口はうっすら笑っているが、人を見下したような冷たい視線の男だった。
「やあ、諸君。私が内閣総理大臣の真山壱だ、はじめまして。此処に存在している諸君らは多かれ少なかれ人の死を間近で見て、時にはその手を血に染めて生き抜いてきたのだろうが‥‥今、この瞬間から新しい参加者がこのゲームに参戦する」
「叔父様、あなたは何時までこんなつまらないことを続けるの?」
モニター越しの真山に瑞希は問いかけてみるが、何の返答も無い。
「死と絶望の体現者たる彼女からどのように逃げるか、楽しみにしているよ」
主催者たる壱が差し向けた刺客、ともいえる新たな参加者の参戦に、瑞希も、他の参加者も驚きを隠せなかった。
瑞希は、心の中で『一刻も早く叔父様を止めないと。これ以上被害者を増やさない為にも』と固く誓った。
死亡者:梶原ゆう、月凪 鈴
生存者19名
新たなる殺人ゲームは、まだ始まったばかり。
●
「皆、ご苦労様。今回も大変だっただろう」
監督が、出演者一同を労う。
「今後の撮影だが、今まで以上にハードになるが頑張ってくれ」
はい! と返事するスタッフ一同と出演者一同。
●
「初めてやる役だったから緊張したよ‥‥」
映画初出演のレーヴァは、どっと疲れが出たようだ。
「アタシは、これからどうなるのか楽しみだな」
大道寺は、次回の撮影を心待ちにしている。
「俺、初めて皆の前に顔出したよ。これからも宜しく」
6作目にして姿を表すことができ、嬉しさを隠せないjoker。
「久々の出演だから、演技が上手くいったかどうか不安だ」
「大丈夫よ、聖夜」
弟を励ます瀬名。
次の撮影も、順調に進むと良いのだが‥‥。