唱・奈落佳人アジア・オセアニア
種類 |
ショート
|
担当 |
氷邑
|
芸能 |
2Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
やや易
|
報酬 |
2.8万円
|
参加人数 |
10人
|
サポート |
0人
|
期間 |
01/21〜01/25
|
●本文
「奈落佳人って知ってる?」
午前4時44分44秒に奈落佳人なる人物が現れ、恋の怨みを晴らしてくれる。
中高生の間で広まっている都市伝説‥‥であったが、20代以上の若者、更には壮年世代の間でも有名な噂話になっているが、時にはくだらないことが起きることもあるようで‥‥。
<シーン1>
万年係長のおっさんは、妻に愛想をつかされ離婚のピンチに。
そうなったら人生最大の恥! と思った時、給湯室でおやつタイムに入っているOL達の話題が耳に入った。言うまでもなく、奈落佳人の話だ。容姿、姿見の前での呼び出し方等の話をしていたが、話のオチは
『奈落佳人は歌を聞くのが大好きなんだけど、採点者同伴で来るんだって。でね、歌が気に入らなかったらハリセンでとづいて帰ってしまうんだって』
だった。
歌‥‥演歌でもいいのだろうかと考えたおっさんは、早速今夜にも奈落佳人を呼び出し、妻を奈落送りにしようと決意した。
午前4時44分44秒、おっさんは歌い始めた。
<シーン2>
カラオケボックスでアルバイトをしている大学生は、客から奈落佳人の噂を聞いた。
その噂が本当なら‥‥浮氣癖のある恋人を奈落送りにできるかもしれないと思ったのだが、今週のシフトは夜勤なので実行できず。
翌週、大学生は奈落佳人を呼ぶべく、マイマイクを持ってスタンバっていた。
<シーン3>
新人歌手は、ライバル視している人気アイドルを始末したいと考えていた。
そんな折、トーク番組の休憩中にスタッフが話している奈落佳人の噂を耳にする。
歌なら負けない! 絶対的自信を持つアイドルは自宅に戻ると奈落佳人呼び出しを実行した。
<シーン4>
孫から奈落佳人の話を聞いたおばあちゃんは、その話が本当なのか試してみることにした。奈落送りにしたい相手はいない。いわゆる「興味本位」である。
おばあちゃんが歌うのはどんな曲なのだろうか‥‥。
●登場人物
奈落佳人:午前4時44分44秒に現れるという中華風衣装を身に纏った謎の女性。
他人の歌が聞くのが大好きで、それが気に入れば依頼交渉する。
蒼嵐:佳人の部下で、甲冑を身に纏った古風な口調の武将。鉦つきとして参加。
おっさん:依頼人その1。40代くらいの万年係長。持ち歌は演歌。
大学生:依頼人その2。持ち歌は特に無し(男女不問)
新人アイドル:依頼人その3。持ち歌は自分のデビュー曲(男女不問)
おばあちゃん:依頼人その4。持ち歌自由(老婆に変装できるのであれば男性でも可)
※依頼人、蒼嵐以外であれば、一人二役も可能です。
※上記以外の人物の設定はお任せします。
※歌の採点は、依頼人役と佳人役が話し合って決めてください。
※持ち歌はオリジナルであること。歌詞は長くても100〜200字程度で。
●リプレイ本文
●一番:おっさん
午前4時44分44秒。
十八番の演歌を歌い始めたおっさんの前に姿を現したのは中華風衣装を身に纏った奈落佳人(エルティナ(fa0595))と、甲冑を纏い、長い髪を紐でポニーテール状に固めに結った奈落佳人の部下で、手には鉦、腰には佳人愛用ハリセンを差している蒼嵐(鶤.(fa3351))。
「つまんねぇ」
奈落佳人は蒼嵐が手にしていた鉦を奪い、おっさんを殴り飛ばした。
彼女は演歌が嫌いで、大人しい風貌、華奢な体躯だが豪快で怪力で最凶、男並み、いや、それ以上の力があるのでそれくらいは朝飯前である。
殴られたおっさんは‥‥朝まで床でピクついていた。
●二番:ストリートミュージシャン
藤拓人(fa3354)と 倉本陸(倉瀬 凛(fa5331))は、深夜まで路上で曲を披露していた。
メトロノーム通りに演奏するような緻密さを持っていると自負する藤と、ひたむきに楽器を弾く倉本だったが、女子高生に「超くだらなーい。オリジナリティなーい」と言われぶち切れ、奈落佳人を呼び出すことに。ターゲットは言うまでも無く女子高生。
姿見が無いので、真向かいにあるガラスを代用。
勉強が出来なくたって
スポーツが駄目だって
絵が下手だって
歌が歌えなくたっていいんだよ
それもキミの個性なんだから
世界にたった一人のキミの証
歌い終えると同時に、奈落佳人と蒼嵐が登場。カーン、と蒼嵐が鉦を鳴らす。呼ばれたと同時に呆れ「オリジナリティなさすぎ」と奈落佳人は呟いて去り、藤と倉本はがっくりと膝をついた。
人外の存在に鉦ひとつという批評をされた彼等は、人間相手ならどうにかなるんだと発起し、正当派ミュージシャンへの道を駆け上る決意を固めた。
●三番:大学生
のんびりな性格の大学生(七瀬紫音(fa5302))は、浮氣癖のある彼氏を奈落送りにする為にピアノを伴奏して子守歌を歌いながら、奈落佳人を呼び出した。
優しく月が見守ってるから
明日の光と共に
今は、おやすみなさい
歌い終わっても何の反応もないので後ろを振り向くと、単調なリズムとゆっくりした歌い方に奈落佳人も蒼嵐も寝てしまっている。気持ち良さそうに寝る二人を、さすがに起こすのも悪いかと、起きるのを待っているうちに彼女も寝てしまった。
頭の隅で鳴り響いた鉦の音は一つ。
ぼんやりと目が覚めると、二人は居なくなっていた。
「夢だったのかなぁ?」
姿見に映る自分の額を見ると、額にしっかりと赤ペンで「0点」と書いてあった。どうも歌は問題外で、鉦は良く眠れた奈落佳人のご褒美のようだ。
「赤ペン消えない‥‥」
油性マジックで書かれているので、暫くは消えないだろう。
●四番:新人アイドル
最近デビューした中世的な容姿と、高いアルト声が売りのジャニーズ系美少年アイドル氷上彩貴(月白・蒼葵(fa4264))は、所属芸能事務所がそれなりの力を持っている為そこそこ売れている。歌唱の実力は一般人より巧いというぐらいのレベルで、ノリのいい曲のリズムと曲の振り付けの身軽でキレのいいダンスは、足りない歌唱力の低さをフォローしている。
ライバルは、氷上同様に中性的な外見と高い声が売りの王子様タイプの美少年アイドル。二人の違いは、事務所の力と歌唱力の有無。ライバルは歌唱力が高く、アイドルとしても芸能人としても実力がある。
そんなアイドルを奈落送りにするべく、氷上は奈落佳人を呼び出す為にデビュー曲を歌い始めた。
建前なんていらないよ 人の目なんて関係ないよ
たった一人でも 認めてくれたら それで十分
間違いだらけでも 貴方が認めてくれるなら
僕は貴方だけの Der Mond(月)になれる
呼び出された奈落佳人は、しばらく曲を聴くがサビ部分に入る前に蒼嵐に鉦を二つ鳴らすよう命じる。
「ありきたりな曲よね、面白くない」
と言い捨てて、奈落佳人が蒼嵐と共に姿を消した。
●五番:おばあちゃん
仲良しな孫から奈落佳人の情報を入手したおばあちゃん(千音鈴(fa3887)) は、興味本位で呼び出してみる事に。老人の朝は早いので、午前4時44分44秒も苦ではない。
ラジカセを傍らに、姿身の前で準備万端。奈落佳人と蒼嵐が姿を見せると共に、ラジカセのスイッチをON!
「あたしの孫の合作、見せてあげるわ。よーく見るのじゃ!」
軽快なノリ、ステップ、アクションで歌い始めたのは、孫から習ったラップだった。70代でラップとは‥‥豪快なおばあちゃんだ。
『婆RAP』
Hey Yeah! OneNightショーの始まりDA・DA!
歌い踊るは喜寿越しBA・BA
若いモンには負けられないYO!
But あるかは分からぬ内容
今日も縁側一人で正座 明日の夕飯手作り餃子
真冬冷たい洋式便座 小銭貯めたら温式便the Get!
Hey Yeah!
OneTwo なんつーショーはマダマダ
But 体がついてこナイナイ
Next Timeにまた会いまShow−YO!
超意外な選曲に、最初は呆然と立ち尽くす奈落佳人と蒼嵐。
歌詞のセンスはさて置き、機敏で軽快な動き、完成度の高いリズム・歌唱力に、次第に二人ともノリノリで「Yeah!」とノリノリ。フィニッシュもバッチリ決まったおばあちゃん。
ハイテンションで合格の鉦が乱打。依頼も忘れ、踊りながら姿見へ消える奈落佳人っと蒼嵐は、依頼についての話を聞き忘れた上、決めポーズでギックリ腰になった固まったおばあちゃんを放置したまま消えた。
●六番:ベテランアイドル
歌う事が大好きな売れっ子アイドル歌手、MAI☆(姫乃 舞(fa0634)) は、デビュー前から付き合っていた彼と別れようと決意。自分が売れ、スキャンダルになるのを恐れてのことだ。
「アイドルに恋愛は御法度だもんっ☆ マスコミに発覚する前に何とかしなくちゃ!」
別れを拒否した彼を奈落送りにするべく、MAI☆は奈落佳人呼び出しを決行した。
冷たくしないで My Darling
駆け引きなんて Non Non Non
傷つきやすいの My Heart
大切にして Wow Wow Wow
奈落佳人と蒼嵐が出て来て合格の鉦を鳴らすが、MAI☆は自分の世界に入っていてそれに気付かず、自分の曲をメドレーでひたすら歌い続けているが、時間切れで消えてしまった。
MAI☆は、朝まで歌い続けていた。喉は大丈夫なのだろうか?
●七番:女子プロレスラー
女子プロレスラー(ティタネス(fa3251)) は、仲間に「歌が下手だ」と言われたことを気にしている。
奈落佳人の噂を聞いた彼女は「本当に下手かどうか判断してもらおう」と思って呼び出すことにした。実際には「下手」というレベルではなく「破壊的音痴」な彼女の歌を、佳人はどう評価するだろうか。
「ボエ〜〜〜〜〜♪」
ちなみに、曲は元がどんな曲か見当をつけるのが難しいレベルだが、一応ポップスである。歌詞はあっても正しく聞き取れないので無いも同然である。
歌い出すと同時に姿見にヒビが入り、そこから酷い歌に呼び出されマジギレ状態の奈落佳人と蒼嵐が登場。佳人は、問答無用で女子プロレスラーをハリセンでどつき倒した。
「今のは何かの間違いだ! もう一度歌わせてくれ!」
女子プロレスラーは再度挑戦するが、これまたボエ〜♪ であった。歌声が室内に響き渡り、姿見が割れ、部屋は散らかってしまった。
●八番:蒼嵐
「先程の者、詩吟を始めてみれば良いかと‥‥」
帰り際、そう呟く蒼嵐は、下手な歌を聞いて落ち込んでいる佳人を慰めようと、詩吟でも行いながら消えることに。
「佳人殿‥‥慰めになるかどうかわからぬが、我の詩吟を‥‥」
これが後にとんでもないことになる、というのは、今の彼は知る由もない。
「逢ふことの 絶えてしなくば なかなかに 人をも身をも 恨みざらまし」
文法等が間違っているだろうか‥‥? と不安になったので次にいくことに。というより、それは百人一首では?
「夢路にて 願ふ言の葉 崩れけり 嗚呼大寒の 恨めしことよ」
奈落佳人を慰める為に詩吟を歌い続ける蒼嵐を
「それは詩吟とは言えないわよ‥‥。それにセンスが無いわ‥‥」
蒼嵐の腰に差してあるハリセンを素早く奪った奈落佳人は
「あんた、奈落に落とすわよ!」
と叫びながらハリセンをフルスイング(別名:蒼嵐フルスイング)して空の彼方へと投げ飛ばした。
「佳人殿‥‥あまりにも酷い仕打ちでございます‥‥」
飛ばされた蒼嵐は、泣きながらそう呟いた。
あなたも、奈落佳人と蒼嵐が審査員の喉自慢に参加してみませんか‥‥?