節分コメディアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 氷邑
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 易しい
報酬 2.7万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/03〜02/07

●本文

●オープニング本文
「プロデューサー、新しい企画を考えました!」
 笑いを取ろうと日夜努力しているお笑い番組『ガハッ! とチャンネル』のAD、平井・平良は企画書を手にプロデューサーの元に駆け寄る、
「今回の企画は何だ?」
「これです!」
「どれ‥‥」
 企画書の内容はこうである。

<「節分で笑いを取ろう!」(仮)企画書>
 今回の観客は、視聴者の中から抽選で選ばれた保育園児から小学校低学年(保護者同伴)
 テーマは『節分』。
 出場者は二人一組(あるいはグループ)で、鬼と豆撒き担当に扮してもらい節分に合ったコントをしてもらう。
 持ち時間は三分。下ネタは失格、退場とする。

「節分か‥‥。歳の数だけ豆を食べればどうたらってこと聞いたな。ひとつ聞くが、ピン参加者がいる場合はタイちゃんが対処するワケ?」
「そういう事態になった場合は、僕も参加します」
「そこまで考えているんだったらOKだ。番組に穴を開けるワケにはいかんからな。毎度になるけど、プロデュースはキミに任せる」
「ありがとうございます!」
 この展開、いい加減疲れました。早くAD卒業したいです‥‥と思いつつ、平井はペコリと頭を下げた。

『ガハッ! とチャンネル』では、鬼と豆撒きに扮してコントを披露してくださる出場者を募集しています。
 我こそは! と思う芸人、役者の皆様の出場をお待ちしております。
 今回はコンビ、グループのみの参加のみとします。お一人で出場希望の場合は、当番組ADの平井がお相手します。
 優勝者には、賞金10万円が贈られます。

●今回の参加者

 fa0016 エディ・マカンダル(28歳・♂・蝙蝠)
 fa0867 朝守 黎夜(22歳・♂・獅子)
 fa1385 リネット・ハウンド(25歳・♀・狼)
 fa2632 紗草みりん(23歳・♀・ハムスター)
 fa3134 佐渡川ススム(26歳・♂・猿)
 fa3251 ティタネス(20歳・♀・熊)
 fa4120 白海龍(32歳・♂・竜)
 fa4878 ドワーフ太田(30歳・♂・犬)

●リプレイ本文

●一番:朝守 黎夜(fa0867)&紗草みりん(fa2632)
 配役は、紗草が豆を投げる役で、朝守は鬼の役。内容は『ただ豆で追い出されるのでは芸が無いと嘆く鬼と、それを追い出そうとする女性』の話。
 紗草に豆を撒かれて追い出されそうになるも
「鬼だからと追い払おうとするのはおかしい!」
 と反論する朝守だが、無視されて攻撃されているので、せめて格好良く追い払ってほしいと懇願し、それが叶うまでテコでも動かないと居座る。
 ごねる鬼を、何とかして追い払おうと色々な事を試す紗草は
「カミニャチェンソーウ」
 とか言った呪文を唱えながら豆を投げたり、パチンコ玉をぶつけたりするが、最終的には諦め「もー良いや」と朝守に豆が入ったままの枡を放り投げる。
 角が頭に激突したのか、朝守はそのまま昏倒してしまった。
 追い払うのにこだわり過ぎた為、家の中がメチャメチャになったというのは言うまでも無い。

●二番:エディ・マカンダル(fa0016)& リネット・ハウンド(fa1385)
 エディと一緒にコントを演じるリネットは、白いTシャツにドライのジーパンと、ラフな格好で豆を撒く人間役。エディは『鬼そのもの』の役とかなり凝っている。
「福は〜内、鬼は〜外」
 リネットはそう言いながら豆を撒いていると、「ガオー」と演技バレバレの雄叫びを上げながら近づき、エディは豆をぶつけられる。何度か豆を浴びつつ呆然とした様子でリネットを見つめた後、低いテンションで説教を始める。
「ちょっと待って。ねえ、ちょっと。何? 何で豆投げてくんの?」
 せっかく張り切ってやられに来たのに、に豆をぶつけられるのはバカにされたようで鬼は嫌らしい。
「すいません、そういう行事なんで‥‥」
 相槌をを打ちながら先生に叱られた生徒のように聞いているリネット。
「今日、節分でしょ。俺ね、今日鬼が1年のうちでもっともクローズアップされるイベントの日だって聞いて、楽しみにして来たのよ。もちろん節分の内容も知ってるよ。福を招いて鬼を祓うっていう行事でしょ。主役は福の神で、鬼はやられ役。福の神のかませ犬っていう立場は重々わかってるから」
 エディは、更に話を続ける。
「でもさ、豆はなくない? 俺、石ぶつけられて怪我する覚悟で今日、ここ来たのよ? 何かあった時のために保険証だって持ってきたしさ。でも、豆‥‥。ねえ、正直言って、バカにしてる? 俺さ、今ものすごいガッカリしてる。石じゃなくて豆ぶつけられて、拍子抜け通り越してガッカリしてる。お前らなんて豆で十分だよ、これでも拾って食ってろってこと? 京都じゃさ、客に帰れっていう時には漬け物を出して無言のアピールするらしいけど、これはそういうこと?」
 このままじゃ収拾がつかないということで、結局豆撒きを最初からやり直すことに。
「鬼は〜外、福は〜内」
 と豆を撒いているところへ、また最初と同じように鬼がやってく来た。
「あ、鬼だ! どうしよう、とても豆だけじゃ鬼を追い払えそうにないわ‥‥。そうだ!」
 後ろに置いてあった箱を開けてそこからソフトボールを出して、真剣な表情でエディに球をバシバシ投げていく。体をくねらせながら逃げ腰で後退していくエディに容赦ない球を浴びせる。
「そう、それそれ!」
 とエディが逃げていくと、リネットは荒い息を整えながら「ありがとうございました」と礼をして終了。

●三番:ティタネス(fa3251)& ドワーフ太田(fa4878)
「やあ、良い子達、元気かの?」
 ステージ前に出て、子供たちに挨拶するのは豆撒き役のドワーフ。
「ではわしも豆まきを始めようかの」
 と豆を掴んだ辺りで角つきヘアバンド、虎縞のTシャツとハーフパンツで登場したのは鬼役のティタネス。鬼っぽくて動きやすい服装を選んだようだ。プラスチック製の金棒を持っている辺りは本格的な演出だ。
「鬼はー外!」
 掛け声と共に、ドワーフは豆を撒くが、ティタネスはひょいと避ける。の動きの順序などは事前にしっかり確認し、豆を一度にたくさん投げすぎないなど、二人は失敗しないように念入りリハーサルを行った。
 ティタネスはフェイントの掛け合いとかも入れて、とにかく全部避ける! 避ける! 避ける! 右、左、ジャンプ、ダッキング、側転、トンボ返り、宙返りなどで器用に避ける。観客が子供なので、なるべく派手なアクションを入れた方がウケそうだという作戦がうまくいったのか、子供達は大喜びで見ている。
「タイムじゃ」
 豆を避けられまくりのドワーフは、手でT字を作ってタイムを要求。
 テシタネスは勝ち誇った様子で
「あたしを追い払いたかったら、犬、猿、キジでも連れてこい」
 と言ってきた。
「桃太郎か!」
「それと、キビダンゴも忘れるなよ」
「だから桃太郎か! そもそもキビダンゴは鬼にやるもんじゃないじゃろ!」
 と突っ込み返すドワーフ。
「これでは良い子のみんなに豆まきの見本が見せられんではないか」
「良い子のみんなのためじゃしょうがないな」
 避けてばかりのティタネスだったが、今度は避けずに普通に当たるが‥‥
「痛い痛い! いい加減にしろ、鬼かお前は!」
 逆ギレしたティタネスは、ドワーフから豆を枡ごと奪い取り、これでもかと言わんばかりに豆を撒き返した。
「痛いっ!」
 豆を撒かれたドワーフは、そのまま退散した。
 このコンビの豆撒きのみ、効果音は若干大きくなっているのは気のせいである。

●四番:佐渡川ススム(fa3134)
 最後に登場したのは、鬼に扮した佐渡川だけ‥‥かと思いきや
「タイちゃん、お前はこんな所で燻っているような奴じゃねぇ! AD卒業したいなら黙って着いてこい。俺がお前をビッグにしてやる!!」
 と平井を言いくるめ、半ば強引に引っ張り込み豆を蒔いてもらうことに。
 観客はちびっ子とその保護者ということなので、体張ったドタバタ芸。動きある方がわかりやすく子供にも受けるという考えからのアイデアだ。
 普段は下ネタを使用する佐渡川だが、今回は‥‥封印。決して退場するのもオイシイかなぁなんて思って無いスよ? というのは心の中の声。
 平井に豆を撒いてもらい
「痛い痛い! 豆投げないでーっ!」
 と情けなく大げさに逃げ回る佐渡川だが、平井の目を盗んで豆をボリボリ拾い食いしたり、豆を投げ返したりとふてぶてしい態度で平井を小馬鹿にしている。
 平井がこっちを見たら怯えたふりをし、観客が佐渡川の行動を平井に言ったりしたら
「そんな事してませんオニ?」
 とぬけぬけと切り出し、その事を言った子供には「嘘はいけないオニ」と詰め寄る。
 平井から「何してる!」と豆を撒きながら突っ込まれても
「痛っ! 今のはホントに痛っ!? ちょっ、やめ‥‥っ!!?」
 と言うが聞いてもらえず、子供達からは平井があらかじめ配った豆をぶつけられ、佐渡川は尽きた。
「‥‥よ、良い子は真似すんなよ」

●結果発表
「結果発表ですが、今回は節分ネタということで趣向を変えます。鬼役の出演者は、前に出てきてください」
 司会進行役も兼ねた平井が、出演者達を促す。
「節分コメディ優勝者は‥‥良い子のみんなに決めてもらいます。みんなー準備がいいかなー?」
 はーい! と元気良く返事をした子供達は、鬼達に豆を撒き始めた。
「鬼はー外! 福はー内!」
 掛け声と共に子供達が豆を撒いた鬼は‥‥
「発表します。今回の優勝者は佐渡川ススムさんです! おめでとうございます!」
「へ? 俺!?」
 豆をぶつけられながらキョトンとする佐渡川。
「はい。今回の優勝者は、多くの子供達に豆を撒かれた鬼ですので」
 素直に喜んでいいものかどうか悩む佐渡川だったが、賞金十万円を手にすると飛び跳ねて大喜び。

●おまけ
「皆さん、お疲れ様でした。最後に僕の提案に付き合っていただけませんか?」
 平井が出演者一同を集め、何やら相談をし始めた。
「それ、面白そう!」
「乗った!」
 出演者一同が賛同してくれたので、皆は早速実行することに。

 豆を撒くターゲットは『ガハッ! とチャンネル』のプロデューサー。
「皆さん、いきますよー! 鬼はー外!」
『福はー内!』
 一斉にプロデューサーに豆を撒く出演者一同と平井。
「い、痛い痛い! やめろ馬鹿!!」
 そんな言葉に聞く耳持たずな一同。

 スッキリした気分で帰る出演者達に対し、トホホな気分の平井。
 あの後、プロデューサーにこっぴどく叱られ、一人でスタジオの掃除をするよう命じられた。
「僕が鬼なんでしょうか‥‥」
 半ベソをかきながら、平井は黙々と掃除を続けるのであった。
「豆‥‥持ってかえって食べよう‥‥」
 丁寧に拾い集めた豆は、その日の平井の夜食と化した。
「豆と恵方巻きが夜食か‥‥何か、惨めだな‥‥」
 がっくりと肩を落とし、帰宅する平井であった。
 頑張れ平井! 負けるな平井! いつかは必ず昇進できるさ!

 後日放映されたこの番組の視聴率は、平井の頑張りもあってかなかなか良い方だった。