聖セカチューカップルアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
氷邑
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや易
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報酬 |
7.5万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
02/14〜02/18
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●本文
「バレンタインデーの企画だが、これでどうだ?」
お笑い番組『ガハッ! とチャンネル』のプロデューサーがADの平井・平良に企画書を手渡し、意見を求めている。
「拝見させて貰います」
企画書の表紙には『世界地図の中央でカップルがイチャつく・バレンタインバージョン』と書かれている。今回は、バレンタインデー用のコントらしい。
「あの‥‥タイトル長すぎかと‥‥。それと、何で『世界地図の中央で』というタイトルがつくんでしょう?」
プロデューサーがベストセラー小説『世界の中央位置で恋人達が濃厚キスをする』の大ファンだから、というのが真の理由だが、それは内緒である。
「う、うるさい! それは俺の勝手だろう! んじゃ‥‥『聖セカチューカップル』はどうだ? これなら長くないだろう」
聖バレンタインから取ったタイトルだが、雰囲気的には良いかも。
「それなら大丈夫でしょうね」
<聖セカチューカップル企画内容>
・出場者は恋人同士(同性問わず)という設定。二人一組で参加すること。
・チョコレートを手渡す時の会話にお笑い要素(ボケ、ツッコミ等)を入れること。
・背景は今回も巨大な世界地図。テーマは『世界中に自分達のバレンタインの様子を見せる』
・最も熱愛度が高い恋人が優勝
前回のクリスマス用番組同様、録画取りして、周囲の雰囲気が雰囲気はCG処理、ということで決定だが、あくまでもメインは出場カップルのアツアツ振りを視聴者に見せることだ。
「商品は今回も高級ホテルのディナー券ですか?」
「いや、今回はゴディバ等の高級チョコレート詰め合わせだ。かなりの出費だが、それくらいしないと参加者に申し訳ないだろう」
今回も真面目に企画考えてるよ! と内心驚く平井だったが、「素晴らしいです、さすがプロデューサー!」と褒めまくる。
「タイちゃん、お相手がいなかった場合はキミがやってね」
「えー!?」
「文句言うな!」
プロデューサーの気迫に負け、渋々了承する平井であった。
●リプレイ本文
バレンタイン。それは、恋人達の甘い一時。
特別な一日を、恋人達はどのような演出で見せてくれるのだろうか。
●ツンデレな恋
最初に登場したカップルは、上月一夜(fa0048)と紗草みりん(fa2632)。
紗草が演じるのは近頃流行りのツンデレタイプの女の子なので、チョコをあげるにしても、素直には渡さない。
「なぁ、チョコくれよ」
「チョコ欲しい? どーしよっかなぁ?」
口ではそんな事を言いつつも、一方では上月に渡したくてしょうがない。何故なら、そのチョコは前夜から用意した渾身の一品だからである。
しつこく「チョコくれよ」とごねる上月に、紗草は仕方なさそうに渡す。
「しょうがないわねぇ、はい」
渡されたチョコに大喜びの上月はさっそく包み紙を取り、チョコを食べ始めた。その様子を見て微笑む紗草。
「‥‥!!」
上月の様子がおかしい。
「あら、ちょっと苦すぎたかしら? ごめ〜ん」
彼女が用意したのは、ビターチョコ(99パーセント)だった。
●頂上からの恋
次に登場したのは、現状恋人同士だがもうじき結婚予定の劉 葵(fa2766)と藍川・紗弓(fa2767)。
久しぶりの依頼を楽しんでいる藍川は、自分に出来るのは演じる事だから、スーツ着て、バレンタインのチョコとプレゼントを持って「好き!」と言うというプランを考えていた。劉は藍川に倣い、スーツを着ている。
「バレンタイン‥‥それは、超絶照れ症で普段はなかなか好きと言わない彼女に「好き」だと言わせてみせる日‥‥。言われるまで言わないを目標に‥‥て、自分で言ってて空しいな‥‥」
遠い目をしている彼をよそに、藍川は世界地図の中心で愛を叫びまくった。
彼女の要望により、世界地図の中心に山(ハリボテの裏に脚立)がセッティングされている。其処に立ち
「好きだーーー!!」
と思いっきり叫ぶと、山彦が返ってきた。
「なんか初っぱなから言われましたー。目標達成? それは良いけど、どーこ向いて言ってんのかな紗弓サン?」
山の頂上(といっても低いが)にいる藍川を見て突っ込む劉は、山を登り始めた。
「山彦でも何でも良いけどカメラに向かってじゃなくて、こういうのは相手を真正面から見つめてだな。空と愛を語らわずにハイ、俺に向かってどうぞ‥‥って、コラ、何故目を逸らす。こっちー! 盛大コールは嬉しいかもしれない‥‥っては、もしやこれで一年分前払いとか? ってオチじゃないだろうな‥‥」
そんな彼にチチチ、と中指を振り
「解ってないなあ、クー‥‥こうやって、山彦が返ってくるから「好きだー」の盛大コールになるんじゃない!」
藍川の盛大なコールをBGMに、藍川はチョコとジッポライターを劉に手渡した。
「一応、チョコは手作り。チョコを溶かして固めて‥‥色々やってるから‥‥。ライターは何の意味もないというか‥‥ほら、炎がつくでしょ?」
消えかけても再燃できます、心に火をつけて、みたいな感じだ。
「チョコとジッポ、ありがとな。消えかけても再熱‥‥いや、消えないけど。火で思い出した。それより慣れないことして火傷でもしたんじゃないか?」
言うより早く指に唇を寄せ
「本当にありがとな。俺も好きだよ」と思いを伝える劉。
(「結局負けてるような気がするけど、惚れた弱みって言うのかねぇ‥‥」)
という呟きは内緒。
(「やばい、自分で言ってて盛大に恥ずかしくなってきた‥‥」)
暫し、自分の心を落ち着けるべく深呼吸後、藍川は閃いた。
「あ、お返しは五倍返しで宜しく!」
「良いけど‥‥照れ症の藍川に耐えられるかねぇ? 自分で言ったことには責任持てよ?」
お熱い遣り取りに、上手くボケ・ツッコミを取り入れた二人の息はピッタリだった。
●意地悪な恋
「素直になってくれるかはわからないけど‥‥こういう時でもないと、堂々と贈り物なんてできないだろ?」
くすりと笑い、作戦を練り、強引にケイト・フォーミル(fa5280)に参加受付をさせたのは自称策士の柳(fa4916)。
セカチューカップル初の同性カップル登場に、一部の観客は沸いた。
「バレンタインがどういうものか知ってるかい、ケイト嬢? バレンタインはチョコが通貨になるし、貰ったらホワイトデーに10倍返ししないといけないし、チョコは必ず手渡し、貰った当日に完食しないといけないんだよ」
とケイトに説明する柳だが、これは嘘知識である。
「10倍返し? 手渡し? 完食? バレンタインとは凄いものなのだな‥‥」
嘘知識に混乱したケイト。そんな彼女にとどめ、と言わんばかりに、柳は更に嘘知識を吹き込む。
「チョコを貰ったら、その相手にキスしなければいけないし、メッセージカード付のチョコだとキス以上‥‥(以下規制)。これはチョコレートだけだよ? それくらい平気だろ?」
圧力ある笑顔の柳。
「そ、そうか、チョコを貰ったらキスもしなければいけないのか‥‥メッセージつきだとそれ以上‥‥。ちょ、ちょっと待て!? ソレは本当か!?」
更に混乱するケイト。
「チョコレートだけでもキスなのに、平気なわけなかろうが!!」
いい具合に混乱したのを見計らい、柳はケイトに箱を手渡した。
「ところで、こんなものがあるわけだけど‥‥はい、僕から♪」
中身はウイスキーボンボン。アルコールを摂取させ、勢いに流してキスさせようという企みだ。ケイトは、自分の好物であるウイスキーボンボンに堪えきれず
「う、うぅ‥‥キス‥‥。でもチョコ‥‥よし! い、頂こう!」
勇気を出し、ウイスキーボンボンを食べるケイト。
「このチョコは美味いな‥‥柳にも食べさせてやろう。どうだ? ほら、あーん」
「って、僕も!?」
ケイトに無理矢理食べさせられた柳は、一個で陥落。ふらりと寄りかかりケイトに寄りかかる。柳はアルコールに弱かった。
「どうした柳!? たった1個で潰れたのか‥‥? 何時もは意地悪だが、可愛いところもあるんだな」
微笑んで、柳の頬を撫で、今の内にしてもバチは当たらないよなと、こっそりと柳の唇にキスをした。
大胆なケイトの行動に、スタジオは騒然とした。
●モーレツな恋
蕪木薫(fa4040)と回路(fa4668)は、会社の同僚かつ、社内バレー部の部員同士という設定の恋人として登場。
舞台は会社の屋上。舞台の中央には、回路自作の屋上の柵がセッティングされている。世界地図の中央、というお約束があれば、舞台はどこでも構わないので無問題。
小春日和、柵に肘を預け、薫は空を眺めながらホットコーヒーを飲んでいた。
そこに回路が駆け込んで来た。
「カオル、こんなとこにおったんか。単刀直入に言わせてもらうわ。俺のパンツを洗ってくれや!!」
「第一声がそれか!」
と突っ込み、薫は回路にコーヒーをかける。かけられた回路は、うぁちゃぁぁ! ともんどり。因みに、二人は「カオル」「回路」と呼び合っている。
「熱いやないか、ボケ! わ、解った、落ち着け、話し合おな」
どっちのせいやねん、とぼやくカオル。
「今日は何の日か知っとるか?」
「坊さんの命日」
「そうそうそう、銃でダダダダダー」
マシンガンをぶっ放すジェスチャーをするが、正気に戻り
「って、違うわ! バレンタインや! チョコくれや!」
とせがむ回路。
「嫌やわ、そんな世間に流されるん」
「冷たいなぁ、わいら、恋人同士ちゃうんか?」
しつこく迫る回路にキレたのか、カオルは一旦舞台上手に引っ込むと、バレーボールが入った籠を持ってきた。
「あーもーうっさい! これをくれたるわー!」
容赦なく回路にスパイクを打ちまくるは、回路はそれを受け止めたり避けたりしているが、ほとんどぶち当たっている。
フラついた状態の回路は、ぶち当たったそのバレーボールがチョコ製(外側はラッピング)だと気付く。余談、実際にスパイクしているのは本物のバレーボールで、チョコのボールは別カット撮りである。
本物のバレーボール。チョコのボールは別カット撮り。
「こ‥‥これは!」
「‥‥作るの、苦労、したんだからねっ」
標準語でツンデレ風に言うカオル。
「カオルー! 熱いでっ! 熱い想い、受け取ったでー!!」
その後、カオルと回路は、号泣しつつ抱き合った。
●結果発表
「それでは、結果を発表致します」
司会の平井・平良が持っている紙を広げる。
「今回の優勝者は、ケイト・フォーミル嬢、柳嬢カップルです!」
その結果に、スタジオは盛り上がった。
「審査の結果、初出場の同性カップルかつ、大胆な演出、熱烈な愛を見せてくれたお二人を支持される審査員が多かったので、彼女達の優勝が決まりました。ケイト嬢、柳嬢、ステージの中央へどうぞ!」
照れながらステージ中央に向かう二人に、審査委員長の『ガハッ! とチャンネル』プロデューサーが、高級チョコレートの詰め合わせを手渡した。
「おめでとう。後でこれを食べてくれ。ウイスキーボンボンも入っているよ?」
それはもう結構です‥‥と苦笑いして答える柳。
その他の出場カップルには、参加賞として大きめのハート型のチョコが手渡された。二人で仲良く分けて食べなさい、とのことだろう。
帰宅前、平井は自分のデスクにチョコレートらしきものが置いてあるのに気付いた。
添えてあったカードには
『ガハッ! とチャンネル女性スタッフ一同より』
と書かれていた。
「‥‥義理チョコですか」
深い溜息をついた平井だった。