新星を輝かせてアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 氷邑
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/17〜02/21

●本文

 星河ひかり、16歳。グラビアやトーク番組メインで活動中の新人アイドルだ。
 彼女が所属するプロダクションの社長は、そろそろCDデビューをと考えていた。
 歌唱力とリズム感が人一倍良い為、レコーディングは一発OKだったのだが‥‥ひとつだけ最大の問題点があった。

 それは、身体がものすごく硬いことだった。

 有名振り付け師が踊りやすいように工夫をしたのだが、ひかりは全くついていけない。本人なりに努力はしているものの、動きはロボットのようにぎこちない。
「このままでは駄目だね。振り付けが覚えられないようじゃ、コンサートも夢のまた夢だよ。必死で頑張ってもらわないとこっちとしても困るんだよ」
 振り付け師のキツイ言葉に気持ちがヘコむひかり。

 このままじゃいけない! もっともっと努力しなきゃ! ファンの皆のためにも!

 ダンスの腕前は素人以下だが、ひかりは向上心が誰よりも強く、一度やると決めたことは最後までやり遂げるという根性の持ち主だ。
「社長、お願いします! 私のコーチをしてくれる方を捜してください。私‥‥このままじゃアイドル失格のまま終わってしまいそうなんです!」
 可愛らしい外見とは裏腹に、熱血な性格なんだな‥‥と内心思う社長だったが、ひかりのやる気を見込んで、心当たりがある人物数名に連絡を取った。

 ひかりのコーチ役を引き受けてくれる人物は現れるだろうか?

●今回の参加者

 fa0748 ビスタ・メーベルナッハ(15歳・♀・狐)
 fa1465 椎葉・千万里(14歳・♀・リス)
 fa2648 ゼフィリア(13歳・♀・猿)
 fa3158 鶴舞千早(20歳・♀・蝙蝠)
 fa3566 だいふく(15歳・♂・狼)
 fa4563 椎名 硝子(26歳・♀・豹)
 fa4764 日向みちる(26歳・♀・豹)
 fa5113 豊田せりか(16歳・♀・犬)

●リプレイ本文

●柔軟化計画
 星河ひかり身体柔軟化に協力することになったのは、ビスタ・メーベルナッハ(fa0748)、 椎葉・千万里(fa1465)、ゼフィリア(fa2648)、 鶴舞千早(fa3158)、 椎名 硝子(fa4563)、 日向みちる(fa4764)、 豊田せりか(fa5113)の女性7名。 ダンサーの鶴舞、少女歌劇団員の日向、体操のおねえさんの豊田がいれば大丈夫だろうと一安心したプロダクション社長だった。
「お集まりくださりありがとうございます。皆さんにお願いしたいのは、ひかりの身体柔軟化です。一週間後に控えたPVまでに、完璧とまではいかなくとも、振り付けを人並みになるよう、ひかりを特訓してください、お願いします!」
 頭を下げ、指導陣に頼む社長。ひかりもそれに倣い、頭を下げて頼んだ。そこまでされれば、断ろうにも断れない。相談の上、彼女達は少しずつできるだけのことをやることに決めた。
「歌いながらダンスしようやなんて、アイドルさんは皆大変なんやねえ。うちもバイオリン曲芸弾きはいつもやっとるけど、弾きながらやるんは簡単なステップくらいで、ジャンプが入ったりする曲芸は演奏の合間やもんね〜。本格的なダンスってやったことないわ」
 曲弾きの新たな技も思いつくかもしれないと、ひかりと共にレッスン受ける気の椎葉。競争相手がいるのといないのでは、気合が違う。ダンス初心者の自分に負けるわけにはいかないだろうし、頑張り屋のひかりだから、より一層発奮してくれると椎葉は考えた。

●指導方針
 ひかりのトレーニングをどうするか、指導者達は考えた。
「まずは、どれくらい身体が硬いのか見てみようかしら。腕を背中に回させてみたり、立位体前屈をやって貰ったりと。‥‥まさか、腰が90度曲がらないってコトは無いと思うけど」
 とりあえずやってみて、と言うビスタに従い、それらを実行するひかりだったが‥‥腕は背中に届かず、立位体前屈は直角に近い状態で固まっていた。
「体が硬いからこうなるんだねえ‥‥。あたいは生まれてこの方、身体が硬くなったっていう経験がないから。とりあえず、体が硬いまんまでダンスをすると、そのうち怪我とかしちゃうだろうから、柔軟運動をゆっくりとやっていって体をほぐしていきましょう」
 ダンサーの鶴舞の意見に、賛同する指導者達。
「身体が固いのは骨ではなく筋肉や筋が硬いということなのですが、無理なストレッチをすると逆に筋を痛めることがあります。そこでお風呂で筋肉を暖め、筋をほぐしてからストレッチすることを薦めたいのですが」
 入浴後、身体がほぐれやすいのは事実だ。鶴舞同様、踊りのプロともいえる日向がアドバイスする。
「いっそのこと、スパリゾートみたいなところで一日中温泉とストレッチを交互にやるのも良いのではないでしょうか。ストレッチ=柔軟運動は1人でやるよりもペアを組んだ方が効率的です。座位前屈などのときに後ろから押してあげる役がいた方が良いでしょうし、2人でお互いの手足や身体を引っ張り合う種類の運動も多いですよ」
 プロダクション社長は「PV撮影に間に合えばいい」と、それを許可し、スパリゾートの予約までしてくれた。
 
●特訓開始!
 初日。スパリゾートでゆっくり‥‥もとい、じっくりひかりの特訓をすることになった指導者達は、大広間の一室を貸しきってダンスの特訓にとりかかった。
「ん〜体が硬いか〜。だったら一緒に柔軟体操を始めよ〜☆」
 豊田の明るい声に合わせ、ひかりと指導者達は柔軟運動を始める。
「はい、まずは屈伸運動〜☆」
 体操のお姉さんらしく、子供相手に言うように指示。
「はい、だいぶ柔らかくなってきたかな〜? でも、油断はだめだよ〜? ちゃんと毎日柔軟やらないと、ひかりちゃんみたいに体の硬い娘はすぐに戻っちゃうからね〜? まだ続けるよ〜☆」
 しばらく柔軟体操を続けると、ひかりは何だか身体が軽くなったような気がした。
「はい、おしまい☆ ここまで柔らかくなったら大丈夫だよ〜☆ 今度はダンスのほう、がんばってね☆」
 豊田の柔軟体操が終わると、次はストレッチ開始。
「まずはストレッチから始めましょう」
 鶴舞が言うが、椎名が「長座体前屈で柔軟性を見せて貰おうかしら」というので、ひかりにそれをやらせてみた。結果、直角で硬直。
 そんなひかりの背中を鶴舞はグッと押す。
「痛い痛いっ!」
 ひかりは大げさに痛がった。
「う〜ん、本当に硬いわねえ‥‥えいっ!」
 ちょっと強めに押しただけだが、ひかりは絶叫した。
 ひかりに付き合いストレッチを始めた椎葉は、子供の頃クラシックバレエをやっていたこともあり、身体は結構柔らかそうと思いきや
「いぎゃ!!」
 関節から異音が聞こえた。
「あかん、なまっとる〜。ひかりさん、一緒に頑張ろう!」
 本気モードの椎葉の目に、炎が見えたような気がする。

「柔軟体操を続けて、少しずつ柔軟性を高めて行くしかないわね。数日で劇的に変わるなんて事は無いでしょうけれど、何事も日々の努力の積み重ねが重要よ。ひかりさんなら大丈夫」
 椎名は、焦りから無茶なストレッチをして、筋や筋肉を痛める方が心配かもしれないと心配している。
「決して無理はしちゃ駄目よ? お風呂に入ったり軽い運動をして、充分に身体を暖めてから始めてね。好きな音楽をかけて、精神的にリラックスした状態で行うと良いわよ」
「はいっ!」
 椎名の言葉に、元気良く返事するひかり。

●お風呂で柔軟?
 2日目、疲れを癒すために温泉に浸かるひかりと指導者達。
「あ〜極楽〜」
「おばはん臭いで、ひかりさん」
 笑いながら突っ込む椎葉。
「身体を柔らかくするにはやはり柔軟体操だけど、柔軟体操をするのはお風呂上りが一番。ってコトで、ひかりさん、マッサージしてあげる。カラダのお肉を柔らかくすれば、それだけカラダも動かし易くなるってモノよ」
 多分、と心で呟き、ひかりの二の腕、太股、腰等、柔軟性に関わってくる場所を柔らかく解せるように、ビスタはマッサージをする。手つきが若干いやらしくなっているが、本人は真剣である。
「気を張りすぎちゃダメよ。それじゃカラダもガチガチにカタくなっちゃうわ」
「力を抜いて…大丈夫、何もかも私に任せて…ね」
「は‥‥恥ずかしいです‥‥」
 女しかいないというものの、他人に見られるのはさすがに恥ずかしい。
 風呂上がりは、ベッドルームで普通に柔軟体操を開始。ひかりは、痛いと言いながらも開脚、前屈を10秒何セットか繰り返しやっている。

●食事で柔軟?
 3日目。ゼフィリアが腕によりをかけて作った酢料理を皆に振舞った。
「体を柔らかくするのはやっぱりこれやろ」
 と言って酢を差し出す。
 酢で体が柔らかくなるというのは迷信だが、筋肉の凝りがほぐれてある一定までは体が柔らかくなるのは事実である。ひかりが迷信と知らなければ、自己暗示になって多少の効果は期待できるのという狙いである。
 ストレートに飲ませるわけにもいかないので、ネット検索で料理、ドリンク、デザートレシピを入手。
「さあ、召し上がれ」
 合掌して「いただきます」と言った後、皆は料理を口にした。
「鶏のスッパ煮、美味しい!」
「もろみ酢のパインゼリーもいけるわ〜」
「リンゴ黒酢スカッシュ、飲みやすい☆」
 ゼフィリアの料理は好評だった。
「ひかりさん、これうちからのプレゼント。体が柔らかいといえばヨガや。ヨガの教本見て勉強し」
 自身の体験談を基にした「呼吸を整えて筋肉を意識して柔軟体操を行うと多少は上手くいく」とアドバイスも忘れない。

●ダンスで柔軟?
 4日目。ひかりにダンスの基本と応用を教えることに。
 プロダクションにあるダンスレッスン場を貸し切り特訓開始。
「簡単なダンスレッスンを始めようか〜☆ 1・2・3・4♪」
 椎葉のバイオリン演奏、鶴舞の手拍子に合わせ、ひかりはステップを踏む。
 生の音は、空気の震えが録音より深く骨に伝わる気がするので、椎葉はひかりが自然と体が動くと思った。ひかりの身体は、ストレッチやマッサージの甲斐あって、少しだが柔らかくなっている。
「今度は応用ね☆」
 ゆっくりと確実に、ステップを続けるひかり。
「基本はこれくらいね。後は自分なりにアレンジを加えればいいと思うわよ。がんばってね☆」
 その後、鶴舞はひかりにPV撮影用のダンスの振り付けを実際に踊って貰い、何処が問題なのかをチェック。
「ひかりさん、お疲れ様〜」
 休憩時、椎葉はホットのビネガードリンクをひかりに差し入れた。

 レッスン後は、日向が持ってきた歌劇団の公演DVD鑑賞。
 気分が盛り上がってきたところで「では今観たのを実際にやってみましょうか」とひかりを誘う。
 DVD鑑賞はイメージトレーニングになり、実際にやると更に効果がある。
 踊っているひかりの姿をビデオに撮り、振りをチェック。DVDと見比べ、実際に何処が違うのかを指摘する日向。
 イメージトレーニングは、深夜まで続いた。

●PV撮影開始
 ひかりのPV撮影は、順調に行われた。
 振り付け師は「まだぎこちないけど、良く覚えたもんだ」と感心。
「皆さんのおかげで無事終了しました。ありがとうございました!」
「ありがとうございました!」
 指導者達に頭を下げるひかりとプロダクション社長。
「ところで、PVの曲はどんなの?」

「『ゆらゆら☆みらーじゅ』という、砂漠の蜃気楼をイメージした曲です」
 と笑顔で言うひかり。