ギャグかまし討論アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
氷邑
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや難
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報酬 |
3.1万円
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参加人数 |
10人
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サポート |
0人
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期間 |
01/30〜02/03
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●本文
ニュースを見ていたお笑い番組『ガハッ! とチャンネル』のプロデューサーはやや不満そうな表情をしている。
「プロデューサー、どうかしたんですか?」
ADの平井・平良は、何かあったのだろうか気になり声をかけた。
「ワイドショーとかに良くある「美人妻」とか「美少女」ってのは何だ? 実物を見るとそうでも無いのに」
そう言われてみればそうだ。女性には大抵「美人」という形容詞が使用される。プロデューサーはそれが不満のご様子。
「そうだ! これに関しての討論番組を作ればいいんだ!」
「ちょ、ちょっと待ってください! うちはお笑い番組なんですよ? そんな真面目な企画が通るわけ無いでしょう!」
平井の言うことは尤もであるが、プロデューサーはこれしかない! の一点張り。
「でしたら、ギャグ討論はどうでしょうか‥‥?」
「良し、わかった! それで行こう!」
プロデューサー、平井の共同企画により、以下のような番組を作ることに。
<企画「ボケツッコミ討論」>
討論のお代は、ニュースで良く聞く「美人」に関して。
男には「ハンサム」「イケメン」はつかないのに、何故美人はつけられるのか?
肯定意見、否定意見をギャグをかましながら話し合いましょう。
ボケ・ツッコミ、お笑いなら問答無用の討論会です。
このような企画が通るのだろうか‥‥?
●リプレイ本文
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「おはようございます。ギャグで討論する『ギャグかまし討論』の司会を務めますのは、私、平井・平良です」
挨拶くらいは真面目に、と平井は真剣に挨拶するが‥‥
「おはようございます! 劇団クリカラドラゴン所属、青田ぱとすと申しますー。宜しくよろしくお願いします」
割り込んできた青田ぱとす(fa0182)のテンション高い挨拶が、番組の雰囲気を変えた。この番組は本来ギャグなので、こういうノリで始まるのが当たり前だ。
●
「で、では、青田さんのご意見からお聞きしましょう」
「美人て何や!? もう言葉がインフレしとるんちゃうのんこれ?」
最初から楽しく熱く、大きな声の青田。
「ちゅうても、ワイドショーとかやったらブサイクに「ブサイク」言わへんからね。ブサイク妻不倫とか言わへんか絶対」
返答に困った平井に助け舟を出したのは、胸元が大胆に開いた白開襟シャツを着用し、背中には華やかに花(本物)を背負い、無駄に美白ライトを浴びた似非色男をに扮したZebra(fa3503)。常に伏し目&流し目、手には一輪の薔薇、フェミニストであると同時にナルシストという設定のようで。
「美人と付ける表現は、間違っていないよ‥‥。だって‥‥この世に美しくない女性なんて、いないじゃないかっ! 青田さん、悲しい事をおっしゃらないで下さい。青田さんには青田さんの美しさがあるんですよっ!」
台詞と同時に、キラキラとしたライトが彼に当たる。
「他の皆さんの意見も聞いて見ましょう」
話題を振られたベクサー・マカンダル(fa0824)は、隣に座っている相方の 海風 礼二郎(fa2396)と顔を見合わせた後、意見を述べた。
「女性に対して「美少女」や「美人妻」などといった形容詞がつくのは、ワンダーのためだと思う。ああいうゴシップ番組を観てるのは、9割が暇な主婦とか、女性なわけよ。普通の女性と言うより美人という属性をつけておいた方が、視聴者の脳内で勝手に物語的なイメージが構築され、話題に興味を持ちやすいわけよ。誰だって、ブスより美人の方がグッとくるじゃん?」
「それは、男女平等の時代において不公平だよ」
ベクサーの主張に反論し
「男にもプラスイメージになるような形容詞をつけてもらいたい。そうすればもっと人間は優しくなれる」
切に訴える海風。
「殺人事件があったとして、その被害者が男の子だったとするでしょ。その被害者を美少年なんて報道したとすると絶対、テレビを見てた奥様方は「あら可哀相、うちの息子と同じくらい年の子だわ。うちの子がこんな目に遭ったらと思うと‥‥。今日の夕食はあの子の好きなハンバーグにしましょう。あの子のために働いてくれているお父さんに、ビールを注いであげましょう」と、こうなるわけだ」
「バカ。人生、そんなに甘くない」
外国人が片言の日本語を喋るような口調で、偏屈な評論家のようにふんぞり返った相方のべクサーが反論。
「殺人事件があって、被害者が男の子だったとするでしょ。その被害者を美少年なんて報道したとすると絶対さ、テレビを見てた昼下がりの暇な主婦たちは「あら!」「まあ!」とか言って、美男子の命を奪った犯人に対して激しい怒りの炎を燃やすわけよ。燃やしたはいいけどやり場がないわけだから、とりあえず手近な自分の旦那あたりに八つ当たりしちゃうわけよ」
「んなわけない」
海風にツッコミを入れられるが
「お前みたいなチェック帽子に女心理の機微がわかってたまるか! だが、私にはわかる。私ならそんなニュースを聞いたらもう、稚内だろうが沖ノ鳥島だろうがスッ飛んで行って犯人を鷲掴みにする!」
と言い出す始末。
●
「落ち着くである」
2人を制止したのはマサイアス・アドゥーベ(fa3957)。
「大抵の「美人」は看板倒れである。実際、本当に美人であることなど、せいぜい3割程度であるからな。どうせ「美人の方が絵になる」とか「その方が話題になる」とか、そんな理由でつけていたのが慣習化しただけであろう。テレビの信頼性が問われている時に、そんな誇大広告みたいな真似は止めるべきである」
マサイアスは否定派のようだ。
「我輩は日本オタク友の会(略:NOT)会長にしてオタク文化研究家、緑川安則。そう呼んでくれ」
ピエロの仮面とアフロズラで怪しいオタク振りをアピールする名無しの演技者(fa2582)。
「はっきり言ってしまえば全ては視聴率だよ、視聴率。テレビ業界なんて結局のところ数字の取り合い、騙し合いでしかねえ。で視聴率を稼ぐには何が必要かというと宣伝だよ。新聞媒体やCMで目立つのが大前提。テレビを見る行為をやるのは、たいてい昼間は主婦で夜は家族、深夜は独身男性って感じじゃない。標的が決まってるならきちんと標的にあった番組やらないとね。イケメンネタが採用されるってのは所謂業界がテーマの時ぐらいだろ? 男社会の人間でイケメンじゃないといけない世界、ホストの特集とかでもないかぎり視聴率って稼げないじゃん。同じ金をかけるなら視聴率取れるのやらないと。コストパフォーマンス? そういうの基本でしょ?」
ついでにと、やらせ話の件まで延々と話し出す始める緑川。
「ただ、そイケメンだからこそ、こういうことしていいんだよ! 視聴率マンセー!」
真面目に語り、しまいにはピエロの仮面とアフロ、越中褌姿を見せるという脱ぎオチで緑川の意見は終了。
「俺もマサイアスさんに近い意見だ。女性は特別な形容をつけなければいけない程に常人離れした容姿をしていなければ皆、美人だ」
当たり前の事に形容はつけない、というのがウィン・フレシェット(fa2029)の意見だ。
「ちょっと待った! あんたの意見、美人でなきゃならんという男の願望があるような気がしますわ。あかんでー。でも自分やったら『美人女優結婚』とか絶対言われへんな」
半分本音、半分冗談、間の取り方とアドリブでは彼女に勝てる者はいないだろう。
「あなたの言っている事は、女性の容姿を結びつけるのは不自然です」
「そないなことない」
ちょっと待った、と言わんばかりに意見を述べるビスタ・メーベルナッハ(fa0748)。
「美人妻とか、美少女女子高生とかって、何だか厭らしい響きがあるでしょ? そんな言葉を聞けば、妄想が膨らむってモノよ。例えば。「美人妻」と言えば不倫、「美人妻の不倫」と言えば、米屋の若いお兄さんを寝室まで連れ込んで‥‥(以下略)」
長く続いているので途中カット。
「美少女にしたってそうよ。実物が何であれ、美「少女」と聞けば反応せずにいられないのが人間でしょ? 無垢な少女にアレコレ思うままに仕込んでみたい、っていうのは当たり前の欲望よ。実物を見た瞬間に砕け散る儚い妄想であるんだけど。個人的にはせめて「28歳人妻」くらいはつけて欲しいわね」
妄想ノンストップ状態のビスタを余所に、討論は続く。
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「高遠さん、何かご意見ありますか?」
やれやれと思いつつ、平井は高遠・聖(fa4135)に話題を振る。
「俺自身もドラマや映画の記事を書く時は、確かに真実はどうであれよく『美人』という感じで書いたりはするよな。一応断っておくが、ハンサム云々書くことあるぞ? 最終的に削るだけで。何故か? 字数多いからだ。『美人』は2文字で済むが、『ハンサム』『イケメン』は4文字! 記事を書く上で字数調整ってのは大変なんだ。記事の字数があふれた時は、俺なら真っ先にそこを削る。女性のための情報としてなら添えはするが、それ以外では野郎に冠詞はいらん」
力いっぱい断言する高遠。
「たまに性別のよく判らない人もいるな。(ピー)さんとか(ピー)さん。最近流行の奴なら(ピー)さん?(タレント名は放映できないため規制) もし、男にハンサムだの何だのを書かなければならないなら、そういう人達をどう扱えば良いのか判断付かないからな」
遠くを見つめ、全部ひっくるめて美人で済ますって事でと言い残し、高遠はそそくさと席に移動した。
「討論と言えば朝まで生テレビ? 生はキケン? サシミ? 日本文化で言うトコのゴーマンかまして良かですか?」
まだ意見を述べていないラールング・メントーレ(fa5397)が言う。
男性の目から見た女性に対するジェンダー修正を柱に討論し、ある状況に於いて男性は女性の存在に対し幻想を抱くが、女性は男性の存在に対し幻想を抱かないという観点を軸に、その幻想が加速させるプラス要素により「美少女」「美女」と言った理由を生み出すメカニズムがと解説しだした。長いので説明省略。
「男と言う者は〜、女性のプニュゥ〜っとしてプニプニぃな物に基本的にセックスアピールを感じている訳で。その点を考慮すると、女性に対して幻想的な感覚がプラスされて、本来より色っぽく見える修正がかかる」
といった台詞を用いて気持ち悪い顔やジェスチャーを織り交ぜつつ熱く語るラールング。なお、勿論の事ながら男性が女性に対して「美」とか付ける事には賛成の方向。
「まあ、そう感じるのはわしが普段から妻や娘たちを見慣れているせいで、美人のハードルが上がっているせいかもしれんな。度々ノロケ&親バカモードに入るし。しかし実際、皆、美人であるし、特に下の娘などは家内の若い頃に生き写しでだな‥‥」
討論番組と言えば白熱してナンボ。
「マサイアスさん?」
平井が止めようとするが、彼はお構い無しに話続ける。
ギャグ討論は、まだまだ続く。