売薬超人の歌を作ろう!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 氷邑
芸能 3Lv以上
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 03/31〜04/04

●本文

 富山県の中心街にある老舗デパート『○×デパート』は、東京にある弱小プロダクション、笑磨商(わらいましょう)の社長により集められた芸能人が出演してくれた屋上ショーのおかげで、何とか売り上げを伸ばすことができた。
 その中でも特に人気があったのは、ギョウショーグンというヒーローショーだった。

 ○×デパートの社長は考えた。
『売薬超人ギョウショーグン』のテーマソングを作成し、富山を大々的にアピールしようと。
 社員全員にイメージソングの歌詞を考えるよう命じたが、誰も作詞しようとしない。
 仕方がないので、社長自ら作詞することに。

 完成した翌日、社長は驚いた。
 徹夜で仕上げたのがいいが、汗と涎で歌詞の一部が滲んでしまったのだ。
「ど、どうしよう‥‥」
 困った社長は、笑磨商の社長に相談した。
「またキミか、今度は何の用だい?」
「じ、実は‥‥」
 社長は、自分が考えたギョウショーグンのテーマの歌詞が一部破損(正しくは滲み)したと説明した。
「何だそれは? で、どうしろと‥‥?」
「そっちで歌詞を考えてくれ! 大幅にアレンジしてもいいから! 曲は富山出身のシンガーソングライター、高桑兄汰が作ってくれる。できればそっちで歌ってくれる芸人も募集してほしいなぁ〜と‥‥」
 作曲者が決まっているのなら、後は歌詞と歌手を探すだけだ。
 わかったよ‥‥と、面倒臭そうに笑磨商の社長は引き受けた。
「こんなの、誰が引き受けるんだか‥‥」
 FAXから送られた○×デパート社長が作詞したものを見た。

タイトル『売薬超人ギョウショーグン』

○○を呼び ○○が叫び 僕らの町にやってきた
富山の○○守る為 ○○○に乗って颯爽と
○○のように現れて 悪の組織をやっつける

「(技名台詞)!」
「(決め台詞)!」

○○のために戦え 売薬超人ギョウショーグン!

 作詞の協力者達には、○部分を埋め、歌詞を完成してほしい。

※○の数に拘る必要はありません。自由に考えてください。
 技名は、富山にちなんだものを織り交ぜてください。
(例:笹の葉カッター(鱒寿司をくるんでいる笹の葉を使用)
    翡翠ボンバー(朝日町宮崎海岸で取れる翡翠使用。稀に貴重な石あり)
    ミラージュ目くらまし(魚津市の蜃気楼を使用))

●今回の参加者

 fa2484 由里・東吾(21歳・♂・一角獣)
 fa2632 紗草みりん(23歳・♀・ハムスター)
 fa4332 佑闇キオ(19歳・♂・蝙蝠)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)
 fa4668 回路(30歳・♂・狸)
 fa4826 ミズホ(13歳・♀・猫)
 fa4941 メルクサラート(24歳・♀・鷹)
 fa5358 沙霧(18歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●歌詞会議
 曲は既に作られてあるので、後は歌詞を考えるだけだ。
 集まった八人は、それぞれの意見を述べた。
「わい、こんなん考えましたー!」
 はい! と挙手したのは回路(fa4668)。彼は、どのような歌詞を作ったのだろうか。

●作詞:回路
 あいの風を呼び ぶりおこしが叫び 僕らの町にやってきた
 富山の健康守る為 ママチャリに乗って颯爽と
 高岡大仏のように現れて 悪の組織をやっつける

「ジャンボスイカボム!」
「くらえ、風の盆タイフーン!」

 富山の平和のために戦え 売薬超人ギョウショーグン!

●作詞:由里・東吾(fa2484)
「俺、ヒーローが無駄に好きです。力みすぎないように頑張って作詞しました。頑張りますので、宜しくお願いします」
 由里は、すごく張り切っていた。

 観光客を呼び キトキトの名物たちが叫び 僕らの町にやってきた
 富山の名所を守る為 波涛に乗って颯爽と
 蜃気楼のように現れて 悪の組織をやっつける

「ホタルイカフラーッシュ! ますのすしプレッシャー!」
「日本海の荒波に! 耐え抜き乗り抜き揉まれ抜き! 行くぞ売薬! ギョウショーグン!」
 観光PRのために戦え 売薬超人ギョウショーグン

ラスト台詞
「富山は良いところやちゃ。美味しいものもでかいとあるがや、是非来られ!」
 富山弁で「富山は良いところです。美味しいものもたくさんあるので、是非来て下さい」と言っているのだ。そこまで富山について調べた由里は、たいしたものだ。

●佑闇キオ(fa4332)の提案
「自分は、歌詞の方は皆さんにお任せします。基本の歌詞、回路さんの案に賛成です」
 クールな佑闇は、回路案の歌詞に「風の盆タイフーン!」のところを「風の盆トルネード!」にしたらどうでしょう? と提案した。
「トルネードかぁ。そっちのほうが勢いがあってええな!」
 回路は、手をポンと叩いて納得し、佑闇の案を受け入れた。
「必殺技は、由里さんの案にもあった『ホタルイカフラッシュ』の他に、四角い紙風船をモチーフにした『紙風船ミサイル』なんてものを自分なりに考えてみました」
 それいいね、と皆、佑闇の意見に賛成した。

●作詞:紗草みりん(fa2632)
「私はこういうのを考えた」
 と提案する紗草。彼女の歌詞は、どんなものだろう?

 黒部の川を呼び 剱岳が叫び 僕らの町にやってきた
 富山の山々守る為 黒部西瓜に乗って颯爽と
 不知火のように現れて 悪の組織をやっつける

「黒部アルペンルートナックル!」
「一家一包、置き薬!」

 黒四の明日のために戦え 売薬超人ギョウショーグン!

 黒部峡谷をイメージして作ったと思われる。
「他には、『立山黒部アルペンルート』『反魂丹』『ライチョウ(富山県鳥)』とかも考えたんだけどね」
 苦笑いをしながら、紗草は自分の案を発表した。

●作詞:メルクサラート(fa4941)
「自分は、ガイドライン風に考えてみた」
 メルクサラートが提出した便箋には、こう書かれていた。

 あいの風を呼び ブリ起こしが叫び 僕らの町にやってきた
 日本の健康守る為 ママチャリに乗って颯爽と
 木箱をもって現れて 病の組織をやっつける
「死なない程度に砕け散れ!!」
「入善スイカボム!」
「風の盆タイフーン!」

 富山県の平和のために戦え 売薬超人ギョウショーグン!

 決め台詞が面白い! と皆の評判は良かった。

●ミズホ(fa4826)、沙霧(fa5358)姉妹の提案
 姉妹で参加したミズホと沙霧は、作詞の一部を提案した。
「私は『越中八尾和紙トルネード!』ってのを考えてみました。竜巻に和紙を飛ばして切り裂くみたいなカンジをイメージしました」
 技名しか浮かばなかったようだが、意見には変わりない。
「私は、こういうのを考えてみました」
 沙霧は、歌詞の一部を提案した。

 歌詞:滝の流れのように現れて 悪の組織をやっつける
 決め台詞:薬の用法と用量には注意だ!
「薬所の富山ならではの歌詞だね」
 由里は、沙霧の案を気に入ったようだ。

●作詞:雅楽川 陽向(fa4371)
「私のはこれ!」
 雅楽川の案はこうだ。

 時駆ける夢を呼び 未来を担う心が叫び 僕らの町にやってきた
 富山の子供を守る為 カマボコ旋風に乗って颯爽と
 ホタルイカのように輝き現れて 悪の組織をやっつける
「いかの黒作り乱舞!」
「忘れるな! ますのすしは旅のお供に!」
 富山の子供と未来のために戦え 売薬超人ギョウショーグン!

「ちょっと魚介類で纏めすぎた‥‥かな? 駅弁食べたいから」
 皆もお腹が空いたからなのか「駅弁食べたい〜」と言い出した。

●休憩時間
「皆、お疲れさん。お昼にしないか?」
 笑磨商の社長が、富山名物を皆に差し入れした。
「わぁ、鱒寿司! 美味しそう〜!」
「サキ姉、白海老もあるよー!」
「美味しそうね」
 合掌をした後、メンバーは富山名産を美味しそうに食べた。

●歌詞完成!
「皆の歌詞を纏めたら、三番まででけたわ。こないなもんでどや?」
 回路は、纏めた歌詞をホワイトボードに書いた。

一番
 あいの風を呼び ぶりおこしが叫び 僕らの町にやってきた
 日本の健康守る為 ママチャリに乗って颯爽と
 木箱をもって現れて 病の組織をやっつける
「ジャンボスイカボム!」
「くらえ、風の盆トルネード!」
「死なない程度に砕け散れ!!」
 富山の平和のために戦え 売薬超人ギョウショーグン!

二番
 観光客を呼び キトキトの名物たちが叫び 僕らの町にやってきた
 富山の名所を守る為 カマボコ旋風に乗って颯爽と
 蜃気楼のように現れて 悪の組織をやっつける

「ホタルイカフラーッシュ!」
「ますのすしプレッシャー!」
「日本海の荒波に! 耐え抜き乗り抜き揉まれ抜き! 行くぞ売薬! ギョウショーグン!」
 観光PRのために戦え 売薬超人ギョウショーグン

三番
 黒部峡谷が呼び 剱岳が叫び 僕らの町にやってきた
 富山の山々守る為 入善スイカに乗って颯爽と
 ホタルイカのように輝き現れて 悪の組織をやっつける

「黒部アルペンルートナックル!」
「一家一包、置き薬!」

 黒四の明日のために戦え 売薬超人ギョウショーグン!
 
 台詞
「富山は良いところやちゃ。美味しいものもでかいとあるがや、是非来られ!」
 
「‥‥どや?」
 詰め込み過ぎたか? と思ったが、全員、回路の纏め案に賛成した。

●元ロッカー登場
「いやー、歌詞無事に決まったようだねー。ご苦労さん」
 オールバックにレイバンのサングラスという、小太りの中年には似合わないスタイルで登場したのは‥‥
「あ、あんた、元『シンドバット』の高桑兄汰やん!」
 知らない人の為に説明しよう。
 高桑兄汰は、数十年前はロックバンド『シンドバット』のリーダーだった。ヒット曲は『天上天下の大番長』のみだったが。シンドバット解散後は、富山の地域密着番組のリポーター等をしている。
「それじゃ、早速レコーディングにしよか。善は急げ、っちゅうやろ」
 演奏に参加可能なのは、ギターの佑闇、ドラムのミズホ、キーボードの沙霧だけ。
 雅楽川は歌い手を希望している。
「ま、そんなもんかな? すぐ行くから、はよ支度しられ」
 言い忘れ。高桑は富山出身である(現住所も富山)。

●レコーディング開始
 佑闇、ミズホ、沙霧の三人は、スタジオで楽器の調整をしている。
「じゃ、歌はあんたらに任せるわ。しっかり歌われ」
 高桑は、メインボーカルの雅楽川、必殺技ボイス担当の男性陣にそういうと、ベースを手にしてレコーディング室に入った。

 レコーディングは、二、三時間で終了した。
「あの、高桑はん、サインくれませんか?」
 回路は、おぞおずと色紙とサインペンを高桑に差し出した。
「サイン? いくらでもしてやるちゃ」
 と言うと、サラサラと書き始めた。

 こうして、『売薬超人ギョウショーグン』のテーマソングは無事完成した。

●○×デパートへ
 今回は飛行機とタクシーを利用しての移動だったので、○×デパートまでは約一時間かかった。
「皆さん、お待ちしてましたよ。ギョウショーグンのテーマのCDが完成したようで」
「ここにいる皆が歌詞を考えたんやで」
 皆を代表して、回路が答えた。
「富山の薬売りは、小売業の精神の原点だとか‥‥。ギョウショーグン、折角歌まで作ることになったんですし、全国のデパートを巡って富山をアピール! とかしてみると良いかも知れませんね」
 由里の案に「そうですね。では、北海道から富山をアピールすることにしよう!」と社長は即決した。いいのか、それで‥‥。
 ○×デパートを始めとする県内のデパート、ショッピングモールのCDショップに『売薬超人ギョウショーグン』を置いたが‥‥購入者は、愛国心ならぬ愛県心の持ち主といえる中高年層のみだった。稀に、母親に「買って」とせがむ子供がいるが。
 こうして、ギョウショーグンアピール作戦は、険しい道のりからスタートすることとなった。

●富山県用語集
あいの風:日本海沿岸で沖から吹く夏のそよ風。
ブリおこし:11月下旬〜12月中旬にかけて、富山湾沿岸に生ずる暴風雨に伴う雷鳴。
ジャンボスイカ(入善スイカ):楕円形の大きなスイカ。
風の盆:九月一日から三日間行われる八尾町の祭で、三日三晩踊り明かす。
ホタルイカ:滑川市の特産品。夜に光る小さなイカ。
ますのすし:富山を代表する土産品。鱒を上下に挟み込み、笹の葉で包まれている押し寿司。

 頑張れ、売薬超人ギョウショーグン!