宝貝、発見なるか?アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
氷邑
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
2Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
6.3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/22〜03/26
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●本文
中国の奥地にある秘境。
そこに、ナタクという神が使用していた宝貝「風火輪」が奉納されている洞窟があるという情報を入手した「封神演義」の研究をしている韓国人考古学者のキム・スイルは、いてもたってもいられず探索することにした。
助手や教授陣からは一人では危険だと言われたが、彼はそれを無視し、探索に向かおうとしていた。
どうしたものか‥‥と教授の一人が悩んでいたが、知り合いにTV番組のプロデューサーがいることを思い出したので、その人物に相談を持ちかけた。
「‥‥というワケだ。キム君一人では危険な目に遭う。ドキュメンタリー番組と称して、獣人を何人か集めてはもらえないだろうか?」
「わかった、何人か集めてみる。詳細が決まり次第、君に連絡するよ」
「助かるよ、ありがとう」
協力者は現れるのだろうか? といささか不安な教授であったが、プロデューサーを信じることにした。
日本のTV局で、中国の番組プロデューサーからキム氏の護衛を兼ねた撮影スタッフを募集して欲しいと頼まれた某局のプロデューサーは、ドキュメンタリー番組にスタッフとして参加してくれる者を募集したところ、数名がその呼びかけに応じた。
「君達には感謝する。今回の仕事は、多少の危険が伴う可能性があるとだけ言っておこう。命が惜しい者は、棄権しても構わん。仕事の内容は「封神演義」の研究をしている考古学者、キム・スイル氏の護衛と、彼が捜し求めてるお宝を入手するまでのドキュメンタリー番組撮影並び番組作成だ」
下手をすると、自らの生命が危険に晒される。
この仕事を引き受ける勇気ある者は、何人いるのだろうか‥‥。
●情報
PCは、ドキュメンタリー番組『封神演義の宝貝、発見なるか』の出演者、撮影スタッフとして参加することになります。
出演者は、キム氏と共に探索をします。
ナイトウォーカーが出現する可能性もありますが、番組の撮影は続行されます。
(その部分はカットしますが、撮影は行わなければなりません)
キム氏、同行する撮影スタッフは全て獣人なので、ナイトウォーカー戦に限り、完全獣化を許可します。
●目的
番組の撮影ならび、宝貝「風火輪」の発見です。
ナイトウォーカーを倒したとしても、撮影続行不可、宝貝発見ができなかった場合は依頼失敗となります。
●撮影
同行している番組ディレクターが危険と判断した時点で撮影中止となります。
●撮影場所
中国の秘境にある洞窟内。
内部は広いですが、照明が無いので中は真っ暗です。
分岐している道もあれば、狭い穴、行く手を阻む障害物もあります。
そのため、スタッフは全員ヘッドランプ付きのヘルメットを装着してもらいます。
●リプレイ本文
●打ち合わせ
「人も獣も、オイシイ話やお宝の在り処を掴むや否や途端に人が変わるな。未知との遭遇と向き合う事が仕事だから仕方無いが‥‥やるからにはきちっと守ってやる」
運が良けりゃ、死にはしない。危険の中を突っ切るには、先立つモンも必要だと考古学者のキム・スイルに言う神保原・輝璃(fa5387)。
「宝貝探しかー。宝探しみたいで楽しそうだね」
探検気分の因幡 眠兎(fa4300)。
「キム氏は研究の結果、この洞窟に目をつけたわけですし、内部の構造や『風火輪』がある位置などの情報もお持ちかもしれません」
洞窟潜入前に打ち合わせをしたいと申し出た由里・東吾(fa2484)は、『風火輪』の具体的形状等を聞き、スケッチブックにその絵を描いた。
「今回探索する洞窟内の簡単な地図です。いつ危険なことが起きるかわかりませんのでご注意ください」
現地のスタッフは、出演者、スタッフ達に地図を手渡し出発という時、半獣化していた由里がヘルメットを被れないというハプニングが起きた。
「む、無理なら結構です‥‥」
と、スタッフは懐中電灯を手渡した。
●探索開始
レフ板等の照明持ちを初めとするカメラに移らない裏方ポジションのMAKOTO(fa0295)は、半獣化して裏方業の補助としてスタッフの最後尾で後方からの事態に注意を払いながら行軍。その後ろには、メロンパンを食べながら湯ノ花 ゆくる(fa0640)が歩いている。彼女曰く「メロンパンは命の源、3時のオヤツです」。
湯ノ花は、戦闘時の装備や能力を使った探索等を優先し、カメラに映らない戦闘要員として半獣化して参加。
「ガセネタで終わるか、普通の出土品かオーパーツか‥‥カメラに写ってはいけないと持ってきませんでしたが、火尖鎗もあったんですしオーパーツと見るのが妥当ということは、今回の探索で分かることですね」
洞窟内部の詳細、『風火輪』の奉納位置は、キムが把握しているでルート等は、洞窟の事を調べているキムに任せた方が無難というイルゼ・クヴァンツ(fa2910)の意見に、護衛と出演者を兼ねた各務 神無(fa3392)と探索とキムの護衛、ミステリーハンター役で出演する半獣化状態の河辺野・一(fa0892)が頷いた。その間、撮影スタッフは各務に「洞窟内での喫煙は控えてください」と念を押す。
「ナタクか。ナタ太子‥‥道教の神仙の事だね」
各務が言うように、西遊記では托塔天王(毘沙門天)の第三太子で、三面六臂の術を使うことで知られているが、『封神演義』では陳塘関の李靖が第三太子となっている。7歳の時、東海龍王の巡海夜叉と竜王の三太子を殺害したことが発端で自害した、太乙真人が蓮の花に金丹を入れ、肉体として蘇えらせたという説もある。
「わたしくの意見ですが、『風火輪』という宝貝そのものがオーパーツと考えるのなら、あなたの考えでは、ナタクは獣人ということになるのでしょうか?」
製作者の河辺野の疑問に、キムは「私はそう考えている」と答えた。
「あの‥‥宝貝が‥‥オーパーツなら‥‥それを‥‥使っていたとされる仙人は‥‥獣人だった‥‥という事‥‥でしょうか? ‥‥力を‥‥極めた獣人なら‥‥空を飛んだり‥‥火を吐いたりも‥‥できますし‥‥昔の人から‥‥見れば‥‥仙人と‥‥呼ばれても‥‥不思議では‥‥無い力かも‥‥しれないです」
仙人同士での戦闘があったという事は、古くからダークサイドとの対立があったという事ではないか、というのが湯ノ花の意見だった。
「古の昔に獣人が存在していたのなら、湯ノ花君が言う仙人=獣人という説は成り立つだろう」
クールな口調で、キムがそう返す。
●洞窟中盤
「洞窟の中は枝分かれしてるようだね。奉納されてるくらいだから、人の手が入った気配のある経路を辿れば宝貝に出会えそうかな?」
由里はそう言うと、照明スタッフには常に周囲を照らしてもらい、赤外線カメラをこち込んでいるというスタッフに何枚か撮影するよう指示した。
「何か、怪しい雰囲気が‥‥」
水筒を取り出し、カップに水を注いだ由里は、読心水鏡を行い、ナイトォーカーか否かを判断した。
「どうやら、ここにはナイトウォーカーはいないみたいですね」
「そうは言うけど、いつナイトウォーカーが出てくるかわかんないよ。私、いつでも闘えるように半獣化するね」
因幡の半獣化が終了すると、鋭敏聴覚で周囲の危険感知などの状況把握と索敵を行いながら、撮影班の後ろを歩いている。
暫く進むと、通路は狭くなってきている。人ひとりがやっと通れる広さなのが不幸中の幸いだった。キムが狭い穴に入る前に、湯ノ花は中にナイトウォーカーが潜んでいないか先に超音感視で調べたり、洞窟の中にいる蝙蝠にメロンパンと輸血パックの血(WEAに申請済みのもの)で餌付けし、ナイトウォーカーの情報を聞き出した。
「体に‥‥光る宝石の様な石を‥‥付けた変った動物を‥‥見かけませんでしたか‥‥? それと‥‥『風火輪』という‥‥アイテムを知りませんか‥‥?」
蝙蝠達は「洞窟の奥にそれらしきものがある」と湯ノ花に伝えた。
「護衛対象が戦う術を持たない学者、厄介事は無いのが一番にしても、これだと面倒事を飯の種に実力行使を仕事にしている俺の立つ瀬が無いぞ。引き受けた仕事はやりにくいものだって思ってもさ‥‥やるしかねーんだけど」
キムを危険に晒すわけにはいかないと、神保原が先に進んだ。それに続き、『風火輪』がチャクラムならばと、金属探知機を持ち込んだ河辺野が進む。これを使っている姿も「らしく」て番組の画としてもいいのでは? と思っての行動だった。
その間、イルゼは余り深く考えず、邪魔にならない範囲でキムががこの道を目指したきっかけ、この洞窟について知った経緯とかの話を振った。
「そうだな‥‥考古学好きの父に影響されてかな」
幼い頃から考古学者になりたいと思っていたキムだった。
●『風火輪』発見か
出演者、スタッフ一同が狭い洞窟内を潜り抜けると、そこは洞窟の奥だった。その中央には、朱塗りの祭壇があり『風火輪』らしきものが奉納されていた。
「これが『風火輪』‥‥。ようやく見つけた‥‥」
キムが触れようとした途端、何かが彼の前を過ぎったかと思えば、右手の甲に切り傷ができていた。
出演者と撮影協力者達は、素早く身構える。ナイトウォーカーの気配を察知したのだろうか。襲撃に備え、イルゼは半獣化した。完全獣化で控えている面々もいるので、戦闘は主にそちらで任せ、キムの護衛に専念することに。
祭壇の中央に現れたのは一匹の溝鼠だったが‥‥身体が痙攣しだしたかと思いきや、全身の筋肉が突然隆起し、一メートルほどの大きさに変化した。裂けた体毛からは赤い皮膚と血管、筋肉がむき出しになり、顔は右半分焼け爛れている。
戦闘体勢に入ったMAKOTOは、虚闇黒衣、金剛力増を使いながら殴り勝負と出たが、洞窟内は狭いので、側面や後方に廻り込む様に位置取りを行いながらコアを探しながら殴った。その間、機材は番組スタッフに預けている。
「震えるぞハート! 燃え尽きるほどヒート!」
機材に近付けない事を重視し、戦闘に燃えているMAKOTO。
「こりゃまさに、青天の霹靂ってやつだね。不謹慎な事だろうけど、良いものだよな‥‥戦うってさ」
ダークデュアルブレードでナイトウォーカーを切り裂く神保原。
前衛に立っての近接格闘が主な因幡は、気流風鎧で防御力を高め、俊敏脚足、鋭敏聴覚を使用して身体能力を強化し、囮役を買って出た。俊敏脚足で脚力強化、鋭敏聴覚にて周囲の状況把握などを行い、敵に合わせて距離をとることにより、仲間を少しでも有利に働くよう誘導。
尻尾を含め、ナイフ3本と地壁走動による立体攻撃を行う河辺野は、忍者そのものと言える。ヘッドランプの光源をもとに、鋭敏視覚で仲間の視力を補っている。
各務は完全獣化後、後方で控えていた人達が稼いでくれる筈と思い、地壁走動と俊敏脚足を発動して踏破性と機動力を高めて交戦。ソニックブレードで接近と同時に抜き打ちにかかった時、キィン! と金属を叩きつけたような音がした。打ち付けた場所は、ナイトウォーカーの右目だった。
「皆さん、コアは右目です! そこを狙ってください!」
コアの位置を、各務は皆に伝えた。
そこを狙い、湯ノ花は零距離でSSXスレッジハンマーで攻撃したが、素早い動きでかわされたうえ鋭い歯で噛まれそうになったところをMAKOTOが身を挺して庇った。
「MAKOTOさん、今治療します」
駆け寄った由里が治癒命光でMAKOTOの傷を癒した。
「一秒でも早く踏み出せれば‥‥! AHL SPIESS!」
神保原がナイトウォーカーの胸を貫くと同時に、湯ノ花はMAKOTOに礼を述べてから虚闇撃弾を放ち、日本刀でコアに突き破壊した。
壮絶な悲鳴と共に、ナイトウォーカーは消滅した。
キムは改めて『風火輪』を手にしたが、長年放置されていたせいか錆び付いてしまっている。
こんなものの為に苦労を‥‥とスタッフ達が思う中、河辺野は「本物かどうか試してみましょうか?」と言い、錆びたそれを手にすると、錆びはひび割れ、金色の輝きを放つチャクラム状の武器に変わった。
「こ、これこそ本物の『風火輪』だ!」
撮影は、河辺野のおかげで無事成功した。