新一年生コメディアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
氷邑
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや易
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報酬 |
7.5万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/06〜04/10
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●本文
「プロデューサー、新しい企画を考えました!」
笑いを取ろうと日夜努力しているお笑い番組『ガハッ! とチャンネル』のAD、平井・平等は企画書を手にプロデューサーの元に駆け寄る。
「今回の企画は何だ?」
「これです!」
「どれ‥‥」
企画書の内容はこうである。
<「入学式笑いを取ろう!」(仮)企画書>
今回の観客は、視聴者の中から抽選で選ばれた新小学一年生(保護者同伴)。
テーマは『ピカピカの一年生』。
出場者には、年齢・性別とわず小学一年生の扮装をし、ランドセルを背負ってもらい、小学生になった喜びをネタにコントをしてもらう。
持ち時間は三分。下ネタは失格、退場とする。
「入学式か‥‥。うちの末っ子が、今年入学なんだよ。入学前から「パパ、ランドセル買って!」ってせがまれて大変だったよ。あ、タイちゃん参加したほうが評判良いみたいだから、毎度の如くキミにも出てもらうよ」
「は、はぁ‥‥」
何故、企画担当の自分が出演しなきゃならないんだ‥‥と思いつつ、平井は渋々引き受けた。
「毎度になるけど、プロデュースはキミに任せる」
「はい」
何かかったるいなぁ、と気だるそうに平井は返事した。
『ガハッ! とチャンネル』では、新小学一年生に扮してコントを披露してくださる出場者を募集しています。
我こそは! と思う芸人、役者の皆様の出場をお待ちしております。
ピン、コンビ、グループ問いません。
相方が欲しいとご希望される方は、当番組ADの平井がお相手を務めます。
優勝者には、賞金10万円が贈られます。
●リプレイ本文
「今回の出場者だが、全員小学一年生という設定なので「くん」「ちゃん」で呼ぶ。
出演者達には了承済みなので無問題。では、出席番号一番の子からいってみよー!」
新一年生の担任に扮した平井・平良の合図で、コントは始まった。
●出席番号一番:雨宮慶(fa3658)ちゃん
コメディ初出演の雨宮のコントは「初めての日直」。一年生になって、初めての仕事はこれだろう。
舞台中央には、机につく雨宮がいる。
「起立!」
立ち上がり、元気良く言う。その後、礼! 着席! と言うかと思いきや
「注目! 着陸!!」
注目はともかく、着陸って‥‥。
「起立!」
次はちゃんと言えるかな?
「注文! 着席!!」
ちゅ、注文? 教室は食堂なのかな?
「規律!」
テロップネタで恐縮だが、「起立」の間違いでは? その後はちゃんと言うんだよね?
「厨房! 摘石!!」
言い終えた雨宮は、得意気な表情で席に着いた。実に元気の良いコントであった。
●出席番号二番:紗草みりん(fa2632)ちゃん
テーマが「小学一年生」ということもあり、舞台の周囲には、フォーマルスーツ、ワンピースを着た子供のマネキン人形百体が置いてある。何と壮絶な‥‥。
中央には、小さな富士山頂上付近のセットが。富士山を登り終えた後、頂上で何をするのだろう?
リュックサックを背負い、登山服姿の紗草がセットの中央に立つ。初めての遠足がコントのネタらしい。
リュックサックを下ろし、そこからお弁当であるおにぎりを取り出した。それと同時に、予め自分の声を先生の声として吹き込んであるテープの音声が流れた。
「速く食べて」
それに合わせ、紗草はおにぎりを急いで食べ始めた。
「今度は遅く」
急いで食べるのをやめ、ちびちびと味わい始めた。中身は梅干なので、すっぱい! という表情になる。
「ゆっくり食べてね」
一個目のおにぎりを食べ終えた後、先生の言葉が変わる。それに合わせ、二個目のおにぎりを取り出し、紗草はゆっくり食べる。中身は昆布なので、じっくり味わうと口の中がしょっぱくなる。
食べ終えた後
「さあ、急いで!」
その声に従い、三個目のおにぎりを食べる。
おにぎりの具は‥‥イカの塩辛(しかもイカ墨で真っ黒!)だった。しょっぱい昆布の後に、これを食べるのは辛すぎる! だが、果敢に早食いに挑む紗草であった。
コントを終えた後、彼女はスタッフに水を要求した。かなり辛かったようで‥‥。
●出席番号三番:グリモア(fa4713)くん
小学一年生に扮したグリモアが、黒いランドセルを背負って舞台中央で語り始めた。
「春、それは出会いの季節。登校中に食パンくわえた女の子と曲がり角でぶつかり、その子が偶然クラスメイトだったり」
舞台照明は、薄い桜色に変わった。
「更に家に帰れば親が再婚していて、可愛い義妹ができていたり‥‥」
そんな感じの春爛漫ワンダーランド新学期をグリモアは話していたが
「出場者のマッチョ率はナンデスカ? 俺に犯罪者になれと囁くのですか?」
と言うが、今の彼は小学一年生である。グリモア以外の出場者全員も当然小学一年生(という設定)である。
「ということは‥‥何の問題も無い! ラブ・イズ・ハル?」
そんな一人芝居をした後、女の子出場者に抱きつきに行こうと退場。
舞台袖の話になるが、グリモアは女性出場者全員に張り倒された。
●出席番号四番:犬神 一子(fa4044)くん
次に登場したのは、今にも破れてしまいそうなほどぱっつんぱっつんの小学生の制服を纏い、身体に不釣合いなランドセルを背負って登場の犬神。ランドセルだが、背負えないようなので、右肩にかけているが食い込んでいる。
「一年生になったんだっ! 一年生になったんだっ! 腕立て百回できるかなっ!」
力強く歌いながら力こぶを作るが、その瞬間、腕の辺りの服がビリビリと大きく破れた。
「百人でやりたいなっ! 腕立て! 腹筋! スクワット!」
今度は、隆々と盛り上がった胸筋で、ボタンが千切れて吹っ飛び、胸の辺りが一気に破れた。格闘漫画に良くある「筋肉見せたら破れちゃった」ネタだと思って欲しい。
「ガツッン! ガツッン! ガッツンと!」
上着は破れたが、どういうワケか半ズボンは裂けていないが、それは深く追求しないでいただきたい。
「つーわけで、一年生になったからには身体を鍛る! 『強敵』と書いて『とも』と読む! 組み手百人抜きをやるために鍛えまくる! 戦って将となり、強さで頂点に立つ!」
最強小学一年生が目標かな?
「その生き様こそが『将・嶽・生』だ!!」
しまいには、小学生の当て字まで出した(なお、将嶽生の部分はテロップ表示)。
漢(と書いて「おとこ」と読む)な熱い小学一年生をネタにした犬神のコントは終了。一部の男の子達は、そんな彼に憧れの視線を送っていた。
●出席番号五番:白海龍(fa4120)くん
最後の出場者は、お年玉コメディで優勝した白海。
彼も犬神同様、ぱっつんぱっつんの小学一年生姿で登場。相撲で鍛えた筋肉は、どうしてでも隠し切れない。衣装がきつい上、背負っているランドセルが身体に食い込んでいるので相当痛い‥‥はず。
それでも、持ち前の明るさで登場する白海だった。
「こーんにーちはーデェス☆ はっかいデス!」
相手が小学一年生のお子様なら、笑いはストレートに、出オチの勢いのコントでいこう! と決めた。
まず、ステージの中央にでっかい箱を置き、その中に入って待機。その時、身体は見えている部分のみ金粉塗りたくりのうえ、全衣装金色である。所謂「全身キンキラキンのピッカピカ」な状態だ。
新小学一年生を祝う童謡が流れ出すと、まず箱の上からボコッ! と顔だけを飛び出させて、金色の帽子と顔を見せ、満面の笑顔で
「小学校入学、オメデトーゴザーイマース!」
と叫んで箱から飛び出し、全身ピッカピッカのッ一年生振りを発揮、大々的にアピールしつつ、ラジオ体操を行った。
ラジオ体操時はオーバーアクションで、ぐりんっと顔や尻を動かしたり、くわっと笑顔にしたり変な顔をしたりで、子供の好きそうな感じで行っている。その間、衣装に裂け目が入ったが、途中で破けなかったのが不幸中の幸いだった。
最後は、全身に取り付けた豆電球に電気を点し、ますます眩い感じのピッカピッカの一年生になる。その間だけ
『※きけんなので、よいこのみんなはぜったいにまねしちゃいけないよ♪』
というテロップが出ている。
「学校、楽しんでネー! 約束だヨー!!」
と笑顔で、大きな声で叫んで手を振りながら退場。
●学級委員長という名の優勝はどの子?
「新一年生の皆、元気一杯コントしてくれてありがとう。頑張ってくれたので、先生はとても嬉しいです。では、この中から学級委員長を選びます。ちょっと待っててくださいね」
黒子スタッフが、平井の元に駆け寄ると白い封筒を手渡し、その後、素早く去っていった。
「では、発表しますね。学級委員長は‥‥」
しばらく間を置く。
「出席番号五番、白海龍くんです!」
平井の言葉に、ガッツポーズを取る白海だったが‥‥その弾みで、上着が思いっきり破けた。これも犬神同様「筋肉見せたら破れちゃった」ネタと思って欲しい。
校長先生に扮したプロデューサーが、黒いマジックで『しょうきんじゅうまんえん』と書かれた大きな白いダンボールを白海に手渡した。
「白海龍くん、おめでとう。これからも頑張ってくれたまえ」
えっへん、と咳払いする校長先生。
これにて、本日の授業は終了。
●放課後風景
「皆さん、お疲れ様でした。白海さん、正式な賞金は後で手渡しますので」
「ハーイ!」
まだ小学生気分が抜けきっていない様子の白海が、元気良く平井に返事する。
「しかし、子供を演じるのがこんなにしんどいものとは思わなかったぞ。子供達が楽しんでくれたのは嬉しかったがな」
着慣れた衣装に着替えた犬神の感想。
「俺も同感。子供の気持ちって、理解し難いんだよな。結果オーライだから良しとするけど」
グリモアは、コントのネタ考えるの苦労したよと感想に付け加えた。
「大人の私達が、子供を演じるのには無理があったけど、子供達、大喜びしてたから参加して良かった♪」
ペットボトルのお茶を一口飲んでから、紗草はこう言った。
「雨宮も楽しかったです♪」
満足な笑みで答える雨宮。
ガハッ! とチャンネル小学校の下校時間となりましたので、これにておしまい。
良い子のみんな、またねー♪