スポーツ・コメディアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
氷邑
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや易
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報酬 |
0.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
1人
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期間 |
10/17〜10/21
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●本文
「ディレクター、次の企画を考えました!」
前回、前々回と好評だった笑いを取ろう企画の成功にますます気を良したのか、お笑い番組『ガハッ! とチャンネル』のADは新たな企画を持ち込んだ。。
前々回は猛獣相手、前回はアスリート対象のお笑い企画だった。
「で、今回は何を笑わせるんだ?」
ディレクターがADに面倒臭そうに聞く。
「まぁ、詳しいことは企画書を見てください」
「どれ‥」
企画書の内容はこうである。
<「スポーツをネタにして笑いを取ろう!(仮)」企画書>
今回の観客は、視聴者の中から抽選で選ばれた一般人。
テーマは『スポーツ』。これを題材にしたコントやコメディを出場者にしてもらう。
持ち時間は三十秒。下ネタは即退場とする。
「今回からはテーマ制か。『スポーツ』はスポーツの秋にちなんでだな。前回の対象観客のほうが面白みがあったけど、今回はこれでいいだろう。番組プロデュースは、いつもどおりキミに任せるよ」
「ありがとうございます!」
『ガハッ! とチャンネル』では、『スポーツ』をネタにした芸を披露してくださる出場者を募集しています。
我こそは! と思う芸人、役者の皆様の出場をお待ちしております。
ピン、グループ問いません。
優勝者には賞金5万円が進呈されます。
●リプレイ本文
●開始30分前
ミーティングルームに集まったのは7名。出場者のほとんどが前回、あるいは前々回の参加経験者である。
「30秒って、短いようで長いような‥う〜ん」
制限時間について悩む観月紫苑(fa3569)。
「今回は、スタジオに抽選で選ばれた50名の一般視聴者が審査員です。前回同様、面白いと思ったら手元のボタンを押してもらうシステムになっています。汗メーターが50ポイント、あるいはそれに近いポイントの参加者が優勝になります」
ADの説明を受けた後、出場者達は用意に取り掛かった。今回のネタは『スポーツ』なので、各自小道具や音響のチェックを念入りに行っている。
●一番手:宝塚菊花(fa3510)
一番乗りは、前々回以来出場の宝塚。ネタは『野球』。
野球のことをまったくわからない女性が、野球を始めたという感じのコントだ。
バットを逆に持って、スイングしたらクルクル回ってその場にへたりこんでしまう。再度挑戦したら、上手く球が当たったのはいいが、三塁のほうに走ってしまっている。守備に回ると、投球フォームがぎこちないので相手にぶつけてしまったのでひたすら謝っている。
(突っ込み役がいない分、キレがイマイチだったけど、この辺はしゃ〜ないわな〜)
と、心の中で自分に突っ込む。
汗メーターは24ポイント。突っ込み役がいれば、結果はもっと良かっただろう。
●二番手:観月紫苑
前回一番手だった観月のネタは『渓流釣り』。
釣りはスポーツなのか? と突っ込まれそうだが、れっきとしたスポーツなので無問題。
下手(舞台左側)が立ち位置で、上手(舞台右側)が渓流という設定で草むらをセッティングし、渓流にキャスティングしている部分を隠している。
釣りを意識したコスチュームにサングラスをかけて登場した観月は、コントが始まったら、釣り立ち位置で軽く背伸びをしてから渓流に向かいキャスティング。ぽちゃん、という音がすると同時に、何かが食らいついたのか、竿がしなる。慌ててリールを回したり、竿を引いたり戻したりしながら何かと格闘している。
「おっ、こらすごいぞっ、大物だ!」
大物なのか、なかなか釣れない。制限時間終わりの直前に何かを釣り上げたが‥それはクマ(のぬいぐるみ)だった。クマを釣ったことに驚き、悲鳴を上げつつ観月は退場した。コントで良く使われるオチサウンドと共に。
汗メーターは26ポイント。前回よりは良い結果であった。
●三番手:ベクサー・マカンダル(fa0824)&海風 礼二郎(fa2396)
すっかり顔馴染みとなった「やみくもあんどん」の二人が登場すると、観客は拍手で出迎えた。
今回のネタは『山にこもって修行をしている柔術家に突撃インタビュー』ということなので、森の背景、山小屋がセッティングしてある。
レポーター役のベクサーが、マイクを持ってカメラ目線で山ごもり中の柔術家がいることを説明している。どんな物でも投げられると豪語する中学生用の柔道着を着た柔術家役の海風に、ベクサーは一旦舞台の袖に引っ込むと人間大のプラスチック製人形を手渡す。海風がそれを一本背負いで投げ飛ばした。
次は海風より大人型のマネキン。ちょっと戸惑いながらも、海風は払い腰で放り投げることに成功。
次は何かと思いきや‥水入りのバケツだった。
「これ、ジャーマンで投げて」
ジャーマンスープレックスは柔道技じゃないし、無理だって、絶対と海風は拒否するが、一歩も譲らないベクサーは無理矢理バケツを手渡した。
これで終わり? と思われたが‥。
「5万円、5万円」
とベクサーは小声で海風を説得。その音声だが、マイクはしっかりと拾っていた。
芸人根性でバケツを胸に抱えてジャーマンスープレックスに挑戦するが、ブリッジどころか、背中からもろに舞台に倒れ込んでしまい全身水浸しになってしまう。
「以上、山ごもり現場からお届けしました」
カメラに向かって挨拶してレポートは終了かと思いきや、立ち上がった海風に「ちょっと練習しよ」と言いつつベクサーは掴みかかり、カメラから離れた位置で押し合いながら退場した。
汗メーターは39ポイント。前回より成長した二人であった。
●四番手:ティタネス(fa3251)
コメディシリーズ初参加のティタネスのテーマは『テニス』。上手端辺りにネットを張り、その向こうに相手がいるという設定だ。
テニスウェア姿でラケットを持った彼女が登場すると、一部の男性観客は黄色い声援を送った。
舞台袖から飛んでくるテニスボールを、ティタネスは打ち返す。それが数回続いた後にバレーボールが飛んできたので、ラケットを捨て、咄嗟にレシーブで返した。
次はサッカーボールが飛んできた。胸でトラップした後、ボレーで返す。ミニスカートをはいているが、下はアンダースコートなので大丈夫。
次は野球ボールが飛んできた。本物は危ないので、それらしく見えるゴムボールを使用している。当然、何故か足下にあるバットをフルスイングして、ホームランを打った後のようにバットを軽く投げた。
その次はピンポン球。これも何故か置いてある卓球ラケットで「さー!」という掛け声と同時に打ち返す。
最後はバスケットボールが頭上めがけて飛んできた。ティタネスはジャンプしてキャッチし、ドリブルしながら下手に用意してあるバスケットゴールが見えるところまで向かう。ダンクシュートしてフィニッシュ‥と思ったが、テニスボールをはじめとする、今まで出てきたボールが飛んできた。突然のことに反応できなかった彼女の負け、というオチでコントは終了した。
汗メーターはやみくもあんどんと同じ39ポイント。コントを終え、舞台中央でお辞儀をする彼女の汗は、照明の効果なのか、ダイヤモンドのように光り輝いていた。
●五番手:河田 柾也(fa2340)&桐尾 人志(fa2341)
最後に登場したのは「まいむ☆まいむ」の二人。彼らのテーマは『運動会に良くある光景』とこの時期にぴったりのネタだ。河田は河田は割烹着に幅の広いスカート、ウォーキングシューズ、レース付きの靴下を履いた「ヒゲのあるおばさん」、桐尾はポロシャツにスラックス、スニーカーというシンプルな衣装の「白髪まじりのお父さん」に扮し、運動会でお馴染みの『天国と地獄』に合わせて登場した。参加している子供達ではなく、紅白に別れた別クラスの息子の活躍をビデオに撮ろうとする父兄という設定である。
「続きまして、一年生による障害物競走です」
放送委員風の笹木 詠子のアナウンスが聞こえると同時に、桐尾は子供を撮影する為、手持ちのビデオカメラを調整する仕草をすると、隣にいる河田に和やかに会釈する。
「位置について、よーい、ドン!」
ピストル音がすると同時に二人は真横に走り出すが、河田は前、桐尾は後ろに位置している。
「最初の障害はハードル、うまく跳べるかな?」
二人はカメラを構えると、山を描くように動いている。
「次は梯子潜り、お尻が引っかからないように頑張って」
桐尾の表情にやや焦りが。息子を撮影できずにいるからだ。それでも、彼は河田と共に走りながら、走っては止まり、止まりは走っての繰り返しでハードルを跳ぶ息子達を撮影している。
「最後はパン食い、ゴールはもうすぐですよ」
河田は、無意識とはいえ後ろにいる桐尾の邪魔をしまくって撮影を続行している。紐で吊るされたアンパンにジャンプで食いつく息子達の動きを前進、時折上下で表現している。
二人の息子が同時一着という結果で競技は終了。喜び、飛び跳ねる息子達の動きを追うのはいいが‥披露の為しっちゃかめっちゃかになっている。
「ふー、いい運動になったわー☆」
汗を拭きながらいう河田に
「息子を撮ってたんやないんかーい!」
と桐尾が裏拳をかます。
汗メーターは47ポイント。この時点で「まいむ☆まいむ」の優勝が決まった。
●参加することに意義がある
番組ディレクターが「まいむ☆まいむ」の二人に賞金を手渡そうとするが、一旦引っ込めた。なんで!? と抗議する二人と、他の参加者、観客に向け、ディレクターはこう言った。
「今回の結果ですが、観客の公平な審査により河田 柾也、桐尾 人志コンビが優勝しましたが、私は参加者全員を優勝と見なします。何故なら‥」
何故なら? 何だろう?
「スポーツは勝つことではなく、参加することに意義があるからです!」
ディレクターが真面目なこと言ってるよ、熱でもあるのか!? とADは驚いたが、落ち着くと(それを言うなら「オリンピックは勝つことではなく、参加することに意義がある」だろう)と心の中で突っ込んだ。
「観客の皆様、異議なしならば拍手をしてください」
その言葉の後、少しずつだが拍手がし、次第に会場に鳴り響くほどの盛大さとなった。
番組終了後、参加者達は賞金5万円を山分けし、一人あたり1万円を獲得した。「やみくもあんどん」「まいむ☆まいむ」は二人合わせて1万円だが。
これでいいのか? という結末だったが、番組初の大盛り上がりとなり、ディレクターは高笑いがしばらく止まらなかった。
余談。プロデューサーの高笑いは、翌日の朝まで続いていた。