お笑い剣豪ガチバトル!アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
氷邑
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
7.9万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
06/26〜06/30
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●本文
剣豪とは、日本刀を用いた剣術の達人、剣の腕前に優れた豪傑の呼称である。
江戸〜幕末にかけては、二刀流・二天一流の宮本武蔵、隻眼のイメージが強い柳生新陰流の柳生十兵衛、北辰一刀流開祖の千葉周作等、様々な剣豪がいた。
日本だけでなく、海外にも剣豪はいる。
中国勢でいうなれば、『三国志』に登場する曹操孟徳、劉備玄徳をはじめとする豪傑。
相手を一撃で倒したことから「二の打ち要らず」槍を得意としたことから「神槍」と恐れられた李書文など。
西洋では、15世紀有数の騎士のひとりで、翻訳家にして詩人でもあるアンソニー・ウッドウィル。24歳の時、バイエルン継承戦争参戦中に大砲による一撃で右腕を失い、鉄製の義手をつけて勇戦し『鉄腕ゲッツ』の異名を持つゲッツ・フォン・ベルヒリンゲンなどがいる。
「チャンバラガチバトル、第二弾いくぞ!」
お笑い番組『ガハッ! とチャンネル』のプロデューサーが、いきなり企画を発表した。
「前回同様、スポーツチャンバラですかー?」
「当・然っ!」
<あっさり答えたプロデューサーによる薀蓄>
スポーツチャンバラとは、国際スポーツチャンバラ協会が普及している世界34ヶ国で楽しまれているれっきとしたスポーツ。
ルールはいたって簡単。身体のどこを打たれても負け。
その手軽さから、老若男女問わず、誰でも気軽に楽しめる。
「今回はお笑い要素入れるんですか?」
そうだなぁ‥‥と一瞬考えたプロデューサーは
「今回はお笑い路線強めで行くか。参加者の顔を白塗りにするとか、ひょっとこの面をつけたりと。あ、負けたほうは強制的に罰ゲームといくか! そのほうが面白いだろう。笑いのひとつやふたつ取れねばプロの芸能人とは言えん!」
前回、白熱した真剣勝負になるとは思わなかったので、今回はお笑い要素をたーっぷり加えようと計画するスタッフ達であった。
「後は、出場者を決めるだけだ。企画はこんなもんだろう」
<ガチバトルルール>
1・安全維持のため、面とエアーソフト製の得物を使用すること。
2・試合は一本勝負。制限時間三分。
3・相打ちは両者負け。一本勝負。
4・二刀流の太刀投げは「俺様ルール」ということで許可する。
(二天一流の剣法に実在しているので問題無し)
<番組で使用できる得物>
短刀:全長45センチ。
小太刀:全長60センチ。
長剣:全長100センチ。
槍:全長210センチ。
<番組内での試合形式>
構え方は自由。対戦相手が転倒しても試合続行。
剣法は不問なので「円月殺法」「逆手居合い切り」は使用可とする。
面は必ず着用すること。
「おっと、今回は徹底的にお笑いにするんだった。リングは前回同様、道場風にして、リングアウトしたらトリモチ、熱湯、氷水、くさやの刑にでもするか」
今回は、悪乗りであれこれと考えているプロデューサーだった。
「あ、参加者による剣豪薀蓄もあり‥‥と。スタッフに手間かけさせたくないしな」
この企画に、何人名乗り出るだろうか?
●リプレイ本文
●忠臣蔵VS鐘捲流
前回のガチバトルでは、惜しくも敗退という結果に終わった伊達正和(fa0463)が槍を手にして扮するのは、赤穂浪士が一人、堀部安兵衛。
伊達は高田馬場の仇討ち衣装で、颯爽とリングに上がる。安兵衛は四十七士の中では一番の剣客と言われ、大石内蔵助に匹敵する人気者だ。
対するのは、鐘捲流(かねまきりゅう)が流祖・鐘捲自斎に扮するウィン・フレシェット(fa2029)。
自斎は小太刀で有名な富田流を学んだ後に中太刀の工夫を得て鐘捲流を立てた。伊藤一刀斎や佐々木小次郎の師匠として知られている名人のために高齢のイメージがあるが、リングに姿を現したのは凛々しい少年剣士の自斎である。
リングに両者が揃ったところで、黒子姿に紅白の旗を持った審判が舞台に颯爽と登場! アライグマの尻尾が見えているので、誰が扮しているかはバレバレであるが気にしない方向で。
「はじめっ!」
伊達は左半身の構えで立ち、右脇に槍を構えていた。
合図と同時に左足を進め、槍を上げる。伊達は一発勝負の大技狙い、横一閃にウィンの頭部を薙ぎ払った。安兵衛は馬庭念流と言われるが、この動きは伊達が学んだ合気道の杖の型から取ったものだ。
「うわっ」
ウィンは辛うじて初撃はかわしたが、防戦一方。二人の年齢差は約2倍、格闘素人のチャイドルに、殺陣もこなす武闘派俳優はまったく容赦が無い。
「大人げない‥‥」
と小声で呟いたのは誰だろう。
最終的にウィンはリングの縁に追い詰められ、狙いすました面打ちで討ち取られた。
「勝者、堀部安兵衛!」
黒子審判が、赤旗を掲げた。
「もはや、これまで!」
ウィンは自ら氷水の中に飛び込むかと思わせて体を捻り‥‥勝者である伊達まで引きずり込んだ。
「お、俺は関係ないだろ!」
不意打ちを食らい、ウィンに押し倒された伊達は舌打ちしつつ、もはやこれまでと自ら氷水に頭からダイブした。そのまま水中で倒立し、水面からV字の両足だけ出して某怪奇映画の死体のまねをする。
両者(強制)リングアウトという結果で終わったが、体を張った演技で笑いを取れたので番組的にはOK!
●かぶき者VS飛び加藤
「さて、それじゃあいっちょ格好良いことしてみますか!」
前田慶次郎利益に扮したカイン・フォルネウス(fa2446)は、得物の槍を手にリングに登場。番組スタッフに上から桜吹雪を撒いてもらい、その下をカブキな鬘を被り、派手な女性の着物を羽織ったカインが堂々と通る。
「天下無双の大ふへん者、前田慶次郎利益参上!!」
リングの上で槍を担いで格好をつけるが、そこに桜吹雪入れてた大きな金盥が降ってきて、頭部に直撃(お約束である)。涙目になっているが、もちろんポーズは崩さない。
対する敷島ポーレット(fa3611)が扮するのは、戦国時代の忍者で上杉謙信や武田信玄に仕えていた『飛び加藤』こと加藤段蔵。衣装は、顔まで隠す漆黒の忍者装束だ。
「いくでござる」
得物の短刀を構え、忍者口調を使うことで加藤になりきっている。
「はじめ!」
審判の掛け声と同時に
「あ、ヨヨイ!」
の掛け声と共に、カインは突き主体の攻撃を始めた。
「忍法身代わり術!」
対する敷島はあろうことか審判の腕を掴み、盾代わりにした。
「って、そんなのアリかよ!?」
「問題ないでござる、ニンニン。お次は忍法分身の術!」
その掛け声と同時に、番組スタッフが何やら手にリングに上がった。スタッフから空気入れを受け取った敷島は、素早くリングに置いてある何かをシュコシュコ膨らませた。素早くと言っても数十秒、これが他の相手なら余裕で一本取られている所だが、カイン慶次は律儀に待った。
完成したのは‥‥彼女そっくりのエアーソフト人形だった!
カインが呆けている隙に、敷島は軽業を生かして間合いを詰め、短刀で胴を狙い攻撃。
「あ、おーれーのーまーけーかー」
リングに倒れこむかと思ったカインだったが、リング外のトリモチゾーンに仰向けに倒れこむ。狙いすましたように再び金盥が落下し、顔面を直撃。
「加藤段蔵反則負け! よって、引き分けとする!」
カインの金盥も反則とみなされ、五分の引き分け。あまりの展開にブーイングもあったが、お笑いなので反則もへったくれもないので番組的にはOKだ。
●円卓の騎士VS第六天魔王
「俺、ミュージシャンなんだけど‥‥ま、いいか」
シャルト・フォルネウス(fa1050)がぶつぶつと文句を言いながら扮したのは西洋中世の騎士。西暦500年頃、ローマ帝国の栄光を残すブリテン島にあって度重なるサクソン人の侵入と戦い、ベイドン・ヒルの戦いの指揮をとった人物と言われるアーサー王。
シャルトは重そうな甲冑を身に纏い、頭に王冠を載せて登場。面をつけている上での戴冠なので、今にもずり落ちそうである。
対するは、名無しの演技者(fa2582)扮する織田信長。
最近のテレビゲームの影響からか、武者鎧ではなく、スーツアーマー張りの西洋風甲冑を身に纏っている。
「我は第六天魔王、織田上総介信長! 世界は我のもの! 天下をこの手に!!」
火縄銃を手に登場した名無しの演技者は、試合前に空砲を一発後、リングに上がろうとしたが‥‥段差に躓き、ひっくり返った亀の如くじたばたというお約束を見せてくれた。
※『しばらくお待ちください』の画面
その間、名無しの演技者は西洋風甲冑をプレートメイルへと変更。
「こちらの方が実用的であるな」
それなら先程の中断は何のために、と思うが誰の突っ込みもない。ともかく再開し、シャルトアーサーの口上が始まる。
「えーと‥‥余と、た、闘おうは、不届き、せ‥‥んばん? 名剣、えくすかりばーの、さ、錆‥‥にしてくれる」
台本を手にしているにも関わらず、すごい棒読みである。受けてると判断されたが、色々といっぱいいっぱいだ。表面に『えくすかりばー』と書かれた長剣を腰から抜こうとするが、引っかかって思うように抜けない。
「スタッフさん、代わりの長剣持ってきてください‥‥」
リング側にいるスタッフに平謝りしながら、代わりの長剣を持ってきて貰い
「あ、わざわざどうも」
と、感謝の礼を述べるあたり、王の威厳は欠片も感じられない。
「ほう、かの名刀といわれし『えくすかりばー』なるものか。まあ、戦は刀の切れ味云々では勝敗決まらぬ。さらにいえばこのナマクラではのう」
長槍を振るって見せる名無しの演技者だが、腰には短刀をしのばせ、接近されれば短刀を抜き放ちての奇襲を狙っている。
「はじめっ!」
審判の号令が終わるや否や、適当にえくすかりばーを振り回すシャルトの攻撃を上手く避けながら、名無しの演技者はシャルトの腕をつかみ、彼をリングアウトさせた。
「やーらーれーたー!」
棒読みで負けセリフを言いつつ、リング外のトリモチゾーンにダイブしたシャルト。
ベタベタになりながら、取り出した台本の最後のページのセリフは忘れない。
「えーと‥‥『ぐふっ』‥‥」
トリモチにくっついたまま、シャルトはバッタリ倒れた。
「勝者! 織田信長!」
白旗が高く掲げられた。英雄対決、天は、第六天魔王に味方したようだ。
●女傑VS伊達男
最後の対戦は、水無月鈴(fa3502)扮する巫女装束を身に纏い、薙刀に見立てた槍を手にしている木曽義仲の乳母兄弟の巴御前と、巌流島で宮本武蔵と決闘した秘剣ツバメ返しが有名なグリモア(fa4713)扮する伊達男風の佐々木小次郎。
「我こそは旭将軍、木曽義仲が家臣、巴! 亡き主君の無念を晴らさんが為、馳せ参じた! 我を恐れぬ者よ、掛かって参れ!」
声を張り上げ、凛とした声で口上を述べる水無月に、男性ファンの声援が響く。
頭上でグルグルと槍を回し、言い終えると同時にビシっ! と構える筈が‥‥すっぽ抜けてどこかに飛ばしてしまいます。
「失敗する事はあるのじゃ!」
顔を真っ赤にしながら槍を回収する姿がファンを興奮させた。
「女であろうが容赦せぬ、かかってこい」
干し竿に見立てた長剣を構え、グリモアが水無月を挑発。
「はじめっ!」
「キェー!」
水無月の戦法は‥‥声を上げながら、槍を振り回すだけであった。
要は、気迫で勝てれば良いのだ。
それに対し、グリモアは冷静である。小次郎は巌流島で武蔵に待ちぼうけをくらったため、精神面では敗れたが、彼は違うだろう。
対戦前に、長剣の先に長剣を継ぎ足し、偽物干し竿に改造。
「あの〜改造は反則です‥‥」
黒子にそう言われ、諦めたグリモア。
槍と長剣では、間合いが悪すぎるが、一瞬の隙を狙い
「佐々木小次郎の秘剣、ツバメ返し、参る!」
グリモアの長剣が、水無月の篭手を一撃!
「勝者、佐々木小次郎!」
白旗が、高々と掲げられた。
「我の負けだ。不覚‥‥! 此れほどの兵が居ようとは‥‥」
グリモアの方に振り向くと同時のことだった。
何故か袴の帯が解けて、服が脱げそうになった。
「っきゃぁぁぁーーーー!!」
可愛らしい声を上げながら、脱兎の勢いでリングから逃げ出そうとしたが‥‥リングアウトし、氷水にダイブ。
「何でこんな目にー!」
服が透けるは肌に張り付く‥‥というあられもない格好になり、水無月はその場で半泣きした。
●番組終了後
「いやー、今回は見事にお笑いガチだっだねー。参加してくれた皆、ご苦労様。女性陣も、見事な奮戦だったよ」
「そ、そうですか‥‥?」
バスローブに着替えた水無月は、まだ半べそ状態だ。
「ところで、黒子の正体誰なん?」
敷島が訊ねると、プロデューサーは強引に黒子の面を引っぺがした。
「やっぱ、平井さんだったか‥‥」
出場者の何人かは、タイちゃんこと平井・平等だと予測していたのか、全く驚かなかった。
「僕、この格好で審判をやってみたかったんです♪」
出場者全員は思った。今度は、まともな審判にしてほしいと。
こうして『お笑い剣豪ガチバトル!』は、お笑いが盛り上がって終了した。
次回があるかどうかは‥‥未定である。