スタア奮戦記!アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 氷邑
芸能 3Lv以上
獣人 フリー
難度 やや易
報酬 7.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/11〜07/15

●本文

 新人アイドル、星河・ひかりドラマ初出演決定。タイトルは『スタア奮戦記!』

 7月7日、七夕。
 僕は、小学校の七夕飾りで弟か妹が欲しいと短冊に書いた。
 今、僕のお母さんは、赤ちゃんが生まれるからと病院に入院している。
 お父さんはお仕事で忙しいので、僕はおうちでお留守番。つまんないなぁ…。

 学校からの帰り道、僕の家の前に何かが落ちた。よ〜く見ると、それは大きな星の形をした宇宙船…のようなものだった。
「ふぇ〜ん、大変な目に遭っちゃったよぉ〜!」
 そこから出てきたのは、僕より少し年上の宇宙服を着た女の子だった。
「ねえ、ここどこ?」
 女の子がそう聞くので、僕は「ここは東京だけど…」と答えた。
「東京? それって、地球にあるの?」
「う、うん…」
 僕は困ったようにそう言うと、女の子はやったぁ! と大喜び。
「あたし、ちゃんと地球についたんだー! やったー!」
 あの〜どういうことか説明してくれない?

「あ、自己紹介がまだだったね。あたしは「スタア」。七夕の星からやってきた、地球で最初に出会った人のお願い事を叶えるのが仕事なの。だから、それはあなた♪」
「ぼ、僕!?」
 いきなり「願いを叶えてあげる」って言われても‥‥。
 こんなことでも、叶えてくれるのかなぁ?
「それが‥‥それが本当なら、僕の家族を仲良くさせて!!」
 それが、スタアに頼めるお願い事だった。

 僕の家は、家庭崩壊寸前だ。
 お父さんはお酒におぼれている。アルコール依存症なんだって。
 大学生のお姉ちゃんは、買い物依存症。パートのほとんどが買い物代で消えている。
 高校生のお兄ちゃんは、振られた女の子に対するストーカー行為。
 家族でまともなのは、僕ひとりしかいない。
「だからお願い! スタア、僕の家を助けて!!」
「大丈夫! あたしに任せなさい!」

 僕の家庭を救ってくれるかもしれない女神・スタアは、こうして、家族の一員となった。

<登場人物>
スタア:七夕の星からやってきて、僕のお願いを叶えるのが使命の少女。
新人アイドル・星河・ひかりが演じる。

僕:小学4年生の男女が望ましい。
父:20代後半〜30後半の男性。アルコール依存症で、酒がないと生きていけない。
姉:大学生。バイトでの収入は全て買い物につぎこんでいる。
兄:高校生。好きな子に付きまとっている。

その他の配役(入院中の母、僕の友人等)は、各自の自由とします。

●今回の参加者

 fa0115 縞りす(12歳・♀・リス)
 fa1013 都路帆乃香(24歳・♀・亀)
 fa2446 カイン・フォルネウス(25歳・♂・蝙蝠)
 fa3516 春雨サラダ(19歳・♀・兎)
 fa3802 タブラ・ラサ(9歳・♂・狐)
 fa5196 羽生丹(17歳・♂・一角獣)
 fa5778 双葉 敏明(27歳・♂・一角獣)
 fa5867 山南亮(9歳・♂・アライグマ)

●リプレイ本文

<<『スタア奮戦記!』キャスティング>>
スタア‥‥星河・ひかり
僕(天野佑助)‥‥タブラ・ラサ(fa3802)
姉(天野ムツキ)‥‥春雨サラダ(fa3516)
父(天野リュウジ)‥‥カイン・フォルネウス(fa2446)
泉(僕の友人)‥‥縞りす(fa0115)
笹木織姫(看護師)‥‥都路帆乃香(fa1013)
双葉 敏明(研修医)‥‥ 双葉 敏明(fa5778)

●七夕の日の出会い
 天野佑助は、いつものように学校から家に帰った。
 玄関に入ろうとしたその時!

 ドォォォン!

 何かが落ちた音がした。
 よ〜く見ると、それは大きな星の形をした宇宙船…のようなものだった。そこから出て来たのは、佑助より少し年上の宇宙服を着た女の子だった。
 彼女の名は「スタア」。七夕の星からやって来て、地球で最初に出会った人のお願い事を叶えるのが仕事‥‥らしい。偶然にも、それが目の前にいた佑助なのだった。
 それが本当なら、僕の家族を元に戻して欲しい! 前のように仲良くさせて欲しい! と佑助は強く願った。
「スタア、お願い! 僕の家庭を助けて!」
 必死になり、佑介は今の家族の情況をスタアに話し始めた。

●僕の家族を救おう!
 佑助とスタアが出会っている最中に、近所に住む泉お姉ちゃんに会った。学校の帰りなので、ブレザーにチェックスカートという中学校の制服を着ている。
「佑助くん、どうしたのかしら?」
「じ、実はね‥‥」
 泉は、佑助の家の事情は、近所に住んでいるので良く知ってるので、佑助に話しかけては元気づけている。
 スタアに関しては、会った瞬間にすぐに仲良くなった。
「そうねぇ‥‥」
「う〜ん‥‥」
 泉とスタアは、頭を捻って考え込んでしまった。
「佑助くんは、家族をどうしたいの?」
 泉にそう聞かれ、佑助は「僕は、家族の皆が前のように戻って欲しい」「お母さんが元気な赤ちゃんを産めますように」と答えた。
 前のように、というのは‥‥家庭崩壊寸前以前の天野家のことだ。
「それが佑助の願なら、叶えてあげる♪ 協力してくれるよね? 泉ちゃん」
「お母さんが元気な赤ちゃんを産めば‥‥うまくいくんでぃしょうけど‥‥」
 善は急げ! ということで、三人はまず、家族をどうにかすることにした。

●研修医の見解
 研修医の双葉敏明は、カルテを目にしながら苦悩していた。
「この奥さんのお産状態は、あまり良くないみたいだな。お父さんはアルコール依存症、お姉さんは買い物依存症、お兄さんにいたってはどうやら好きな女の子に付きまとっているという噂だし‥‥。佑助くん、小さいのに大変だな‥‥」

●父・リュウジ
 リュウジは、佑助の義理の父親で、病院で出準備中の母親の若い再婚相手だ。
 結婚したのはいいが、子供達がグレているので、家庭の雰囲気に馴染めず、解決できない自分を嘆き、酒浸りになってしまったのだ。
 飲んだくれてる現在は結構自棄な性格だが、素面では気さくで明るい性格だ。
 この性格で、酒に走ってるところ見ると存外に精神面は弱い模様。
「お義父さん、まだお酒飲んでるの?」
 深夜、家の玄関口で玄関を開けるでもなく座り込んでる。
「はぁ‥‥帰らなきゃいいんだろうけど、そうも言ってらん無いからなぁ‥‥。皆好き勝手してるし‥‥言う事聞いてくれないし‥‥参るよなぁ」
 一升瓶を片手に、リュウジは愚痴り始めた。
 こればかりは、効果的な解決策が思いつかず困惑。
 まずは、兄と姉の問題を解決させるほうが先と考えた佑助とスタアは、父の説得を後回しにすることに。

●姉・ムツキ
 ムツキは、家庭内のぎすぎすした感じがあんまり好きじゃないため、買い物で憂さ晴らしをしている。
 家に居たく無いストレスが溜まり、買い物を終え帰宅すると家庭内ぎすぎす、家に居たく無いというエンドレス。
 買い物は、洋服やバッグ、靴や何に使うかも分からないほどの化粧品だ。
「ちっ、つまんねー」
「お姉ちゃん‥‥今日もたくさん買い込んだんだね」
 佑助の言葉に
「自分が稼いだ金で何を買おうがいいだろ!」
 とキレるムツキだった。
 スタアは、それ以上の趣味か、もっと家に居て楽しい事があれば、買い物癖も治るかなと考えた。
「ねえ、ムツキちゃん。買い物以外の趣味を探そうよ。あたしもお手伝いするからさ」
「お姉ちゃん、僕もするよ!」
 佑助とスタアに趣味をあれこれ教えてもらったムツキは、少しだけ素直になった。
「ま、まぁ、うん、ちょっとやってみようかな‥‥」

●お兄ちゃんを説得しよう
 次に、佑助とスタアが向かったのは、母が入院している産婦人科だった。二人がこっそりと様子を見ているのは、そこに勤めている看護師の笹木織姫と、彼女に話しかけている兄だった。
「あの看護師さんね‥‥お兄ちゃんに付きまとわれているんだ。可哀相に‥‥」
「地球にもストーカーって、いるんだね」
「う、うん‥‥」
「ストーカー、というより、相談相手に近いような気がするのはあたしの気のせいかなぁ‥‥?」
 スタアにそう聞かれると、兄は病院に訊ねてきた際、織姫に出会うなり佑助や母の状態などを話したり、何かあったら相談に乗るからという内容の話をしている。
「あら佑助君、こんにちは、そちらの方々は?」
 佑助とスタアに気づいた織姫は、二人に声をかけた。
「お母さんはいま休まれてますから、静かにしていて下さいね」
「いろいろとありがとうございます、看護師さん」
 頭を下げ、顔を赤らめて廊下を走り去る兄。どうやら、織姫のことが好きになったようだ。以前振られた彼女のことは、すっぱり忘れたらしい。

●赤ちゃんが産まれそう!
 それから数時間後。
「佑助くん!」
 織姫が、病院から帰ろうとする佑助を見つけて駆け寄ってきた。
「大変、お母さんに赤ちゃんが生まれそうなの! すぐにご家族に連絡して!」
「わ、わかった!」
 佑助は携帯電話を手に取ると、まずはムツキに連絡したが‥‥繋がらなかった。
 ムツキが駄目なら兄に、と連絡したが‥‥電源が切られている。
 父は携帯をもっていないので、連絡は不可能だ。
「ど‥‥どうしよう‥‥」
 がっくりと肩を落とし、泣き出してしまった佑助を励まし、スタアは

「あたしに任せなさい! 佑助くんの家族の皆! 今すぐここに来て!!」

 彼女が祈ると、リュウジ、ムツキ、兄が病院の前に集まった。
「こ、ここは‥‥」
「あたし、買い物の途中だったはず‥‥」
「そんなこと言っている場合じゃないよ! 赤ちゃんが産まれそうなんだ! 弟か妹ができるんだよ!」
 子供が生まれることに驚いたのは、リュウジだった。
「お、俺の子が生まれそうなのか!?」
「そうだよ!!」
 母の一大事ということもあってか、天野家は一致団結し、母の出産を待った。

 数時間後‥‥

「おめでとうございます、元気な女の赤ちゃんですよ」
 諸産婦が、お母さんが2900グラムの女児を出産したことを天野家の人々に告げた。
「この子が‥‥僕の妹なんだ‥‥」
 初めて見る妹に、佑助は感動した。
「子供が生まれたとなったら‥‥酒をやめて、真面目に働かないとな」
 リュウジは、子供を見て照れながら言う。
「可愛いなぁ‥‥。あたしも、この子の面倒見てあげよう」
 ムツキのお姉さんらしい発言。兄のほうは、じっと見ていた。

●スタア帰還
「さてと‥‥家族を助けて、っていう佑助くんのお願いを叶えちゃったから、あたし帰るね」
「え‥‥?」
 七夕の星から来た『七夕星人』は、初めて会った人間のお願い事を叶えたら星に帰らないといけない、というしきたりがある。
 完全に、というワケではないが、佑助のお願い事は叶った。
「ねえ、スタア‥‥また‥‥会えるよね?」
「うん、きっと会えるよ」
 名残り惜しいが、スタアは星型宇宙船に乗り、帰り支度を始めたが‥‥

「あ、あれ‥‥!?」

 宇宙船が壊れてしまい、帰れなくなってしまったようだ。
「‥‥ゴメン、来年の七夕まで、天野家にご厄介になります‥‥」
 お迎えに来て! とSOSしたのだが、来るのは来年の七夕になるらしい。

 こうして、天野家には「一年間」という期限つきで家族が一人増えたのであった。