私立アスラ女学園 伍アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 一本坂絆
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 09/10〜09/16

●本文

「ふぅ‥‥スク水も今年で見納めか‥‥」
 胸から上を水から出し、プールサイドに寄り掛る格好で夜坂 東は呟いた。
 目の前では、咲き誇る前の蕾―――スクール水着に身を包んだ少女達が楽しそうに遊んでいる。スクール水着、ブルマーの廃止に断固反対の姿勢を貫いてきた東である。高校生活最後の年ともなれば、感慨は一入だった。
 アスラ女学園高等部の第二体育館地下にある温水プールは、年中使用できる。夏季休校中は水泳部の活動が無い日、或いは時間に一般生徒に開放されていて、寮生や自宅登校組が泳ぎに来る。そんな訳で、東はプールが解放される日は必ずと言って良い程学校を訪れていた。
 あたりに充満しているカルキ臭い臭いを嗅ぎながらリラックスしている東の顔に影が差した。
 視線を上げると、片馴 静奈が真後ろで仁王立ちしていた。
「アンタ、毎日のように学校に来てるわよね。暇なの?」
 プールにいるのに眼鏡を掛けている静奈はいつも通りのツンケンした口調で話しかけてきた。
 東はこれってベストアングルだな〜と考えながら、しかし、口には出さず、
「花を愛でるのに理由を求める事程野暮な事は無いよ? 強いて言うなら癒しを求めて‥‥と言った所だね」
 しゃあしゃあと言ってのける東に静奈は呆れた顔になる。
「藤華さんの実家に招待されてたんじゃじゃないの?」
「パスポートを探すのが面倒臭くてね。去年行って、場違いを痛感したよ」
 東は肩を竦めて見せる。
 パレオを着た長身の女性がプール室に入ってきた。
「よう、東。また来てたのか?」
 赤い色の混じった髪をポニーテールに纏めた赤鍵 参道が手を受理ながら近づいてくる。
 それを見た東もプールから上がり、自ら参道に近付くとその手を取る。
「参道さんに会う為なら、たとえ『日』の中水の中‥‥ですよ」
「上手い事言ってんじゃねぇよ」
 参道は笑いながら、取られた手で東の手の平をペシリと叩く。
 その会話を横で聞いていた静奈は、
「馬っ鹿馬鹿しい‥‥‥」





・ドラマのキャストを募集します。
・生徒会はNPCとして扱います。生徒会メンバーを演じる事はできません。ご了承ください。
・実際のドラマでも、二十代の役者さんが高校生を演じる事は良くあります。あまり年齢を気にせずにご参加ください。
・お題に沿ってストーリーを考えて頂いても構いませんし、キャラクターや取りたい行動だけ書いて、後はお任せと言う形でも構いません。


アスラ女学園では生徒はもちろん、教職員も女性を採用しています。
当学園では、文武両道の精神と、生徒による自治を重んじています。
各クラブ活動、学校行事の運営、生活指導は生徒会主導の下に行われています。
自宅登校が基本ですが、学生寮もあります。
また、中等部、初等部の敷地が隣接するように並んでいます。隣接しているだけで、中等部、初等部とは敷地、施設は別れています。
■学校施設
校舎は三階建て。
敷地は『校門から校舎(下足場所)まで十分はかかる』と言われるほど広く、グランド、体育館、室内プール、図書館、部活棟、各道場、テニスコート、花園、食堂、カフェテラスなどの施設がそろっています。学生寮も敷地の中に入っています。
■生徒会
アスラ女学園の生徒会は生徒会長が三人おり、副会長がいません。
『スリーオブフェイス』
【生徒会長】小扇 一羽(こおおぎ ひとは)、夜坂 東(よるざか あずま)、片馴 静奈(かたなれ しずかな)
『ライトアーム』
【書記長】遠昏 真戯(おちくら さなぎ)
【会計士】風祭 葛篭(かざまつり つづら)
【風紀委員長】辻 守(つじ まもり)
『レフトアーム』
【運動部連代表】藤華・キャヴェンディッシュ(とうか・キャヴェンディッシュ)
【文化部連代表】荒縄目 夢路(あらなめ ゆめじ)
【学生寮代表】木霊 菜々実(こだま ななみ)

※【風紀委員副会長】赤鍵 参道

●今回の参加者

 fa0565 森守可憐(20歳・♀・一角獣)
 fa0913 宵谷 香澄(21歳・♀・狐)
 fa1234 月葉・Fuenfte(18歳・♀・蝙蝠)
 fa2459 シヅル・ナタス(20歳・♀・兎)
 fa3982 姫野蜜柑(18歳・♀・猫)
 fa4203 花鳥風月(17歳・♀・犬)
 fa4339 ジュディス・アドゥーベ(16歳・♀・牛)
 fa4396 葉桜リカコ(16歳・♀・狸)

●リプレイ本文

 扉を開くと、カルキの臭いが鼻を突いた。
 吾妻・由紀(森守可憐(fa0565))にとっては、馴染みになりつつある臭いだ。
 由紀は時間さえ許せば、毎日のようにプールに通っている。泳ぐのは気持ち良いし、シャワーも使える。正に天国のようだ、と由紀は思っている。
 由紀が扉を入ってすぐにあるシャワーの門から噴射される水のカーテンを抜け、顔に張り付いた髪をかき上げて水を切っていると、一人の女生徒と目が合った。栗色のミディアムレイヤーの髪に、中性的な顔立ち。スラリとした長身。アスラ女学園の生徒会長、『スリーオブフェイス』の一人。夜坂 東だ。
 毎日のようにプールに通っている由紀は、同じく、毎日のようにプールに通っている東とは良く顔を会わせる。誰かを待っているのか、壁に寄りかかって入り口を見ていた東は、由紀と視線が合うと、壁から背を離して由紀に近付いてきた。
「やあ、最近良く会うね」
 東は近付いてきたままの自然な動作で、由紀の髪を掬い上げる。
「歌唱部の歌姫様には、滴る水が良く似合う。まるでセイレーンのようだね。声を聞いただけで惑わされてしまいそうだ」
 由紀の髪に自ら顔を近付け、口付けしてみせる。が、由紀はペースを崩す事無く、
「ありがとうございます」と笑顔でスルー。
 天然の由紀にはあまり効果が無かったようだ。


「馬鹿馬鹿しい」
 そんな二人のやり取りを―――と言うより、東のやり取りを見ていた片馴 静奈が、吐き捨てるように言った。
 不機嫌な様子の静奈に果敢にも、或いは無謀にも、狐村 静(宵谷 香澄(fa0913))が声を掛ける。
「片馴は相変わらずツンツンしてるねぇ。素材はいいんだから、笑えばもっと‥‥」と言いかけるが、静奈に睨まれて途中で口を噤んだ。
「事実だと思うんだけどなぁ。勿体無い」
 それでも静は未練がましく、しみじみとした口調で言う。
「それに、プールで眼鏡っていうのはちょっといただけないな。プールは泳ぐためのものだぞ」
 静の言葉通り、静奈はいつもと同じ細身の銀縁眼鏡を掛けている。
「いいのよ。私は東がおかしな事しないか見張ってるだけだから」
「無駄な気がするけど?」
「ふん‥‥あんな事言ってるけど、本気じゃないわよアイツ」
「そうなのか?」
「遊びはするけど、本気にはならない。それでいて、相手が本気になると離れていく」
 それが夜坂 東なのだと、片馴 静奈は言う。


 ばしゃばしゃばしゃ。
 ロープのような浮きで隔離された一番端のコースを使って、螺郷 沙々羅(月葉・Fuenfte(fa1234))は黙々と泳ぎ続けていた。
 クロールから平泳ぎ。平泳ぎから背泳ぎ。そして、またクロール。傍から見れば、泳ぐと言う行為を淡々とこなしている様に見えるが、本人は楽しんでやっているらしい。
 時々、休憩するようにぷかーっと水面に浮かび上がり、暫くするとまた泳ぎ始める。
 ばしゃばしゃばしゃ。
 ばしゃばしゃばしゃ。
 ばしゃばしゃゴン!
「あぷ?!」
 突然の側頭部への衝撃。
 沙々羅が慌てて顔を水面へ上げると、プールサイドに座っている少女と目が合った。どうやら彼女が水中で前後に揺らしていた足が、頭にぶつかったらしい。
 少女の方もぶつかって初めて沙々羅に気が付いたらしく、顔に驚きを貼り付けている。
「‥‥‥何をしているんですか?」
 沙々羅の質問に、少女シズカ・ニクソン(ジュディス・アドゥーベ(fa4339))は、
「涼んでいるんです。プールは好きですけれど、泳ぐのはあまり好きじゃないんです」
「それなら、向こうの広い場所でやってもらえますか」
「ら‥‥『らきょう』さんは―――」
「『らごう』です」
「螺郷さんは、泳ぐのお好きなんですか?」
「泳ぐのが好きと言うより、身体を動かすのが好きと言った方が正解でしょうか」
 大人しそうな見た目に反し、沙々羅は柔術の経験があったりと、何かと活動的である。ただ、この水着のデザインは、どうにも好きにはなれない。それはそうと、シズカの話しが、沙々羅の話と今一噛み合っていない気がする。
「いいですね〜。私なんて泳ぐのがすごく苦手で‥‥」
 シズカはプールにちゃぷん‥‥と浸かると、まるでもがく様に、出鱈目に手を振り回しながら水を掻き、沈む。暫くすると、少し離れた水面に顔を出し、もがく様に水を掻き、また沈む。
「え? もしかして、それ泳いでるんですか?! 溺れてるんじゃくて?! ちょっと待って下さい!」


 そんな沙々羅とシズカを見る四つの目。二人の視線。
 静と東だ。
「うぅぅむ‥‥甲乙付けがたい」
 プールサイドに腰を下ろし、腕を組んで目を細めている静。
「選ぶ必要なんて無いよ。二人共に存分に愛でれば良い」
 胸までを水に浸け、プールの淵に寄りかかる東。
「桃源郷っていうのは、多分こういう光景のことを言うんだろうな。眼福、眼福」
 静は満足そうな笑みを浮かべ、
「夜坂、一度じっくり話をしよう、色んな意味で趣味が合いそうだ」と何度も頷く。
 ―――と、沙々羅が二人の視線に気付いた。
 沙々羅はシズカをプールサイドに引き上げると、クロールで近付いてきて、
「何をやらしー目で見てるんですかッ!」
 一喝。
「やらしーと言えばこの水着! 何で未だにこの古いデザインなんですかッ!」
 不機嫌な様子の沙々羅に対し、東は余裕のある態度を崩さず、
「ええ‥‥っと、『らごう』で読み方は合ってるのかな? 螺郷さん、どうしてスクール水着がスクール水着と言われるのか、わかるかい?」
 質問に対し質問で返す行為に失礼を感じながらも、沙々羅は顔に疑問の色を浮かべる。
 そんな沙々羅の疑問に答えるように、東はやや芝居がかった調子で、
「競泳用水着なら、スイミングスクールや、ジムでも着る事ができる。普通の水着なら、言うまでもなく、これからも着る機会はいくらでも在るだろう。しかし、スクール水着を着る事ができるのは学校だけだ。そう、コレは思い出作りだよ。社会に出た時、制服と同じく、スクール水着も学園生活を懐かしむべき一つの思い出として、心の中に残り続けるだろう」
「私は、この学園でしか手に入れられない思い出を、皆に持って欲しいんだよ」と優しい微笑を浮かべて、東は話を締め括る。
「そ‥‥そうだったんですか‥‥‥」
 嘘だけど。
 自身の考えを恥じる様子の沙々羅に、東は心の中で舌を出す。しかし、それを顔に出す事は無い。


 姫野 ミカ(姫野蜜柑(fa3982))はサッカーをこよなく愛する少女である。それも、サッカーボールが無いと安眠できないと豪語する程だ。そんなミカではあるが、今手にしているのはサッカーボールではなく、サッカーボール柄のビーチボールだ。何故なら、今ミカがいる場所がグラウンドの土の上ではなく、屋内プールの水の中だからである。
 ビーチボールを浮き代わりにして、ぷかぷかとプールを漂うミカ。その視界の中に、ゆっくりとした速度で泳ぐ一人の少女が入ってきて‥‥‥‥‥沈んだ。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥」
 ‥‥‥‥‥‥‥‥‥。
「‥‥‥‥‥‥ハッ!」
 少女のあまりのシュールな溺れ方を見て一瞬飛んでいたミカの意識が、全速力で戻ってくる。
「うおおおぉおぉぉおぃいッ!!」
 ミカは慌てて少女のもとまで泳いで行き、少女の身体をプールの底から引き上げる。
「君! 大丈夫?!」
 必死に呼びかけるミカの声に、少女―――皇 ホタル(葉桜リカコ(fa4396))は、
「はう〜、何かあったのですかぁ〜?」という間抜けな返事を返した。
「いや、今溺れてたでしょ?」
「私、溺れてたんですかぁ〜? 道理で、息継ぎが苦しいと思いましたぁ〜」
「水中で呼吸するのは、断じて息継ぎとは言わないって!」
「はう〜、そうなんですかぁ〜‥‥」
 のんびりとしたホタルの返事。
「何だかなぁ‥‥」と呆れるミカの視線が、ホタルの身体の一点に固定される。
「あ、あの〜‥‥どうして先輩は、私の胸を掴んでいるのですかぁ〜?」
「え?! いや、別に‥‥何でもない‥‥よ〜‥‥‥‥ハハハハハハハハハハハ」
(「本物だし‥‥デカイなぁ‥‥‥」)
 世間の風に吹かれて乾いた笑みを漏らすミカに、背後から声が掛かる。
「おーい、姫野〜! 私等ビーチボールがしたいんだけどさぁ―――」
 振り返ったミカの目にまず飛び込んできたのは、静とシズカの‥‥胸。
「―――だからそのボールを貸してくんないかなついでに姫野も一緒にビーチボールやるかって何処行くんだおい!」
「‥‥えぐえぐ、いいんだいいんだ。もう今さら嘆くのも虚しいぐらい思い知ってる現実なんだから」
 静の言葉が聞こえていないのか、プールサイドの隅で床に『の』の字を書くミカであった。


 暫くして。
 立直ったミカ。沙々羅とシズカ。更に、静が由紀と烏丸弥生(花鳥風月(fa4203))に声を掛け、ビーチボールを行う人数が揃った。
「夜坂と片馴はどうする?」
 静が尋ねると、
「遠慮しておくわ」と静奈が首を振り、東も手を振って不参加の意を示す。
「乗り悪いなぁ、お前等」
「ハイハイハイ! じゃあ、罰ゲームを決めるとか。罰の内容は、夜坂さんが決めるって事で―――」
 ミカの提案に、
「乗った」
 東は即答した。
「そうだな‥‥ボールを落とした回数が最も少ない者が、ボールを最も多く落とした者と同じ個室でシャワーを浴びる権利を得る―――てのはどうだい? 罰と言うより、ご褒美だね」
「辞退させて頂きます」
 沙々羅がきっぱりと拒否する。
「なぁに、嫌なら勝って権利を破棄すれば済む話さ。それとも、螺郷さんは勝つ自信が無いのかな?」
 東のあからさまな挑発。しかし、その一言で沙々羅のハートに火が点いた。両の目に熱が宿る。
「良いでしょう。私は絶対に負けません!」
 二人の視線がぶつかる様に、ホタルがパチパチと気の抜けた拍手を鳴らす。


 弥生の放った弾丸のようなアタックを、沙々羅が返す。
 ゲームのルールは至ってシンプル。プールの中で全員で円になり、相手に向かってボールをパスする。受け取る側、或いはパスする側がミスをして、ボールを水の上に落とすと減点。アタックのような攻撃的なパスも可。(各人の運動能力に差がある為、極力シンプルなルールになった)
「おぉっと!」
 パスを返した静が、ワザとらしくバランスを崩して、ホタルに抱き付く。
「ひゃあああ〜?! そんなとこ触っちゃ―――ああ〜! 腋から中に手を入れるのはもっとダメですぅ〜!」
「わははははは! 大きなボールがここにも♪」
 悶えるホタルの胸を揉むその様は、ただのオヤジである。
 それを見たミカが、クルリと背を向けると、空中にあるボールに向かって足を大きく振り上げ、
「そこーッ!!」
 後頭部からプールに突っ込んでのオーバヘッドシュート。
 しかし、顔が水中にある為、相手はおろかボールの位置すら勘でしか掴めず、つま先に軽く当たったボールは明後日の方向に飛んでいく。しかも、
「ゲホ! ゴホ! うえぇ!」
 水中で逆さになった為、鼻に水が入ってしまう。
 周りの人間が呆れる中、
「オーバーヘッドシュートって初めて見ました」とシズカが間の抜けた感想を口にした。
 そんな時―――、
「うるせぇーーー!」
 プール中に怒鳴り声が響き渡る。赤いビキニを着て、パフェを食べながら生徒を監視していた、教師の鉄 大河(シヅル・ナタス(fa2459))だ。
 大河は立ち上がると、傍に置いてあった銀のトレーを掴み、力いっぱい投げつけた。
トレーは激しく回転し、軌道上にいた由紀の側頭部目掛けて飛んでいく。トレーが由紀にぶつかりそうになった、その瞬間―――

「クードロア」

 打突そのものの速度で伸びた手が、横合いからトレーを攫っていく。
「女の子の頭に物を投げるのは良くないですね」
 トレーを右手で挟むように持ち、大河に視線を向けるのは夜坂 東。
 東が手に持ったトレーを軽く投げると、トレーは緩い弧を描きながら、大河の伸ばした手に収まった。
「ありがとうございます。助かりました」
 礼を述べ、頭を下げる由紀の顎を、東が親指と人差し指を使って上を向かせる。
「怪我が無くてよかった。君が傷付つくなんて、考えただけで悲しくなるよ」
 東は指で由紀の顎の位置を固定したまま、キョトンとして瞬きをするその顔に、ゆっくりと唇を近づけて―――
「コラーーーーッ!」
 再びプールに怒鳴り声が響く。今度の声の主は静奈だった。静奈が何処からともなく取り出して投げたスリッパは、綺麗な軌道を描いて東の後頭部を直撃した。


 ビーチボールの結果発表!
 ボールを落とした回数が、最も少なかった者―――夜坂 東。
 ボールを落とした回数が、最も多かった者―――姫野 ミカ。
「えぇぇえええ?! 何で? 何で僕なの?! 上の話の流れから言えば、螺郷さんが 負けるオチっぽくない?!」
「じゃあ、早速だけど行こうか」
 東がミカの身体を肩に担ぐようにして軽々と持ち上げ、プールから上がる。
「待って! 何かが変だ! 僕の知らない領域で陰謀の臭いがする!」
「大丈夫、優しくするから」
「何を?!」
 東はミカの身体を横抱き(所謂お姫様抱っこ)に抱き変えて、振り回される手足を気にも止めずに歩き出す。他の面々も、にこやかな笑顔で「行ってら〜」と手を振っている。
「ちょっと片馴さん! そんなに恐い顔でコッチ睨んでるなら助けてよ!? え? 罰ゲームはルールだからしょうがない? 何でそんなとこばっかり律儀なのさ!!」
 プール中に、連行されていくミカの断末魔の悲鳴が木霊する。


 因みに‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥約束どおり、とっても優しくされました。