私立アスラ女学園 拾壱アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 一本坂絆
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1.1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/17〜12/22

●本文

 落ち葉が多い。
 此処、私立アスラ女学園は、その広大な敷地に見合った各施設と、それらを結ぶ道が幾つも存在しており、その道を囲むように、街路樹さながらに、幾本もの木々が並んでいる。それ故に、落ち葉の量が半端では無く多い。学園が雇っている清掃業者も大変だ。一応、裏手の丘の葉は、腐葉土を作る為、清掃の対象外ではあるが、それでも、だとしても、そんなものは何の気休めにもならないだろう。正に、切が無い。まぁ、切が無いとは言っても、一月中旬に頃には大方の葉は落ち切っているだろうが‥‥。
「そんな落ち葉を集めてやる事と言えば、一つしかないわよね」
 学園の裏手にある丘の近く。そこでは、数人の女性とが、手に箒を持って集まっていた。
 少女達の中心には、落ち葉を集めて作った山があり、その山からは、火と煙が立ち上っている。
「いやいや、ひよりんがサツマイモを大量に貰ってきてくれたのは、私達にとっては喜ばしい事以外の何物でもないわよねぇ〜」
 一人の少女が、ニコニコしながらサツマイモをホイルに包んで、火を点けた落ち葉の中に突っ込む。
 基本的に、学園の敷地内では火遊びは厳禁だが、今回はちゃんと許可を得ているし、水を張ったバケツも用意している。
「そう言えば、日和さんはどちらへ?」
「今日も今日とて野良狩りだってさ。よくやるわよねぇ‥‥」
「つーか、流石にこの量は私達だけじゃ食べきれないわね」
「誰か呼んできたら? 寮生なら確実に敷地内にいるし」
 芋を焼きつつ、少女達の内の一人が言った。
「そうするか、んじゃ、一っ走り行ってくるから、先に食べんじゃないわよ」



※注意※
・ドラマのキャストを募集します。
・生徒会はNPCとして扱います。生徒会メンバーを演じる事はできません。ご了承ください。
・実際のドラマでも、二十代の役者さんが高校生を演じる事は良くあります。あまり年齢を気にせずにご参加ください。
・お題に沿ってストーリーを考えて頂いても構いませんし、キャラクターや取りたい行動だけ書いて、後はお任せと言う形でも構いません

†私立アスラ女学園の御案内†
・アスラ女学園では生徒はもちろん、教職員も女性を採用しています。
・当学園では、文武両道の精神と、生徒による自治を重んじています。
・各クラブ活動、学校行事の運営、生活指導は生徒会主導の下に行われています。
・自宅登校が基本ですが、学生寮もあります。
・また、中等部、初等部の敷地が隣接するように並んでいます。隣接しているだけで、中等部、初等部とは敷地、施設は別れています。
■歴史
創立は約三百年前。元は仏教色が強かったのですが、戦火に焼かれた事と、施設の近代化に伴い、現在では名称と一部の伝統にのみ名残が残っています。敷地内にお堂があるのはそのためです。
■学校施設
校舎は三階建て。
敷地は『校門から校舎(下足場所)まで十分はかかる』と言われるほど広く、グランド、体育館、室内プール、図書館、部活棟、各道場、テニスコート、花園、食堂、カフェテラスなどの施設がそろっています。学生寮も敷地の中に入っています。
■生徒会
アスラ女学園の生徒会は生徒会長が三人おり、副会長がいません。
『スリーオブフェイス』
【生徒会長】
小扇 一羽(こおおぎ ひとは)
夜坂 東(よるざか あずま)
片馴 静奈(かたなれ しずかな)
『ライトアーム』
【書記長】遠昏 真戯(おちくら さなぎ)
【会計士】風祭 葛篭(かざまつり つづら)
【風紀委員長】辻 守(つじ まもり)
『レフトアーム』
【運動部連代表】藤華・キャヴェンディッシュ(とうか・キャヴェンディッシュ)
【文化部連代表】荒縄目 夢路(あらなめ ゆめじ)
【学生寮代表】木霊 菜々実(こだま ななみ)
■高等部の制服
総ボタンでスカート丈が長いワンピース。色は濃いチャコールグレー。
襟と、ワンピースの中に穿くぺティーコートは白。
ショートタイは一年生がレッド、二年生がダークグリーン、三年生は白地に黒い十字のラインが入る。
■立地
広い敷地を確保する為、山が近い場所に建てられていますが、住宅地も近い為、少し歩けばコンビニやスーパーもあります。最寄り駅から二十分程で市街に出る事ができます。

●今回の参加者

 fa0190 ベルシード(15歳・♀・狐)
 fa0913 宵谷 香澄(21歳・♀・狐)
 fa2102 西園寺 紫(14歳・♀・蝙蝠)
 fa2791 サクラ・ヤヴァ(12歳・♀・リス)
 fa3393 堀川陽菜(16歳・♀・狐)
 fa3605 ルージュ・シャトン(12歳・♀・猫)
 fa3611 敷島ポーレット(18歳・♀・猫)
 fa3814 胡桃・羽央(14歳・♀・小鳥)

●リプレイ本文

 アスラ女学園学生寮の一室。其処に、机に突っ伏する狐村・静(宵谷 香澄(fa0913))の姿があった。
 机には開かれている『だけ』の、参考書とノート。
 高校三年生である静は、受験を控え、受験勉強に打ち込んでいる‥‥‥のだが、何故だろう。想像の中の自分は、こんな参考書の一冊や二冊、あっという間に片付けて、机の上でブレイクダンスを踊っていると言うのに―――現実では、ただ、時間とコーヒーが消費されていくばかりだ。
「‥‥‥駄目だ。色んな意味で。と言うか、私自身が駄目だ」
 そも、この時期から勉強を始めている時点で、駄目駄目である。
 静が「うだ〜‥‥‥」と、突っ伏している上半身だけを悶えさせていると―――
 コン、コン、コン。
 部屋のドアをノックする音。
「は〜い?」
 静の返事に対し、ノックの主は、扉を開けないまま、部屋の中へ声を掛けてきた。
「今、校舎の裏手で焼き芋をやっているんですけど、量が多くて、私達では食べきれないんです。宜しければ、お姉様も御一緒しませんか?」
 狐村静は考える。とても魅力的な誘いではあるが、自分は受験生。つまり、勉学こそが本分だ。今、この時、勉強に励まずに何とする! しかしながら、日がな一日、教科書と睨めっこなんて健康に良いはずがなく、こんな青春の使い方は精神衛生的にもよろしくないと思うわけですよ? なので、ここは日の高いうちに夜の分も遊んでおくのが総合的シアワセに繋がるはず。間違いない!
 と言う事で、自分への言い訳完了。静は足取りも軽やかに、部屋を出て行った。


「お呼ばれされてじゃじゃじゃじゃ〜ん♪」
 茜ヶ崎パウラ(敷島ポーレット(fa3611))は、寒さ対策と焼き芋取る時の為と言う二つの理由から、猫ミミと肉球グローブを装着して登場。
「焼き芋って、あの芋を落ち葉に入れて焼いて食べるって言う、アレだな?」
「OH! これぞジャパニーズフードね☆」
 焼き芋が初めてだと言う、赤羽さくら(サクラ・ヤヴァ(fa2791))とシンシア・ハイランド(ルージュ・シャトン(fa3605))は、興味津々と言った様子で焚き火を覗き込ん。さくらは持ってきたデジカメで、焚き火の様子を物珍しげに撮影。そんな二人に、星崎ハルナ(堀川陽菜(fa3393))が微笑みかけ、
「二人とも、焼き芋は初めてかしら? だったら、作り方―――と言う程のものでは無いけれど、やり方を教えるわね」
 料理部に所属しており、今は和食に凝っていると言うシンシアは、特に真剣に焼き芋の作り方を教わっている。
「ふむふむ‥‥このお芋をアルミホイルとか新聞紙にくるんで‥‥落ち葉の中に入れる‥‥それだけで、本当に美味しい料理が出来るんですか〜?」
「簡単なのですね〜」と感心するシンシア。
「だったら、アルミホイルにトウモロコシを入れてみたらどうなるんでしょうかね? やってみましょう☆」
 シンシアが言うまでも無く、他の面々は、サツマイモ以外に、それぞれが持参した食材を焚き火の中へと投入していく。
 パウラはジャガイモとバターをホイルで包んだジャガバター。トウモロコシとバターを包んだモロバターを入れている。
 雨水幸恵(西園寺 紫(fa2102))は、火が通りやすいように、ハーフサイズにカットしたサツマイモやジャガイモを投入。幸恵は準備が良い事に、味塩を入れた小瓶も持参している。どうやら、今日はこれを主食にするらしい。
 ハルナは火の加減を見ながら、他の生徒が芋をホイルで包むのを手伝う。
 ふと、ハルナが気付くと、パウラが食材と共に、紙を焚き火に投げ入れている。よくよく見れば、その紙は、思わず目を覆いたくなるような点数の書かれた、テストの答案用紙だ。
「‥‥‥‥何を‥‥しているんですか‥‥?」
 ハルナのぎこちない質問に、パウラは陰のある表情を作る。
「いい女は、過去を振り返らないものなのよ」
「やっている事は格好悪いのに、何だか格好良い?!」


 暫くして―――焚き火に入れた食材が、次々と焼きあがる。
「熱っ!」
 さくらは芋を口に含んだ際の熱さに顔を顰めるも、それは直ぐに笑顔に変わる。
「でも‥‥これは美味しい☆」
 さくらは、成る程と頷く。
「女の子が夢中になるのも分かるな〜☆」
 寒空の下で食べる焼き芋は、美味しさはコタツで食べる蜜柑に匹敵する。と、静は考える。凝った料理より、こういう単純な料理の方が好きだ。
「後は‥‥‥」
 静かは辺りを見渡す。
(「等身大のカイロが其処彼処に」)
 静の言うカイロとは、無論、普通のカイロなどではなく、この場に集っている女生徒達の事だ。
(「焼き芋もいいけど、人肌ってのは何物にも代え難い温もりなのさ」)
 静は、少女達の中から焚き火で段を取っている一人に狙いを定め、さり気無く、隣に並ぶ。
「寒いんなら、温めてあげようか?」
「え?」と疑問符を浮かべる少女。静は少女の背後に素早く回り込むと、後ろから抱き締めた。
「あ、あの‥‥先輩?」
「実は私も寒くってさ、お互い温めあって寒くなくなるなら全て世は事も無し、だろう?」
「と言うか、単に先輩が抱き付きたいだけなんじゃないですか?」
 静の腕の中で少女がもがく。
「別に、そう思ってもらっても構わない。それに、可愛いものを抱きしめて何が悪いっ」
「か―――わ‥‥‥ッ!」
 腕の中の抵抗が、途端に弱くなる。
 静は腕の力を少しだけ強め、身体と身体、頬と頬を密着させながら、真っ赤になって黙り込む少女の体温を存分に堪能する。
 一方、手に黒焦げになったサツマイモを持った羽鳥・初音(胡桃・羽央(fa3814))が、
「うえーん! 焼き芋失敗しちゃったー!」
 アルミホイルで包んだ芋を、消し炭にするというのはそれで、かなりの器用さだと思うが、それが計算ならば話は別だ。
 嘘の涙の下に渦巻く欲望。
 そんな初音に焼き芋を頬張ったパウラが声を掛ける。
「どうしたの?」
「焼き芋を役の失敗しちゃったんですぅ」
 初音は嘘の涙を散らしながら、パウラの胸に飛び込んだ。
「にゅふ♪」
 初音は気味の悪い笑みを漏らし、パウラの胸にすりすりと頬をすり寄せる。
「そっかー。じゃあ、私のを分けてあげる」
 抱き疲れているパウラも満更でも無い様で、ふーふーと芋を冷まして、
「あ〜ん」と初音に食べさせる。
「わぁ、美味しいです☆」
「あ、口の端に付いちゃったね」
 パウラが、初音の口元に付いた食べかすを、舌でぺろりと舐め取る。
「そういう先輩だって、ほっぺに食べかすが付いてます♪」
 初音もお返しとばかりに、パウラの頬をぺろぺろと舐める。
「ほっぺた‥じゃなかった。焼き芋美味しい〜☆ ふふふ♪」


「ん? 何コレ」
 一人の女生徒が、焚き火の中から出てきた、明らかにサツマイモとは違う形に膨らんだアルミホイルを開く。
「鮭?」
「うわ! こっちのは蜜柑だ。どうりでおかしな臭いがすると思ったよ」
 焼けた蜜柑を手にした少女が、顔を顰める。
「はいはいはい。一度手にしたものはちゃんと食べなきゃ駄目よ」
 そう言ったのは、マルガレーテ・レオンハルト(ベルシード(fa0190))。彼女は教師だが、歳が生徒達と近い為、偶に一緒になって騒ぎを起こす事もある。今回の事も彼女の仕業だった。
「もし食べなかったら、数学の成績に影響が出るかもね」
 生徒達から盛大なブーイングが飛ぶが、マルガレーテは意に解さない。と、横暴極まりない発言をするマルガレーテの肩に、ポンと手が掛けられる。マルガレーテが振り向くと、微笑みを貼り付けたハルナの顔があった。
「残った分は、先生が責任を持って食べて下さいね?」
「‥‥‥いや、私は―――」
 マルガレーテは拒否しようとするが、ハルナの出すプレッシャーに負け、口を紡ぐ。
「食べ物を粗末にしてはいけませんよ?」
「‥‥‥‥‥はい」


 結局。大量のサツマイモを処理する為に、生徒を集めたものの、各人が食材を持ち込んだ食材もあり、サツマイモの消費は、余り捗りはしなかった。