春の修学旅行ドラマSPアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 一本坂絆
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/18〜05/22

●本文

 少女は―――アスラ女学園の制服を着た、三年生である事を示すタイを締めた、その少女は―――
 百九十センチに届く長身を折り曲げ―――
 長い、濡れ羽色の髪で顔を隠し―――
 腹を抱えて―――
「ク‥‥クク‥‥ハッ―――」
 口からもれ出るのは、

「‥ク‥‥お腹‥痛い‥‥」

 苦痛の声だった。
「またッスか、マギー」
 隣に立った少女が呆れた声で言う。サッパリとした、ショートカットの髪。袖を肘の上まで捲くり上げ、スカートを、風紀に引っかからない程度の、膝下まで引き上げた制服。同じ三年生だが、長身に少女に対して、こちらは全国平均とそうは変わらない身長。
 アスラ女学園生徒会会計士、風祭 葛篭(かざまつり つづら)。
「うぅ‥‥マギーって呼ばないでよぅ、葛篭ちゃあん‥‥」
 身体を折り曲げたまま、長身の少女―――アスラ女学園生徒会書記長、遠昏 真戯(おちくら さなぎ)は涙声で言う。
「いいじゃないッスか、真戯(マギー)で。つーか、修学旅行始まったばっかなのに、腹痛おこすのはやめて欲しいッスよ」
 修学旅行―――そう、修学旅行だ。
 『生徒達の親睦を深める』という名目で行われる春の修学旅行。生徒数の多いアスラでは、目的地別に、学年混合で幾つかのグループに分かれる。
 現在、葛篭と真戯が居るのは京都駅。生徒達は何の為に作ったんだと疑問ばかりが浮かぶ、大階段前に集合していた。
「だって‥もし、何か問題が起こったら思うと、心配で心配で‥‥」
「大丈夫ッスよ。風紀委員もいるッスし、今回私等がやることなんて、全体行動の支持ぐらいなんスから。引率は先生の仕事ッス」
「だと良いんだけど‥‥」
 真戯はやっと身体を起こす。真っ直ぐ立って葛篭と並ぶと、その長身が沢立って見える。
「マギーは心配しすぎなんスよ」
「葛篭ちゃんは気楽過ぎると思うよ‥‥」



【関連NPC】
・風祭 葛篭(かざまつり つづら)
アスラ女学園生徒会会計士。ライトアーム。ノリの軽い、スポーティーな少女。
・遠昏 真戯(おちくら さなぎ)
アスラ女学園生徒会書記長。ライトアーム。長身。慢性的な胃炎持ち。怒ると怖いらしい。

■修学旅行の予定
一拍二日
【一日目】
朝・新幹線に乗る
  ↓
昼前・京都到着
  ↓
夕方まで自由行動
  ↓
旅館へ移動
  ↓
 夕食
  ↓
 入浴
  ↓
 就寝
【二日目】
 起床
 ↓
 朝食
 ↓
 駅へ
 ↓
新幹線に乗る
 ↓
学園へ


※注意※
・『私立アスラ女学園』は学園ドラマです。特撮ではありません。
・『私立アスラ女学園』は学園コメディーです。ファンタジーではありません。
・生徒会はNPCとして扱います。生徒会メンバーを演じる事はできません。ご了承ください。
・アスラ学園の高等部は『アスラ女学園』。初等部、中等部は『アスラ女学園中等部(初等部)』と表記します。
・実際のドラマでも、二十代の役者さんが高校生を演じる事は良くあります。あまり年齢を気にせずに楽しんで頂ければ幸いです。
・お題に沿ってストーリーを考えて頂いても構いませんし、キャラクターや取りたい行動だけ書いて、後はお任せと言う形でも構いません。
・今回は修学旅行です。学園内ほど無茶は出来ません。節度を守って楽しい修学旅行にしましょう。
・今回は行き先を『京都』に限定します。シナリオの尺の関係上見て回れる観光スポットは三箇所、多くても四箇所です。また、旅館内の描写を入れる際は観光スポットの描写が一つ減ると考えてください。大きな場面転換は四つ程です。
・何処に行くかは各自で相談して決めてください。


†私立アスラ女学園の御案内†

 アスラ女学園では生徒はもちろん、教職員も女性を採用しています。
 当学園では、文武両道の精神と、生徒による自治を重んじています。
 各クラブ活動、学校行事の運営、生活指導は生徒会主導の下に行われています。
 自宅登校が基本ですが、学生寮もあります。


■生徒会
 アスラ女学園の生徒会は生徒会長が三人おり、副会長がいません。
『スリーオブフェイス』
【生徒会長】小扇 一羽、夜坂 東、片馴 静奈
『ライトアーム』
【書記長】遠昏 真戯
【会計士】風祭 葛篭
【風紀委員長】辻 守
『レフトアーム』
【運動部連代表】藤華・キャヴェンディッシュ
【文化部連代表】荒縄目 夢路
【学生寮代表】木霊 菜々実
■制服
 濃いチャコールグレーのワンピースは、総ボタンでスカート丈が長い。襟と、ワンピースの中に穿くぺティーコートはホワイトカラー。ショートタイは一年生がレッド、二年生がダークグリーン、三年生は白地に黒のラインが入る。

●今回の参加者

 fa0330 大道寺イザベラ(15歳・♀・兎)
 fa0634 姫乃 舞(15歳・♀・小鳥)
 fa0877 ベス(16歳・♀・鷹)
 fa0913 宵谷 香澄(21歳・♀・狐)
 fa2370 佐々峰 菜月(17歳・♀・パンダ)
 fa2726 悠奈(18歳・♀・竜)
 fa2791 サクラ・ヤヴァ(12歳・♀・リス)
 fa3393 堀川陽菜(16歳・♀・狐)

●リプレイ本文

●ステージ1・清水寺
 名物の『清水の舞台』へ行く前に、狐村 静(宵谷 香澄(fa0913))は御神籤を引いていた。静は、まだ自由時間も始まったばかりだというのに、既にお土産の八橋を腕に引っ掛けている。
 御神籤の内容は‥‥‥‥『運命的な出会いがあるでしょう』


 星崎ハルナ(堀川陽菜(fa3393))は京都は初めてだと言う赤羽さくら(サクラ・ヤヴァ(fa2791))に懇切丁寧に観光ガイドをしていた。ハルナは元来、面倒見の良い性格なのだ。
「清水寺の縁起は、宝亀九年、大和国子島寺の僧・延鎮上人が、夢のお告げで霊泉を訪ねてたどりついたのが、今、清水寺の建つ音羽山だったのです。そこにはこの山に篭って数百年も修行を続けているという行叡居士という修行者がいました。行叡は『自分はこれから東国へ旅立つので、後を頼む』と言い残し、去って―――」
「む〜よくわからないのだ」
 少し説明が難しかったか。さくらは外国暮らしが長く、『難しい日本語』はあまり得意でないのかもしれない。
「つまり、昔にすごく偉い人が建てたんですよ」
 それはそれで端折り過ぎだ。
 『清水の舞台』は、その名の通り、観音様に能や踊りを奉納する正真正銘の舞台である。その、正面の、高さ三十六メートルにも及ぶ舞台の欄干に、赤崎 ベアトリス 羽矢子(ベス(fa0877))は立っていた。
「ぴぇ〜〜。こんな高いところから飛び降りたりする人がいるんだねー」
 はしゃぎながら下を覗き込むベス。当然危険行為だが、幸か不幸か、今の所警備員は気付いていないようだ。
「うひゃ〜高いね♪」
 欄干にこそ立っていないものの、竜堂 ゆうな(悠奈(fa2726)も下を覗き込む。夕方まで生徒達は自由行動なので、特にやることの無い教師陣も見回りと称して観光を楽しんでいる。
「本当に飛び降りたりしたら駄目よ〜」
 ゆうなはベスに注意を促すが、先に、欄干に立っていることを注意して欲しい。
「は〜い♪」
 片手を挙げて、元気よく返事を返すベス。しかし、その拍子にバランスを崩してしまう。欄干の上で、ベスの小柄な身体が泳ぐ。
「危ない!」
 咄嗟に、ゆうなが手を伸ばす―――が、
「よっと! ぴぇ〜、危なかった‥‥」
 ベスは自分でバランスを取り戻した。
「うわわぁ〜!」
「ぴよ? ゆーな先生?」
 代わりに、勢い余ったゆうなの身体が欄干の外に投げ出される。ゆうなはギリギリで舞台の端に手を掛け、落下を防いだ。
「た〜す〜け〜て〜!」
「もう、世話のかかる先生ねぇ」
 傍で見ていたベラ・ロッソ(大道寺イザベラ(fa0330))がゆうなの手を掴む。
「しっかり掴まっているのよ?」
 ベラの言葉に従い、ゆうながその手を掴んだ、瞬間―――

 がくん。

 ベラの腹が欄干に密着した。だけでは飽き足らず、身体ごと欄干の外側へ持って行かれそうになる。
 それも当然。ゆうなとベラでは、身長差が十センチ近くもあるのだ。ゆうなが極端な痩せ型でもない限り、ゆうなの方が体重が重い。ましてや、お嬢様育ちのベラに、人一人分の体重を支え、その上身体を引き上げる事など出来る訳がない。肩が脱臼しなかっただけでも僥倖だ。
「ク‥‥ベラちゃん‥‥落ちる時は―――一緒に!」
 ゆうなはベラの手をがっしりと掴み直す。
「ちょっ! 貴女教師でしょう?! 自ら手を離すとか、ありませんの!?」
「あるわけ―――ないでしょおッ!!!!」
 目がマジだ。
「おー、絶景絶景‥‥って大絶賛飛び降り真っ最中っ!?」
 事態に気付いた静が手を貸して、二人掛でなんとかゆうなを引き上げた。
 運命的な出会いと言うより、衝撃的な場面に巡り合いました。
「そんなオチはいらねぇよ」


「葛篭ちゃん、手伝わなくて良かったの?」
「あんまり大騒ぎすると、問題起こしたっつって修学旅行自体中止になるッスよ。それに、落ちても八割方助かるらしいッスよ」
「それは生存率の話で、落ちたら確実に大怪我だよぅ‥‥」


 ピンポーン〜♪ 
 注)良い子も悪い子も普通の子も、真似しちゃ駄目だゾ☆


●ステージ2・太秦
 江戸時代の町並みを模した大型テーマパーク、映画村。時代劇のセットにも使われるこの場所は、親子連れや外国人観光客に人気が高い。


 貸衣装屋の着替え室。
「よいではないかよいではないかー♪」
 ピンク色の忍び装束を着たベスが、町娘に扮した白鷺 桜(佐々峰 菜月(fa2370))の帯を引っ張る。悪代官のつもりらしい。
「ア〜レ〜〜〜〜〜!」
 桜はくるくると回され、床に崩れる。
「うぅ‥‥ひどいですぅ。あ、でも、偶にはこっちも良いかも‥‥」
 めげない少女、その名は桜。
 ハルナは、自身はお姫様の衣装を着込み、さくらの着替えを手伝っていた。
「かわいいですよ、さくらちゃん♪」
「む〜。お子様でかわいいって言うな〜!」
 新撰組隊士の衣装を着たさくらがハルナに食って掛かる。
「お子様だなんていってませんよ」
 さくらの隊士服を見て桜は、
「風紀委員の方々は刺す叉をもってますしぃ‥‥凛々しいので男装が似合いそうですねぇ‥‥ぜひ着てもらいたいものです」
「凛々しいのは認めるけど、今回は刺す叉を持ってきてなかったのだ」
 さくらに言われ、桜ははたと気が付く。
「流石に刺す叉を持ったままじゃ、重要文化財に近づけませんし」
 と、ハルナ。
 というか、あんな物を持って街中を歩いていたら、危ない集団になってしまう。
「ま、それはさて置き。折角ですから、皆で記念撮影をしませんか?」
 ハルナがにっこりと微笑んだ。


 パーク内の甘味処で、姫乃 舞(姫乃 舞(fa0634))は店の外に並べられた長椅子の一つに腰掛け、団子を頬張っていた。
 もぐもぐもぐ。甘い。幸せを感じる。
 舞はアスラ女学園の制服のままだった。当初、お小遣いの許す範囲内で料金が払えるならば、貸衣装を着たいと思っていたのだが、如何せん。貸衣装は一番安い衣装で八千五百円。高い衣装になると、一万六千円もする。個人の感覚にもよるが、この後に回る寺社仏閣の入場料の事も考えると、高校生にはかなり厳しい金額である。また、着替えるのに六十分は時間を取られるし、衣装を着たままでの飲食は禁止されている。個人で行く分にはいいが、タイムリミットの決まっている修学旅行でこのタイムロスは痛い。嵯峨山陰線は電車の本数が少ないのだ。
 結果として、他の観光地巡りの事も考え、舞は衣装よりも食事を優先させた。
 頬を緩ませながらお茶を啜る舞の隣に、お姫様の衣装を纏った静が腰を下ろす。
「隣、座るよ?」
「あ、はい。どうぞ」
「ありがと。この格好結構疲れるんだよなぁ〜」
 静は苦笑を浮かべた。静は自身の茶色の髪を弄りながら、
「黒でないとどーもしっくりこないんだよな‥‥まぁ、いいけど」
 茶髪で着物を着ている事に、やや抵抗があるのだろうか。しかし、結局は開き直る静だった。
「鬘も有ったと思いますよ?」
「いや、あれ重そうだし」
 一つ一キロは有りそうな大きな鬘を思い出し、静は肩を竦める。
 舞はまた一つ、団子を口に含む。
 もぐもぐもぐ。ほぅ‥‥。幸せを感じる。
「あ、ショーが始まりました」
 映画村では時折、往来ででショーが行われる。

「さぁ、お前達、やっておしまい!」
「何かそういう役似合うねぇ、ベラちゃん♪ っていうかその鞭は何?!」
「ぐだぐだ言ってないで早く行きなさい!」
 ピシィッ!
「嫌ぁぁぁ〜」
「おーほほほほほほ!」
 ドカバキバキボキ!
「おのれぇ、次はこうはいかんぞ!」
「あぁ待ってよ〜ベラちゃん!」

 目の前で展開されるショーを観ながら、
「なんだかあの忍者の方、ゆーな先生に似てますね」
 ズズズ‥‥と、お茶を啜る舞。
「いやいや、似てるって言うか‥‥あっちのはさっきの一年か? 何やってんだ?」


●ステージ3・金閣寺
「私‥‥先生が適職だよ」
 ゆうなは何故か、遠い目をしていた。
「どうしたッスか先生? そんなありもしない世迷言を」
「‥‥‥‥何でも無いです」


「おーほほほほほほ!」
 金閣寺をバックに、ベラの高笑いが響く。
「本当にぴかぴかなのですね‥‥」
 舞が驚いたように呟く。
 それは、日の光に輝く金閣寺の事か、それとも、絶好の撮影ポイントを占領して、他の観光客から迷惑そうな目で見られているイタリア貴族の令嬢の事か。
「ぴぇ〜。これがわびさびなんだー」
「OH! Wonderful! 流石ニホンの古の街ネ〜☆」
 ベスとさくらも感心した様子で金閣寺を眺める。
「金閣寺の建物を単体で見るのではなく、建物に反射されて輝く日の光や、金閣寺とその周りを取り囲む木々を映し出す池。これらを一つの風景として見るのが『わびさび』と言うものですよ」
 と、ハルナ。
「因みに正式には『金閣寺』ではなく、鹿苑寺『金閣』ですよ?」
 実際に、敷地内には『この建物は金閣であり、金閣寺ではありません』との注意書きの看板が立っている。


●ファイナルステージ・旅館
 夕食も終わり、入浴タイム。
「な‥‥なに! 日本のスパガーデンは裸になるの?!」
 外国人のベラにとって、裸のまま集団で入浴するというのは衝撃的な事だった。所謂カルチャーショック。
 しかしながら、プライドの高いベラである。
「わかったわ、これがワビサビってやつね」
 卑屈に拒絶するのはプライドが許さない。見たければ見なさいとばかりに、ベラは潔く素っ裸になった。それはそれとして、何でもかんでも『ワビサビ』と言えば良いってものではありません。


 そんな生徒達から一歩離れた位置で、
「皆スタイル良いね‥‥」
 二十四歳大人の女性、竜堂ゆうなはヘコんでいた。


 そんなゆうなから更に一歩離れた位置で、
「まだまだこれからまだまだこれからまだまだこれから‥‥」
 色んな意味で、小さな小さな少女、赤羽さくらはヘコんでいた。


「ふっふふふ‥‥名づけて、『抜き打ち☆静の身体測定in大浴場』ぉーっ!」
 静は生きていた。生き生きしていた。まるで、まさに、この瞬間の為に生まれてきたと言わんばかりの勢いだ。瞳と言わず背景までが、キラキラと光り輝いている。
 するりと、背後から、慣れた動作で忍び寄り、抱きつく。そして弄りまくる。
「ひやぁ! ど、何処を触ってるんですか! そこは駄目です〜!!」
「う〜む。また大きくなったね君。もっと大きくしてあげよう♪」
「やぁあ〜! ほ、ほんとに駄目ですよ〜!」
 そして、一通り楽しむと次の獲物へ。
「うわ! こっちに来た!」
「まてまて〜♪」
「来ないで下さい! 私の胸は小さいですよ?」
「それがどうした! 関係あるか! それはそれで魅力があるんだ!」
「どんなフェミニスト精神なん―――ひぇえええええええ!?」
 女の子に対して差別はしない、静さん。
「悪霊退散ッ!!」
「グハ! 身体の半分が水中にありながら、なんて鋭い蹴りを‥‥! でも、私は倒れない。世界中の女の子の胸を、この手に収めるその日まで!」
「何言ってんですかアンタ?!」
 もう、大混乱。


「ぴゃ? やったなー♪」
 消灯時間も迫った頃。ベスの部屋では、宙に枕が乱れ飛んでいた。べつに怪奇現象の類ではない。修学旅行の定番、枕投げだ。ただ、この枕投げ、部屋に備え付けの備品や障子、時には窓ガラスが割れたりするので、旅館の人には嫌がられる。
「こらー! もう直ぐ消灯時間よ! 静かにしなさい!」
 勢いよく扉を開けた、お風呂上りで良い感じに火照ったゆうなの顔に、勢いよく枕がぶつかる。


 旅館内を探検していた桜は、廊下に正座させられているベスを発見した。
「どうしたんですかぁ?」
「枕投げしてたら怒られちゃった。失敗失敗☆」
 言葉とは裏腹に、口調に全く反省の色が見えない。
 そんなベスの隣、
「あっれぇ? おかしいな。教師は私の適職のはず‥‥」
 枕投げを注意しにいったはずのゆうなが、何故か一緒に廊下で正座させられている。
「消灯の後は、修学旅行恒例教師だけの大宴会があるのに‥‥」
 うふふふ、と笑うゆうなの目尻に、一滴の雫が光る。
 そんなゆうなにベスは、
「でも、ゆーな先生といっしょだと楽しいねー。あたしもアイドル倶楽部に入ってみよっかな?」
「本当? ベスちゃん。今なら副部長の特典付きよ」
「わあ、すごーい!」
 はしゃぐベスとは対照的に、小首を傾げる桜。
「それって、まだ一人しか入部してないって事ですかぁ?」
 クリティカル(会心の一撃)。
「‥‥‥‥‥‥‥‥」
 ゆうなはその場に突っ伏した。