colorFull−Interviewアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 風華弓弦
芸能 3Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 難しい
報酬 7.2万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/17〜10/19

●本文

●Interview with colorFull feat.s・t
 販売戦略でのプロモート活動の一環として、『取材』は欠かせないものだ。
 芸能人達の生の声、その言葉。そして、何気ない自然体の仕草や素顔。
 そういった、音楽や写真やプロモーションビデオの映像などからは窺い知れないものを垣間見せる事は、ファン・サービスでもあり、メディアを通して未だ存在を知らない‥‥あるいは、知っていても購買欲の薄い不特定多数へ、存在をアピールするチャンスでもある。
 デビューCDを発売してから間もなく一ヶ月を迎えようとする『colorFull』にも、「テコ入れ」としてのトミテレビ(富田TV)系情報番組でのインタビュー取材が決まった。

 インタビューの際には、「ユニット・イメージを損ねない事」と「高原瞬には触れない事」の二点が、アイベックスからトミテレビへ通達されている。またトミテレビ側からは、メンバーが答えやすいように簡単な質問内容が伝えられていた。
 曰く−−
 1)ユニット名の由来
 2)CD収録でのエピソード
 3)デビューライブへのコメント
 4)PV(プロモーション・ビデオ)撮影でのエピソード
 5)PVの見所
 6)視聴者へのメッセージ
 −−である。
 無論、バラエティ色の豊かなトミテレビの番組である。ちょっとした悪戯程度の「ハプニング」や「サプライズ」は、アイベックスも許容の範囲だと許可を出した。
 インタビューはトミテレビ内で行われ、編集された録画映像が放映される事となる。取り直しも可能なので、リラックスしてインタビューに応じて欲しいとの事だ。

 そして、アイベックスの『colorFull』プロジェクト担当者の下には、一本のホームビデオのDVDが届けられていた。

●今回の参加者

 fa0213 一角 砂凪(17歳・♀・一角獣)
 fa0634 姫乃 舞(15歳・♀・小鳥)
 fa2722 如鳳(49歳・♂・亀)
 fa2778 豊城 胡都(18歳・♂・蝙蝠)
 fa2847 柊ラキア(25歳・♂・鴉)
 fa2899 文月 舵(26歳・♀・狸)
 fa3608 黒羽 上総(23歳・♂・蝙蝠)
 fa4002 西村 哲也(25歳・♂・ハムスター)

●リプレイ本文

●TOMI−TV内
「おはよーございまーす!」
 すれ違いざま、活気のある挨拶が交わされる。
「おはようございます」
 局のスタッフに会釈を返しながら、姫乃 舞(fa0634)は『colorFull様』と書かれた紙が張られている楽屋の扉を開けた。
「おはようございます、舞さん」
 先に来ていた一角 砂凪(fa0213)が、携帯を片手に頭を下げた。彼女に豊城 胡都(fa2778)が続き、黒羽 上総(fa3608)は軽く片手を振る。
 二人の手も同様に携帯があるのを見て、舞は首を傾げた。
「皆さん、何してるんですか?」
 ディスプレイの登録完了の文字を確認してから、顔を上げる胡都。
「連絡先の交換です。一角さんの発案で」
「うん。みんなの連絡先、ちゃんと聞いてなかったなって‥‥思って。舞さんも携帯あるなら、番号を教えてもらっていいかな?」
「はい! 私も、皆さんの連絡先を教えてもらっていいですか?」
 尋ねる砂凪に笑顔で答える舞は、鞄から折り畳み式の携帯を引っ張り出す。
「おはようございます。あら、皆さんえらい熱心やね」
 電子音と携帯画面を覗く四人に文月 舵(fa2899)がくすりと笑い、ぶらさがるようにして彼女にくっつく柊ラキア(fa2847)が不思議そうな表情を浮かべる。
「連絡先の交換をな‥‥そういえば、ラキアは携帯、持ってなかったか」
「うん。ないよー!」
 上総に問われたラキアは、えへへと笑いながら答えた。

「おはようございます。今日の収録でインタビュー役を務める、西村哲也です。よろしくお願いします」
 楽屋を訪れた西村 哲也(fa4002)が、六人へ丁寧に挨拶をした。
「もう少ししたら、段取りの確認とカメラテストを兼ねてリハを始めますので、そろそろ準備をお願いしますね」
「さなぎ、取材を受けるのなんて、初めてで‥‥あの、宜しくお願いしますね!」
 勢いよく頭を下げる少女に、哲也はにっこりと笑顔をみせる。
「こちらこそ。リラックスして、自然体で話してもらえれば、大丈夫ですよ」
「はい! ユニットに参加してから、色んなこと体験出来て嬉しいなぁ‥‥『colorFull』の良い所が、見てる人に伝わる内容に出来るよう頑張らないとね」
「そうやね。たくさんの人に『colorFull』に興味を持ってもらえるよう、頑張りましょ」
 砂凪の言葉に、舵も微笑んで頷く。
 そこへノックの音が響き、如鳳(fa2722)が「失礼」と顔を出した。
「そろそろ、時間じゃぞ」
「判りました。では、また後で‥‥」
「あの、西村さん‥‥瞬君が、まだなんですけど」」
 呼び止める胡都に、哲也は首を左右に振った。
「収録は『colorFull』の皆さん六人だけだと、トミさんやアイベさんから聞いてます。だから、高原瞬さんの話はナシで‥‥皆さんの方も、その線でお願いします」
 頭を下げて哲也は楽屋を出て行き、見送った六人は互いに顔を見合わせた。
「舵ーっ!」
「あら。どないしたん、ラキアちゃん?
 突然ぎゅーっと抱きつくラキアに、驚きつつも舵は優しく彼の黒髪を撫でる。
「うん、落ち着く〜」
 呟く言葉に、彼女は小さく笑った。

●ON AIR
 案内されたスタジオは壁の一角が窓になっていて、お台場の風景が一望できる。
 メンバーとインタビュアー用の椅子とマイク、それにモニターがセットされ、後ろのディスプレイにもアクセントにモニターが置かれていた。
 簡単な打ち合わせを兼ねたリハーサルが終わると、メイク係がメンバーの髪型や衣装−−全員、プロモーション・ビデオ(PV)と同じ服装で揃えている−−の乱れを修正し。
 やがてチーフディレクターから本番のサインが出て、情報番組のジングルが賑やかに流れた。

「情報コーナーのスペシャルインタビュー。特別ゲストは、DANCE&MUSICユニット『colorFull』の皆さんです」
 進行役である哲也の紹介と同時に『星数のスタート』が流れ、六人はスタッフの拍手に包まれながら歩き出し、用意された椅子へと座る。
「皆さん、今日は宜しくお願いします」
『よろしくお願いします』
 一礼する哲也に、メンバーは一斉に声を合わせて答えた。
「中には、既に活躍中の方もいらっしゃいますが‥‥皆さん『colorFull』としてTV出演なさるのは、初めてですよね。順に、自己紹介をお願いします」
「え〜っと、誰から?」
 明るくラキアが話を振り、メンバーは顔を見合わて「そっちから」「いや、先に」と和やかに笑いながら譲り合う。
「ああ、じゃあレディ・ファーストで」
 上総が視線を投げれば、舞が左右を見てからぺこりと頭を下げ。
「ボーカルの、姫乃 舞です」
「踊るのと食べるのが大好きな、ダンサーの一角砂凪です♪」
「キーボードの文月です。宜しゅうに」
「ムードメーカー担当、歌組の柊ラキアでっす!」
「ドラム担当、甘味大好き豊城胡都です」
「ギター担当の黒羽 上総だ。改めて、よろしくな」
 自己紹介する一人一人を、カメラがアップで捉えた。

「それでは、早速質問に入りますね。ユニット名の『colorFull』なんですけど‥‥これは?」
 切り出す哲也に、「はいっ」とラキアが手を挙げる。
「舵の案なんだよね!」
「ええ‥‥ある意味、欲張りな名前をつけました」
 ラキアと舵のやり取りに、小さく笑って上総が頷いた。
「実は、『カラフル』と『フル』という言葉をかけた造語なんだ。
 数え切れない色のように、『それぞれの個性やカラーを大切にする』、『皆の気持ちが沢山詰まったユニット』、という意味でな。
 ユニット名を決める際は、メンバーで様々な案を持ち寄って話し合ったんだが、出された案にほぼ共通していたのが、『個々の個性やカラーを大切にする』というものだった事もあって、そこから最終的に決まった名前だ」
「確かに、皆さん個人も多岐に渡って活動されていて、顔ぶれも『カラフル』ですよね」
 笑顔で繋ぐ哲也は、カメラが見切らないように注意しつつ、進行台本をめくる。

「先ほども流れましたが、デビュー曲『星数のスタート』。俺も、聞かせていただきました。誰の中にもある気持ちを、歌ってますよね」
「とても優しい曲で、私も大好きです」
 ボーカルの舞がまず感想を述べ、舵がその後に続く。
「『星数のスタート』は‥‥色々なスタートを、愛おしくかみしめて歌った曲です。
 初めて歌詞を見たときまず最初に、ああこれは、うちら自身のことやと思いました。
 それに色んな人にも共感してもらえるんとちゃうかな。
 一生懸命だけで上手くいかへん事は仰山ありますけど、それでもただ一生懸命にって。
 これからも大切に歌って、皆を励ましていけるような歌にしたいですね」
「本当に、舵の言う通りだね‥‥皆を励ますには、まず自分が元気じゃなくちゃ」
 うんうんと、ラキアが重々しく首を縦に振り。
「ラキアさんは、いつも元気だよね」
「だって、ムードメーカー担当だし!」
 砂凪の突っ込みらしきモノに彼は胸を張り、他のメンバーも笑った。

「でも皆さんお忙しいでしょうし、CDの収録は大変だったんじゃないですか?」
 次の話題に移る哲也に、舞が「いえ」と答える。
「CDの収録では、メンバー全員が集まる事が出来たんです。お手伝いに来て下さった方も交えて、終始和やかな雰囲気でした。
 持ち寄った御菓子で、お茶会が始まったりして‥‥ユニットの名前も、この時に決まったんですよね。そのお祝いに、皆で乾杯した事は印象に残っています。乾杯は紙コップに入ったお茶で、でしたが」
 思い起こすように舞はくすりと笑んでみせてから、表情を引き締める。
「皆でアドバイスしあったりしながら、一つ一つ曲を作り上げて行きました。色とりどりの個性達が奏でるハーモニーを、是非皆様に聴いて頂きたいなって思います」
「なるほど。えーっと、画像が流れてきましたが‥‥これは、アイベックスのライブイベントの映像ですね」
 メンバー達の前に並ぶモニターにはライブの映像が映し出され、ディスプレイのモニタも同じものを映し出す。おそらく、編集ではライブの模様が差し込まれるのだろう。

 画面右下に出ているサブモニターでは、膝の上で指を組んだラキアが、身を乗り出すようにしてモニターを眺めていた。
 ライブにはさすがに瞬も映っているが、ピックアップされているのは今ここにいるメンバー達のシーンだ。
「この時は、お手伝いの皆も頑張ってくれて、楽しかったのがまず一番。あの舞台で歌えたのは良い経験になったなーって。はしゃぎすぎでコードにも引っかからなかったしね。上総はいなかったけど、心は一緒で」
 そこでサブモニターの映像が、ラキアから上総へと切り替わる。
「確かに参加できなかったのは残念だな。が、今でもこの通り、心は繋がっているはずだよな」
「上総さんが下さったミサンガ、いつも付けていますよ」
 次に、画面は手首につけたミサンガを見えるように振る舞に変わり、そうしてラキアへと戻ってくる。
「おっきな会場で顔は全員見えなかったけど拍手や声援で、通じ合えた気がしましたっ! 裏で円陣「おー!」って気合入れしてたんだ。そのおかげもあって大成功だったり」
「来て下さった観客の皆様との一体感が、嬉しかったですよね」
「お客さんに拍手を貰えた時は、すっごく幸せでした♪」
 舞と砂凪は、仲良く顔を見合わせた。

 モニターの映像は、ライブからPVへと切り替わった。
「これは、『星数のスタート』のPVですね」
「はい。PV撮影は‥‥場所を、自分達で決めようって事になって‥‥」
 コメントを担当する胡都が、静かに話し始める。
「『星空のスタート』は名前にちなんで『いっぱいの星空の下で!』っていう意見が多くて、ああいう構成になったんですよ。
 昼間シーンは緑がいっぱいの近郊の観光農園の丘で撮影しました。なんだか緑の中の演奏って‥‥貴重な体験でしたよ。演技パートは皆、普段からやってることじゃないですし、慣れていないから苦戦して‥‥」
 言葉が切れ、モニターは『GOING MY ROAD』のPVを映し出した。
「後は‥‥全部終わった後、皆で行った食事がおいしかった事‥‥かな?」
「甘味ですか」
 自己紹介を受けた形で話を振る哲也に、「いえ」と胡都が頭を振る。
「あの時は、中華料理でしたっけ?」
「そうそう。でも胡都は、デザートも忘れずしっかり頼んでたがな」
 上総の一言に、和やかな笑い声が起きた。
「PVの撮影は大変だったようですが‥‥見所なんかは、どうです?」
「どのシーンも精一杯頑張ったから、本当は全部見所って言いたい所だけど‥‥」
 哲也の問いに、口元に手を当てて思案する砂凪だが、ぱんと両手を打ち合わせる。
「あえて言うなら、『星数のスタート』はみんなの演技! 練習した成果を見て確かめて貰えると嬉しいです♪」
「そうですね。普段とは、イメージが違うメンバーの姿も楽しめますよ」
 舞がすかさず、コメントを挟む。
「『GOING MY ROAD』の方は、おまけ的な感じだけど残骸モニターの映像かな。練習やライブの風景に、撮影に参加できなかった舵さんも映ってます」
「うん。最後の、『印字バーン!』もお忘れなく!」
 合わせて、『GOING MY ROAD』のラストが近づき。
 ホワイトアウトした画面に、音を立てて曲名がタイプされ、その上に『colorFull』の焼印がガンッと打ち付けられた。
「ああ、これですね」
「うん!」
 元気よく答えるラキアに、画面が戻る。

「さて、そろそろ時間ですね。名残惜しいですが、最後に一言ずつ視聴者の皆様にメッセージをお願いします」
「順番は?」
「最初の紹介と同じ順番でいいですよ」
 再び聞くラキアに哲也は笑いながら答えて、カメラは舞を映し出す。
「これからも『colorFull』な音楽をお届けして行きますので、応援宜しくお願い致します」
「皆さんに、身近に感じてもらえるユニットにしていきたいです」
「ライブもたくさん、やっていきたいと思てます」
「これからも、全員ハイテンションでいくよー!」
「今回の事で、興味を持ってくれた人が増えてくれていれば、とっても嬉しいです」
「ああ。俺達に興味を持つ人達が増えてくれると幸いだな」
 最後に、上総が微笑でコメントを纏め。
「皆さん、今日は本当にありがとうございました」
『ありがとうございました』
 締め括る哲也に、メンバー達は声を合わせて答えた。

「うむ‥‥キッカリじゃな」
 編集を終えた画像に、タイムキーパーも務める如鳳が握ったストップウォッチに視線を落とす。
 コメントには瞬に関するものもあったが、それは編集でカットされた。
「で、残り時間にこれが入るのか」
 画面のテロップには、『ユニットにゲスト参加した高原瞬さんより応援メッセージ』と表示されている。
『今回はゲスト参加だったけど、とても楽しかったです。『colorFull』、僕も応援しているので、皆さんも是非聞いて下さい!』
 ホームビデオの荒い画像の中で、瞬は笑顔で手を振った。

●届かぬ言葉
「PVの時、耳にして‥‥本人から聞かない限り、何も言わないつもりだったけど。瞬、抜けるの?」
 収録後、アイベックスの担当者を捕まえたラキアは率直な疑問をぶつけていた。
「理由があるなら知りたいし、考える準備できるから。できるなら、瞬とちゃんと話す機会が欲しいです」
 さして驚く風もなく、担当者はカチンとライターの蓋を鳴らす。
「結論から言えば、瞬は抜ける。『colorFull』の今後についても、社内で検討中だ」
「検討中って‥‥」
「君から、他のメンバーに伝えてくれても構わないよ。この先の事もあるだろうからな」
 背を向ける担当者に、ラキアは立ち尽くしていた。