幻想寓話〜ラミナの子ヨーロッパ
種類 |
ショート
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担当 |
風華弓弦
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芸能 |
4Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや難
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報酬 |
20.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/11〜03/15
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●本文
●れっつお仕事
「で‥‥次の仕事だけど」
イギリスの小さな映像製作会社、アメージング・フィルム・ワークス(AFW)所属の脚本家フィルゲン・バッハは、相方の監督レオン・ローズへ声をかけた。
「とりあえず、プロットはこんな感じで‥‥まぁ、題材自体が長いから、端折っていかないと尺が合わないとは思うけど‥‥」
コピー用紙の束を片手にフィルゲンは説明をするが、相手から答えはなく。
「‥‥レオン?」
「何故‥‥」
ぼそりと返ってきた反応に、様子を窺っていた脚本家は怪訝な顔をした。
「何?」
「何故、休みの日々はこうも早く終わってしまうのだぁぁぁぁぁっ!」
「知るかっ!」
先日、休暇休養と称して湯治街へ出かけたものの、レオン的にはまだまだ遊び足りなかったらしい。
「遊びたいのは判らなくもないけど、仕事しないと次の休みが取れないだろ」
「‥‥フィルゲン君、後は頼んだ‥‥」
ぱたりと机の上に突っ伏して死んだフリをするレオンに、フィルゲンのこめかみ辺りが軽く引きつり。
「働けーっ!」
「ぬあぁぁっ!」
突っ伏した机をガクガクと揺すられて、レオンは安眠(?)を妨害された。
●幻想寓話〜ラミナの子
『ラミナは、ピレネー山脈に近いフランスのバスク地方の妖精である。
姿は人の形をしているが、全身毛むくじゃらで背は低い。また魔力を持っていて、人に財宝を与えたり、人間を石化させることもできる。
ラミナ達は、水の底や地底や洞窟に住む。人と同じように家庭を持ち、子供を産み育て、寿命が来れば死ぬ。生まれる時と死ぬ時には、人間の手助けが必要だと言う。その為か、稀に人間に親切な者もいるが、基本的には友好的ではない。時には、若い娘を浚って妻にしてしまう事もあるという。
そうして生まれた「ラミナと人の間の子」は、外見は父親と同じく外見は良くないが、普通のラミナより逞しく、死んだ人間を蘇生する程の強い魔力を持つという。例えば、細切れにされて鍋で煮込まれた人を、生き返らせる事すらできるのだ。
大きな棍棒を手に、旅をするラミナの子がいた。
まだ大人ではないラミナの子は、宝を探しているという。
ラミナの子は母親と二人で父親を上手く騙し、ラミナの集落から逃げ出した。
町で母親とひっそり暮らし始めたものの、母親は美しい女性なのに、自分は似ても似つかぬ醜い姿。その為に仲良くしようとしても町の者からは苛められ、些細なトラブルから、その怪力で町の人達に怪我をさせてしまう。
落ち込んだラミナの子は、誰も傷つけないために一人で旅に出たのだった。
旅の道中、ラミナの子は二人の友達を得た。
旅を続けるある日、三人は羊飼いに食事を振る舞ってもらう。
そして三人は羊飼いから、近くに誰も住んでない城があると聞いた。宝が残されていないかと行ってみたが、その城には悪魔が住んでいたのだ。
二人の友達は殺されてしまうが、ラミナの子は死んだ者を蘇生させる力があった。三人は悪魔を倒して、宝を手に入れる。
羊飼いにお礼に宝の一部を渡し、母親の元へ帰った−−』
「ラミナの子」をテーマとしたファンタジー・ドラマの出演者・撮影スタッフ募集。
俳優は人種国籍問わず。ラミナの子役、友人役、悪魔役、ドラマを語る吟遊詩人役などを募集。
脚本はアレンジ可能。また、アレンジ如何によっては配役の追加も検討。
ロケ地はフランスのバスク地方ポー、およびオロロン・サント・マリー近郊。ポーはピレネー山脈を臨む高台に築かれた観光保養地であり、オロロン・サント・マリーはスペインのサンティアゴ・デ・コンポステーラへ向かう巡礼路の途上に位置する、小さな宿場町である。
●リプレイ本文
●ピレネーを望み
遠くには、雪を被った山が連なっている。
ポー駅からケーブルカーでピレネー大通りに出た者達は、眺望に歓声をあげた。
「あれが、ピレネー山脈なのね」
手すりに両手をつき、ラミナの子リーズ役アイリーン(fa1814)は、踵を上げて背伸びする。
「山の向こうは、スペインだそうです」
ラミアの友人の一人、町娘マリエル役セシル・ファーレ(fa3728)の説明に、羊飼い役を演じる御堂 葵(fa2141)がガイドに目を通した。
「ピレネーの西域、この辺りからスペイン領も含めた一帯が、バスク地方なんですね」
「こんな所に、ラミナがいるんだね。毛むくじゃらで、山の中を歩いている‥‥と」
「想像すると、何だか雪男チックね」
冗談めかす悪魔役の深森風音(fa3736)に、ラミナの子の母親モニク役を演じる那由他(fa4832)がくすくすと笑う。
「それにしても、凄くいい景色ですね」
コートの襟を合わせながら、ラミアの友人のもう一人、旅人のアンリ役に扮する加羅(fa4478)が改めて広がる風景に感嘆の言葉を呟いた。
「空気と景色のいい場所で‥‥食べるメロンパンも‥‥また格別です‥‥」
使い魔役の湯ノ花 ゆくる(fa0640)は、持参のメロンパンを齧っている。
「ゆくる君‥‥カメラが回っていない時はいいけど、撮影中はソレを出さないようにね」
「‥‥?」
フィルゲン・バッハからの思わぬ『メロンパン禁止令』に、ゆくるは首を傾げた。
「中世には、メロンパンないし」
ちなみにメロンパンは日本発祥のパンであり、明治時代後半頃に作られ始めたと言われている。それはさて置き。
「景色はいいけど、この辺りは雨が多いらしいんだよ」
不安そうなフィルゲンがぐるりと空を見回せば、意外そうに吟遊詩人役の羽曳野ハツ子(fa1032)も彼に倣う。
「こんなに、いい天気なのに?」
「うん。三日と晴れが続かないらしいから、屋外のロケはササッと纏めて、やっちゃわないとね」
「のんびり仕事も出来んものだな」
眠そうなレオン・ローズは、両手を挙げて大きな伸びをした。
「そもそも、のんびりしにきたんじゃないから。今回は」
監督へ釘を刺す脚本家に、ハツ子は思わず笑う。
「ねぇ、レオン監督。母親との回想シーン、サントマリー教会で撮影できないかしら? 悪魔の誘惑を振り切るのに、教会と母親、聖母って感じも出るし‥‥」
仕事の話に話題が移れば、アイリーンがプランを提案し。
ハツ子が振り返れば、そこにはポーの町並みが静かに佇んでいた。
●一つの出会い
チリンチリンと、鈴の音が鳴る。
深くフードを被った人影は、鈴のついた杖を雪と岩の地面に突いて歩く。
不意にその歩みを止めると、降ろしたフードがずれないよう、その端に指をかけ。
チリンと鈴を鳴らして、行く手に広がる連なる峰を杖で示した。
「今日のお話は、この『幸運の語り手』がしましょうか。
慈愛と友情の、優しい物語を‥‥」
再びチリンと鈴が揺れて、杖が地を突き−−。
杖を突いて歩く脇を、蹄の足が軽々と通り過ぎる。
「あれ‥‥羊がいるよ?」
一匹で歩く子羊に少女が首を傾げ、長身の青年が足を止めた。
「この辺りでは、羊の放牧は珍しくないですよ。でも、この子は‥‥」
辺りを見回す羊は、不安な鳴き声をあげ。
「群れとはぐれたのね」
フードを被った最後の一人が、少女の声で呟く。
「ね、アンリ。群れに返してあげられないかな‥‥リーズも、可哀想だと思うよね」
二人を見比べて同意を求める少女に、アンリは小さく笑って嘆息した。
「群れは、そう遠くない場所にいると思いますが。どうしますか、リーズ」
問いかけられ、リーズは仲間を探す羊をしばし目で追い。
「急ぐ旅でも‥‥あてがある旅でもないし。マリーがそうしたいなら、探してみようか」
「よかった。じゃあ、えーっと‥‥どうやって、連れて行ったらいいかなぁ」
「俺が捕まえますよ」
悩むマリエルをよそに、ひょいとアンリが進み出た。
集まった羊達を数えては、彼女は溜め息をついていた。
その足元では、三匹の犬が不安げに指示を待っている。
と、そこへ「こんにちは」と声をかけられた。
驚いて振り返れば、そこにいるのは少女と青年とフードを被った小柄な人物という、奇妙な三人。
アンリが抱えた子羊を放すと、子羊は一目散に群れの親の元へと走っていく。
「はぐれたのを見つけたので‥‥近くに群れがいて、よかったです」
じゃあと、軽く挨拶をしてその場を去ろうとする三人だったが。
「助かりました、ありがとうございます。あの、お急ぎでないなら、羊を見つけたお礼を‥‥その、大した事もできませんが、よければ食事をご馳走させてもらえませか?」
突然の申し出に、アンリはマリエルと顔を見合わせて。
それから、二人はリーズに視線を向ける。
「えっと‥‥申し出は嬉しいんですが‥‥いいんですか?」
リーズの問いに、フードの人物が少女と察した羊飼いは、「ええ」と安堵の笑顔で答えた。
「山で仕事をしていますから、『お客様』は珍しくって。すぐ、火を熾しますから。寒いでしょう」
肩から提げた質素な鞄の中を手探りする羊飼いに、リーズは躊躇いがちにフードへ手をかけ。
顔を上げた羊飼いは、フードの下から現れた顔に、一瞬ぎょっとする。
「‥‥こ、こんにちは‥‥」
細かい毛に覆われた顔に困ったような笑顔を浮かべ、リーズは改めて挨拶をした。
「ごめんなさい‥‥驚いてしまって」
謝罪の言葉と共に、羊飼いはパンとチーズを差し出す。
「いえ‥‥こちらこそ、ありがとう」
礼を言って、リーズはやはり毛の生えた手でそれを受け取った。
「これ、美味しいよ。リーズ」
既にパンとチーズを頬張っていたマリエルが、屈託なくリーズへ笑いかけ。二人の会話を、アンリが穏やかに見守っている。
三人の様子に、ぎこちない様子を見せていた羊飼いも、ようやく最初の落ち着きを取り戻した。
「三人は、一緒に旅をして長いんですか?」
「えっとね。あたしの家は宿屋をやってるんだけど、泊まりにきたリーズとアンリについてきちゃった」
まずマリエルが答え、アンリは炎に手をかざす。
「俺も、たまたまマリーの宿でリーズと会って‥‥それまで一人旅をしていたんですが、特に目的もない旅暮らしだったので。三人での旅も、悪くないかなって思ったんですよ」
パンとチーズを交互に齧るリーズは、ぽっかりあいた会話の穴にやっと口を開いた。
「私も、やっぱり旅のあてはなくて。一つの場所には、あまり長く居れないから‥‥」
打ち解けたように話しながらも、隠すように手の甲をさするリーズの仕種にその理由を察したのか、羊飼いの顔に僅かな悲哀の色が過ぎ。
「そういえば、この近くに城があるんですが‥‥そこには、宝が隠されているそうですよ」
気を取り直して、彼女は明るく別の話を切り出した。
「私には羊達がいますので、案内できませんが‥‥もし興味があれば、立ち寄ってみてはどうでしょう?」
「面白そうですね‥‥行ってみませんか?」
まず興味を示したアンリがリーズに尋ねれば、少女は特に異論もなく。
ただ、賑やかなマリエルが奇妙に考え込みながら、最後のパンを飲み込んだ。
食事の礼を言い、手を振って羊飼いと別れる。
そして話に聞いた道を辿れば、日が暮れる頃に件の城が見えてきた。
「ねぇリーズ、本当に行く気なの? 前に、泊まりにきたお客さんに聞いた話だと、この辺りは『何か』が出るって噂もあるみたいよ? 第一、そうそう旨い話なんて‥‥」
「じゃあ、マリーはここで待っていて下さい。行きましょうか、リーズ」
「でもこのお城‥‥なんだか、嫌な感じだけど‥‥」
「ええ。この胡散臭い城の宝がどんな物か、二人で明かしてやりましょう」
口篭って渋るリーズを、意地悪っぽくアンリが促して。
先を進む二人に、マリエルは頬を膨らませ、慌てて後を追う。
「ち、ちょっと待ってよ! あたしも付き合うってば‥‥!」
夜の帳が降りる前に、三人は足早に城へと足を踏み込み。
闇に包まれた古い岩の城の中心に、ぽぅと小さな灯りが点った。
●疑心暗鬼の城
確かに、先を行く二人の後を追った筈だった。
湿った空気が重く漂う城の、長い廊下を何度か曲がるうち。
「さっきから同じところを歩いている気がするんだけど‥‥なんか変よね。そう思うわよね、アンリ?」
先を進む筈の背中へマリエルが声をかけても、返事はなく。
「‥‥あれ、リーズ? 二人とも、何処に行っちゃったのよ!」
気付けば、彼女は先を歩く二人の背中を見失っていた。回廊の前も後ろも、人影一つない。
「じっとしてても、しょうがないわね」
結い上げた髪をかきあげ、宝があるであろう奥へと彼女は歩き出した。
「はぐれないよう、気をつけましょう」
城に入った際に、そう声をかけた筈だった。
湿った空気が重く漂う城の、長い廊下を何度か曲がるうち。
「何だか、嫌な感じですね‥‥リーズ」
すぐ傍を歩いていたリーズへ声をかけても答えはなく、勝気な少女の声もいつの間にか息を潜めている。
「リーズ? マリー?」
気付いて足を止めれば、沈黙のみが辺りを支配していた。回廊の前も後ろも、人影一つない。
「きっと、宝の場所で会える筈‥‥ですよね」
鞄を背負い直して気を取り直し、宝があるであろう奥へと彼は歩き出した。
「あれ‥‥アンリ、マリー?」
同行者二人の名前を呼んでも、返事はなく。
彼女は独りで、回廊に立ち尽くしていた。
『‥‥可哀想な、ラミナと人の間の子。お前は、人間に騙されているんだよ』
不意に囁かれ、ぎょっとしたリーズは声の方向へ振り返る。
だが、そこには誰の姿もなく。
『人間は、自分の事だけしか考えていない、金の為なら醜く変貌するモノ‥‥お前は宝を手に入れる為に、利用されているだけなんだよ』
「嘘よ!」
姿なく囁く声に、リーズは身を強張らせて反論した。
『なら、自分の目と耳で確かめるといいさ。どちらが嘘を言っているのか‥‥』
囁きが消えて、代わりに聞き覚えのある声が耳に届く。
足早に回廊の先を進んだリーズは、その角で足を止めた。
「だから、リーズが囮になってる間に、宝を取ってさっさと逃げちゃえばいいのよ、アンリ」
「ああ、マリーの言う通りだな。所詮、醜いラミアの子。俺達、人間とは違う‥‥」
二人の会話に、思わずリーズは耳を塞ぎ。それから急いで、フードを被って顔を隠す。
『ほら‥‥本当だったろう、ラミナの子』
「違う」
『また蔑まれ、石を投げられ、追い立てられて‥‥』
「違う!」
身体全体で拒絶して、リーズはその場から這う様に逃げ出した。
その後ろから、彼女を罵る声が追ってくる。
どんなに人間らしくしていても、あの子は所詮、醜い化け物。
いずれは、本性を現して人を傷つける。
かつて、そうした様に−−。
「私、怪我をさせるつもりなんて‥‥っ!」
回廊の角で遂にその場へ座り込んだリーズは、縮こまって震え。
そんな彼女を慰める様に、ふわりと暖かい光が灯る。
(「リーズ、お母さんと約束してくれる? どんなに辛くされても、人を信じるって。皆いつかきっと、あなたが優しい子だって判ってくれるわ。だから、もう少しだけ‥‥人を信じてあげて」)
いつも、そうしてくれたように。
彼女の母親は微笑んで頭を撫で、彼女を抱きしめて−−。
ピキンと音を立てて、水晶の柱にヒビが入る。
手を翳す黒い人影が、微かに身じろぎをした。
「死んだかな‥‥死んでるかな‥‥」
蝙蝠の翼を持つ使い魔の少女が、金や銀でできた装飾品を手に握って倒れた二人を棒でつつき。
「死んだみたいです‥‥シャクス様‥‥」
部屋の奥に立つ黒服黒髪の主へ、報告する。
だが、城の悪魔は扉を睨み。
どんっ! と力強い音と共に、厚い扉が開け放たれた。
「アンリ、マリー!」
駆け込んだリーズは、倒れた二人に気付いて駆け寄り。
血の気を失った二人を抱いて、はらはらと涙を零す。
すると、不思議な事に涙が落ちた頬や手から、血の気が戻り。
「あれ、リーズ‥‥?」
目を開けたアンリが、不思議そうに問いかけた。
「あ〜あ‥‥死んでたのに‥‥」
残念そうに、使い魔は肩を落とし。
二人が息を吹き返したのを確認したリーズは、悪魔と使い魔を見据える。
「あくまでも、人間を信じるか‥‥ラミアの子」
それでも揺るがぬ視線で彼女が無骨な棍棒を手にすると、悪魔の姿が闇に揺らぐ。
「なら、好きにするがいいさ。だが、忘れない事だ。宝に目が眩んだ人間というのはなかなかに恐ろしい生き物だよ。そう、時に悪魔よりね。さて、いつまで人間を信じていられるかな‥‥くっくっくっ」
三人が茫然と見つめる中、響く笑いを残して悪魔の姿は掻き消えた。
「これ、どうします?」
城から持ち出した宝を前に、アンリが聞けば。
「マリーとアンリにあげる」
あっさりと答えるリーズに、二人は目を丸くした。
「でも、リーズは‥‥」
問いを重ねるマリエルに、彼女はにっこりと笑顔を見せる。
「私、お母さんの元へ帰るよ。きっと‥‥私の帰りを待ってると思うの」
「それなら、俺も一緒に行きますよ。宝は‥‥そうですね。羊飼いの彼女へのお礼に」
「いいわよ」
「アンリ、ずる〜い。あたしも行くからね!」
言い合う二人を笑って眺めるリーズは、不意に口を開いた。
「ね。お母さんに、紹介してもいいかな‥‥二人は、私の友人だって」
リーズの言葉に、二人は笑顔で頷く。
地平より差す朝日が、その笑顔を照らした。
「そうして、話はこうして終わります。めでたし、めでたし−−」
語り手が杖をつけば、チリンと一つ鈴が鳴った。