幻想寓話〜ルー・ガルーヨーロッパ
種類 |
ショート
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担当 |
風華弓弦
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芸能 |
4Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
やや難
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報酬 |
17.3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
07/15〜07/19
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●本文
●真面目にお仕事(たまには)
「今回のホンだが‥‥よいのか?」
脚本に目を通した監督レオン・ローズが、珍しく監督らしい事を聞いた。
「うん。レオンの方で、問題がなければね」
「まぁ‥‥あまり扱わぬ題材であるから、それはそれで面白かろうとは思うがな」
脚本家フィルゲン・バッハの答えに、ぽんとレオンは紙の束を叩く。
「演ずる者が納得できるなら、問題なかろうが‥‥その為にも、考えておかねばなるまいな」
「考えるって‥‥何を?」
怪訝そうにフィルゲンが尋ねれば、相方は意味ありげな笑顔を作った。
「つまり‥‥今回のおやつは、出演者特権にする‥‥と」
あさっての方向を見ながらフィルゲンが返すと、レオンの笑顔は如実にしょぼんとしぼむ。
「待て。それではフィルゲン君も、寂しかろうっ!」
「僕は『味見』するから。というか、一番寂しいのは自分だろ?」
「はっはっはーっ。それは当然!」
「そこで無意味に胸を張るなっ」
フィルゲンは、思いっきりレオンの向こう脛を蹴っ飛ばした。
●幻想寓話〜ルー・ガルー
『フランスに伝わるルー・ガルー。それは、一口に言ってしまえば一種の狼人間である。
日中は普通に人の姿をしているが、夜になると狼へと変化する。狼の姿の時は人の心を失っていて、もし人と出会っても相手を襲って喰らってしまうという。
ルー・ガルーは、最初から狼人間だった訳ではない。元々は人間だったが、魔女の呪いを受けてルー・ガルーとなってしまったのだ。またルー・ガルーとなった者は、時に馬や黒い犬などにも変身するという。
残念ながらルー・ガルーにかけられた呪いは、魔女を倒しても解ける事はない。
聖水や、あるいは血を撒く事によって一時的に遠ざける事はできるが、それによって人に戻す事は出来ず。
ルー・ガルーとなった者を救う術は唯一、その命を絶ってやる事のみ‥‥。
その日、獲物を見つける事ができなかった猟師は、いつも踏み入れない森の奥にまで足を伸ばした。
夜になっても獲物はなく、猟師は仕方なく家路につく。だが、その途中で二本足で立つ狼と出くわした。
銃を撃っても効かず、とっさに猟師は持っていたナイフで襲い掛かる狼に切り付ける。
傷を負った狼は夜の森へと逃げ去り、猟師も後を追う事なく村へと戻った。
翌日。猟師は顔をあわせた友人から、奇妙な話を聞かされた。
彼の妻が、夜になると姿を消すのだという。
特に今朝は、何故か酷い怪我をしていたのだが、友人が問い詰めてもその理由を話さない。
妻の秘密を明かすため、ぜひ協力して欲しいと友人は彼に頼んだ−−』
「ルー・ガルー」をテーマとしたファンタジー・ドラマの出演者・撮影スタッフ募集。
俳優は人種国籍問わず。猟師役、猟師の友人役、ルー・ガルーとなった妻あるいは娘役(できれば狼獣人か、犬獣人を希望)、ドラマを語る吟遊詩人役などを募集。
脚本はアレンジ可能。また、アレンジ如何によっては配役の追加も検討。
ロケ地は、フランス。フランシュ・コンテのポーム・レ・メッスィユー。切り立った崖に囲まれた、緑豊かな深い谷間の村で、フランスの最も美しい村の一つに選ばれた場所である。
●リプレイ本文
●緑の谷
緑に覆われた谷の底に、ボーム・レ・メッスィユーはあった。
見下ろして走る斜面の道路を通って着いた村には、中世フランスの空気を残した静かな風景が佇んでいる。
「綺麗な所だね」
石を積んで作られた家々を、今回はスタッフに専念する宇藤原イリス(fa5642)が眺める。
「同じ『最も美しい村』に選ばれた村でも、サン・シル・ラポピーとは違った趣があるな」
猟師ヒースの友人ラウル役となる月.(fa2225)が呟けば、彼と並んで石畳の路地を歩く吟遊詩人役の嘩京・流(fa1791)は辺りを見回す。
「ああ。ラポピーは崖の上だったし、対照的つーか‥‥ん?」
そして、初ドラマながら重要な役回りを任されたラウルの妻クロエ役アリス・フォーレ(fa5910)に目をとめた。無意識に金色の髪の先を触りながら、時おりナニやらガラス窓に向かって難しい顔をしている。そんな彼女の背中を、流はぽんと軽く叩き。
「緊張してんのか? あんま肩に力入れないほうがいいぜ。疲れちまう」
「あ‥‥流さん」
驚いて振り返ったアリスへ、彼はにっと笑ってみせる。
「これが初仕事だもんな、意気込むのは解るぜ。お互い頑張ろうぜ。どんな演技してくれるのか、個人的に楽しみにしてるし」
「うん、精一杯頑張るね。月さんも、よろしくね」
「ああ」
まだ固さが残るもののアリスは笑顔を返し、月も短く答えた。
「私も負けない様、恐ろしい魔女を演じるわね。マクスウェルさんに、貫禄があるなんて言われたし、メイクは頼んだわよ宇藤原さん」
森の魔女アーダ役の那由他(fa4832)がイリスへ微笑む。先を歩く魔女の使い魔役ミレル・マクスウェル(fa4622)も、赤毛を揺らして勢いよく振り返った。
「悲しい話だけど、心に残る作品にしようねっ」
「これも、狼の獣人から生まれた伝説の一つなのだろうな。本人の命を絶つ事でしか救えないルー・ガルーは‥‥もしかしすると、言われなく葬られた人々だったのかもしれん」
思うところがあるのか、猟師ヒース役スラッジ(fa4773)は目を伏せる。
「そうですね。こういった話の裏では、多かれ少なかれ‥‥そういう誤解も、あったと聞きますし」
獣人という言葉は出さず、妻クロエの友人ドリー役を演じる斉賀伊織(fa4840)は、思いを馳せるように周囲の濃い緑の森を眺め。
「ところで、レオン監督とフィルゲンさんは?」
気付いたイリスが辺りを見回し、姿の見えない二人を探した。
●森に潜む
葉擦れの音が、ざわざわと騒ぐ。
夕暮れの赤い木漏れ日が射し込み、一方で色濃く刻まれた深い森の陰より物悲しげな音が響いた。
深くフードを下ろしたローブ姿の佇む影が、手にしたケルティックハープの弦を弾く。
「今宵も望むか、我の詩を」
ほんの少しだけ手を止め、低い呟きを挟むと短いフレーズを紡ぎ。
「ならば、この『赤き瞳の謡い手』が聴かせよう。
呪われた力に翻弄される悲しき狼の物語を‥‥」
色褪せる夕焼けと共に、森の奥は陰りに沈み。
弦の音と合わせる様に、葉擦れの音は大きくなって−−。
風にざわざわと鳴る森の梢を、不安げに彼女は見上げていた。
「クロエさーん! どこですかー?」
友人のドリーの声が、聞こえる。
「帰ら‥‥なきゃ」
手に持ったショールをぎゅっと握り締め、身を翻してクロエは友人の声の方向へと走って行った。
‥‥背中から迫る闇と、葉擦れの音に追い立てられるように。
友人を探していたドリーは彼女の姿を見つけると、ほっとした表情で駆け寄る。
「よかった。この近くには『魔女の庭』があるって噂もありますし、心配したんですよ。もう陽も暮れましたし、魔女が現れる前に村へ戻りましょう」
「ええ‥‥そうね」
俯きがちに頷くクロエの様子に、ドリーは心配そうに顔を覗き込んだ。
「顔色、良くないですよ?」
「大丈夫よ、ドリー」
「そうですか? あ、これ。落ちてましたよ」
小さくクロエが微笑めば、野苺が入った籠をドリーが差し出す。
遠くに見える村へ帰る彼女らの後姿を、梢から小柄な少女がくすくすと笑って見下ろしていた。
その翌日。
村外れで、遺体となったドリーが発見された。
腕や足には、幾つかの引っかき傷が。そして何より、肩口に大きな咬傷が残されていて。
「狼にでも‥‥出くわしたか」
ドリーの傍らに膝をつき、傷を調べた猟師のヒースが呟いた。
「こんな、村から近い場所でか?」
怪訝そうな友人の声を、彼は振り仰ぐ。険しい表情で見下ろすラウルへ寄り添ったクロエは、変わり果てた友人の姿に真っ青な顔を背けていた。親しい友人が無残な姿で帰らぬ人となったのだから、仕方ないだろう。
「念のため、しばらく夜に出歩くのは避けた方がいい。一人でなら、尚更な」
一つ大きく息を吐いたヒースは、銃を取って立ち上がる。
「それから、クロエを休ませてやった方がいいぞ。俺は狩りのついでに、狼の痕跡がないか調べてくる」
「ああ。気をつけてな」
ラウルがかける声に、背を向けて森へ向かうヒースは片手を挙げて応えた。
「さぁ、家へ戻ろう。少し休んだ方がいい」
震える肩を抱いて、ラウルは妻を促す。
青い空に教会の鐘が重々しく鳴って、故人へ別れを告げた。
その後、狼を恐れた村人達は、日が暮れると窓や扉を硬く閉め、家へ閉じこもる。
だが、ヒースは変わらず森へと出向いた。
そして‥‥。
●閑話
「お茶が入ったよ〜」
何故かブラウニーに扮したイリスが、ワゴンを押してくる。
ドーナツのような香ばしい匂いと紅茶の香りが、部屋に満ちた。
「わ〜い、おやつ〜! 手伝うね!」
嬉しげなミレルがワゴンへと駆け寄り、そこにのった丸い揚げ菓子を覗き込む。
「何、これ?」
「ん〜と、この丸いのはシュークリームの皮みたいなのを揚げた、スピール・ド・ノンヌだって。あと私もバラのジャムも用意したから、好みで入れてよ」
「美味しそうですね‥‥あ、イリスさん。メイクの方も、ありがとうございました」
皿を受け取りながら、伊織がイリスへ礼を述べた。
「そういえば、監督とフィルゲンは‥‥いないね」
お茶の時間なのに不在の騒がしい二人を、那由他が探す。
「えっと、厨房の方にいるよ」
「厨房、ですか?」
イリスの答えに、伊織が不思議そうな顔をした。
「今回は、おやつ作り係、だって」
「それじゃあ‥‥もしかして、これはレオン監督達が作ったとか?」
揚げ菓子を指差すアリスに、「うん」とイリスが頷く。
「ナンか、面白そうだな。見に行くか、月?」
「そうだな。一服ついでにでも」
流の誘いに、椅子に掛けていた月が腰を上げた。
「そーだ。これ、俺も作ってみたぜ。セーシュって名前らしいけど、よかったら食ってみてくれ」
「流さん、ありがとー!」
ワゴンの上に紙箱を置く流へ、ミレルが礼を言う。
箱を開ければ、ガレットの様なパイ生地製の菓子が1ホール入っており、微かオレンジの花の香りが漂った。
「それなら俺は、二人へ乾パンでも差し入れるか」
「乾パンって‥‥」
流と月へ続くスラッジに、那由他が苦笑する。
「腹持ちもいいし、味も中々だからな。」
そして三人の男達は、部屋を後にして。
やがて厨房から聞こえてきた二人の奇声に、お茶を楽しむ者達は顔を見合わせて笑った。
●魔女の呪い
ドアがノックされた。
続いて主の在宅を問う声に緊張を解き、ヒースは来訪者へ答える。
「ヒース、その傷は‥‥」
扉を閉めたクロエは腕に負った傷の手当てをしていた相手に目を丸くし、言葉を失った。
「ああ。昨夜、森で狼に似た獣と出くわしてな。襲われたが、何とか手傷を与えて追い払った。多分あれが、ドリーを襲った獣だろう」
はっと彼女が、息を飲む。表情を曇らせた後、クロエはのろのろとテーブルの包帯や鋏を手に取った。
「手伝うわ。片手では‥‥包帯も上手く、巻けないでしょう」
「有難い」
苦笑して、ヒースは途中まで済ませた傷の手当てをクロエへ任せる。
「しかし、こんな朝早くからどうした。ラウルの用か?」
「あなたに相談があって、来たの‥‥」
返ってきた暗い言葉に、彼は怪訝な表情をして。
それから、手当てをするクロエの手首に巻かれた真新しい包帯に気がついた。
ちょうど前夜に襲ってきた獣へ与えた傷と、ほぼ同じ場所に巻かれた包帯に−−。
「クロエ、その傷は?」
注意深く問うと、包帯を巻く手が止まる。
泣き腫らして赤い目が閉じられ、憂いの表情は悲しみへと変わり。
何とか感情の波をやり過ごすと、クロエは再び手当てを続けた。
「ヒースに、お願いがあるの‥‥」
手を動かしながら、静かに彼女は言葉を口にする。
「どうか、私を殺して下さい」
風に飛ばされたショールを探し、彼女は森の奥へと分け入った。
それは夫から贈られた、彼女の宝物の一つ。
藪に引っかかっているのを見つけ出し、ほっと安堵の息を吐いたその時。
‥‥くす、くすくす‥‥。
笑い声に振り返れば、木陰に立った見覚えのない少女が、悪戯っぽく彼女を見ていた。
「魔女アーダの『庭』に、入っちゃったね。ご主人様、怒ってるよ?」
面白がるような声に続いて、彼女の視界が歪んだ。
よろめいて地面へついた手は、人のソレではなく。
細い足も、獣の後ろ足に変わり。
顔に手を当てれば鼻面が伸びて、口が耳まで裂けている。
「私の『庭』へ勝手に踏み込んだ報いを、受けるがいい。ルー・ガルーの呪いをね」
皺枯れた、冷たい老婆の声が宣告し。
彼女は慌てて、逃げ出した‥‥。
「その日から、太陽が沈むと私は獣になってしまうの。全てを覚えている訳じゃないけど、ドリーも私が‥‥っ」
告白したクロエは、言葉を詰まらせ。
そこへ、ガンッと外から鈍い物音が聞こえた。
はっと身を硬くするクロエへ首を振り、ヒースは音もなく扉に近付く。
「誰だっ!」
一喝と共に、扉を開け放つと。
そこには拳を壁に打ち付けたラウルが、肩を震わせていた。
重い空気が、部屋を支配する。
全ての話を聞いたラウルは、険しい表情で椅子から立ち上がった。
「あなた‥‥」
「森の魔女がお前に呪いをかけたなら、奴に呪いを解かせる」
そう告げると、彼は悲痛な表情の妻の手を取る。
「だが、お前一人を村へ残すのも心配だ‥‥一緒に来てくれるか」
「待てよ。ルー・ガルーが二人になるのは、ご免だぞ」
上着を着たヒースが、テーブルの銃を取った。
「モノは試しだ。魔女を倒せば、呪いが解けるかもしれないしな」
テーブルの薬草を選り取っていた指が、不意に止まる。
「性懲りもなく、また人間が入り込んだようだね」
皺の刻まれた手を伸ばし、アーダは傍らに置く捩れた杖を取り上げた。
●小さな願いを
「妻を元へ戻す方法を、教えてもらおうか」
『庭』へ足を踏み入れたラウルが、姿を現した魔女へ厳しい口調で問い詰めた。
「ふん。元に戻す方法なんか、ありゃしないよ。さっさと帰りな」
鼻先でせせら笑うと、アーダは三人を追い払う様にシッシと手を振る。だがヒースは無言で、構えた銃の銃口を魔女へ向けた。
「呪いが解けないなら、尚更の事。これ以上の犠牲者を出さない為‥‥何より妻を魔物にした罪を、償ってもらうぞ」
剣を構えたラウルが、アーダへにじり寄る。
「身の程知らずの人間が。やれるものなら、やってごらん!」
恐ろしい形相で叫ぶと、魔女は振り上げた杖で地面を就いた。
途端にラウルとヒースの足元を割って、蔓が延び。あっという間に身体へ絡みついて、ギリギリと締め上げる。
「ラウル、ヒース‥‥!」
木の陰から見守るクロエが、思わず声を上げた。が、使い魔の少女が立ち塞がる。
「このまま、くびり殺すか。それとも‥‥」
アーダは取り出した小袋へ手を突っ込むと、掴んだ粉を二人へ撒いた。と、粉が降りかかった部分から、身体が石の様に固まっていく。
「石になって、粉々に砕け散るのがいいかい?」
「くっ‥‥アーダぁぁぁっ!」
気迫と共に、ラウルは身体の自由を奪う蔓へ剣を突き立てた。
だが、手ごたえはなく。
代わりに、鈍い痛みが脇腹に走る。
痛みに目が眩んだ瞬間、彼の自由を奪う蔓も石と化す身体も、全てが消えていた。
「幻‥‥!?」
「だが、囚われれば死んでしまう幻術さ!」
アーダが手を翻すと、地中から土が槍の様に伸び、ラウルの身体を貫く。
「ぐあ‥‥っ」
「ラウル! くそ、こんな幻など‥‥っ!」
友人を助けようと、蔓に捕らわれたヒースがもがく。
その一方でラウルはなおも足を引き摺って、魔女との距離を詰め。
鋭い風に皮膚を裂かれながらも手を伸ばし、その皺だらけの腕と杖を掴む。
「ヒース‥‥!」
友人の必死の声に、ようやく蔓の幻影を振りほどいたヒースは、銃を構え。
「ラウルっ! こ、の‥‥魔女め‥‥!」
引き金を、引いた。
銃声が森に響き。
老女が崩れ落ちると同時に、行く手を遮っていた少女の姿も煙の様にかき消える。
「ラウル!」
弾かれた様にクロエが夫へと駆け寄ると、ラウルは力ない微笑みを妻へ向けた。
「クロエ‥‥先に逝くよ。待って、いるから‥‥」
頬を撫でる指が、力を失ってぱたりと地に落ちる。
「クロエ‥‥」
苦しげに声を絞り出す友人を、彼女は懇願する目で見上げた。
「ヒース‥‥お願い。これ以上、犠牲者を出したくないの。日が暮れる前に私を、どうかラウルと共に逝かせて‥‥」
そして、銃声がまた一つ。
手を握って倒れた夫婦の表情は、何故か安らかな笑顔に満ちていた。
「お前達のような者は、もう出ない。だから、二人安らかに眠ってくれ‥‥」
花を手向けるとヒースは瞑目し、それからそっと背を向ける。
静かな森の、奥深く。
二つの小さな墓を慰めるように、ハープの弦の音が寂しく響いた。