Metalslinger Girl:Fヨーロッパ

種類 ショート
担当 菊池五郎
芸能 4Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 19.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 07/17〜07/21

●本文

■イントロダクション
 F.C.23年(=火星開拓世紀)。テラフォーミングが成功し、人類の住まう第2の惑星となった火星へ、地球より北方系、東方系、極東系の3つの陣営に分かれて入植者を送り始めて23年。
 極冠部の永久凍土が融解して地表の大半が海と化し、アフリカ大陸程度しかない実用に足る土地を巡り、各陣営はより広大な入植地を手に入れようと開拓を押し進め、火星は各陣営の入植者達による紛争の渦中にあった。

 各陣営は『Flamberge(フランベルジェ)』と呼ばれる、全長17m前後の二足歩行人型兵器を競って配備し、紛争へ投入した。
 Flambergeは、二足歩行型開拓機『Zwihander(ツヴァイハンダー)』を戦闘用に特化した兵器だ。Zwihanderが1人乗りなのに対し、Flambergeはメインパイロットとサブパイロット兼オペレーターの2人乗りだ。
 入植者達の開拓する各地域へ配備される数は陣営にもよるが、極東系は「軍備を持たない」という建前から、陣営で傭兵と専属契約を結び、安全を確保してもらっていた。


■あらすじ
 極東系の入植者の中でも、日本の出身者が多く集まる地域グランド・トキオ。その第弐琵琶湖の近くの極東系コミュニティに駐在していた傭兵達は、謎のFlambergeに追われていた、自らを「スー」と名乗るパールピンクのFlambergeと遭遇する。彼女を追っていたFlambergeは無人機で、スーは「目が覚めたらFlambergeになっていた」と説明した。
 しかし、スーが所属していた女性だけの傭兵小隊“Alice・quartet”は、数ヶ月前に全滅していた。

 スーの機体はブラックボックスが多く、中でも今の技術ではFlambergeへの搭載が不可能と言われる『荷電粒子砲』を、実用レベルで装備するオーバーテクノロジーの固まりであった。
 そしてAlice・quartet小隊の隊長キャシーやスーの親友シルバも、彼女同様にFlambergeに変えられ、スーの手で撃破されていった。


■最終回の概要
 unknownシリーズの正体は、「紛争を早く終わらせる為」に合衆国が開発していた新型Flambergeだった。
 ロームは合衆国から開発への協力を持ち掛けられ、人工知能のサンプルとして所属していたAlice・quartet小隊のメンバーを合衆国へ売り渡したのだ。
 そして合衆国はunknown�T―�Xを試作、その性能実験場として火星を選んだ。
『Flambergeに人が乗らなかったら、それこそ紛争は机上のウォーゲームになるだけじゃない!』
 傭兵とはいえ、スーにも戦う意味や仁義がある。いや、スーだけではない。傭兵にも傭兵なりの仁義があるし、Flamberge乗りは祖国のコミュニティを守る為にFlambergeを駆る。
 戦場から人が消えれば、確かに人的被害はなくなるだろう。だが、戦いを人工知能に任せ、人が高みの見物を始めれば、戦争は激化の一途を辿るゲームに成り下がるだけだ。
 残念だが、極東系の陣営は合衆国と同盟関係にあるので、unknownシリーズの開発の情報を流したとしても陣営としては動いてくれない。逆に情報を握りつぶされるのがオチだ。
 ならば、現行のFlambergeがunknownシリーズより優っている、人が乗る事に意味がある事を証明するのみ。

 スーと傭兵達は、残るunknownの試作機を破壊する事を決めたのだった。


■設定
□各陣営
・北方系:ヨーロッパを中心とした入植集団。東方系と対立し、極東系とは中立。
・東方系:ロシアを中心とした入植集団。北方系・極東系と対立。
・極東系:アジアを中心とした入植集団。北方系・東方系共に中立。

□入植者達
・傭兵:個人でFlamberge、ないし戦闘用に改造したZwihanderを所有し、小隊が配属されないような入植地を有償で警備する。傭兵は対立・中立関係なく、どの陣営にもいる。
・入植者:基本的に民間人。入植の為に地球から来て間もない者もいれば、入植が始まって23年が経っており、火星生まれ・育ちの2世代目も登場している。14歳以上であればZwihanderの基本的な操縦技術は学校で習うので、希にいきなりFlambergeに乗って敵Flambergeを撃墜してしまう逸材が現れる事もある。
・Flamberge乗り:基本的に軍人。各陣営よりFlambergeを与えられて小隊へ編成され、各入植地の警備に当たる。他の陣営の者が混ざる事は少ないが、中立の陣営であれば協力していてもおかしくない。

□Flamberge
・unknown―�X:ロームが愛機としているFlamberge。基本性能は指揮官機を上回る。unknown�T―�Wの集大成で、高出力レーザー兵器を搭載して攻撃力を、スラスターを搭載して機動性を高めている。唯一の欠点は高出力による放熱量だろうか。
 火力:A 白兵:B 防御力:A 機動性:A 索敵能力:A 故障率:B?
 武装:メガ・レーザーランチャー、腕部ガトリングランチャー、胸部4連装グレネード、メガ・レーザーソード、ソニックシールド

・スー:合衆国が極秘に開発していたFlamberge。基本性能は指揮官機を上回る。傭兵「スー」の人格が搭載され、自立稼動が可能。動力源である熱核融合炉を利用した荷電粒子エンハンサーを装備している。
 火力:A(S) 白兵:A 防御力:B 機動性:A 索敵能力:B 故障率:D
 武装:荷電粒子砲、P90型サブマシンガン、ツインレーザーソード(兼シールド)、ステルス

・アメノムラクモ:指揮官機。基本性能と汎用性は高いが、その分コストも掛かる為、原則1小隊に1機しか配備さない。
 火力:B 白兵:B 防御力:B 機動性:C 索敵能力:C 故障率:A
 武装:レーザーランチャー、レーザーソード、シールド

・ヒノカグツチ:支援機。中距離〜遠距離火力支援を主任務として開発され、射程距離と火力は抜群。その分、白兵戦能力や機動性を犠牲にしている。
 火力:A 白兵:E 防御力:C 機動性:D 索敵能力:E 故障率:D
 武装:ロングレンジレーザーキャノン×2、9連装ミサイルランチャー、連装バズーカ

・クサナギ:白兵機。白兵戦に特化した装備になっており、射撃武器はほとんど装備していない。
 火力:D 白兵:A 防御力:B 機動性:C 索敵能力:D 故障率:C
 武装:レーザーナイフ、レーザーソード、レーザーグレイブ、シールド、グレネード(榴弾)

・ムラマサ:隠密機。ステルス機能を搭載した機体で、破壊工作や潜入任務を行なう。ステルス機能を実現する為に防御力を犠牲にしている。
 火力:D 白兵:D 防御力:E 機動性:A 索敵能力:B 故障率:B
 武装:ガトリングガン、レーザーナイフ、スモークディスチャージャー(煙幕)

・フツノミタマ:偵察機。高出力センサーや通信指揮システムを搭載し、索敵を行う機体。偵察機なので戦闘力はかなり低い。
 火力:D 白兵:E 防御力:D 機動性:B 索敵能力:A 故障率:B
 武装:マシンガン、レーザーナイフ、ECM
※この他、Flambergeを3機運搬できるホバー指揮車両『アメノヌボコ』がある。


■成長傾向
 芝居・発声

●今回の参加者

 fa0154 風羽シン(27歳・♂・鷹)
 fa0378 九条・運(17歳・♂・竜)
 fa1718 緑川メグミ(24歳・♀・小鳥)
 fa3014 ジョニー・マッスルマン(26歳・♂・一角獣)
 fa3938 月影 飛翔(20歳・♂・鴉)
 fa4768 新井久万莉(25歳・♀・アライグマ)
 fa4852 堕姫 ルキ(16歳・♀・鴉)
 fa4905 森里碧(16歳・♀・一角獣)

●リプレイ本文


●Something more important than money
 第弐琵琶湖のコミュニティを警備するこのFlamberge小隊の傭兵達は、ホバー指揮車両『アメノヌボコ』の中で待機を命じられていた。
 カズマ・ミカゲがブリーフィングルームへやってくると先客がいた。ディセ・ラヴィアンは一心不乱にハンディタイプのパソコンへ向かって何やら書き事中。
「‥‥没落したとある大財閥の末路? 極東系陣営に傭兵として潜り込んでいた東方系陣営のスパイ?」
「スーちゃんだけを追っ掛けて食べていける程、ジャーナリズムは甘くないって事よ」
 傭兵達には、その月に起こった出来事を紹介する広報が存在する。ディセはその記事を書いているジャーナリストの1人であり、時には自身も傭兵として戦場へ赴いてネタを仕入れたり、ネタの裏を取った。
「‥‥やはり凄いな。unknown―�T、いやスーは汎用型、unknown―�Uは射撃戦特化型、unknown―�Vは格闘戦特化型、unknown―�Wは可変型‥‥いずれも現行のFlambergeの性能を凌駕している」
 カズマは窓の外を見遣る。そこにはパールピンクに塗装されたFlamberge、unknown―�Tことスーの機体と、先のunknown―�Wとの戦いで大破し、破棄されたアメノムラクモの姿があった。
 スーや大破したアメノムラクモから、unknown―�Uから�Wまでの交戦データを引っ張り出したカズマは、改めて合衆国の技術力に驚嘆した。データを送信してもらったディセも、実際、スーに乗っていてそれは実感している。
「残念だが、極東系陣営は合衆国と同盟関係にあるので、unknownシリーズの情報を流しても陣営として、表立って合衆国に抗議は入れられないさ」
 ムラマサと共に配属されたジェイムズ・スチュワートが悲報を持ってくる。ジェスは北方系二世の傭兵で25歳、特殊工作のエキスパートであり、愛機のムラマサもそれ用にカスタマイズされている。
 unknownシリーズの存在は、ディセがスーの記事を広報に書いた事から、大半の傭兵達は知っている。だが、その開発に合衆国が関わっているという情報を流したところ、極東系陣営も北方系陣営も握り潰してしまったのだ。
「‥‥悪いが、俺は降りさせてもらうぜ。たかだかいち傭兵が雇い主を相手にして、何が出来るっていうんだ? 正義感も結構だが、ジャーナリズム同様それじゃおまんまは食っていけないからな」
 ジェスはそのままムラマサでどこかへ行ってしまった。


「荷電粒子砲かぁ、カレンちゃんにも一門欲しいわね」
 ショーコ・コバヤカワはトレードマークの眼鏡を妖しく光らせながら、オーバーテクノロジーの結晶たるスーの機体を隅々まで弄くり回している。愛機のヒノカグツチを『カレンちゃん』と呼ぶ無類のメカフェチで、スーの機体のブラックボックスとそれに連なるシステム以外の部分を、全て解読してしまった程だ。
『うう‥‥ディセといい、ショーコといい、何であたしは女の子に身体弄られてるんだろう‥‥』
「ブラックボックスの中が解明できれば、荷電粒子エンハンサーをカレンちゃんにも転用可能‥‥それは心外ね。ディセは知らないけど、私は純粋にメカが好きなだけよ? ん? このシートの下のスペースは‥‥?」
 スーは機体から自分の本来の姿をホログラフィー投影している。赤毛の髪を肩口で切り揃え、右耳の上に髪飾りを付けた、可愛いけどちょっと気の強そうな女の子だ。右頬にある逆三角形のような入れ墨が、“Alice・quartet小隊”のメンバーの証だ。
『あふぅ、くぅん‥‥!』
 手をワキワキさせるショーコに、スーは突然嬌声を上げて下腹部を押さえ艶めかしく身を捩る。
「ショーコ、ソコを弄るのは止めた方がいいです。スーのAIシステムにかなり負荷が掛かっているみたいですから」
 アヤカ・ヒノがショーコを制する。彼女は惑星開発や戦闘による傷病者を救うべく、サイバネティック・オーガニズムを学んでいた医学生だ。現在は傭兵に志願し、医療スタッフ兼アメノヌボコのパイロットとしてこの小隊に配属された。
 アヤカの手によって、unknownシリーズの人工知能の解析がかなり進んでいた。
「状態は良好、だったけど、ブラックボックス周りを弄ると途端に乱れる。このブラックボックスが何なのか分からないけれど、機体の性能だけではない制御機構を持つのは確かですね。成長する人工知能、生体コンピュータに近いです。スー、怒らないでね? 今の体調や気分は‥‥人間としてどう‥‥かしら?」
『はぁはぁ‥‥こんな状態でも人間として扱ってくれるんだもの、怒る訳ないじゃない。ショーコに弄られた時は、意識がどこかへ吹き飛びそうになったわ』
「(性的絶頂を迎えそうになった、と)サイボーグ医療の重要課題は、機械面ではありません。生体としての『人間の保持』なの。単純な人格移植では、高い順応力を持つスーは説明できない。まして、先程のように性的反応をするなんてあり得ないですし。ブラックボックスの中身‥‥生体だと思います」
 アヤカの思い掛けない言葉に、ショーコとスーは驚きを隠せなかった。


●The last decisive battle
『合衆国は火星のテラフォーミング計画に参加しなかった代わりに、地球での軍事産業のアドバンテージをより強固なものにするのを目的に、高性能機を開発・量産化の計画を打ち立てたの。でも問題はあったわ。高性能機を使いこなせるパイロットがそう簡単に確保できないのよ。極東系、北方系、東方系の陣営は既に火星に入植してZwihanderを使っているから少年少女でもすぐにFlambergeを乗りこなせるわ。でも合衆国は根本的な考え方から違う。パイロットがいなければ無人化して物量で攻めればいい。合衆国らしい考え方だわ。あたしは嫌いだけど』
 ショーコとアヤカの手によって、スーのデータベース内に保存されていたunknownシリーズのプロジェクト関連の情報のプロテクトが解かれ、彼女はデータベースにある限りの合衆国の計画を暴露した。
「この間のアレで思ったんだけどさ、あたしとスーちゃんって結構良いコンビだよね?(‥‥何とかして、スーちゃんのコト助けられればいいんだけど)」
 ディセはパートナー気取りでスーに乗っているが、口には出さないものの、思うところがあった。


 unknown―�Wが逃げていった方向へ追跡してゆくと、地図に未登録の軍事施設が姿を現した。
『全機発進。行ってらっしゃい、みんな』
 全機、アメノヌボコから発進したのを確認すると、アヤカは退避してゆく。
「ちょっと待って‥‥施設の警備システムに、敵の接近及び不審者が潜入しても警報を発さないウィルスが感染しているみたい」
(「‥‥こんな事をするのはあいつだな。味な真似を‥‥だが、ありがとう」)
 スーとショーコの駆るヒノカグツチ、カズマの乗るクサナギが施設内へ侵入するが、警報1つ鳴らない事に拍子抜けするディセ。カレンちゃんのツールでウィルスの所為だとショーコが解析すると、カズマは誰の仕業かおおよその見当が付いた。
 この場に居らず、影ながらサポートする『憎い奴』に心の中で礼を言い、彼はクサナギを施設の最深部へと歩ませる。
 そこには1機のunknownの姿があった。フォルムこそスー――unknown―�T――に酷似しているが、一回り大きい。Flambergeの平均全高が17mに対し、unknown―�Xは24m近くあった。
『それがunknownシリーズ集大成、unknown―�X、乗っているのはロームさんね』
『こちらから最終調整を兼ねてあなたを破壊しに行こうと思いましたけど、手間が省けましたわ』
「ロームさんってば、Alice・quartet小隊の交渉役の割に、あんまり後先考えない人なのね。まさか、人間を兵器のパーツにしちゃうような連中が、自分の身は保証してくれるなんて本気で思ってるのかな?」
「ローム、お前だって合衆国にしてみたら駒だ。人工知能で動かす機体にテストパイロットなんて要らない。パイロットとして機体把握を深めればその知識が人工知能になった時にも反映される。ならデータを取った後は‥‥お前が仲間を売ってまで手にしたものなんてそんなものなんだ」
 スーとローム、かつての仲間同士の挨拶が終わってから、ディセとカズマがロームに揺さぶりを掛ける。
『ふふふ、いくら人工知能を搭載予定とはいえ、Flambergeである以上、有人テストは必要ですのよ? unknownが完成した暁には、Alice・quartet小隊の人工知能を搭載したunknownと共に地球へ降りる予定でしたのに」
『いい根性してるわね。仲間を売り飛ばす人を仲間なんて思わないわ! 遠慮なく全弾ぶち込んでやる!!』
 スーはP90型サブマシンガンのマガジンが切れるまで撃ち尽くす。
 unknown―�Xはスー並の機動力を持ち、カレンちゃんを越える火力を有していた。メガ・レーザーランチャーの一撃でスーの左腕と右足は吹き飛び。カズマは接近しようにも腕部ガトリングランチャーと胸部4連装グレネードに阻まれ、こちらも一撃でシールドが大破。カレンちゃんの9連装ミサイルランチャーは全てかわされ、連装バズーカはソニックシールドで防がれてしまう。
「流石に性能は段違いだけど‥‥あれだけの高出力、きっと熱量も凄いだろうね」
「放熱量が異常!? なら全機、奴の攻撃と防御をできる限り長引かせろ。オーバーヒートした瞬間を狙う!」
「こんな事もあろうかと! ‥‥ってね。カレンちゃんのご機嫌は上々。いつでもいけるよ!」
 ディセとカズマの分析を聞いたショーコは、磁力を帯びた砂鉄を火薬の代わりに詰めた磁力弾を準備していた。スーとカズマが捨て身でunknown―�Xを足止めすると、ショーコは射撃用スコープを覗きながら唇を舐め、鉄骨とワイヤーで作った即席のカタパルトで磁力弾を射出する。unknown―�Xは砂鉄まみれになり、ただでさえスラスターを吹かしすぎて可負荷が掛かっていた上に、増した為、遂にオーバーヒートしてしまう。
『放熱システムがまだ完全ではなかったようですわね。命拾いしましたわね』
『やった? 違う!? それはこっちの台詞よ!!』
 ロームは機体を乗り捨てる。その時、各所に設置された小型爆弾が爆発を始め、施設は火の海に包まれてゆく。尚もロームを追おうとするスーを、ディセが強制的に操縦して脱出させた。


『unknown―�W!? どこの世界のロボットSLGの、最終面のボスよ!』
 ロームはunknown―�Wへ乗り換え、脱出を図ろうとしていた。スーが荷電粒子砲でunknown―�Wの翼を撃ち抜くと、同時にスーの機体の熱核融合炉が誘爆し始める。荷電粒子砲の負荷に耐えきれなかったのだ。
「乗り換えたところで、その機体データとお前のクセは入手済みだ。俺達を舐め過ぎたな。戦争はゲームじゃない。人の意思が介在しない戦争は命をより軽く見るだけなんだよ!」
「私のカレンちゃんになんて事するのよ!」
 ショーコがロングレンジレーザーキャノンで撃ち落とし、カズマがレーザーソードで斬り付ける。
『最期にキャシー隊長とシルバに謝りなさい!!』
 スーは脱出装置でディセを脱出させると、スラスターを吹かして墜ち行くunknown―�Wのコックピットに残った右拳を叩き込んだ。
 最後のunknown、�Tと�Wは共に空中で爆散した。


●Sleep princess
「スー!!」
「‥‥へっ‥‥お前らみてぇな危なっかしい奴等、ほったらかしにして先に逝けるかっての」
「やっぱりジェスだったか」
 ディセの叫び声が届いたのか、爆風の中からunknown―�Tのコックピット部分を持ったムラクモが姿を現した。施設の警備システムにウィルスをばらまいたのも、小型爆弾を仕掛けたのも、全て彼の仕業だった。
「ん‥‥? 何かモニターに表示が出てるよ?」
 コックピットへ戻ったディセは、大半の計器が死んでいる中、唯一、点灯しているモニターを見付けた。それは先にショーコが弄っていたブラックボックスだった。
 ショーコとアヤカが慎重に開放すると、中は培養液で満たされており、全身にコードを繋いだ全裸のスーが漂っていた。
「‥‥あら、おはよう」
「良かったー! 正直もう起きないんじゃないかと思ったよぉ」
「‥‥おはようって、気分は如何? 眠り姫のお嬢さん」
 アヤカによってスーと機体を繋いでいたコードが外され、ディセとショーコが培養液を拭いて服を着せる。するとスーは本当に朝起きたかのようにのほほんと挨拶。ディセは思いっきり抱き付き、カズマは苦笑を浮かべる。
「おはよう、スー。目覚めのコーヒーは如何?」
 アヤカはマグカップに淹れたてのモーニングコーヒーを満たして渡す。
「ねね、せめてこのパーツだけでも残さない? あーっ! こっそりちょろまかした荷電粒子エンハンサーが‥‥」
 スーが助け出されると、その役目を終えたかのように荷電粒子エンハンサーは機能を停止してしまう。ショーコは隠してたのがバレてしまった。
「これからどうするか、ゆっくり考えるといい」
「行くトコ無いんだったら‥‥ね、あたしと一緒に行かない? ほら、相性の良さはバッチリだしさ」
「そうね‥‥先ずは数カ月ぶりにお風呂に入りたいな」
「培養液に浸かっていて、お風呂に入っていたようなものじゃないですか」
 カズマとディセにスーが応えると、それを聞いてアヤカが吹き出し、ショーコやジェス達にも広まり、みんなで笑い合ったのだった。


●Cast
 スー
  緑川メグミ(fa1718)
 ディセ・ラヴィアン
  堕姫 ルキ(fa4852)

 ショーコ・コバヤカワ
  新井久万莉(fa4768)
 カズマ・ミカゲ
  月影 飛翔(fa3938)

 アヤカ・ヒノ(日野・綾香)
  森里碧(fa4905)
 ジェイムズ・スチュワート
  風羽シン(fa0154)

 ローム
  リュシアン・リティウム(fz0025)