新春ドラマSPアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 菊池五郎
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 01/13〜01/17

●本文

「私達、別れましょう‥‥」
「え!?」
 それは、猿田が彼女の宇受賣(うずめ)と二年参りを済ませ、鳥居を出た直後の事だった。
 猿田と宇受賣は大学受験を控えた高校三年生。ここのところ受験勉強漬けですっかりご無沙汰だったツーリングを兼ねて、二人で霊験あらたかな地元の神社へ二年参りにやってきたのだ。
――同じ大学に受かりますように。
 二人で一緒に除夜の鐘を突き、たった今、そうお願いしたばかりである。
「私達、このままでいいのかなって思ったの。確かに猿田と一緒に勉強するのは楽しいし、楽しいけど‥‥身になっているかというと、楽しいだけでお互いの為にならないんじゃないかな‥‥だから‥‥ごめんなさい」
「な!? ちょっ!? 宇受賣、いきなり何でそんな事を‥‥」
「だって、弁財天様の思し召しだから‥‥」
 被ってきたヘルメットを渡し、踵を返して猿田の前から去ってゆく宇受賣。
――これから二人で初日の出を見に行くはずだったのに‥‥。
 猿田は2つのヘルメットを抱きかかえながら、たった今まで彼女だった宇受賣の後ろ姿を呆然と見つめていた。
「何故だ、何故なんだ宇受賣‥‥」
「くぅ〜ん」
「‥‥帰ろうか、テスタ‥‥」
 猿田の愛犬テスタロッサが、呻くご主人様を慰めるように足下にまとわりついて啼いた。テスタロッサは猿田の後ろに乗る宇受賣がここまで抱いてきたのだ。
 テスタロッサに声を掛け、宇受賣に背を向けてバイクへと歩き始める猿田。
『ごめん!』
『?』
 その時、テスタロッサの耳に見知らぬ女性の声が聞こえてきた。小鳥の囀りのような小気味良い声だった。
 いつの間にかテスタロッサの前に、この寒々とした冬空の下、透けるような薄絹を幾重にも纏い、羽衣を羽織った女性が立っていた。黒曜石を糸にしたような漆黒の髪を結い上げているが、どこか古風な雰囲気の息を呑む程の美貌の持ち主だ。
 しかし、テスタロッサは彼女を見上げているが、これほど美しい女性を前にしても人間達は素通りしてゆく。どうやらその姿が見えていないようだ。
『キミは一体‥‥』
 そう吼えたつもりが、人間の言葉として聞こえた。
『あたしはサラスヴァティ。あなたの主人達には弁財天って呼ばれているわ』
『弁財天って、女神様!?』
『そう、ここに祀られているんだけど‥‥』
 この神社には七福神が祀られていると、テスタロッサはバイクに乗りながら猿田と宇受賣の話を耳にしていた。弁財天は七福神の一神である。
『女神様がなんでボクに謝るの? そうだよ、ご主人様と宇受賣ちゃんの仲を元に戻してよ!』
『それ、あたしの所為なの。間違えて、あなたの主人の彼女の願いを叶えてしまったのよ』
 サラスヴァティは『二人一緒の大学に行けなかったらどうしよう』と不安な思いを募らせていた宇受賣の願いを叶え、別れさせてしまったのだという。
 別れれば確かに不安からは解放されるが‥‥。
『勿論、そんな願い事は本意じゃない、一時の気の迷いだって分かってたんだけど、まぁ、神様にも間違えはあるって事で。そこであなたに頼みがあるの』
『ボクに?』
『主人達の仲を取り持って欲しいの』
『でもボク、犬だよ?』
『あなたに十分間だけ人間の女の子に変身できる力を十回与えるわ。あたしも時間があればフォローするから』
『ボクがニンゲンに‥‥? ご主人様が元気になるならするよ!』
 こうして猿田の愛犬テスタロッサは、弁財天に人間の女の子になれる力を与えられ、別れてしまった宇受賣との仲を取り持つ事となったのだが‥‥。

■主要登場人物紹介■
・猿田:ツーリングが趣味の、どこにでもいる普通の高校三年生の男子。成績は中の上。顔は三枚目だが、嘘が付けない性格で優しい。
・宇受賣:猿田と付き合って一年の元彼女。高校三年生の女子で美少女。成績は中の中。チアリーディングを嗜んでおり、こちらは推薦を狙える程の実力。
・テスタロッサ:猿田の愛犬。雌。人間に換算すると10〜16歳の間くらい。人間に変身しても思考は犬なので注意。
・サラスヴァティ:地元の神社に祀られた弁財天。人間の美女に変身する事が可能。神としての能力は楽曲と財福で、恋愛成就は能力外らしい?

■技術傾向■
 発声・芝居・演出

●今回の参加者

 fa0262 姉川小紅(24歳・♀・パンダ)
 fa0684 日宮狐太郎(10歳・♂・狐)
 fa0768 鹿堂 威(18歳・♂・鴉)
 fa1013 都路帆乃香(24歳・♀・亀)
 fa1163 燐 ブラックフェンリル(15歳・♀・狼)
 fa1526 フィアリス・クリスト(20歳・♀・狼)
 fa2401 レティス・ニーグ(23歳・♀・鷹)
 fa2618 天羽司(27歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文


『想いを繋ぐ愛犬十変化』

●女神の失敗
 真夜中だというのに、多くの人出でごった返す弁財天の社。もうすぐ今年も終わり、新しい年を迎える前に、人々は忙しく、それでいて嬉しそうでもあった。
「「あけましておめでとう」」
 新年になると同時に猿田神彦と天乃宇受賣は新年の挨拶を交わした。
「私達、別れましょう‥‥」
「え!?」
 しかし、社にお参りした後、宇受賣の思い掛けない告白に、忙しかった風景がゆっくりと流れ始める。
 残像を残し、神彦の前から立ち去る宇受賣。彼女の後ろ姿が人混みの中に消えるまで見続けていた神彦もまた、愛犬テスタロッサに声を掛けて帰ろうとする。
 だが、テスタロッサの前には、お供えの神酒を左手に、搗きたての鏡餅を右手に持つ弁財天――サラスヴァティ――が姿を現し、神彦と宇受賣が突然別れた理由を説明していた。
『ボク、ご主人様、大好きだよ! 毎日散歩に連れてってくれるし。ウズメも大好き、撫でてもらうととってもキモチいいんだ! だから、ご主人様とウズメが一緒にいなくなるの、ボク、イヤだよ』
 小難しい事は分からないが、神彦と宇受賣の仲が悪くなるのは悲しい事だとはテスタロッサにも分かった。
「テッサ、何やってるんだ、帰るぞ」
 神彦が声を掛けると、テスタロッサの前からサラスヴァティは消えていた。それに伴いゆっくりと流れていた風景は元の早さを取り戻し、テスタロッサはご主人様の下へ駆けていった。

「大丈夫かな? でも、あたしもこの神社からあまり長い間離れられないからなぁ」
 テスタロッサの後ろ姿を見送りながら溜息を1つ、お猪口に注いだ神酒を煽り、鏡餅を頬張るサラスヴァティ。あまり心配しているように見えないのは何故だろう。
「やれやれ、他の七福神の新年の挨拶回りにきてみたら、早速、やってくれたな弁財天よ」
「げ!? 大黒天‥‥」
 そこへ金色の髪を高めの位置で一つに束ね、白い稚児服を着た少年が天から舞い降りてきた。
 お猪口に注いでいた神酒がこぼれっぱなしになる。彼は大黒天――シヴァ――だった。外見こそ少年だが、サラスヴァティの夫ブラフマーと同格の神であり、彼女から見れば神格は上である。
「そう嘆くな。過ぎてしまった事は仕方あるまい」
「‥‥小さいくせに、生意気」
「‥‥なーんてやっぱ似合わないや。あははっ。サラスは相変わらずだねぇ。まぁ、そう怖い顔しないでよ?」
 反論できないサラスヴァティは口を尖らせる。シヴァは尊大な物言いから一転して外見相応の口調になると、神彦のバイクのテールランプを目で追うのだった。


●すれちがう心
「宇受賣にフラレた―――ッ!」
 家に帰ってきてそのままベッドに潜り込んだのはいいが、悶々として寝付けない神彦。
『宇受賣くん、あんなヘタレより、俺を応援してくれないか? 俺なら君をオリンピックへ連れていける』
『手力男さん、私をオリンピックに連れて行ってくれるのね!? なら、今日から神彦ではなくあなたを応援するわ』
『では、早速、俺の女になってくれ、宇受賣くん‥‥いや、宇受賣』
『嗚呼、手力男さん‥‥私、今日から手力男の女よ』
 しかもようやくうとうとしたと思ったら、宇受賣が同じスポーツ特待生の手力男と付き合い始めた初夢を見る始末。
「ちょっ!? ちょっと待て! 俺だってまだキスまでなんだぞ〜。こんな事はお父さんが許さんぞ〜」
 妄想が段々危ない方向へ暴走し始める神彦。
 その時、頭から被っていた布団が剥ぎ取られ、テスタロッサが可愛く吼えた。尻尾を振って見上げる仕草の時は、「散歩に連れていって」と誘っているのだ。
「俺にはテッサ、お前だけだ―――ッ!」
 神彦は涙目でテスタロッサに抱きついた。テスタロッサは嬉しい反面、このままではいけないと思い、神彦の涙を舐めつつ、シャツの袖を引っ張って散歩へ誘うのだった。

「あ!?」
 誰もいない体育館。ポンポンを落とした宇受賣の小さな悲鳴が寂しく響いた。
 学校は冬休み中だが、大学から推薦が来ている宇受賣は特別に練習を許されていた。
「‥‥何であんな事言っちゃったんだろう‥‥確かに、推薦を受けたら神彦とは別の大学に行く事になるから、どちらにせよ別れなければならないよ‥‥でも」
 ポンポンを拾おうとし、そのままぺたんと床に座り込んでしまう。
「宇受賣、お昼持ってきたけど、休憩に‥‥って、どうしたの?」
「あ、お姉ちゃん。ううん、ちょっと転けちゃっただけよ。お弁当ありがとう。もう上がるね」
 その時、姉の天乃日照が体育館に入ってきた。丁度、入口に背を向けていた宇受賣は、滲んできた涙を慌てて拭うと、落ちていたポンポンを拾い、振り返ってにっこりと笑う。
 チアリーディングは相手を応援するもの。だから常に笑顔で――が、宇受賣のポリシーだった。


●ドジッ娘(女神)?
「わざわざ年が明けてから振ったり‥‥実は、俺は嫌われていたのか? それなのに、俺は恋人だと勘違いしていたというのか?」
 テスタロッサの散歩をしながらも、神彦は頭の中で宇受賣に振られた事ばかり考えていた。
「そうだよな、デカイだけで何の取り柄もない俺が、学校切ってのチアリーディング部の花である宇受賣の彼氏でいつまでもいられる訳がないよな‥‥済まなかったな宇受賣‥‥二度と君の前には現れないようにしよう‥‥大学もどこか地方にしよう‥‥」
 神彦はジャケットのポケットに入っていた受験票を握りしめると、近くのゴミ箱へ投げ捨てた。
 その時、タイミング悪くテスタロッサが走り出してしまい、思わずリードを放してしまう。
「ねえねえ、君、ちょっといいかな?」
 追いかけようと走り出そうとするそこへ、カジュアルスーツ姿の女性が声を掛けてきた。
「新年なのにやけに不景気な顔してるね、さては悩み事があるな。お姉さんに話してみない? なんとかなるかもよ?」
「壷なら買いませんよ」
「‥‥って、え!? 怪しい宗教じゃなくて‥‥ああっ! ちょっと待って!? そこの喫茶店に入って少し話すだけでもっ!?」
「俺、出会い系サイトにも興味ないんで」
「‥‥あぅ、行っちゃった‥‥」
 呼び止めるはずが、益々怪しい宗教勧誘と化してしまい、神彦は歩みを早め、遂には走り出してしまった。
「あぅ、なんでこうなるんだろ」
 彼女は人間に変身したサラスヴァティだった。社から離れると神力が弱まってしまう為、追跡するのは難しかった。


●はじめての変身
「これが‥‥ボク‥‥?」
 サラスヴァティの力で獣人から人間の女の子へ変身したテスタロッサは、道路のミラーに映る自分の姿を飽く事なくくるくると回って見ていた。
 そこに映るのは黒い肌の美少女だった。銀色の毛並みはポニーテールに代わり、犬の時の唯一の名残は、円らな緑色の瞳だろうか。
「見取れている場合じゃないや。ウズメの所へ行かないと!」


●見透かされた心
「お待たせーって、その子は?」
「迷子らしいの。お腹が減ってるみたいだから、先にあげたわよ」
 着替えを済ませてきた宇受賣は、日照の隣で見慣れない少女がたこ焼きを食べているのに気付いた。日照曰く迷子のようで、彼女の持っていたお弁当の包みの匂いを熱心に嗅いでいたのであげたのだという。
(「でも、この緑色の瞳はどこかで‥‥ああ、神彦のテスタちゃんにそっくりね‥‥っ!? 神彦‥‥」)
「そういえば、猿田君だっけ? 最近、どうしてるの?」
「ねぇ、一緒にいたいのに離れるのは何故?」
「え!?」
 日照が聞くと、緑色の瞳の少女は宇受賣の心を見透かしたかのように聞いてきた。
「どういう事なの?」
「どういう事って‥‥神彦と一緒だと勉強に身が入らなくて厳しいから、チアリーディングで推薦をもらおうと思っただけよ」
 咎める訳でもなく、やんわりと訊ねる日照。悶々とした想いが心の中から溢れそうになるのを必死で抑えつつ、宇受賣は笑顔を取り繕う。
「それでいいの?」
(「この子‥‥どうして、私と神彦の事を知ってるの!?」)
「あ!?」
 しかし、少女の前ではそれすら見透かされているような気がして訝しげに見遣ると同時に、緑色の瞳の少女立ち上がった。
 次の瞬間、琵琶の甲高い音色が聞こえると、鳥達が飛んで来て緑色の瞳の少女の姿を隠した。
 鳥達が羽ばたくと、緑色の瞳の少女の姿はなくなっていた。
『ふぅ、間一髪ね』
 女神の姿に戻ったサラスヴァティは、琵琶を抱えながら汗を拭った。その横には犬の姿に戻ったテスタロッサがいた。

「テッサの奴、どこに行ったんだ‥‥まさか、俺はテッサにまで振られたのか―――ッ!?」
『このヘタレはー!』
 往来のど真ん中で頭を抱えて絶叫する神彦。姿が見えない事をいい事に、言い放つサラスヴァティ。
「ウズメに一緒にいて欲しいって伝えなきゃダメだよ!」
 そこへ緑色の瞳の少女がやってくると、神彦の手を握り、走り出した。
「宇受賣!?」
「神彦!? その子は‥‥」
 緑色の瞳の少女が神彦を連れて行った先には、彼女を探していた宇受賣と日照がいた。
「ご主人様もウズメも元気無いの、一緒にいたいのに、なんで離れちゃうの? ボク、分かんないよ」
「ご主人様ぁ? 神彦、そういう趣味があったんだ? じゃぁ、私は要らないよね」
「ち、違うぞ、宇受賣。これは何かの誤解だ―――ッ!」
 緑色の瞳の少女の物言いに、ジト目で睨め付ける宇受賣。神彦はたじろぎながらも踏ん張り、誤解だと言い張る。
「ほら、好きなのに別れる理由があるなら説明してきなさい?」
 すると、日照が微笑みながら宇受賣の背中を軽く押した。
「‥‥私、大学でもチアリーディングを続けたいって思っているの。でも、それで推薦もらうにはちょっとフェアじゃない気がして、受験で、と思ったけど‥‥」
「それで、俺を振ったのか‥‥」
「うん。でも、それって間違いだって気付いたわ。だって、チアリーディングって誰かを応援する為のものだもの。いつの頃からか、応援が目的でないチアリーディングになっていたのに、さっき気付いたのよ」
「俺も、さ、俺も気付いたんだ」
「うん」
「宇受賣に応援してもらわないと、俺、何一つ出来ないんだって。だから‥‥これからも俺を、俺だけを応援して欲しいんだ」
「神彦‥‥」
「ふつつかな妹だけど宜しくね、猿田君」
 神彦が真顔で宇受賣に告白すると、彼女は口元を押さえ、嬉し涙を浮かべながら何度も頷いた。一部始終を見守っていた日照が宇受賣にハンカチを差し出しながら、神彦に茶々を入れた。
「わん♪」
「テッサ! どこへ行ってたんだよ、心配したんだぞ」
「テスタちゃん、何くわえてるの?」
 そこへテスタロッサが何かをくわえて走ってきた。頭を撫でつつ、宇受賣がそれを受け取ると、それは神彦が捨てた受験票だった。
「‥‥俺、宇受賣が推薦を受ける大学を受けるよ。今から志望校を変えるのは厳しいけど、こうして捨てたはずのこれをテッサが持ってきてくれたって事は、まだまだ諦めちゃいけないって、テッサが言ってるんだ。それに、宇受賣が応援してくれるなら合格できそうな気がする‥‥いや、合格するよ」
「うん‥‥そんな神彦が‥‥好きだよ」

「やれやれ、手間が掛かるね」
 神彦の受験票を持つ手に、宇受賣も自らの手を重ね、2人の距離が限りなく0になる。
 恋人達を見守る少年がいた。ミディアムショートに綺麗に切り揃えた黒髪に赤いキャップを前後逆に被った、小学生くらいの少年だ。その姿は薄汚れていた。
「今回は、ありがと‥‥」
 そこへサラスヴァティが現れる。少年はシヴァが人間に変身した姿だった。神彦の受験票がゴミの収集車に回収される前に、間一髪、彼が拾ったのだ。
「ははは、拗ねてるサラスも可愛いけど、照れてるサラスも可愛いよ。じゃ、またね〜」
「前言撤回! ああ、本っ当に可愛くなーい!」
 ぼそっと小さい声で照れながら礼をいうサラスヴァティだったが、シヴァは彼女が持っていた神饌を1つ手に取ると、ウインクして天へ帰っていった。
 サラスヴァティは悔しそうに地団駄を踏んだのだった。


●それから‥‥
 弁財天の社へ、無事仲直りした神彦と宇受賣が改めてお参りにきた。足元には元気よく尻尾を振るテスタロッサがいる。
 2人は笑い合いながら鳥居をくぐる。安堵した笑みで手を振るサラスヴァティに、テスタロッサは嬉しそうに吼えて応えた。

 そして数ヵ月後――。
 桜が舞い散る小道を歩く神彦と宇受賣。2人が手を繋いで入ってゆくのは同じ大学だった。
 その後ろ姿を見つめる緑色の瞳の少女と女神。
「お散歩しようよ! サクラ、すっごく綺麗だし、美味しいよ」
『食べるならサクランボの方が美味しいわよ』
 あれからサラスヴァティに時々お願いして人間に変身させてもらい、犬生活の合間に人間生活も楽しんでるテスタロッサであった。

♪いったいいくつの夜を過ごして来たんだろう
 いままで沢山の夜を過ごしてきた
 寂しい夜も 悲しい夜も 一杯あったけど
 一緒にいれば忘れられた 我慢できた
 だからこれからも 指を繋げて
 心合わせて 一緒に歩いていこう
 二人なら何も怖くないから 寂しくないから
 微笑んで 一緒に歩いていこう
 二人なら何処にでもいけるから‥‥♪


●CAST
 テスタロッサ‥‥燐 ブラックフェンリル(fa1163)
 猿田神彦‥‥鹿堂 威(fa0768)
 天乃宇受賣‥‥レティス・ニーグ(fa2401)
 サラスヴァティ(弁財天)‥‥姉川小紅(fa0262)
 シヴァ(大黒天)‥‥日宮狐太郎(fa0684)
 手力男‥‥天羽司(fa2618)

 演出/天乃日照‥‥都路帆乃香(fa1013)

 エンディングテーマ/サラスヴァティ(人間形態)‥‥フィアリス・クリスト(fa1526)