Bath Lifeヨーロッパ
種類 |
ショート
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担当 |
菊池五郎
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
なし
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
09/04〜09/10
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●本文
『Succubus(サッキュバス)』というロックグループがいる。
ボーカル兼ベースのシュタリア。
ドラム(場合によってはシンセサイザー)のスティア。
ギターのティリーナという、女性3人の構成だ。
彼女達は月と片思いや悲恋といった恋愛を題材にする歌が多く、一部に熱狂的なファン(特に女性)がいるものの、メディアに露出していない事もあり知名度は高くない。
メディアに露出していない理由の1つが、グループ名『Succubus』――文字通り『夢魔』の如く、彼女達がライブを行う時間帯の大半は夜だ。しかも好んで路上でのゲリラライブを行っているようで、ライブの直前になってファンサイトの掲示板へ書き込むくらいしか告知していない。そうやってファン達がやきもきする姿を見る事でテンションを高める小悪魔的な性格も、やはりSuccubusなのかもしれない。
そしてもう1つの理由が、ライブ中にも関わらず、人目をはばかる事なくメンバー同士で抱擁し合ったり、接吻を交わす、まさにSuccubusの意味するパフォーマンスだ。
シュタリアが長女、スティアが次女、ティリーナが三女という姉妹としての位置付けが彼女達やファンの間ではあるが、血は繋がっていない。
彼女達は姉妹であり、恋人であった。
――ここはSuccubusの集う、秘密の花園。
Succubusの3人は血は繋がっていないが、姉妹同然にここで一緒に暮らしており、学校へ行っている時間を除いて、残りの1日の大半をベッドルームで共に過ごしている。
「はあぁぁぁん! ‥‥ふぅ」
「なぁに、ティリーナ、溜息なんか付いて。あなたがシュタリアお姉様がいなくて寂しいと言うから、慰めているのに‥‥」
3人がゆうに一緒に寝られるベッドの上で、ピンクのベビードール姿のティリーナは顎を反り上げ、八の字に歪めた眉毛を振るわせ、桃色の2対のドリル髪――もとい、ツインテールを揺らしながら、甘く切ない吐息を長く長く漏らした後、グッタリと身体をベッドに預けながら溜息を付いた。
先程まで妹の身体を慰めて濡れた指を美味しそうに舐めながら、クリーム色のビスチェとガーダーベルト姿のスティアが軽く咎める。もちろん、本意ではない。顔が笑っている。
「‥‥だって、シュタリアお姉様、またあたしを置いてヨーロッパへ行ってしまうのですもの」
少し経ってから、ティリーナははしたなくごろんと回ってスティアの方を向き、お嬢様然とした、でも気の強そうな顔の唇を尖らせる。
末っ子のティリーナは超が付く程のシスコン――しかも、次女のスティアより、長女のシュタリアにベッタリ――で、Succubusの中で唯一、他の女性歌手やロックバンドに興味を示さないし靡かない。
しかし、シュタリアは今、『ヨーロッパ遺跡探検』に参加する為、再びヨーロッパへ飛んでいた。超が付く程の甘えん坊なティリーナが、いじけて自室へ閉じ篭もる籠城作戦に出ないよう、スティアは毎日のように慰めている。
しばらくそっぽを向いていたのは、スティアに火照らされた身体の余韻が冷めるまで、彼女に顔を見られたくないからだ。慰めてもらっているにも関わらず、自分のこういう姿はシュタリア以外、スティアであってもあまり見せたくないのだ。それでもスティアの方を向くと、彼女の身体から仄かに漂う甘い汗の香りが鼻腔をくすぐり、燻っていた余韻に火が付いてしまう。
ティリーナのワガママは今に始まった事ではないし、そんな妹だから好きなスティアは思わずくすっと笑みを漏らすと、また妹の身体を味わおう――としたところで、椅子の上に置いてあった自分のノートパソコンから、メールの着信音が聞こえた。
「‥‥あら、シュタリアお姉様からだわ」
「シュタリアお姉様から!? なんて書いてあるの!?」
スティアはベッドの縁に腰掛けて確認すると、メールは添付ファイル付きで、差出人はシュタリアだった。
愛しい姉の名前を聞いたティリーナは、やはりはしたなく寝そべったまま姉の隣までやってくる。
「遺跡探検の方は順調のようね‥‥この添付ファイルは‥‥イギリスへの航空券の予約番号?」
メールにはイギリスのバースにある、『ローマン・バス』でゲリラライブを行うので、2人に来て欲しいという内容で締め括られていた。
イギリスの首都ロンドンより北西に位置する都市バースは、英語のBath(=風呂)の語源になった街だ。温泉地として長い歴史を持ち、『ローマン・バス』は今でも毎日125万リットルのお湯が湧き出るローマ時代の浴場跡だ。入浴は出来ないが、多くの見学者が訪れる事から、シュタリアはせっかくイギリスに来ているので、ここでゲリラライブを行おうと思い付いたようだ。
いつも工面している現地集合と待ち合わせ時間だが、今回はイギリスという事でロンドン市内に集合し、レンタカーでバースへ向かう事になるだろう。イギリスの地理に明るければ鉄道やバスを利用し、ローマン・バスの近くにあるバース・スパ駅での現地集合も可能だ。
また、ローマン・バスは入場料を取られるので、大型の楽器の持ち込みは出来ないと考えた方がいい。
ちなみに、温泉だけあって、ローマン・バスには癒しや憩いを求めて訪れる者も少なくない。パフォーマンスや歌詞も観光客のニーズに合わせる必要があるだろう。それさえ気を付ければ、後は歌唱力や演奏力、軽業や踊りといった純粋な実力で、観光客達を驚かせ、沸かせるだけだ。
「ふふふ、シュタリアお姉様ったら、ゲリラライブが終わった後は、湯治をするつもりね。こちらが本当の目的かもしれないわ。ティリーナ、パスポートを出して、出掛ける準備をするわよ」
バースにも日本の健康ランドのように、檜の浴槽やハーブパックにマッサージといったアロマセラピーなどが楽しめる、滞在型のスパ施設がある。シュタリアはそこで打ち上げを考えているらしい。
温泉といえば裸の付き合いだし、滞在出来るという事もあって、姉の考えが手に取るように分かる妹は、ティリーナに準備をさせるのだった。
その後、ファンサイトに、今度のSuccubusのゲリラライブは、イギリスのバースにある『ローマン・バス』で行うという書き込みがなされた。ファンも流石にイギリスくんだりまで見に行く事はできないので残念がる書き込みが多かった。
今回もいつものように彼女達だけではなく、他のアーティストやロックバンドを誘う。呼び掛け=有志なので金銭的な報酬はないが、イギリス国内の交通費とローマン・バスの入場料を始めとする必要経費はSuccubus持ちだし、発声や音楽センス、楽器演奏はもちろんの事、パフォーマンス次第では軽業や踊りも鍛えられるいい機会だろう。
尚、今回はゲリラライブ中、女性はSuccubusのメンバー達に軽く弄られる危険性があるので注意されたし。
●リプレイ本文
●お約束、という事で
Succubusのメンバーとの待ち合わせは、ロンドンのランドマーク的存在ビック・ベンの近くだった。
「2人とも髪が乱れてるよ。急いで来たのは分かるけど、可愛い女の子なんだから、身だしなみはもう少し気を使わないと、ね」
「えへへぇ‥‥」
イオ・黒銀(fa0069)は、遅れて集合場所までやってきた鳴瀬 華鳴(fa0506)と西村・千佳(fa0329)の姿を見て、立てた人差し指を「ダメよ」と横に振りながらウインクを1つ、先ず華鳴のベレー帽を取って手櫛で撥ねている後ろ髪を直し、続いて千佳の蜂蜜色の髪を手櫛で梳く。
うっとりと気持ちよさそうな表情を浮かべる華鳴と千佳。
(「‥‥女の身だしなみ、か」)
(「今更、千佳さんのようなフリフリな服を着ても、似合わないだろうなぁ」)
クラウド・オールト(fa0175)は紅玉のような前髪を無意識に掴み、不破響夜(fa1236)は愛用のGジャンを引っ張る。2人とも同じ事を考えたようだ。
「イオお姉ちゃん、ありがとうだにゃー! 綺麗なお姉ちゃんが一杯にゃー♪ 嬉しいにゃ嬉しいにゃ♪ うふー♪ 両手に花〜♪」
「うふふ、千佳様ったらはしゃいで。でも、体力は残しておいて下さいね」
年上のお姉さん好きの千佳は早速、イオとフランネル(fa3365)の腕に抱き付くと、フランネルは口元に手を当ててころころと笑う。
「バースにはローマン・バス以外にも色々観光名所があるから、もし体力と時間に余裕があるようなら、ちょっと観光してみたいわね」
「‥‥僕は海外での仕事って初めてだから、ちょっと緊張するなぁ‥‥イギリスにも温泉があるって初めて知ったよ。どんな感じなんだろ?」
「日本の温泉と違って、温度は温めみたいね。でも、温泉の語源になるくらい歴史は古く、ローマ時代から湯治に使われていたそうだから、効能は日本と変わらないんじゃないかな?」
MICHAEL(fa2073)と紅 勇花(fa0034)がバースの話題で盛り上がっていると、Succubusの長女シュタリアの運転するボックスワゴンが横付けされ、Succubusの次女スティアがドアを開けて出迎えた。
ボックスワゴンの中では、談笑を交えてゲリラライブの打ち合わせが行われた。
――Succubusの三女ティリーナを除いて。
(「あらあら、ご機嫌斜めですね‥‥分かりやすいですが」)
隣に座るフランネルは、窓ガラスに映る可愛く頬を膨らませたティリーナに苦笑する。シュタリアはドライバーを務め、スティアはナビをするので、必然的に彼女が助手席――シュタリアの隣――に座る。最愛の長女の隣に座れなかった三女のご機嫌はすこぶる悪い。
「シュタリアちゃん〜、おやつ食べるぅ?」
「もらいますわ。でも両手が塞がっているので、華鳴の口移しで構いませんわよ」
「その方が楽だしねぇ。は〜い、あ〜ん」
「あ〜ん、じゃないです! 何で口移しなのですか!? スティアお姉様に渡せばいいでしょう!?」
華鳴が運転席へ身を乗り出そうとすると、ティリーナが身体を張って阻止してきた。
「な、何が可笑しいのですか!?」
「うぅん、可笑しいんじゃなくて嬉しいんだよ〜。ティリーナちゃんにやっと構ってもらえたからぁ」
「か、構ったんじゃないです!」
クスクスと無邪気に笑う華鳴に、ティリーナは顔を真っ赤にしてそっぽを向いてしまった。
華鳴の後ろの席の勇花は携帯MDプレーヤーで曲の最終確認をしており、隣に座るクラウドは打ち合わせが終わってからは会話には加わらず、初めて見るイギリスの景色をぼーっと眺めている。
「わひゃ!?」
「お〜お〜、なかなかのモノを持っているわね〜」
「ぁぅ!? な、何をする‥‥」
「クラウドちゃんは手のひらすっぽりサイズだね。感じちゃった?」
すると、勇花に胸をイオが、クラウドの胸をMICHAELが、後ろからもにゅっと掴む。素っ頓狂な声を上げる勇花と、艶めかしい吐息を漏らすクラウド。胸の大きさでは勇花が勝ったが、色っぽさではクラウドに軍配が上がった。
「でも私も負けてないわよ〜」
「イオお姉ちゃんの胸、おっきいにゃー」
「な、何だか、男装っ娘が艶めかしい声を出すのは、も、萌えるわねぇ」
「おいおいMICHAELさん、そっちに目覚めたのか!?」
触診したところ勇花の胸はDカップはありそうで、対抗するイオご自慢のEカップの胸に千佳が顔を埋めて確かめる。一方、新たな趣味に目覚めちゃったかもしれない(!?)MICHAELに、響夜は肩を竦めるのだった。
●ゲリラライブinローマン・バス
バース(Bath)は3つの源泉から供給される温泉が有名な、イギリス有数の観光地である。
その中でも『ローマン・バス(=ローマ浴場博物館)』は最大の見所だろう。長さ約25m、幅約12mのグレート・バスは、建設から2000年近く経った今も、建設当時と変わらずに温泉を浴場へ引き、溢れたお湯をエイヴォン川へ流す仕組みが機能しているから驚きだ。
このグレート・バスは2階建てになっており、上からも見下ろす事が出来る。
「温泉といえばバース! でも、遠く日本にも温泉はたくさんあって、多くの人に愛されているんだにゃ♪ そんな温泉大国日本から遙々やってきたゲリラライブを楽しんで欲しいにゃ♪ 頑張るにゃー♪」
今回の魔法少女の服装は、夏を意識してかスカートがちょっと短くなり、半袖の軽装バージョン。ちょこんと出したネコミミと尻尾姿の千佳がゲリラライブの開催を告げる。肉球グローブで魔法少女のステッキ型マイマイクを持つ姿は、否応なしに人目を引く。しかも、マイクパフォーマンスも堂に入っている。
「最初は、“プール上の桃色天使”フランネルお姉ちゃんだにゃ」
「プール上の桃色天使‥‥って、あの事でしょうか‥‥」
千佳の紹介を受けて、某悪の秘密結社の戦闘員よろしく、バク転しながらレボリューション姿で現れるフランネル。すると観光客の何人かが彼女を指差した。以前出演した『水上ロックバトル!!』を観ていた人がいたようだ。フランネルはこの番組で、水着の胸ポロをやってしまっていた。
♪おはようは物語の始まり 誰もがそう主人公
顔を洗って服に着替えて 扉開けて飛び出そう
でも気が付けば失敗挫折 立ち塞がるディスティニー
それでも負けずに顔を上げて 前に向かって歩き出そう
信じる心愛する心 強き思いは祈りにも似て
超えていけるよ定めすら 辿り着くのはハッピーエンド♪
顔から火が火が出そうになる程の恥ずかしさに耐えながら、側転で近くの若者へ近付き、手を取って一緒に踊り、歌に乗らせる。
フランネルの紡ぐテンポのいい曲を後押しするのは、響夜と愛用のエレキギター。彼女は白い大きな布を身体に巻きつけたトーガを着ている。
ここでフィニッシュ! というところで、歩数を数え間違えたフランネルの身体は足下に何もない空間へ。たっぷり1秒、空中遊泳した後、そのままキングズ・バスへ落ち、盛大な水飛沫を上げる。
下に控えていたシュタリア達が彼女を引き上げて無事だったが、観客は爆笑の渦に包まれる。
「今のは見なかった事にしてー、次は僕、まじかる☆千佳の『旅路』だにゃー♪」
千佳がその場を取り繕いながら、自分の歌を歌い始める。
♪〜
どこまでも きっと続くこの道を
どこまでも まっすぐ歩いてゆく
いつの日か 夢に見ていたあの場所へ
君と二人 一緒に駆けていこう
いつかきっと たどり着けるよあの場所に
君と二人 夢に見た遠い場所に
だからこれからも まっすぐに
進んで行けるよね はるかな旅路を
君と一緒に まっすぐに
進んで行こうよ はるかな旅路を
〜♪
あまり動き回らずに、その場にいる観客の目を1人1人順番に全員見つめながら歌っていく。
演奏するのはMICHAEL。彼女もネコミミと尻尾を出しているが、千佳が撫でたくなるような人懐っこい仔猫なのに対し、MICHAELはしたたかで狡猾、気紛れで男を翻弄する山猫、というように対照的な魅力を醸し出している。
現に千佳が視線を合わせた若者――しかもカップルの彼氏の方――に投げキッスを送って誘惑したり、子供や老夫婦には、間奏の合間にギターソロで癒しの音を弾いたりと、その気紛れ振りを発揮する。
「次は響夜お姉ちゃんの北国から‥‥じゃなくて、“ローマン・バスから”だにゃー」
「いや千佳さん、それ寒いから言わなくてよかったのに」
打ち合わせの時に思い付いたものの、言ってみて寒かったので止めるはずだったが、改めて言われるとやはり寒い。
千佳とMICHAELが温めた場を一気に冷却してしまう程に。
そこは温め直すという意味も篭めて、愛用のギターを弾きながら、スキャットでバラード調の曲を情感たっぷりに歌い上げる。
響夜の着ているトーガは、ローマ時代の貴族の服装で、優雅で美しいドレープを出す事が彼らのオシャレだったという。
響夜はローマン・バスとトーガを賭け、それを再現した。加えてスキャットのバラードが、冷え切った心に温かく浸透していった。
「次は勇花お姉ちゃんとクラウドお姉ちゃん、男の子の格好をしてるけど、とっても美人なお姉ちゃん達の共演だよ!」
「寛ぎの合間に、ちょっとした余興を‥‥なんてね」
帽子を取り、うさ耳をぴょこんと露わにする勇花と、ジャケットを脱ぎ、Tシャツにジーンズ、首には十字架のネックレスを下げた姿になり、背中に竜の翼を湛えるクラウド。
2人は交互に短くギターソロを入れていく。
勇花は軽快且つポップな感じで、あまり激しくならないように。
クラウドは激しくない明るめの曲調と、落ち着くようなゆったりした曲調を、勇花と代わるごとに演奏する。
最後は、クラウドがノリのいい激しい動きで演奏し、曲が終わると弦の余韻が続く間、弾き終わったポーズを続けて締める。
「トリを務めるのは、と〜ってもセクシーなイオお姉ちゃんと、と〜ってもキュートな華鳴お姉ちゃん、行ってみよー♪」
千佳が2人を紹介すると、クラウドが後ろへ下がる。ベースは勇花が務め、クラウドとMICHAEL、響夜は伴奏に回る。
華鳴はフリルが多い清楚な純白の服を着て背中にカナリアの翼を湛え、羽根付きのベレー帽を被っている。
イオはメタリックブラックのブラにホットパンツ、ロングブーツにサイハイソックス(絶対領域完備!)、ロンググラブといった露出過多の服装をしており、なるほど、方やキュート、方やセクシーである。
♪遽しく廻る刻の中 人々は駆けて行く
夢見る事も忘れて 何かに焦り戸惑うの
彷徨いし子羊の群れよ
歩き疲れた旅人達よ
可憐な花弁が 微風に運ばれていく
穏やかな光が その身を照らす
悩みも苦しみも 笑顔に変えて
恋人同士寄り添って 穏やかに御眠りなさい
心に纏った鎧を脱いで 心安くお休みなさい
そう此処は 誰もが夢見る理想郷‥‥
「この幸せが、何時までも続きますように‥‥」♪
『夢幻奏〜Utopia.side〜』のテーマは『癒し』。
華鳴は極上の笑顔と共に和気穏笑を発動させ、広範囲を和み空間で包み込む。
華鳴が天使のように、イオが悪魔のように対になって舞う。2人とも始終笑顔を絶やさない。しかし、その笑顔も天使と悪魔。極上の笑みと妖艶な笑み。
勇花達も曲のイメージに合わせて穏やかで優しい雰囲気を爪弾く。
イオ達の歌が終わる頃にはSuccubusの3人も準備を整えており、歌を披露すると、響夜達は早々に、そして散り散りに撤収していった。
●裸の付き合い?
撤収を終えた後、Succubusが手配したスパ施設へ集合すると、クラウドと勇花、フランネルはお風呂へ直行した。特にフランネルは綺麗とはいえないキングズ・バスに落ちたので、念入りに洗っている。
「‥‥一仕事終えた後の風呂はいいものだな」
「疲れが取れるよね」
「臭いは取れないですけど‥‥」
勇花は裸を見られるのが恥ずかしいのか、洗い場にいるフランネルから少し距離を置いている。激しいアクションをしたクラウドは、ジェットバスに入っていた。時折、自分でも手で腕や脚を揉み解す。
「あら、3人とも早いわね。にゅふふふ、やっぱり温泉にはコレよね」
後からやってきたイオと響夜の手にはお酒やジュースがあった。用意して遅くなったようだ。
イオは湯船に浸かりながら早速一杯。MICHAELとフランネル以外は未成年なので、ジュースでお付き合い。
「私はこれで‥‥あ、れ‥‥?」
「あら、もう酔っちゃったの? お楽しみはまだまだこれからだよ」
フランネルが出ようとすると、足下がおぼつかず転けてしまう。イオが彼女を支えて横たわらせると、逆上せて動けないのをいい事に、フランネルk頬から首筋^、胸元からおへそへと、その豊満な身体に口付けを落とし、食べた痕を残してゆく。そして‥‥。
「んく、くぅぅぅぅ‥‥華鳴ちゃんの大きいわね‥‥」
「んん、んんん‥‥MICHAELちゃんの美味しいわよぉ‥‥」
背中を流しっこしていた華鳴とMICHAELは、どちらからともなくお互いの身体を味わい合う。2人とも攻め属性なので、交互に攻守交代しているのが微笑ましい。
「ジャーンプ♪ みゃー・・・綺麗なお姉ちゃん達の裸が一杯にゃ♪ 僕もこれくらいあったらにゃー‥‥」
「千佳さんはまだまだ成長途中だから、これから大きくなるさ」
響夜に頭を洗ってもらいながら、千佳は自分の胸と彼女の胸を掴んで比べ、溜息を落とす。響夜は笑いながら励ました。
その後、Succubusのメンバーも入り、クラウドや勇花へ念入りな全身マッサージをしつつ、裸の付き合いは夕食前まで続いた。