ロシアンパン食い障害走ヨーロッパ
種類 |
ショート
|
担当 |
菊池五郎
|
芸能 |
3Lv以上
|
獣人 |
1Lv以上
|
難度 |
普通
|
報酬 |
2.3万円
|
参加人数 |
9人
|
サポート |
0人
|
期間 |
09/16〜09/20
|
●本文
「『Powerful Sports Festival』? 芸能人運動会、もうすぐなんだ〜。メーフィルちゃん、すっかり忘れてたよぉ」
メーフィル(fz0041)は、『PSF』の資料を見ながら自分の頭をコツンと叩く。
季節はスポーツの秋! 秋には行事が目白押しなので、春に運動会をやる学校も増えてはいるが、運動会というとやはり秋を代表する風物詩の1つではないだろか?
そして運動会といえば、迸る汗! 弾ける青春!! 「愛しのあの子の為にも勝つ!」なんて格好付けて、普段の体育の時より頑張っちゃうものです。
「運動会かぁ。可愛い芸能人の娘のブルマ姿は見たいけどぉ」
そっちですか!? 以前、開催された『Athletic of Summer〜芸能人水泳大会〜』の時には、「水上騎馬戦ポロリもあるよがやりたい」と駄々をこねたが、『PSF』では心惹かれる競技がないのか、反応はあっさりしている。
もっとも、メーフィルは、その言動からして運動は得意そうではないが‥‥。
「ヨーロッパでも普通に気軽に出来る競技がいいよねぇ。ただの徒競走だとぉ、純粋に足の速い・遅いで勝負が決まっちゃうからぁ、見る分には手に汗握るんだけどぉ、出る方は勝負としては面白味に欠けるんだよねぇ。やっぱり障害物競走かなぁ」
人差し指を頬に当て、可愛い仕草で考え始めるメーフィル。『PSF』の開催期間中もヨーロッパで仕事があり、移動できないようだ。そこで、どうやら先程漏らした「可愛い娘のブルマ姿を見る」為の、良からぬ悪巧みを考えているようだ。
「うんうん〜、これならぁ、足が速かったり遅かったりしてもぉ、それだけで勝負が決まる事はないよねぇ。メーフィルちゃん、自分の才能が恐いよぉ」
メーフィルは両頬を押さえ、自分の言葉に「いやいやぁ〜」と照れながら顔を振った。
数日後、『PSF』の競技に『ロシアンパン食い障害走』がノミネートされた。
この競技は、「パン食い競争」と「障害物走」を組み合わせた内容になっている。最初に5つあるパンの中から好きなパンを選び、そのパンを食べながら障害物を越えていく。
だが、1つ違うのは、競技のタイトルにもある「ロシアン」である。ロシアンルーレット、つまりパンの中に1つだけ、獣人でも絶えられないような激辛パンが混ざっているのだ! これを水もなしに完食してゴールするのは、激辛好きでも至難といえるだろう。
それだけではない。参加者は男女問わず、上半身は体操着、下半身はブルマというスタイルで競技に臨まなければならない。これは服装による有利・不利をなくし、均一化を図る為、とメーフィルは説明するが、おそらく、単にブルマ姿が見たいだけだろうと思われる。しかも、ブルマはスタンダードな紺を始め、黒・赤・緑と各種取り揃えている事から、メーフィルのどうでもいいこだわりが窺える。
制服による有利・不利をなくすという大義名分があるので、男性も着用が義務付けられている。ご容赦願いたい。
ちなみに、超激辛パンを食べてしまった者には、敢闘賞10万円が送られるという。
尚、この競技は、1位に3点、2位と3位にそれぞれ1点ずつ、所属する組(赤組=奇数月生まれ、白組=偶数月生まれ)へ点が入るので、奮って参加して欲しい。
※※成長傾向※※
体力・格闘・軽業・芝居・芸
●リプレイ本文
●ブルマ珍談
『ロシアンパン食い障害走』に出場する選手達は、ロッカールームに置かれたメーフィル(fz0041)が用意したブルマと体操着に着替え、控え室へ集まってくる。
「おお‥‥」
控え室へ一番乗りした九条・運(fa0378)は、集まり始めた女性陣の光景に、心の中で感涙を流していた。じろじろ見るのは熱血属性の漢として失礼なので、あくまでちらちらと覗き見る程度に。ある意味、チラリズムも味わえる?
「メーフィルちゃんはぁ、ブルマ、現役で履いてるぅ?」
「うん〜、ヨーロッパだとぉ、スポーツ用だけどねぇ。日本じゃぁ、最近はぁ、めっきり見掛けなくなったんだよねぇ。スパッツの方がぁ、主流だしねぇ」
(「ちなみに俺は、尻の形がバッチリなスパッツも良いじゃん派の人間です!」)
鳴瀬 華鳴(fa0506)はメーフィルとブルマの話で花を咲かせている。2人の話に耳を傾け、心の中でツッコミを入れる運。時折ブルマの中に指を入れ、直す仕草が何とも可愛らしい。
華鳴は濃紺の無地のブルマを選択、体操着の胸元には「なるせ かなり」と書いたゼッケンを貼っている。着痩せするタイプなのか、体操着という薄着になると、胸の大きさが如実に現れる。加えて、ひんぬーのメーフィルが隣にいるので、より大きく見える。
「うぅ〜、何だか恥ずかしいなぁ‥‥」
「私は中に入れる派です」
(「更に俺も、体操服の裾はブルマーに入れる派でもあります!」)
選んだ体操服のサイズが小さかったようで、胸やお尻が体操着やブルマの布を下から押し上げパンパンに張り詰めている紅 勇花(fa0034)に、烏丸りん(fa0829)が声を掛けた。勇花はなんとかブルマを隠そうと、体操着の裾を出していたからだ。
「りんさんはいいかも知れないけど、僕は服装がブルマ限定だなんて聞いてなかったんだよ‥‥」
「一部の方‥‥いえ、かなりの方は『恥ずかしがって走る様』を期待されているのでしょうが、私はこれでもモデルです。障害物競争をするとはいえ、人の目がある以上、無様な姿を見せる事はできません」
りんもブルマの色はスタンダードな紺を、体操着は白を選び、言ったように体操着の裾はブルマの中に入れていた。胸に「3−8 からすま」と書かれたゼッケンを付け、現役こそ若干過ぎているものの、野暮ったいセルフレームの伊達眼鏡を掛け、わざわざ三つ編みにしているところは、流石モデルといったところか、堂々と着こなしている。
一方、勇花はメーフィルと同じく希少色の赤をチョイスしている。
「HAHAHA! 覚悟完了が出来ていないぞ勇花!」
(「常盤は色々な意味で覚悟完了出来すぎだ!」)
乙女2人の前に颯爽と現れる、パンダ覆面を被った“バイオレットバイオレンス”こと常盤 躑躅(fa2529)。運がツッコミを入れたのは、緑色のブルマをパンダ覆面の上から被っている事だ!
「つか、自分の履いて走るブルマくらい、自分で持ってくるのは常識だろ! 俺の履いてる白ブルマは、専門店で自分のサイズに合う奴を買って来た持参品だぞ」
「だからって、ブルマを被る事はないんじゃないです?」
「折角メーフィルが用意してくれたブルマだしな。熱中症で倒れたら大変だから被ってるんだ!」
「テレビ的にどうなんですコレ?」
「面白ければOKだよぉ。そうそう〜、ミーツォちゃん達が履いてるブルマはねぇ、わざわざ日本からこの為だけに取り寄せたんだよぉ」
ミーツォ・アムール(fa4508)のツッコミに躑躅が応え、メーフィルがOKを出す。彼女がプロデュースしているので、メーフィルがOKなら番組的にはOKなのだ。
「そういう心遣いはともかく、制服による有利・不利をなくす‥‥らしいですが、これじゃあ逆に男の方が不利になるような気がしますが」
「お互い、向かない競技を選んでしまったようだね。俺もブルマは古いし、ショートタイプのスパッツでもいいんじゃないかって思うけど」
メーフィルのこだわりはあっさりスルーしたミーツォの肩に志羽・明流(fa3237)が手を置き、苦笑を浮かべる。明流も先程まで「ぜーったい嫌だ!!」と男性陣で最後まで抵抗していたが、霧島・沙耶香(fa2385)と桐沢カナ(fa1077)に説得され、渋々着替えていた。
ミーツォが気にしているのはブルマの前の方だ。男性の場合、目立つモノがブルマだとくっきり浮かび上がってしまう。彼は大きめの体操着を着て裾を外に出し、ブルマを覆い隠していた。
「わー、念願のパン食い競争です。沢山食べますよー」
「ブルマはちょっと恥ずかしいけど‥‥辛いパンも障害物も、頑張ってクリアしていきたいな」
沙耶香とカナも着替えを終え、競技への意気込みを語り合っている。沙耶香、カナ共、赤組を意識してか、赤のブルマに赤いラインの入った体操着とハチマキを着けたスタイルだ。
特に沙耶香は、『PSF』のイメージキャラクターセレクションにパン食い競争で応募しているので、この競技に賭ける情熱も人一倍だ。
「辛いパンが外れなら、カナ、当たりは甘いパンが良いな、チョコ入りの」
「ロシアンパンって、ロシアのあんパンの事じゃないの? 外れ以外ならみんな甘いと思うけどね」
「ロシアのあんパンなんてないですよ〜。明流さん、面白いです!」
「運動会なんて出るの、何年振りだからね」
カナの言葉にボケる明流。それは沙耶香の笑いのツボに入ったようで、彼の肩を軽く叩いた後、しばらく笑いが収まらない。照れ隠しから、ピョコンと撥ねた前髪を掻く明流だった。
●第一走者達
『宣誓! 我々はスポーツマンシップに則り! 正々堂々ブルマーの普及活動に励む事を誓います! ブルマを否定する相手とは徹底的に戦います!! たとえ相手が神だとしても!!』
運の、競技の宣誓なんだか、ブルマ復活の宣誓なんだか、よく分からない選手宣誓が終わると、程なく第一走者達がコースに着いた。
第一走者はコースのイン側から、勇花、明流、沙耶香、躑躅、メーフィルの順だ。体力と軽業が低い順だが、躑躅よりメーフィルの方が体力や軽業が高いらしい。これが若さか?
「頑張りますよー! パンの為に!」
可愛く小さなガッツポーズを撮ってスタートラインに着く沙耶香。50m先に吊されているパンを狙う目は真剣そのもの。
スタートのピストルが鳴ると、一斉にスタートを切る‥‥が、勇花がいきなり転ける。ドジッ娘属性発動か!? 否、単に運動が苦手なだけのようだ。
躑躅、沙耶香、メーフィル、明流、勇花の順で、それぞれ5コース目のパンダパン、1コース目のパン、4コース目のパン、3コース目のパン、2コース目と狙ったパンに食いついてゆく。
「わわわ、なんですか、この辛さは―――――!?」
沙耶香が悲鳴にも似た叫びを上げる。彼女が超激辛パンを引いてしまったようだ。
ちなみに明流の引いたパンはあんパンで、美味しそうに食べながら走っている。躑躅の食べたパンダの形をしたパンの中身はクリームだ。
引いたパンはゴールするまでに食べきらなければならず、競技中に落としたら失格になってしまう。しかも、最初の障害物はシャワーロード。幾十もの設置されたシャワーから降り注ぐ強烈な冷水に耐え進まなければならない、過酷なロードだ。ここに着くまでにパンを食べきらないと、パンが濡れ、確実に落としてしまう!
「躑躅君早いんだから、先に行けば?」
「いやいや、体力は温存しないと(じゅるり)」
沙耶香が大幅に順位を落としたので、その前を走る勇花の後ろに躑躅が付いた。彼の視線は前を走る勇花の生ブルマとシャワーロードを抜けてスケスケになった体操着に浮かび上がるブラを行ったり来たり。
次の障害物は膝辺りまでの深さのプールの上に架かる平均台だ。プールには、やたらネバネバドロドロした白濁色の半液体で満たされており、しかも平均台にはローションが塗りたくられ滑る。
「うわ!? 危ない危ない」
「か、顔や身体がねばねばするよ。な、なんか、むず痒いんだけど‥‥」
「落ちる訳にはいかないね、これは‥‥」
バランス感覚に優れた者でもそう簡単にクリアできない平均台を、慎重に渡る明流。彼の後ろでは勇花がスライムプールへ落ち、頭から白濁した液でまみれ、それは顔へと滴り落ちる。しかも、ブルマの中に入ってしまったのか、下腹部を掻き始めてしまう。
その間に平均台をクリアーする明流とメーフィル、沙耶香と躑躅(ギリギリまで勇花のあられもない姿を観賞した為)。
ゴール手前には椅子とテーブルが置かれてあり、その上にショートケーキが1ホールあった。この大きなケーキを完食しなければならない。これは甘党でない男性陣には辛い! しかも、セットの紅茶で流し込もうとすると、中に塩が入っているという罠。
「パンが食べれて、更にケーキも食べれるなんて素敵ですよね」
辛さでヒリヒリする口には、ケーキがより一層甘く感じられる。口直しとばかりに平らげてしまう沙耶香。
沙耶香、躑躅、メーフィル、明流の順で完食し、抑えていた力を解放するかのように力の限り走る沙耶香を、同じくラストスパートで追い抜いた躑躅だが、ゴールテープ直前で豪快に、大の字に仰向けに倒れる。今まで頑張りすぎ、力尽きたか!?
彼の上を沙耶香、明流、メーフィル、勇花の順で跨いでゴールしてゆく。
(「眼福眼福。俺の目的は金でも組の得点でもねぇ! ブルマの為だ!」)
跨いで通るブルマを拝む為だけに全てを捨てたようだ。躑躅、君は漢だ!! でも得点は入らないけど。
●第二走者達
第一走の障害物の撤去・交換が終わると、第二走者達がコースに着く。第二走者はコースのイン側から、華鳴、りん、カナ、ミーツォ、運の順だ。
「うぅぅ‥‥辛いパン、引きませんよぉにぃ〜」
あれだけ派手に倒れたのに、もう回復した躑躅は華鳴にデジカメを向ける。辛い物が苦手な彼女は、超激辛パンの存在に大袈裟なくらい怯え、親友の勇花に半ば泣き顔を見せている。
「なんか楽しそうなので頑張りたいと思います! そうしようと思います! そうするんでよろしくー!」
デジカメに気付いたミーツォがガッツポーズと共に意気込みを語る。でも、ミーツォのこの部分は後で削除されるだろう。
「え!? パンは1人1つだけしか食べられないのか!?」
確認の為にメーフィルから注意事項が告げられると運が驚く。超激辛パンを狙って一通り口を付けるつもりだったようだが、最初に口を付けたパンのみ、との事だった。ゴールまでに完食しなければならないのに、人が口を付けたパンを完食できるだろうか? 女性もいるので当然の配慮だ。
スタートのピストルが鳴ると、一斉にスタートを切る。運、ミーツォ、カナ、りん、華鳴の順で、それぞれ1コース目のパン、3コース目のパン、4コース目のパン、5コース目のパン、2コース目のパンと、狙ったパンに食いついてゆく。
「な、何これ!? 辛っい―――――!!」
カナが叫び声を上げる。どうやら超激辛パンを引いたのはカナのようだ。カナは載せるだけでヒリヒリする舌を騙し騙し、根性で食べ切ってゆく。
残念がる運。彼の食べたパンにはエビチリが入っており、微妙に辛かったが当たりではなかった。
「単体だと美味しいけど、パンの中に入れると微妙って品、ありますよね」
りんの差し金――もとい、提案らしい。ちなみに彼女は納豆入りパンを、ミーツォは焼き秋刀魚入りパンを、華鳴はシーフードドリア入りパンを引いていた。
微妙な味のパンを食べる一向の前に最初に待ち構える障害物はホッピングだ。2列の直線に、1.5〜2m間隔で交互に並んで立ってる10本の柱を、ホッピングでジャンプしながら、交互に潜り抜けてゆくという内容だ。
一生懸命飛ばないとクリアーできない上に、下手をするとパンを落としかねない危険さもある。
運、ミーツォ、りん、華鳴、カナの順で抜けてゆく。番狂わせはない。
次の障害は、色とりどりのカラフルな絵の具がみっちり入った4m四方程度のスペースの中に飛び石があり、その上を渡っていくという内容だ。
ほとんどの飛び石にローションが塗ってあり、よく滑る。りんも華鳴もあっという間に絵の具まみれだ。
更にその先に大きな紙の敷いてある網くぐりがあり、その下を通ってゆく。途中にはゴム製の剣山が所々に置かれてあり、網の中で思うように動きが取れない上に、これを避けて通らなければならない。
絵の具に濡れた身体で芸術的なアートが描き上がるかもしれない、まさに芸術の秋的な障害だ。
りんも華鳴も剣山に体操着を引っ掛けて、方や転んでブルマ丸出しで倒れ伏し、方や上半身が半裸になってしまうが、りんは目を逸らしながら努めて冷静に服を直し、華鳴はこんな事もあろうかとワイヤー入りブラを付けてきたので、パンモロや胸ポロといったお約束のサービスはなかった。
そして最終コーナーの前に待ち受けていたのは椅子とテーブル。その上に置いてあるのはニシンの缶詰だった。
「お邪魔しまぁ〜すぅ‥‥はうぅ!?」
蓋を開けた途端石化する華鳴。この缶詰はスウェーデン産のもので、その臭いはくさやの6倍以上ともいわれている。これを完食しなければならないのだ!
「いいだろう、我の生き様を見よ!」
運とミーツォは意を決して食べ始めるが、真っ先に完食したのは超激辛パンで舌が半ば麻痺していたカナだった。
続けてミーツォ、運、りん、華鳴と抜けてゴールした。
競技終了後、控え室に戻った女性陣はカナが持ち歩いているチョコレートと余った甘いパンとショートケーキ、紅茶で口直しをし、男性陣は躑躅の撮ったデジカメの鑑賞会が行われたとか。