Goddess Layerアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
菊池五郎
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芸能 |
4Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
14.5万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
10/27〜10/31
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●本文
※※このドラマはフィクションであり、登場人物、団体名等は全て架空のものです。※※
※※ドラマチックな逆転劇等はありますが、全て「筋書き」によって決まっており、演じるPCの能力によって勝敗が覆る事はありません。※※
1990年代初頭、日本の女子プロレス界は戦国時代を迎えていた。
1980年代まで日本女子プロレス界を引っ張ってきた真日本女子プロレスが分裂、相次ぐ新団体の旗揚げにより、9団体が群雄割拠し、抗争に明け暮れ、しのぎを削っていた。
その中でも最大の勢力を誇っているのが、真女の流れを受け継ぐ東日本女子プロレスだ。
東女の守護神ことアイギス佐久間は、その圧倒的な強さで他の団体からの殴り込みをものともせず、また東女のヘビー級ベルトの防衛に23回成功している、まさに“アイギスの盾”と呼ぶに相応しい、日本女子プロレス界の女王だ。
彼女に憧れて東女の門を叩く少女達も少なくない。
ダイナマイト・シュガーもまた、アイギス佐久間に憧れて東女へ入門した少女達の1人だ。
ダイナマイト・シュガーは今年入団した新人の中では群を抜いており、東女のジュニアベルトを奪取するものの、アイギス佐久間とのタイトルマッチは組んでもらえなかった。
今や新人の中心的存在となった彼女は、アイギス佐久間の24回目のタイトルマッチの後、ある計画を企てた。
『決まったー! 鋭い角度からの強烈なキャプチュード!! これは立てなーい! カウントが入る! ‥‥アイギス佐久間、24回目のヘビー級ベルトの防衛に成功だー!!』
実況の声と共に場内が沸く。
アイギス佐久間はゆっくり立ち上がり、まだダメージで起き上がれない挑戦者へ手を差し伸べる。そういった細やかな気遣いも、女王たる所以だ。
その彼女へヘビー級ベルトが返されようとしたその時!
『おおっと、これはどうした事だ!? リングサイドで試合を見ていたダイナマイト・佐藤以下、東女の若手が次々とリング上へ駆け上がってゆくぞー!?』
「ダイナマイト・シュガーだよ!」
リング上のマイクを取り、実況の呼称を訂正するダイナマイト・シュガー。選手としての登録名はダイナマイト・佐藤だが、本人はダイナマイト・シュガーで通している。
「あなた達、これはどういう事かしら?」
「アイギス佐久間さん、24回目の防衛、おめでとう。でも、格下の相手とばかり戦っているんだから、防衛できて当然だよね?」
アイギス佐久間はヘビー級ベルトを返すよう手を出す。しかし、ダイナマイト・シュガーは返さず、そのまま喋り続ける。
アイギス佐久間の近くにいた東女の先輩レスラーがダイナマイト・シュガーを止めようとすると、アイギス佐久間がそれを制した。
「どういう事かしら?」
「ボクはジュニアベルトを持っている。つまり、アイギス佐久間さんと同格って事だよ」
「つまり、私に挑戦したい、そういう事ね?」
「ボク達若手の4人は、この場で『維新軍』の結成を宣言し、アイギス佐久間さんの持つヘビー級ベルトへ挑戦を申し込むよ!!」
『こ、これは大胆不敵な発言だ! ダイナマイト・佐藤、革命軍結成を名乗り上げ、更にアイギス佐久間へ挑戦状を叩き付けたー!! 革命軍をわざわざ維新軍と名付けたのは、日本史が得意だからというプロフィールがあるぞー!』
「だから、ダイナマイト・シュガー!」
「その突っ込みはいいから‥‥いいわ、その挑戦受けて立ちましょう。但し、シングルと2人タッグマッチをそれぞれ1試合ずつ行い、最後に私とあなたで戦い、勝ち数の多い方が両方のベルトを手に入れる、これでいいかしら?」
「言いも悪いも、その条件を飲まないと、あなたへの挑戦権はないんでしょ?」
「じゃぁ決まりね」
不躾な挑戦者であっても、あくまで優しく、気品ある笑みを浮かべるアイギス佐久間。彼女への挑戦が叶った事で用を成したダイナマイト・シュガーは、アイギス佐久間へヘビー級ベルトを返し、維新軍のメンバーと共にリングを降りていった。
戦国時代を迎えた日本女子プロレス界に、若手の下克上劇が席巻し始めようとしていた。
※※主要登場人物紹介※※
・ダイナマイト・シュガー(佐藤):15歳(外見10代後半)/言動や言葉遣いは男勝りな面もあるが、明るく元気な少女。リーダー的カリスマを秘めているが、実力共にまだまだ荒削りで発展途上。リングネームからパワーレスラーと思われがちだが、打撃技を得意としている。東女の現ジュニア級ベルト保持者(防衛0回)。
修得技:アームホイップ、スリーパーフォールド、ヘッドバット、エルボー、ドロップキック
得意技:スーパーダイナマイト(延髄切り)
・アイギス佐久間:22歳(外見20代)/東女の守護神、アイギスの盾と呼ばれる、日本女子プロレス界の女王。静かに情熱を燃やすタイプで、また、面倒見も良く慕うレスラーや若手が多い。東女の現ヘビー級ベルト保持者(防衛24回)。投げ技を得意とするオールラウンドレスラーであり、隙がない。
修得技:フロントスープレックス、脇固め、DDT、エルボー、ドロップキック、等
得意技:キャプチュード
※技術傾向※
体力・格闘・容姿・芝居
●リプレイ本文
●賽は投げられた
正規軍と維新軍の戦いの舞台となる県立スポーツセンターの3500席ある客席は満員札止め、立ち見すら一杯の状態だ。
オープニングセレモニーが終わった後、ダイナマイト・シュガーを始めとする維新軍のメンバーは青コーナーに、迎え撃つアイギス佐久間を筆頭に正規軍のメンバーは赤コーナーに、自然と集まっていた。
「‥‥今更だけどシュガーらしいわね」
「でも、こうでもしないと、ボク達若手が佐久間さんとベルトを賭けた試合を組んでもらえるようになるのは、もっとずっと後になるじゃない!」
南条遥(神楽(fa4956))は淡々と素っ気なく、賽が投げられた事を言う。別にダイナマイト・シュガー(泉 彩佳(fa1890))を責めている訳ではない。彼女は関節技の使い手で、ダイナマイト・シュガー同様、一度、レディ・ゴーストと新旧の業師対決をしてみたいと思っていた。
「シュガーが佐久間さんを誰よりも敬愛してる事は、私達若手はみんな知っている。だからこうして協力している」
「ボク達の事は気にせず、本気でぶつかっていこうよ!」
上村 真夜(大神 真夜(fa4038))は空中殺法をスタイルとし、より強い相手とのガチンコ勝負を求めて維新軍に身を投じている。それはキューティー・タチバナ(橘)(甲斐・大地(fa3635))も同じで、彼女はアイドルレスラーとして認められる為に参加しており、熱意は高い。
「最近の若者は通すべきスジも分からないのですね」
一方、赤コーナーでは、シスター・アルノ(リネット・ハウンド(fa1385))が憤りを露わにしていた。彼女は実直で曲がった事の嫌いな正統派レスラーだが、視野が狭く猪突猛進な性格。端的に言えば体育会系気質で、後輩に対して愛情は持っているものの、上下関係には非常に厳しい。なので、正式な手順を踏まず、タイトルマッチをふっかけてきた維新軍に反感を持つのも無理からぬ事。
レディ・ゴースト(レディ・ゴースト(fa4613))もシスター・アルノに同意するかのように呻き声を上げる。その名の通り幽霊である彼女は、一切の経歴が不明という謎多きレスラーだ。
「‥‥ん? どうした佐久間?」
「いえ、あの娘達の想いに応えなければならないと思ったの。あんなパフォーマンスまでして私に真っ向から挑んでくる事は、それだけ強い想いを持っている事でもあるわ。ふふ、嬉しいじゃない」
修羅道・美弥(キューレ・クリーク(fa4729))は、アイギス佐久間(草壁 蛍(fa3072))が青コーナーを見つめながら微笑みを浮かべている事に気付いた。“蹴技無尽”の字を持つ美弥は打撃技、特に蹴り技に長け、スピード・パワー・守備と三拍子揃っているが、逆に飛び抜けた部分も無い、安定感のある正規軍の中堅レスラーだ。
美弥もアイギス佐久間の実力は身を以て知っている。彼女の台詞は決して自惚れではなく、実力に裏付けされた自信から来る事も。慄然とした雰囲気を纏うアイギス佐久間は、若手の成長を喜んでいるかのように思えた。
●〜シングルマッチ 30分1本勝負〜
『青コーナー! 維新軍所属! 職人気質な飛び技使い〜、上村真夜!』
「‥‥飛び技使い、参る」
『赤コーナー! 正規軍所属! “蹴技無尽”の〜、修羅道美弥!』
「私のコンビネーションキック、受けて立っていられるかしら?」
紹介を受けて颯爽とリングへ上がる2人。真夜は正規軍相手でも萎縮している様子はない。
試合開始のゴングが鳴り響く。
リング中央で間合いを取り、出方を窺う美弥。来ないならこちらから行くとばかりに、真夜は自らロープへ走り、反動を利用してのドロップキックを繰り出す。先制攻撃を受けたのは美弥。
「っふ」
続けて至近距離からのローリングソバットを放ち、強引に一気に自分のペースへ持っていく。
真夜はリング内を自由自在に飛び回り、美弥を翻弄する。一見、真夜のペースで試合が運ばれているように思えるが、美弥は要所要所で的確にリバース技を叩き込み、じわりじわりと真夜のスタミナを奪っていった。
「どうしたの? お得意の空中殺法のキレが鈍っているわよ?」
美弥の首に両足を絡め、起死回生のフランケンシュタイナーを放つが、これはパワーボムで返されてしまう。
真夜の目の前にニュートラルコーナーがあった。パワーボムをカウント2.5で返すと、そのまま強引に美弥の腕を取り、アームホイップでリングへ倒す。
「これを受けきれば貴女の勝ちだ。だが、受け切れなければ私の勝ちだ!」
「私を平伏させるには、パワー不足が祟ったわね」
コーナーポストから、月光の軌跡を華麗に描くムーンサルトプレスが発動。
だが、美弥にかわされ、自爆に終わる。美弥は真夜をコーナーポストに立たせると、足を高く掲げた。必殺技発動の合図だ。会場が一気に沸く!
「はあぁっ」
掛け声と同時に右のローキック、左のミドルキック、そして右左のハイキックが瞬間的に繰り出され、真夜の無防備な身体を蹂躙する。
レフリーがノックアウトを宣言。一見地味な試合運びだが、パワーで上回り、スピードでもそれほど引けを取らない、いぶし銀なプロレスを魅せた美弥だった。
「すまない‥‥勝てなかった」
「ううん、真夜は頑張ったよ」
自力でリングを降りられず、ダイナマイト・シュガーの肩を借りた真夜は彼女にすまなそうに告げた。全力を出し切って敗れたのだ。ダイナマイト・シュガーは微笑んで彼女とリングを降りた。
●〜タッグマッチ 60分1本勝負〜
『正規軍が一勝を上げ、もう後のない維新軍。このタッグマッチで勝てなければ、ダイナマイト・佐藤のアイギス佐久間へのベルトの挑戦権は事実上無効となります』
「だから、ダイナマイト・シュガーだよ!」
追い詰められていても、ダイナマイト・シュガーは解説への突っ込みは忘れない。
そこへライトなノリの音楽が流れ、唄いながらキューティー・タチバナと遥が入場してくる。この音楽はキューティー・タチバナの持ち歌だ。
今年アイドルレスラーとしてデビューしたばかりのキューティー・タチバナは、はっきり言って強くない。実力よりも華奢な身体にナイスバディというルックスによる人気先行のレスラーだ。見た目は派手でも、あまり技が上手く決まらない事から、付いた字は“どれやらせても上手くない”。
トップに白百合のワンポイント、ショートパンツ風のボトムという、黒のセパレートのリングコスチュームに身を包んだ遥は逆に派手さはないが、緻密に試合を進めていき、勝ちをもぎ取るいぶし銀的な関節技の使い手だ。先輩レスラーからも一目を置かれている。
続けて打って変わり、賛美歌のような神々しい曲が流れてくると、純白の修道服を着た、神に仕える修道女宜しくシスター・アルノが入場する。ローブを目深に被ったレディ・ゴーストが、彼女に引きずられるように一緒に入場。
「あなた方のような練習生の雰囲気の抜けきらない若手。アイギスさんの手を煩わせるまでもありませんわ」
レディ・ゴーストにマイクが渡されるが、彼女は幽霊なので喋れない。マイクを持って口を開けたところで、シスター・アルノがマイクを奪い、代わりに喋る。会場からちょっと笑いが起こる。
シスター・アルノは打撃技が得意で、あらゆる蹴り技を完璧にこなす事から、“パーフェクトレッグ”の異名を持っている。
「‥‥今日もバストを尽くすわ」
対峙する遥はそう応え、試合開始。
技量の差を鑑みて、間合いを取る遥。シスター・アルノもドロップキックやエルボーといった軽めの技で牽制に止める。
お互い、ダメージを最小限に留め、それぞれパートナーにタッチ。
レディ・ゴーストは幽霊の如くゆらゆらと身体を揺らしながら挑発する。
(「写真集や歌やダンスのレッスンで、練習時間を多く取る事は出来ないけど、ボクなりに頑張ってきたんだ! 先輩に全てをぶつけてアイドルレスラーとして認めてもらうんだ!」)
キューティー・タチバナは敢えて挑発に乗り、先ずは掌底で様子見。レディ・ゴーストは相変わらずゆらゆら揺れ、効いていないように見えるので、今度はハイキックを繰り出す。レディ・ゴーストは彼女の足が肩に乗ったままの状態からそのままボディスラムへ持っていき、リングに叩き付けたところで空かさず腕ひしぎ逆十字固めを決める。
そこへ遥がカットに入り、キューティー・タチバナとタッチ。
2人とも関節技使いという事で、お互いを意識しているのか、裏拳や張り手で相手を牽制し、隙あらばスリーパーホールドや脇固め、腕ひしぎ逆十字固めを決め、地味ながらグラウンド展開へと持っていき盛り上げる。
今度はレディ・ゴーストがシスター・アルノと交代する。
鋭いソバットキックや、「愛のムチ」という名の危険なポイントのあびせ蹴りなど、得意の蹴り技を使ってゆく。遥も彼女の動きがだいぶ見えてきたようで、あびせ蹴りを取りアキレス腱固めを決めるなど、返し技で対抗してくる。
(「‥‥アイギスさんの言っていた『想いに応えなければならない』というのは、こういう事だったのですわね」)
キューティー・タチバナですら、シスター・アルノの垂直落下DDTを受けても這い上がってくる。また、レディ・ゴーストとの合体パワーボムや、彼女がコブラツイストを掛けている時、手を引っ張って締め付けたりと、連携を見せるが、その度に遥がカットしてくる。
シスター・アルノは若手達に立場を超えた格闘家のリスペクト精神を感じ始めていた。
心身共に限界のキューティー・タチバナは、起死回生のバックドロップを決めようとするが、シスター・アルノは無情にもボディプレスで返す。試合で勝つ為に隠れて練習していた必殺技を返され、ショックを隠せないキューティー・タチバナへ、シスター・アルノは止めとばかりに十八番の高速トラースキックで勝負に出る。
だが、キューティー・タチバナの意識を刈り取る事は出来なかった。
辛うじて遥とタッチし、シスター・アルノに裏投げを炸裂させる。それでも立ち上がる彼女へ、飛びつき腕ひしぎ逆十字を決め、遂にギブアップを奪ったのだった。
●〜東日本女子ヘビー級タイトルマッチ 61分1本勝負〜
『これより、東日本女子ヘビー級タイトルマッチ、61分1本勝負を行います』
『首の皮一枚を残して辛勝した維新軍、一勝一敗で迎える東日本女子ヘビー級タイトルマッチ。ダイナマイト・シュガーへ希望を託します』
レフリーと解説の宣言に沸きに沸く会場。
「今までは憧れだったけど、今は手の届くところにいるあなたを倒します!」
「あなたのダイナマイトで、この“アイギスの盾”を砕く事ができるかしら?」
ダイナマイト・シュガーの挑発を、アイギス佐久間はあくまで優雅に受け止める。
そして、運命のゴングが鳴り響く。
ダイナマイト・シュガー、アイギス佐久間共に、リング中央で組み合う。先にロープに振ったのはダイナマイト・シュガー。力ではアイギス佐久間に負けてはいない。帰ってきたところにエルボーを叩き込む。
お返しとばかりにアイギス佐久間もエルボーを食らわせる。
(「硬くて重い、これでキレが有ったらと思うとゾッとするわ」)
そこは日本女子プロレス界の女王、ダイナマイト・シュガーの持ち味を活かすように同じ土俵で勝負し、見せ場を用意する。実際に彼女の打撃を受け、威力を心中で高く評価していた。
序盤はエルボーやドロップキックの応酬で幕を開ける。
だが、試合が経過するにつれ、ダイナマイト・シュガーの息が荒くなってくる。原因はアイギス佐久間が受けのタイミングをずらし、直撃と見せかけてダメージを殺ぎ始めたからだ。技を乱発するダイナマイト・シュガーは、必然的にスタミナの消耗も激しい。
かといって、アームホイップで投げてみれば、強引に身体を滑り込ませ密着し、逆の手でロックして倒れこむ勢いをそのままにリバーススープレックスで投げ返される。
アイギス佐久間は投げ技を得意としているが、あくまでオールラウンドレスラー。投げなら投げの、打撃なら打撃のカウンター返しの罠を張り巡らせる様は、まさに“東女の守護神”の字に相応しい、実力者ならではの気品溢れるファイトだ。
会場の誰もが言葉を発する事さえ忘れ、アイギス佐久間のシャープで無駄のない立ち振る舞いに魅了されている。
それでもダイナマイト・シュガーは攻撃の手を緩めない。果敢に攻めるが、エルボーは即フロントスープレックスや脇固めで返され、投げられればやはり脇固めを決められるなど、アイギス佐久間も決めにかかっていた。
いよいよ完璧なタイミングで必殺のキャプチュードが決まり、フォールするが、ダイナマイト・シュガーはカウント2.9で返し、体勢を入れ替える。
(「もうここしかないんだ!!」)
アイギス佐久間が立ち上がったところへ、スーパーダイナマイトが炸裂。ダイナマイト・シュガーのリングネームにもなっている一撃必殺のフィニッシュホールドは、絶妙のタイミングでアイギス佐久間の首を刈った。
それはアイギス佐久間の意識を刈り取るには十分だった。
レフリーがノックアウトを宣言し、ダイナマイト・シュガーの右手を高々と掲げる。
「‥‥ボク、勝った、の?」
未だに勝利の実感が湧かない彼女へ、維新軍のメンバーが駆け付け、勝利を実感させる。
「‥‥私の完敗ね」
気が付いたアイギス佐久間は、維新軍のお祭り騒ぎから全てを悟った。
アイギス佐久間、東日本女子ヘビー級タイトル25回目の防衛ならず!
ダイナマイト・シュガーは、東日本女子ヘビー級とジュニア級の二冠を手に入れたのだった。