声優オンリーコンサートアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
菊池五郎
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芸能 |
3Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
6.3万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
11/27〜12/01
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●本文
声優、ヴォイスアクターとは、文字通り、声だけで登場人物やキャラクターを演じる役者の事だ。その為か演じたキャラクターの『中の人』とも、演じたキャラクターの名前をもじって呼ばれる事もある(もちろん、中に人などいない!!)。
「声優」、と聞くと、大半の方が真っ先に思い浮かべるのはアニメの声優ではないでろうか。近年、声優の仕事はアニメは元より、テレビや映画の吹き替え、ラジオドラマにテレビゲームと、多岐に渡る。
更に、出演したテレビやゲームの主題歌を唄ったり、CDを発売したりと、俗にいう『アイドル声優』も登場している。
アイドル声優は、本来、影の存在だった声優が表舞台に姿を見せる為、本来の演技力に加え、歌唱力やルックスといった、今まで声優に求められていなかった能力が重要視される。
そこに目を付けたのが、日本の大手ロック系音楽プロダクション『ヴァニシングプロ』の二代目社長緒方・彩音(fz1033)だ。
ヴァニシングプロは、ビジュアル系ロックグループ『デザイア』が所属している事から、その名を知るアーティストは多い。また、彩音自らが陣頭指揮を執る神出鬼没なスカウトマンでも有名で、まだ芽が出ていないうちから厳選した若手をスカウトして育成し、デビューさせている。
「『WEA主催の芸能大会』ですか?」
「そうだ。芸能大会に合わせて、声優のコンサートを開催する」
ヴァニシングプロの社長室。各地のライヴハウスや路上ライヴを練り歩き、日夜、新人発掘に精を出している彩音が社長のイスに座っている時間は1年の1/3もない。
実質、ヴァニシングプロを取り仕切っているのは、彼女の前にいるエレクトロンボルトという副社長だ。
「以前からサンシャイン等、アニメの主題歌や挿入歌のタイアップはありましたから、問題ありませんが」
彩音が数カ月ぶりに帰ってきたと思ったら、開口一番、そんな事を言い出す。彼女の気まぐれは今に始まった訳ではなく、十数年来の付き合いになるエレクトロンボルトは慣れっこだ。
ヴァニシングプロも、アニメにロックの主題歌や挿入歌を提供しており、タイアップを手掛けている。
「WEA側と話は付けてある。ライヴの内容は出演する声優に任せるつもりだ。最近はアイドル声優も多いからな。持ち時間は1人5分で、その間に出し物をしてもらう。以前演じた役の寸劇でもいいし、収録アニメの裏話といったトークショーでもいいだろう。持ち歌があればそれを歌うのもいい」
「なるほど。各声優の持ち味を出すのですね。それで赤組と白組に得点が入るのであれば盛り上がりますね。早速手配をしてきます」
「よろしく頼む。今回は私も客席で見させてもらうとするよ。ロックを歌える声優がいればスカウトしたいしな」
普段なら、雑務をエレクトロンボルトに押しつけて、スカウトの旅に出る彩音も、今回は客席で見届けるという。スカウトする気満々のようだ。
▽▲▽▲成長傾向▲▽▲▽
容姿・発声・音楽・楽器・芝居
●リプレイ本文
●お誕生日、おめでとう!
ヴァニシングプロの社長、緒方・彩音(fz1033)は、楽屋にいた玖條 奏(fa4133)と千音鈴(fa3887)、硯 円(fa3386)の3人を呼び出した。
「本番前に渡す物ではないと思ったんだが、コンサート後、私の方が会えるかどうか分からないのでな、すまない‥‥そして、誕生日おめでとう」
すると彼らの目の前に綺麗にラッピングされた袋包みが差し出された。
袋包みは、円<奏<千音鈴の順で大きい。
円には女の子の誕生日プレゼントとしてははなはだ色気に欠けるが、実用性を重視したヘッドセットマイクが、奏と千音鈴には風邪を引かないよう、それぞれの普段着に合わせたカラーの今冬の最新モデルのハーフコートとコートが贈られた。
●声優ファンはノリが良い?
コンサート会場の客席は、声優ファンによって瞬く間に満員札止めとなった。
「こんにちは♪ 七海の音、凛こと天津凛子役の千音鈴です!」
赤組の一番手は千音鈴だ。
『七海の音』の「凛」がそのまま画面から飛び出してきたかのような、凛のトレードマークであるポニーテールに、気取らないカジュアルな衣装で登場する。
『りんりんー!』
「凛は1回って言ってるでしょ、華!」
『七海の音』のファンだろう。お約束の声援に、千音鈴も凛になりきって反応すると、客席からドッと笑いが起こる。
「実は先日誕生日だったんだけど、これが偶然にも凛の20歳の誕生日と同じ日だったの! それを共演者に言われて、初めて気付いたんだけど‥‥皆さんも想像が付くと思うけど、私自身が誕生日忘れてましたー。あ! でも、歳を忘れたくて忘れてた訳じゃないからね、そこのところ勘繰り入れないように!」
また、ドッと笑いが起こる。会場は十分、温まったようだ。
「そんな第6話で少し成長した凛の歌、みんなにPresent!」
♪上手くいかない 上手くいかない
そんな言葉繰り返す毎日
でもキミの問いかけにふと考えた
「上手くやる」ってどういうコト?
空は青くて気持ちいい
風は少し冷たくても その分温もり感じられる
音は素直でちょっと意地悪
歌は顔を上げ 心のままに紡げばいい
それだけでよかったんだ
上手くいかない 上手くいかない
そんな言葉もう必要ない
不器用な想い どこまでも楽しんでやる
歌はキミへ向け 心のままに紡ごう♪
『My Song』は『七海の音』の中でも流れた歌だが、曲調は作中よりロック感をUPしたアレンジバージョン。
ベースを爪弾きながら、楽しく歌う千音鈴の背後に聳えるオーロラビジョンには、凛が主役を務めた『七音:もう一歩、前へ』のダイジェスト画像が流れる。
彩音はエレキギターを、副社長・エレクトロンボルトはキーボードを担当。
強すぎず、弱すぎず、千音鈴の主旋律の引き立て役に徹する2人。しばらく最前線から遠離っていたとはいえ、ストリートで名を馳せた敏腕は今尚健在のようだ。
それが却って千音鈴もやる気にさせ、根性で2人に匹敵する演奏と歌を奏でるのだった。
ステージ上のオーロラビジョンの映像が、『神霊装甲ヴァルキュリア』のダイジェスト版に切り替わる。
それに合わせて千音鈴と入れ替わるように、少しだぼっとした迷彩のパンツを履き、胸元にはお守り代わりのシンプルな銀のペンダントが輝き、青色のヘアバンドとリストバンドをした、ストリートダンサー風の衣裳に身を包んだレティス・ニーグ(fa2401)が舞台に現れる。白組の一番手だ。
その姿は、『神霊装甲ヴァルキュリア』で彼女が声を充てているヴァン神族側の現代人、ヴィオ・ローザそのものだ。
「この雰囲気、いいよね! みんなも踊りたくなってきただろ? あたしの本業はダンサーで唄うたいなんだよ」
ヘッドセットマイクを付けてロック調の『神霊装甲ヴァルキュリア』の主題歌を唄いながら、それに合わせてブレイクダンスを披露する。
流石に客席が狭いので観客は踊れないが、全員総立ちになり、レティスの踊りに合わせてジャンプしたり、足踏みで応える。
イントロでは派手にバク転やエアもバッチリ決める。
「でも、神霊装甲ヴァルキュリアのレギュラーになってから、声優も板に付いて来たってところかな? ヴィオもヴァルキュリアの中でもっともっと踊るから、みんなもこれからも応援よろしく!」
久し振りに目一杯、伸び伸びと踊れた事もあり、アクロバティックなステージは観客を十分魅了できたようだ。
レティスがステージから消えると暗転してスモークが焚かれ、色とりどりのカラーライトが赤組の2番手、“T.R.Y.”の渦深 晨(fa4131)と奏を照らし出した。
「「こんにちは! 前の千音鈴さんも出てるアニメ、七海の音に出てる‥‥」」
「ちょっとワガママ! 弟を振り回しちゃう兄、紅月 辰樹役の渦深 晨です♪」
「得意なのは兄のフォロー! 不幸体質の弟、紅月 風雅役の玖條 奏です」
2人ともハイネックのアンダーの上にジャケットを羽織り、下はジーンズ履き、ヘッドセットマイクを着用し、その上からキャスケットを被った同じデザインだが‥‥晨はアンダーとキャスケットは黒で、ジャケットとジーンズは白、奏は晨と配色が逆で、アンダーとキャスケットは白で、ジャケットとジーンズは黒だ。
見た目も対称的な双子の兄弟といえるだろう。それを印象付けるように、『七海の音』の2人が出演している場面の映像がオーロラビジョンに映し出される。
「‥‥不幸体質?」
「放っておいてよ、に・い・さ・ん」
「おー! 腹黒い風雅! あんま怒るなよ?」
「で、今回は双子でロックに憧れる凹凸アイドル‥‥そんな2人のイメージ曲を作ってきました!」
「実は作中で公開予定だったんだけど‥‥今日に来てくれたみんなに先に聞かせちゃう♪」
「では、T.R.Y.からのプレゼントで‥‥」
「皆も知ってるよね? 双子の合言葉は父親のあの言葉!! せーのっ!」
「「『諦めるな!』」」
晨と奏、観客が一体となって台詞を叫ぶと、前奏なしでドラムリズムが始まり、2人はキャスケットを取り、観客に向かい投げる。
♪startは違うそれぞれの道が
交差して動き出す
偶然必然、必要不要 入り混じる世界を歩む
きっとこの出会いには意味があるはず
姿は同じでも 僕が右向けば君は左
想いが同じでも 僕が素直になれば君は意地を張る
そんな日常(当たり前)が大事
「蹴りを入れて身を翻し 想いを貫き通せ!
クルクルと回る地球に 挑戦状叩きつけろ!」
you said【never give up】諦めるな!
それが扉を開ける合言葉♪
曲の前半は動きは少なめで、晨と奏は歌詞に対応して、ステージ上を自由に動く。
サビの手前になると、ステージ全体を使って動き回り、観客に手拍子を誘う。
サビの部分では、実際に蹴りのポーズをとったり、バク転をしたりと、動きで観客を魅了するのも忘れない。
「また僕らの声、聞きたいでしょ?」
「これからも沢山の変化が起こる七音と双子をよろしくね!」
「「今日はありがとう!」」
ギターソロから曲がフェードアウトしていき、余韻を残す中、2人はハイタッチ後、手を繋いで観客へお辞儀をした。
白組の2番手は円だ‥‥が、晨と奏が去った後のステージにとてとてと走ってきて、いきなり何もないところで転けてしまう。
「大丈夫か?」
「は、はい、大丈夫です!」
バックバンドとして控えていた彩音が、慌てて円を抱き起こす。
「こ、これから唄う歌は‥‥実は題名が決まっていないんです。会場に来られた皆さんには、入場の時にアンケート用紙が配られたと思いますが、帰りに題名の案を答えて下さると嬉しいです‥‥自分がパッと思いつかなかったので」
『おいおい〜』
ぺろっと舌を出す円に楽しい悲鳴が起こる。
♪feeling feeling love!...
失恋のヒロイン演じて同情をかうより
泣いてもいいから飛び込んじゃお
キミの困った顔始めてみたよ
心はオーバーワーク?ドキドキしちゃう
ちょっと待って!!マズイんじゃない?
だって予定になかったの
加速していくキミのリアクション accident!
恋しちゃおうよキューピットなんて待ってられない
平静を装っちゃ駄目だよ もう私に夢中でしょ?
ミステイクばかりでも良いじゃん
みんなに教えられない リテイクでも好きになれるから
照れ隠ししなくても良いじゃん
みんなもう知ってるし 私が好きな... キミが好きな...
2人が居るなんて♪
feeling feeling love!...♪
歌は、円が声優として参加している新作のアニメの主題歌だ。
曲調はアップテンポのロック。
演奏は彩音とエレクトロンボルトに任せ、円はもらったヘッドマイクセットを付けて歌に専念する。
歌い終わった後に軽いトークを入れる予定だったが、歌が微妙に長くなったのと、歌う前のアクシデントのように持ち前の天然が発動して時間が押してしまい、持ち時間はあっさり終了。
嵐のように現れ、嵐のように去って行った円だった。
「みなさ〜ん、こんにちわ〜☆」
『こんにちは〜』
サンタクロースを思わせる、真っ赤なドレスに暖かそうなふわふわの白いファーを身に纏った、赤組のトリを務める夕波綾佳(fa4643)が大きな声で言うと、保母さんに挨拶をする園児よろしく、観客から元気なノリノリの返事が返ってくる。
「さて‥‥どういう歌を唄いましょうかね‥‥」
綾佳の台詞に客席から笑いが漏れる。清楚感が全身からにじみ出ている“お姉さんキャラ”だからこそ許されるMCといえよう。
恐るべし天然!
「季節柄的に、晩秋の切ない感じの歌からクリスマスソングのような陽気なものまでありますからね‥‥コンサートですから、クリスマスソングのような明るい感じのものを唄う事にしましょう。無難なのは、定番のクリスマスソングなのがいいんでしょうが、そういう訳にもいかないでしょうし‥‥では、『Snow Christmas To You』聞いて下さい」
♪真っ赤なポインセチア 大きなモミの木のツリー
街は綺麗な電飾 陽気な鈴の音が広がる
もうすぐ始まる 恋人たちの時間
空から白い天使が ダンスをしながら舞い降り
陽気なダンスを見せてくれる
ラララララ‥‥Snow Christmas To You!
ラララララ‥‥Snow Christmas Dream To You!
ラララララ‥‥
そうこの瞬間(とき)を思い出に‥‥♪
クリスマスソングなので、曲調はあくまで陽気に。
ベルの澄んだ音もそこかしこから聞こえ、聞いていて楽しくなるような歌だった。
「みんな〜、ありがと〜☆」
綾佳自身楽しかったのだから、ファンにとっても楽しいコンサートになった事だろう。
ステージ上のオーロラビジョンの映像が『獣王武神(じゅうおうむじん) ヒャクジュウオー』に切り替わる。
「静かに! 私は聖獣防衛組委員長、昴・A・栞だ」
『組長ー!!』
「‥‥誰だ!? 今、組長と言った奴は‥‥まぁ、いい‥‥今日は私達の歌を聞いて欲しい」
組長‥‥もとい、栞の口調で号令よろしく挨拶をする、白組のトリを務める“ヒャクジュウオー!ユニット”の槇島色(fa0868)。
こういうコンサートに来る観客はお約束のツボをちゃんと押さえていて、空かさず声援で返すと、色も一瞬笑った後、真顔で応える。
♪見えない闇が世界を覆う 恐怖が街に満ち溢れる
怯えていては何もできない
さぁ、立ち上がれ子供達よ 恐怖に屈するな
その腕を高く掲げ勇気を示せ
勇気は大きな光と成りて 黒い恐怖を薙払う
光輝く勇者の名は
「獣王武神・ヒャクジュウオー」♪
「ヒャクジュウオー! 私が相手だ!」
「この声は‥‥アイーダか!?」
色が歌い終わると、ステージ上にアイーダの感情の薄い台詞が響く。
色がきょろきょろと辺りを見回すと、ステージの袖から黒を基調とした和服ベースの戦闘服姿の笹木 詠子(fa0921)が現れる。
♪暴風(かぜ)吹き荒れて 鼓動高鳴る
叫ぶ雷鳴 心地よく響く
微笑み凍らせて 叫べ 泣き喚け
その声が 俺を昂らせる
闇に生まれ 孤独を愛し
恐るるものは何も無い
踏み躙れ! 夢も未来も
全てこの俺に跪け
叩き壊せ! 愛も光も
世界をこの手に握るまで♪
詠子はハザードのキャラクターイメージソング『hazard』を歌い終わると、アイーダのそれから地の自分へ戻る。
「みんなが気になるのは、飯田公恵の聖獣組への復帰方法だと思うけど」
「それはわたくしも気になるわね」
「詳しくはまだ秘密だけど、やっぱり仲間が洗脳を解いてくれるのが一番よね。私としてはハザードのトラウマを、組長こと栞はどうやって克服するか、こっちの方が気になるわ」
「組長の復帰方法は秘密♪」
『秘密かよー!?』
ちょっとネタバレの部分も絡めつつ、リップサービスを忘れない詠子と色。
♪5時間目終了のチャイムが鳴る
授業はこれで終り、お家に帰れる
遊びに行く人、塾に行く人、様々だけど
ブレスレットが鳴ると 急いで教室へ逆戻り
遊ぶ時間も勉強時間も削られる
それが僕達、聖獣防衛組
地球を護る聖獣防衛組♪
最後はエンディング風のイメージソング『防衛組は帰れない』を、詠子が低音、色が高音を担当して歌い上げた。
観客全員の投票の結果、僅差で赤組が勝利した。
●彩音の名刺
「千音鈴クン、硯クン。バックバンドとして聞かせてもらったが、アーティストとして、歌手として、なかなかいい歌声と度胸を持っている。どうだろう、ヴァニプロに所属する気はないか? 即答でなくてもいい、気が向いたら気軽にプロダクションを訪ねてくれ」
彩音から名刺を渡される2人だった。