Blue Lightning―�Vアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 菊池五郎
芸能 4Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 16.5万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 12/12〜12/16

●本文

■『Blue Lightning』概要
 『Blue Lightning』はイギリスで制作されている、ロボットをフルCGで描くロボットアニメです。
 ヒロイン・アルティアナ役に、イギリスを中心に活動しているマルチタレントのリュシアン・リティウム(fz0025)を起用しています。


■導入
 F.C.23年(=火星開拓世紀)。テラフォーミングが成功し、人類の住まう第2の惑星となった火星へ、地球より北方系、東方系、極東系の3つの陣営に分かれて入植者を送り始めて23年。
 極冠部の永久凍土が融解して地表の大半が海と化し、アフリカ大陸程度しかない実用に足る土地を巡り、各陣営はより広大な入植地を手に入れようと開拓を押し進め、火星は各陣営の入植者達による紛争の渦中にあった。

 それはここ、北方系の陣営が入植した島、ネオ・グレートブリテンでも起こっていた。

 各陣営は、『Flamberge(フランベルジェ)』と呼ばれる、全長17m前後の人型兵器を競って配備し、紛争へ投入した。
 入植が始まったばかりの火星は不整地が多く、車両での踏破が不可能な地形の作業用に開発されたのが、二足歩行型開拓機『Zwihander(ツヴァイハンダー)』である。
 FlambergeはZwihanderを戦闘用に特化した兵器だ。Zwihanderが基本的に1人乗りなのに対し、Flambergeはメインパイロットとサブパイロット兼オペレーターの2人乗りで、陣営にもよるが北方系ではFlamberge3機で1小隊とし、各入植者達の開拓する各地域へ配備され、安全を確保していた。
 中でも“Blue Lightning”小隊は連戦連勝を続け、“青い稲妻”の名を聞けば他の陣営のFlamberge乗り達は震え上がり、北方系の入植者達は元気付けられ、憧れた。

 
■今回のお話
 地球より、イングランドの女王エリザベスが、北方系の入植状況の視察に、ネオ・グレートブリテン島を訪れる。
 イングランドは北方系陣営を形成する主要国の1つであり、この視察は安全に終わらせなければならない。
 そこで、女王の護衛に、“青い稲妻”の字(あざな)で地球でも名高いBlue Lightning小隊が選ばれたのだが‥‥実は、エリザベス女王に同行して火星を訪れるアルテミス王女のご指名だった。アルテミス王女はBlue Lightning小隊と指揮官機『エクスカリバー』のオペレーター、アルティアナの大ファンだったのだ。
 Flambergeを駆ってネオ・ヒースロー空港へ迎えに上がり、その足でエリザベス女王は近くのコミュニティ内を視察。その間、フリーになるアルテミス王女はBlue Lightning小隊とコミュニティで火星土産の買い物をしたいらしい。
 だが、アルテミス王女は、敵対する東方系の陣営からすれば、交渉を優位に勧める事の出来る格好の獲物だ。コミュニティ内だけではなく、コミュニティ間の移動の時にも平気でFlambergeを出して連れ去ろうとするだろう。
 エリザベス女王、及びアルテミス王女の護衛が、今回のBlue Lightning小隊の任務だ。


■各陣営
・北方系:ヨーロッパを中心とした入植集団。東方系と対立し、極東系とは中立。
・東方系:ロシアを中心とした入植集団。北方系・極東系と対立。
・極東系:アジアを中心とした入植集団。北方系・東方系共に中立。
※各陣営は入植地に『コミュニティ』と呼ばれる街を作り、開拓を進めている。コミュニティには買い物施設を始め、病院から学校、パブまで、一般的なイギリスの街にあるものは全て有している。


■入植した人々
・Flamberge乗り:基本的に軍人。各陣営よりFlambergeを与えられて小隊へ編成され、各入植地の警備に当たる。他の陣営の者が混ざる事は少ないが、中立の陣営であれば協力していてもおかしくない。
・入植者:基本的に民間人。入植の為に地球から来て間もない者もいれば、入植が始まって23年が経っており、火星生まれ・育ちの2世代目も登場している。14歳以上であればZwihanderの基本的な操縦技術は学校で習うので、希にいきなりFlambergeに乗って敵Flambergeを撃墜してしまう逸材が現れる事もある。
・傭兵:個人でFlamberge、ないし戦闘用に改造したZwihanderを所有し、小隊が配属されないような入植地を有償で警備する。また、腕の立つ傭兵は自分を各陣営に売り込み、小隊へ編成されている事もある。傭兵は対立・中立関係なく、どの陣営にもいる。


■Flamberge
 北方系では基本的にFlamberge3機で1小隊としている。

・エクスカリバー:指揮官機。基本性能と汎用性は高いが、その分コストも掛かる為、原則1小隊に1機しか配備さない。
 火力:B 白兵:B 防御力:B 機動性:C 索敵能力:C 故障率:A
 武装:レーザーランチャー、レーザーソード、シールド

・アロンダイト:支援機。中距離〜遠距離火力支援を主任務として開発され、射程距離と火力は抜群。その分、白兵戦能力や機動性を犠牲にしている。
 火力:A 白兵:E 防御力:C 機動性:D 索敵能力:E 故障率:D
 武装:ロングレンジレーザーキャノン×2、9連装ミサイルランチャー、連装バズーカ

・アスカロン:白兵機。白兵戦に特化した装備になっており、射撃武器はほとんど装備していない。
 火力:D 白兵:A 防御力:B 機動性:C 索敵能力:D 故障率:C
 武装:レーザーナイフ、レーザーソード、レーザーグレイブ、シールド、グレネード(榴弾)

・ガラティン:隠密機。ステルス機能を搭載した機体で、破壊工作や潜入任務を行なう。ステルス機能を実現する為に防御力を犠牲にしている。
 火力:D 白兵:D 防御力:E 機動性:A 索敵能力:B 故障率:B
 武装:ガトリングガン、レーザーナイフ、スモークディスチャージャー(煙幕)

・イゾルデ:偵察機。高出力センサーや通信指揮システムを搭載し、索敵を行う機体。偵察機なので戦闘力はかなり低い。
 火力:D 白兵:E 防御力:D 機動性:B 索敵能力:A 故障率:B
 武装:マシンガン、レーザーナイフ、ECM
※この他、Flambergeを3機運搬できるホバー指揮車両『クエスティングビースト』がある。
※これらのFlambergeの名前は北方系に配備されているものであり、東方系・極東系では呼び方が変わる。

・換装パーツ:原則、Flamberge1機につき1つまで装備可能
 射出グレネード×2内蔵シールド×1(防御力+1)
 閃光グレネード(榴弾)×3
 マグネットエンハンサー×1(火力−2 機動性−2)
 ※起動させると、装備しているFlambergeの半径30m以内に電磁場を発生させ、装備機を含め範囲内のFlambergeや弾道の動きを束縛する。

●今回の参加者

 fa2457 マリーカ・フォルケン(22歳・♀・小鳥)
 fa2738 (23歳・♀・猫)
 fa3426 十六夜 勇加理(13歳・♀・竜)
 fa3800 パトリシア(14歳・♀・狼)
 fa3928 大空 小次郎(18歳・♂・犬)
 fa4044 犬神 一子(39歳・♂・犬)
 fa4548 銀城さらら(19歳・♀・豹)
 fa4882 ヒカル・ランスロット(13歳・♀・豹)

●リプレイ本文


●アフレコ前の一時
 『Blue Lightning』は、人型ロボット『Flamberge(フランベルジェ)』をフルCGで描いており、アニメ部分の動画と合わせて100%完成した段階でアフレコが行われる。
「日本のアニメじゃ、『動画が完成していない段階でアフレコをせざるを得ない』っていう声優泣かせの状況が多いけど、このアニメは一切無いから、声優初心者でも演技しやすいと思うよ」
「お陰で、五十の手習いが演じられるのだがな」
 収録スタジオで出演する声優達の顔合わせをしながら、完成した今話の動画と台本を見比べる晨(fa2738)に、犬神 一子(fa4044)がオールバックにした赤い髪を掻きながら苦笑する。
「あら? 犬神さんのアフレコ、堂々としていていいと思うけど?」
「俺もそう思いますよ。回を重ねる毎にマリーカ君との息も合うようになっていますし」
「よーし、うちも一子やマリーカを見習って、さららに褒めてもらえるよう頑張るで!」
 銀城さらら(fa4548)と大空 小次郎(fa3928)が率直な感想を述べると、十六夜 勇加理(fa3426)が丸めた台本を片手にガッツポーズを取った。さららはセレブ系アイドル、小次郎はタレント、演じるという意味では彼女らに一夕の長がある。
「しかし、アフレコが急遽日本で行われるとは思わなかったわ」
 『Night in Abyss』の影響で、急遽日本でのアフレコが決まったようだ。マリーカ・フォルケン(fa2457)はそれに合わせて移動していた。リュシアン・リティウム(fz0025)を責めている訳ではないが、彼女は頭を深々と下げる。
「リュシアンさんに体育館の裏に呼び出されないように頑張って演じます!」
「え!? 私、声優初挑戦なんですけど‥‥ミスをするとリュシアンさんに体育館裏に呼び出されるんですか!?」
「ええ‥‥イギリスでは、それで何人もの声優が病院送りになったり、中には体育館裏から帰ってこない声優の噂も‥‥」
 パトリシア(fa3800)の何気ない一言で、ヒカル・ランスロット(fa4882)はすっかり萎縮してしまう。女優見習いのヒカルは、少しのミスでリュシアンに体育館裏へ呼び出される自分を想像してしまったようだ。
「ちょ!? パ、パトリシアさん、根も葉もない嘘を教えないで下さいまし」
 リュシアンが慌てて疑惑を否定すると、パトリシアは猫撫で声で悪戯っぽく笑う。
 まぁ、イベントの度に体育館裏へ呼び出すリュシアンも悪いといえば悪いのだが。


●A selfish royal princess
 ネオ・グレートブリテン島の宇宙(そら)の玄関口、ネオ・ヒースロー宇宙空港にイングランド王家が所有する専用シャトルが到着する。
 シャトルの搭乗タラップの前には、北方系陣営の高官の面々と、北方系陣営が誇る精鋭部隊“Blue Lightning”小隊のメンバーが整列し、その後ろにはエクスカリバーとアスカロン、純白に塗装され、肩に女神のパーソナルマークが入ったガラティンの3機のFlambergeが聳え立っている。
「‥‥直接的な命の遣り取りなんて、契約のうちに入ってないはずですのに‥‥」
「まぁ、追加報酬をくれるんだから、その分は“傭兵”としてきっちり付き合おうじゃないか」
 アスカロン『アズラエル』のメインパイロット、セラフィン・クーパーは着慣れないBlue Lightning小隊の制服を着ながら、隣の相棒、オペレーター兼メカニックのフューネにだけ聞こえるようこぼす。
 傭兵の彼女らは、北方系陣営とBlue Lightning小隊にてFlambergeでの戦闘の契約は結んでいるが、生身で王女の護衛をするのは契約外だ。
『傭兵には傭兵なりの流儀がある。雇っている以上、筋を通すべきだろう?』
 プラチナブロンドの髪を湛える女傭兵アグライアの言葉に、着任した新隊長キャサリン・ワード准将が特別ボーナスを提示する事で、セラフィンにアルテミスの護衛の任も承諾させた。
 とはいえ、そこは傭兵。貰えるものを貰えるのであれば、きっちり仕事はこなす。セラフィンとフューネ、アグライアは、事前に本来のSPとBlue Lightning小隊のメンバーと護衛について綿密な打ち合わせを交わしていた。
 SPがぞろぞろ王女の側を歩いていては目立ちすぎるし、王女の心証を悪くするだけだろう。セラフィンはそういった細かな気配りもし、SPはエリザベス女王の護衛をメインとし、アルテミス王女には彼女達Blue Lightning小隊が直衛として付くという体制を整えた。
 イングランド王家御用達のSPに護られてシャトルから出てきた現エリザベス女王は、まだ30代。この若い美貌の女王はイングランドを始め、ヨーロッパ諸国で圧倒的な支持(=人気)を誇っている。
「故にエリザベス女王の視察を成功させる事が、今後の北方系陣営の運営を左右するわ」
 キャサリンはイングランド王家とも親交のある門閥貴族の娘で、この手の情勢に詳しい。また、20代前半という若さで、“常勝の魔術師”という字を持つ程の冷静な戦略家でもある。
 続けて、アルテミス王女が緑色の長髪を靡かせて、侍女のルーシアを伴って現れる。御歳15、6歳、実母であるエリザベス女王と一緒に歩いても、親子というより姉妹に見える。
「アルテミス王女‥‥可愛いなぁ」
「私達がいくらコミュニティを預かる地方執政官の子息とはいえ、身分が違いすぎるわ。障害が多い程、恋は燃えるというから、まぁ、頑張りなさい」
「もぉ、姉さんはうるさいよ!」
 コウ・ミクラはワンピースのスカートを優雅に押さえて降りてくるアルテミス王女を、ぽーっと見つめていた。
 姉のサクラ・ミクラは、弟がアルテミス王女に一目惚れし、恋の虜になった事を容易く看破し、役に立たない助言をする。
「ルーシア、アルティアナを紹介して戴けます?」
「はい、この方がBlue Lightning小隊の副隊長アルティアナ様です」
 エリザベス女王は分刻みのスケジュールなので、先にホバー艇でネオ・ヒースロー宇宙空港を発ち、残ったアルテミス王女はルーシアにBlue Lightning小隊との顔合わせを頼んだ。
「Blue Lightning小隊の活躍は、地球まで届いていますわ。わたくし、あなたのファンですの。あなたが表紙を飾った雑誌は全て集めておりますのよ。これは、お近づきの印ですわ」
 栗色の長髪を湛える見目麗しいアルティアナは、北方系陣営の広報活動に駆り出される事も多い。主にFlamberge乗り向けの広報の表紙を飾ったりするのだが、アルテミス王女はそれを入手しているようだ。どうやらルーシアが一役買っているらしい。このメイド服に身を包んだ侍女は、しっかりしているように見えて、王女第一思考の人のようだ。
 フューネが、セラフィンが、アグライアが、サクラが口々にどよめく。アルテミス王女は『お近づきの印』にアルティアナと唇を重ねたからだ。コウに至ってはアルティアナをジト目で見ていたとか。
「キスくらい、挨拶ですわよ?」
「さぁ、アルテミス王女、ホバー艇の用意が出来ています」
 平然と言ってのけるアルテミス王女に、同じく何事もなかったかのようにキャサリンがホバー艇へ案内するのだった。

 アルテミス王女の護衛という観点から、護衛するアグライア達も地理に明るい方がいいという結論に至り、買い物をする場所はサクラとコウの親が執政官を務めるコミュニティとなった。
「ここが有名な洋服店なのですね」
「よ、洋服でしたら、このお店が一番の品揃えです」
「へぇ、割と小さいけど‥‥ルーシア、あそこからあそこまで試着したいの、持ってきてもらえる?」
「畏まりました」
 同い年という事もあり、コウがアルテミス王女の身辺警護に付いた。女の子向けの洋服屋等の情報は、サクラやセラフィンから教えてもらい、案内する。
 流石は王女、このコミュニティでも1、2を誇る洋服店を「割と小さい」と言ってのけ、ルーシアに壁に飾ってある洋服全てを指さして試着を始める。
「似合うかな?」
「とてもよくお似合いです」
 試着した服を見せると、ルーシアは胸の前で手を組み、目を星のようにきらきらと輝かせて満面の笑みを浮かべる。彼女にとってアルテミス王女のお世話が出来る事が至福の一時なのだ。
「確かに品揃えは良いわね、気に入りましたわ。此処から此処まで全部ちょうだい」
 買い方も豪快である。
 お陰でコウは前が見えなくなるくらいの箱を店からホバー艇まで運ぶ羽目になった。
「喉が乾いたわ。レストランでお茶を飲みましょう」
「こういう時はいいところがありますわ」
 育ちの良さが出てしまうのか、それとも世間知らずなのか、アルテミス王女はレストランで休憩したいと言い出すと、セラフィンがオープンカフェへ案内した。
「外で飲むなんて、わたくし、初めてですわ」
 はしゃいでロイヤルミルクティーを飲むアルテミス王女。
「万が一の事が起きたら、取り返しがつきませんから、出来る範囲でやっておきましょう」
「やれやれ、しょうがねえなぁ」
「ふふ、ああいうところは年相応の女の子だな」
 アルテミス王女のお相手はコウとサクラに任せ、銜え煙草で彼女達の様子を見守るフューネとアグライアと合流し、変わりがないか確認するセラフィン。
 フューネとアグライアは一見ダラダラしてるように見えるが、視線は油断無く周囲の怪しい人物等を警戒している。
「え!? まだ‥‥お買い物ですか?」
「あなたは荷物持ちなのですから、王女様のご希望のお店へ案内して下さればいいのです」
 エリザベス女王が視察しているコミュニティまで戻らなければならない。残り時間が少ない中、驚くコウはルーシアに促され、アクセサリー店へ案内し、アルテミス王女は火星で採れた宝石で作られた髪飾りやイヤリングといった小物を中心に買い進めた。


●The main force war
『敵影を捕捉しました。その数3! 東方系陣営所属の機体です。機種は‥‥!?』
 アルテミス王女とルーシアの乗るホバー艇の前を走る、ホバー指揮車両『クエスティングビースト』。そのレーダーが敵影を捉えると、アルティアナはブリーフィングルームで待機しているキャサリン達に伝えるが、一瞬息を呑んだ。
『‥‥機種はアロンダイトタイプ1、アスカロンタイプ1、そしてエクスカリバータイプ1です』
「おそらくはベロボーグね。敵も本気でアルテミス王女を狙っている。エクスカリバーには今回、弾除けになってもらうわ」
「とにかく王女の安全優先よ」
「了解だ。ガチだな」
 キャサリンが、エクスカリバーが盾兼囮になり、ガラディンを縦横無尽に走らせ、アロンダイトが後ろを支え、ホバー艇を守るという作戦を提示すると、サクラとアグライアは頷いた。

「お母様‥‥お母様‥‥」
「アルテミス様、大丈夫です、アルテミス様の大好きなBlue Lightning小隊の皆様が護って下さいますわ。ほら、エクスカリバーから次々と発進していきますよ」
 ホバー艇はアロンダイトの威嚇射撃を受け、直撃は受けていないものの艇内は激しく揺れる。
 自らの身体を抱きかかえて脅えるアルテミス王女を、ルーシアは聖母のように優しく抱きしめ、勇気付ける。抱きしめるのはもう1つ、アルテミス王女の安全を確保する為でもある。こんな時でも取り乱したりせず、しっかりと冷静に対応する侍女。

「メカはね、結局のところ、使う者の『知恵』と『勇気』が大事なのよ!」
 1機突出し、囮兼盾になるアグライア。
 接近してくるのはアスカロン。
 白兵機なので、レーザーランチャーの有効射程を守っての射撃戦で応戦する。接近されなければエクスカリバーの方が優位に戦いを進められるし、グレネードの破壊力は恐いが、榴弾なので間合いを気をつけていれば早々当たるものではない。
 逆に閃光グレネードを使って敵の目を潰し、ハンドサインでロヴン――ガラティン――へ指示を出す。
「私を仕留めようなんて100万年早いわ!!」
 機動性と隠密性を活かして、韋駄天のようにアロンダイトの背後から強襲するサクラとコウ。
 アロンダイトは接近しても9連装ミサイルランチャーがあるが、スモークディスチャージャーで煙幕を張り、その隙に蜂の巣にする。アロンダイトは装甲が薄いのだ。

「流石は強化型シールドだ、ベロボーグのレーザーランチャーを防いでもビクともしない」
「告死天使(アズラエル)と敵対した事をあの世で後悔するのね!」
 ホバー艇の直衛に付いたフューネの駆るアズラエル――アスカロン――は、接近してきたベロボーグを迎え撃っていた。
 支給されたばかりの射出グレネードが内蔵されたシールドは、アスカロンが持つそれより素材が改良されてより強固になっており、ベロボーグ相手に善戦する。
「墜ちなさい!」
 アグライアの援護もあって、隙の出来たベロボーグにグレネードを射出し、止めを刺すセラフィンだった。

 ホバー艇を守る防衛戦で苦戦を強いられたが、辛勝とまでは行かないまでも、危うい勝利を収めたのだった。

「ほら、シャキっとなさい! アンタ男でしょ!!」
「お、王女様にお会いできて光栄でした」
 アルテミス王女に想いを告白できない弟の背中を押す姉。
 だが、コウは眼を合わす事もできず、敬礼するだけ。
「今日はありがとう」
「‥‥私の恋はいつになるやら」
 アルテミス王女は荷物持ちのご褒美のオデコにチュを軽くすると、エリザベス女王の待つホバー艇へ行ってしまう。
 弟の儚く散った恋に、自嘲気味に笑うサクラだった。


●CAST
アルテミス王女
 ヒカル・ランスロット
ルーシア
 パトリシア

アグライア
 晨

セラフィン・クーパー
 マリーカ・フォルケン
フューネ
 犬神 一子

キャサリン・ワード
 十六夜 勇加理
サクラ・ミクラ
 銀城さらら
コウ・ミクラ
 大空 小次郎

アルティアナ
 リュシアン・リティウム