神話のリュートヨーロッパ

種類 ショート
担当 菊池五郎
芸能 フリー
獣人 10Lv以上
難度 やや難
報酬 不明
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/21〜06/25

●本文

 アイルランドからイギリスに伝わるケルト神話には、数多くのニンフ(妖精)が登場する。
 グウレイグもその1人だ。またの名をグウラゲッズ・アンヌーンともいう。
 “湖の貴婦人”の二つ名で呼ばれる彼女は、イギリスの南西部ウェールズ地方に伝わるニンフだ。
 水のニンフなので青白い顔をしているがとても美しい乙女で、純白のドレスに身を包み、煌びやかな金髪を靡かせながら、しばしば黄金の小舟に乗って湖の上で遊んでいると神話は語る。
 彼女はリュートの名手であり、その歌声は聞くものを魅了した。
 穏和な性格らしく人間と会う機会も多く、グウレイグが人間の男性と結婚したという話はウェールズ地方に数多く残されている。彼女はパンとチーズが好物で、この為に人間と結婚する事もあるという。

「なんでぇ、グウレイグちゃんのお話をしたかというとぉ〜、あるらしいんだよぉ、グウレイグが使っていたっていうリュートがぁ〜」
 メーフィル(fz0041)は相も変わらず、間延びした口調でそう切り出した。重要な発見らしいが、全然重要そうに聞こえないのが玉に瑕だ。
「ウェールズ地方にぃ、テンビーっていう街があるんだけどぉ、テンビーの街の近くにあるぅ、マノビェール城ってお城にぃ、グウレイグちゃんのリュートがあるんだってぇ〜」
 マノビェール城は、テンビィより西へ約16km程離れた砂浜と岩礁の入り江に建つ城だ。その創建は今から800年程前といわれている。しかし、17世紀に崩壊し、今でも廃墟となったままだ。公の交通機関も整備されておらず、観光コースからも外れているので、旅行者も滅多に訪れない。
「WEAがわざわざそうしてるみたい〜。昔、ナイトウォーカーが出たらしいんだぁ」
 なるほど、WEAが規制を掛けて、観光客を寄せ付けないようにしているのなら説得力がある。
「ところがぁ、メーフィルちゃんが調べたところぉ、このマノビェール城の歴代の城主ちゃんの中にぃ、なんとぉ、グウレイグちゃんを射止めた人がいるんだってぇ! マノビェール城は海岸沿いだけどぉ、その城主ちゃんは愛しのグウレイグちゃんの為だけにぃ、お城の地下に人工の湖を作ったんだってぇ。愛の成せる業だよねぇ」
 世紀の発見とばかりにひんぬーを張ってみたり、人間とニンフのラブロマンスに1人で勝手に盛り上がるメーフィル。しかし、その話が本当だとすると、マノビェール城の地下には今でもその人工の湖が残っていても不思議ではない。
「そうそう〜、メーフィルちゃんもそこに着目したんだよぉ。マノビェール城は17世紀に滅んじゃうんだけどぉ、その人工の湖の話は全然出てこないのぉ。もしかしたら、今でも残ってるんじゃないかなぁ、て〜」
 もし、人工の湖が手付かずのまま残っていたとしたら、そこに城主と結ばれたグウレイグが愛用していたリュートが眠っている可能性も大いに有り得る。
 ケルト神話関連の遺跡から、森に住むニンフ、アルセイドが纏っていたという白い薄絹のワンピース『アルセイドキルト』というオーパーツが見付かったという報告もある。『グウレイグのリュート』もオーパーツだとしたら、福袋等には入っていない、アーティストにはどんなにお金を積んでも買えない、希少価値の高い楽器系のオーパーツと考えられる。
「メーフィルちゃんはぁ、ロックのヴォーカリストだからぁ、グウレイグちゃんのリュートはぁ、一目見てみたいけどぉ、弾けないからぁ、あればぁ、協力してくれた人にあげるよぉ」
 メーフィルはロックファンの間では、それなりに知られているボーカリストだ。ボーカルオンリーなので、楽器には興味があるが、見付かった場合の報酬とするという。もちろん、見付からなければ報酬はない。
 問題は昔出たというナイトウォーカーだろう。WEAの記録では退治されたとまで書かれていなかったようなので、今でもマノビェール城内に潜伏している可能性がある。
「水辺だからぁ、考えられるとすればぁ、タコやイカといったナイトウォーカーや、お魚さんのナイトウォーカー、後スライミーなナイトウォーカーかも知れないねぇ」
 メーフィルが水辺に生息している生物から、出現が予想されるナイトウォーカーを列挙してゆく。
「そうそうぉ、肝腎な事を言い忘れてたけどぉ、最近、メーフィルちゃん以外にもぉ、マノビェール城を調べてる人がいるらしいんだぁ。もしかしたらぁ、噂のダークサイドかも知れないねぇ」
 ダークサイド獣人! もし、ダークサイド獣人もグウレイグのリュートの噂を聞き付けて狙っているとしたら、一戦交える覚悟はしておいた方が良いかも知れない。


※※技術傾向※※
体力・格闘・軽業・射撃・楽器

●今回の参加者

 fa0378 九条・運(17歳・♂・竜)
 fa0760 陸 琢磨(21歳・♂・狼)
 fa0847 富士川・千春(18歳・♀・蝙蝠)
 fa1206 緑川安則(25歳・♂・竜)
 fa2386 御影 瞬華(18歳・♂・鴉)
 fa2824 サトル・エンフィールド(12歳・♂・狐)
 fa2830 七枷・伏姫(18歳・♀・狼)
 fa3577 ヨシュア・ルーン(14歳・♂・小鳥)

●リプレイ本文


●依頼を成功させる為に必要な事
 マノビェール城の正門の前では、メーフィル(fz0041)が斬馬刀のように長い得物を持ち、腰に手を当てて身を乗り出し、「おこりんぼぽーず」を取っていた。眼下には、サトル・エンフィールド(fa2824)とヨシュア・ルーン(fa3577)が正座させられている。
 何故、メーフィルが怒っているかというと、2人の装備とやる気の無さが原因だ。
 これから調査するマノビェール城は廃墟だ。しかも観光地として一般に開放されていないので、観光地としての設備は一切無い。
 懐中電灯といった光源や、ロープといった移動手段の確保が必要になってくるが、ヨシュアは城内の探索には参加しないで、サトルが地底湖を見付けてくれるのを待つと言い出すし。その城内を探索するサトルの持ち物はハリセン一本のみ。
 メーフィルでなくとも怒るのも無理はないし、彼女も好き好んでお説教をしている訳ではない。
 今回のように未盗掘の遺跡を調べ、且つ敵が分からないような状況で、1人ないし2人の軽率な行動が仲間全員を危機に陥れる事もあると言いたいのだ。
「今まではどうか知らないけど、今回の探索は特に難易度が高そうだからな。棚ぼたを待っててもレア武具は降っては来ないぜ? 働かざる者食うべからず、だ。という訳でメーフィルちゃん、俺のケルト民謡の熱唱に免じて、お説教はこの辺でいいだろ?」
 九条・運(fa0378)がメーフィルにウインクを1つ、ケルト民謡を熱唱して丸く収め、お説教はお開きとなった。

「当時、人が出入りしていた訳ですから、ショッピングモールで集まるような小物は必要無い‥‥と思いましたが、半壊していますから、やはり最低限の光源は必要ですね」
 御影 瞬華(fa2386)は正門の封印を解き、マノビェール城の中へ身を躍らせる。半壊し、ところどころから陽の光が差し込んでいるとはいえ、元々西洋の城は居住性を重視して造られてはいない。城内は薄暗く、灯りが必要だ。
 灯りを持っているのは、運と富士川・千春(fa0847)、緑川安則(fa1206)と七枷・伏姫(fa2830)の4人。
「先ずは地下を探す方が先かな? グウレイグが地下の人工湖に住んでいて、今でもグウレイグのリュートが残っているとすれば、一応、持ってきたダウジングマシーンに反応すると思うの」
「マノビェール城とグウレイグに纏わる話を聞く限りでは、その可能性が一番高いだろう。ただ、木を隠すなら森の中、とも言うし、城の庭園等もゴーストファインダーといった検査機器で調べてみる必要はあると思う」
「こういう時は捻りなし、正攻法のローラー作戦でGO!」
 千春がダウジングマシーンを取り出すと、安則は中型トラックからゴーストファインダーを、運はキャンピングカーからダウジングマシーンDXとゴーストファインダーをそれぞれ持ってくる。
「甘かったようだな」
 陸 琢磨(fa0760)が苦笑を浮かべる。千春と運のダウジングマシーンはそれぞれ自分を指した。サトルとヨシュアを除く全員が何らかのオーパーツを装備しているのだから、そちらへ反応するのも仕方ない。
 とはいえ、ダークサイド獣人やナイトウォーカーとの交戦を考えると、オーパーツを手放せるはずもなく、光源の都合と実力を鑑みて、運・安則・琢磨組、伏姫・サトル・ヨシュア組、千春・瞬華・メーフィル組の3組に分かれて運のローラー作戦で調査する事になった。 


●パンとチーズが決め手
「信頼の足る、と言うのならやーくんと運だろうな。俺は2人の背中を守る事に集中する」
「索中こそ、意識を集中させるから一番無防備だからな。ここで奇襲なんぞ食らうと恥としか言えなくなる」
「タクマなら安心して背中を預けられるよ」
 人の手が入らず、荒れ放題になっていた城の庭園の探索を終えた安則達は、城内の調査へ移っていた。
 シャイニンググローブを填めた琢磨が周囲を常に警戒する中、安則がヘッドランプとライトバスターで灯りをバッチリ確保し、運が柱から壁から床から屋根に至るまで、怪しいところは軽く叩いて音の反響を聞いていた。
 実際に調べてみて分かったが、マノビェール城は風化が進んでおり、外壁など獣人の特殊能力やオーパーツを使用すれば崩壊しかねない危険性があった。

「グウレイグは城主の妻でござった。しかし、彼女は例えどんなに軽くでも、三度殴られると湖に帰ってしまうという‥‥城主がグウレイグを大切に想っているとしたら、城主しか出入りできない場所に地底湖の入口を造らせるかも知れないでござるな」
 伏姫はケルト神話のグウレイグの話を思い出し、そうアタリを付けると玉座のある謁見の間や城主の寝室、書斎といった城主の個室を調べた。
「でも、謁見の間や城主の寝室は、城の最深部や上の方にある事が多いから、そこから地下への隠し通路を造るのは、特に昔のお城なら改築が大変じゃないかな?」
「マノビェール城の城主の一人が実際にそうであったように、人が人を‥‥グウレイグはニンフだが、好きになるのは理屈ではござらんよ。現に地底湖を造ってまでも娶ったでござろう?」
「‥‥そんなものですか?」
 サトルの意見はもっともだが、人が人を好きになるのは理屈ではなく、また愛の力は時に奇跡を起こす。伏姫の話を聞いても実感の湧かないヨシュアの髪を撫で、彼女は調査を再開した。

「グウレイグはパンとチーズが好物ねぇ‥‥食料周りやその辺りを探してみようか?」
「別名“湖の貴婦人”グウラゲッズ・アンヌーンの有するリュートですか。グウレイグがリュートを残したくらいですから、夫であった城主は気を遣ったのでしょうね。もっとも、それ以前に女性に手を上げる事自体が許せる範疇外ですけどね」
 ケルト神話が語るグウレイグの話を思い出し、千春達は食料庫へ向かった。途中、瞬華もグウレイグに纏わる話を語った。
「‥‥でも、探索っていつ行っても興奮しますよね。自らが神秘を解き明かすべく手を伸ばしているんだー‥‥って。子供みたいと思われてしまうかも知れませんが、でも、本当にそう思うのですよ」
「分かる分かるその気持ち。遺跡に残された物品って、そこに住んでいた人達の想いが込められているかも知れないじゃない? ましてオーパーツなら、その想いを受け継いで現代で活かす! ロマンだわ」
「私の場合、銃以外のオーパーツには興味ありませんが、ケルト神話なら魔弾タスラムが欲しいですね。魔槍ゲイボルグがオーパーツとしてあるくらいですから、もしかしたらと思ってしまいますよね」
「もしあれば投槍ブリューナクみたいなオーパーツが欲しいなぁ」
「みんなぁ、神話級のオーパーツなんだけどぉ」
 千春と瞬華の話を聞いていたメーフィルが苦笑する。
 すると、千春が瓦礫を退けた先に、半壊した石造りの階段があった。千春の予想が的中した。
「メーフィル殿、来て欲しいでござる」
 その時、伏姫のメーフィルを呼ぶ声がした。伏姫も地底湖へ通じる何か見付けたようだ。
「ここは私と千春で瓦礫を退かしています。メーフィルは伏姫の所へ行ってあげて下さい」
「帰りに緑川さん達男手を連れてきてくれると助かるわ」
 瞬華と千春に言われてメーフィルは部屋を出ていった。
「そこにいるのは誰!? 七枷さんが戦ったという小鳥のダークサイド獣人かしら!?」
 しばらくすると、千春は鋭敏聴覚でわずかな砂利を踏む音に気付き、三節棍「竜昇」を取り出して、姿無き相手を迎撃する。
「あう!?」
 千春は二の腕を刃物で軽く斬られてしまう。相手の奇襲に対し、彼女は瓦礫を退かしている最中で、三節棍を取り出す動作が加わった為、迎撃がワンテンポ遅れた。
 少し前に呼吸感知を使った限りでは、近くにこのダークサイド獣人はいなかったはずだ。呼吸感知の効果時間が切れてからマノビェール城の中へ侵入したのだろうか。
「ち、千春‥‥」
「え!? 嗚呼、そんな‥‥!?」
 CappelloM92を牽制に使い、オティヌスの銃を本命として撃っていた瞬華が、冷たい声を上げる。
 その声に斬られた二の腕を見た千春は、信じられない光景を目の当たりにした――。


●ダークサイド獣人の特殊能力?
「歌の国ウェールズだけあって、オーパーツがリュートってのも頷けるよな。俺自身は興味薄いけど、一緒に置いてある物の中に、フィアナ騎士団が使っていた遺物があったら良いな〜」
「ほぉ、アーサー王やクー・フーリンのアルスター伝説ではなく、フィン・マックールのフィアナ騎士団か」
「私はグウレイグのリュートを見付けて、妹にプレゼントできればいいが、フィアナ騎士団の刀剣類や甲冑もそそられるな」
 合流の時間になり、エントランスへ戻ってきた運と琢磨、安則は、運が探索前に買ったウェールズのご当地のパンとチーズを食していた。
「拙者は切れ味のいい刀剣を、出来れば神剣クラウ・ソラスを所望するでござる」
 そこへ伏姫とサトル、ヨシュアも帰ってきて話に加わると、銃声が遠くから聞こえてきた。
 琢磨がいち早く駆け出す。
 先ず目に飛び込んだのは、血塗られた得物を床に取り落とし、フリフリの白とピンクのドレスの腹部を血で染め、倒れているメーフィルだった。
「ダークサイド獣人か!? はるちーと瞬華はまだ戦って‥‥」
 伏姫がメーフィルの容態を見る。傷は深いが致命傷ではないようだ。
 その先にある食料庫へ飛び込んだ琢磨は言葉を失った。
「まだダークサイド獣人がいるのか!? って、何だよ、こりゃ‥‥」
 金剛力増を自らに付与した運が琢磨の後に続くと、彼が立ち尽くしている理由が分かった。
 そこに千春と瞬華の姿はなく、2人を模した石像があるだけだった。しかし、その石像は豊かな質感を有しており、驚きと恐怖に満ちた表情と仕草を顔や服のしわに始まり、、髪の毛一本一本、産毛に至るまで、精細且つ緻密に再現していた。
「人が石になる‥‥バカな、神話じゃあるまいし‥‥」
 それはただの石像ではなかった。千春と瞬華本人を原材料とした石像だ。安則は能力解除を2体の石像に使うが、元に戻る様子はない。先程安則が言ったように、千春も瞬華も神話のように石に変えられてしまったのだ。
「まだ‥‥手はあるよぉ」
 そこへ伏姫に肩を借りながらメーフィルが現れる。伏姫がヒーリングポーションを使ったお陰で、大分回復していた。その手には得物である斬馬刀を持っていた。
 メーフィルが斬馬刀の切っ先を千春の額に当てて何かを呟くと、斬馬刀が厳かに光り、その光は石像へと伝わってゆく。すると伝わった部分から灰色の絵の具が流れ落ちるように、千景が元の色と柔らかさを取り戻してゆく。
 メーフィルは瞬華にも同じ事を行い、生身に戻した。
「よかったぁ、カラドボルグの力で元に戻ってぇ」
「その斬馬刀が魔剣カラドボルグ?」
 瞬華がメーフィルに自分達を生身に戻したオーパーツを聞くと、それは先程話をしていたケルト神話の神話級のオーパーツの1つ、『魔剣カラドボルグ』だった。
「小鳥のダークサイド獣人だと思って油断していたわ。ちゃんと挨拶くらいはしておきたかったけど」
 千春が悔しそうに二の腕の傷口を見た。呼吸感知を使ったが、城内にダークサイド獣人はいない。メーフィルを呼び寄せた伏姫の声も、小鳥のダークサイド獣人の仕業かもしれない。
 近付くなという警告が目的だろうか?


●神話のリュート
 千春と瞬華、メーフィルも運が買ってきたパンとチーズで英気を養うと、全員で食料庫の階段の瓦礫を退かして地下へと降りていった。
 かなり深くまで降りただろうか。そこには地底湖が広がっていた。
「人工の湖を作る為に、水は海水を引いてきているようね。となると、ナイトウォーカーの種類もそこから紛れたのが感染して、そのまま情報媒体が乏しい人工湖に実体化したまま残っている可能性があるわね」
 千春の地底湖の構造の見立ては当たりだ。だが、ナイトウォーカーは違った。静かな湖面の一部が突然動き出し、琢磨達へ襲い掛かってきたからだ。
「スライム型のナイトウォーカーか! 斬撃も闇頸も効かなそうだな」
「しかも湖の中では保護色になってしまい、狙いが付けづらいでござる」
 スライム型のナイトウォーカーは酸を放射してきた。琢磨達は即座に散開し、彼は青月円斬をお見舞いする。だが、スライム型では伏姫の必殺の突きも効果は薄い。彼女は逆刃刀「仇華」を構えながら、水辺へ躍り出てナイトウォーカーを引き付ける。
 ナイトウォーカーが酸を放射すれば、その居場所が分かる。サトルはありったけの飛操火玉を、ヨシュアはありったけの空圧風弾を叩き込む。姉妹の息の合ったコンビネーションだ。
「ダークサイド獣人には後れを取ったけど!」
「ナイトウォーカーには後れは取りません」
 瞬華がオティヌスの銃を撃って隙を作り、千春が虚闇撃弾を全段撃ち込む。
「見えた! コアだ!!」
「ダークサイド獣人もナイトウォーカーもしつこいものは変わりないな! 必殺技だ。冥土の土産に持っていけ!!」
 コアを見付けると、運は背中に金色の龍の翼を生やし、安則の火炎砲弾による弾幕の中、超低空高速飛行で突進力を増した一撃を繰り出し、コアを破壊した。

 ヒーリングポーションでナイトウォーカーとの戦いの傷を癒した後、地底湖を調査すると、果たしてグウレイグのリュートは地底湖の真ん中にある小島の、寝台の上に安置されていた。
 安則が埃を拭うと、その下からは新品同様の輝きが現れた。
 また、小島にはダークやアサイミーといったケトル神話に馴染み深い武器や、射撃や格闘の腕を一時的に高める薬、グウレイグが身に付けていたであろうネックレスが見付かった。