董白志三国志アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 菊池五郎
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 不明
参加人数 10人
サポート 0人
期間 07/12〜07/16

●本文

 ――閃光!
 ――爆発!
「‥‥ごほ! ごほごほ!! 何この爆発は!? 投石機!?」
 立ちこめる煙の中から現れたのは、鮮やかな刺繍が施された煌びやかな紫色の着物に身を包み、仰々しい髪飾りを付けた少女だった。少女は爆発による煙を吸い込んでしまったようで、しばし咳き込んだ後、煙の晴れた辺りを見回し、腰に差した直刀を抜き放った。
「さっきまで館にいたはずだけど‥‥下郎、ここはどこは応えなさい!?」
「‥‥ごほ! ごほごほ!! 何なのよぉ、この煙はぁ? あれぇ、劉ちゃん〜? 劉ちゃん〜?」
 少女の後から、やはり煌びやかな桜色の着物に身を包み、仰々しい冠を頂く女性が姿を現す。その美貌は楚々とした優しき令嬢のそれだが、着物の胸元が大きくはだけ、たわわに実った双房を覗かせており、艶っぽい雰囲気を併せて纏っていた。
「あらぁ、見掛けない娘ねぇ。劉ちゃん知らない〜?」
「この私を誰だと思ってものを聞いている? 太師董卓(とうたく)が孫娘、董白(とうはく)よ!」
「董卓の孫娘だって!?」
「月ちゃん〜!」
 少女は直刀を女性に突き付けながら、自らを董白と名乗り上げる。すると、煙の中から蛇のように曲がりくねった矛先が董白へ振り下ろされる。彼女はそれを直刀で受けると、煙の中からチャイナドレスに身を包み、蛇矛を構えた女性が現れ、董白と令嬢の間に割って入る。
「甘皇后(かんこうごう)様、無事のようだね」
「うん〜、甘は大丈夫よ〜」
「おのれ、二人掛かりとは卑怯な!」
「今、刃交えているのはをこのあたし、夏侯月姫(かこうげっき)だけだよ! それに董卓はとうの昔に死んだのに、何でその孫娘が生き残ってんのさ!?」
「おじいさまが亡くなられた!? 痴れ者が戯れ言を‥‥おじいさまに言いつけてやるんだから!!」
 甘皇后の無事を確認した夏侯月姫は、蛇矛へ力を込める。矛と直刀という武器の違いもあるし、元々の力の差もあるのだろう、董白が徐々に圧され始めると、彼女は夏侯月姫を睨め付けながら吼えた。
「お、お二人とも、待って下さい」
「小喬(しょうきょう)!?」
 ようやく煙が全て晴れると、今度は董白の夏侯月姫の間に少女が割って入ろうとして、その一騎打ちの雰囲気に呑まれ、外から声を掛けるに留まる。青系統の煌びやかな着物に身を包み、甘皇后と同じく楚々として可憐な少女だが、甘皇后と違うのは露出の低さが醸し出す清楚さだろう。
 しかし、小喬の存在自体が、夏侯月姫の矛先を収めさせるには十分だった。
「先ずはあの方達に事情を聞いてからでも遅くはないと思うのです」
「岸田博士‥‥」
「バニー君、タイムマシーンは成功したよ!!」
 小喬が視線を向ける先には、手に手を取って喜び合うボサボサ頭にサングラス、無精髭を生やした白衣の男性と、バニーガールな女性がいた。
 太師董卓の孫娘董白、蜀漢皇帝劉備・玄徳の正室甘皇后、同じく蜀漢の武将張飛・益徳の妻夏侯月姫、そして『江東の二喬』と呼ばれる絶世の美少女にして、孫呉の武将周瑜・公瑾の妻小喬。
 4人は歴史好きのマッドサイエンティスト岸田博士が開発したタイムマシーンによって、三国時代から現代の日本へ召喚されたのだ。

「美味しいお茶ですね。紅茶、というのですか? 呉にはないお茶です」
「小ちゃん小ちゃん〜、このおせんべいっていうお菓子も美味しいよぉ」
「わぁ、本当ですね」
「甘皇后様、小喬、このちょこれーっていうお菓子、すっごく甘いよ」
「って、あなた達、何和んでるのよ!? 聞けば蜀漢と孫呉は敵同士って言うじゃない!?」
 小喬はバニーが淹れた紅茶のカップを手に取り、先ず香りを嗅いでから、恐る恐る口に入れてその美味しさに思わずほわわんと至福の笑みを浮かべる。その横では甘皇后がお煎餅を頬張り、夏侯月姫がチョコレートクッキーを2人に勧めている。
 その光景は何とも微笑ましいが、董白は1人、いきり立っていた。
「まぁまぁ、白ちゃんも〜、このぷりん食べてみて〜。すっごく美味しいんだからぁ」
「白ちゃん言うな! ‥‥本当、こんなに甘いお菓子、洛陽でも長安でも食べた事無い」
「でしょでしょ〜」
「‥‥って、そうじゃなくて! 私もおじいさまも後半年後に殺されて、董氏が滅ぼされるなんて戯れ言、信じられるものか。莫迦莫迦しいにも程がある!」
 甘皇后からプリンを勧められた董白は、毒気を抜かれたかのように一口食べ、年相応の女の子の至福の笑みを浮かべたまま瞬く間に間食してしまう。
 しかし、正気に戻ると、先程、岸田博士から聞いたタイムマシーンや三国時代の事を切り出す。董白は董卓が王允・子師の美女連環の計によって、呂布・奉先に討たれる半年前、丁度、長安で董氏一族が栄華を極めていた絶頂期に召喚されていた。
 とはいえ、いきなり1800年後の未来に連れて来られ、「半年後にあなたは死にます」と史実を突き付けられて、「はいそうですか」と素直に受け止められるだろうか?
「董卓の悪政はおじさんも手を焼いていたからねぇ。まぁ、遅かれ早かれ天が赦さないだろうけど」
「さっきから黙って聞いてれば、言ってくれる。そう言うあなたのおじは曹魏の武将だそうね」
 夏侯月姫は名前からして分かるように、曹魏の武将夏侯淵・妙才の姪だ。蜀漢と曹魏の関係を考えると、夏侯月姫の立場は非常に危うい。
「何が言いたい‥‥」
「さぁ? 何が言いたいと思う?」
 先程から何かにつけて董白へ食って掛かる夏侯月姫だが、董白も甘んじて受けている訳ではない。夏侯月姫の生い立ちを反撃の糸口に見出したのだ。
 夏侯月姫が傍らに置いてあった蛇矛の柄に手を掛けると、董白も直刀に手を伸ばしていた。
「月ちゃんも白ちゃんも〜、落ち着いて〜」
「平和な未来に来てまで戦をしても仕方ないです。ここは踊りや歌で決着を付けるのは如何でしょう?」
「「却下!」」
「そ、そんな‥‥」
 甘皇后と小喬が仲裁に入るが、何故かこんな時だけ息の合う董白と夏侯月姫だった。

 斯くしてここに、時代を超えた夢の対決が始まろうとしていた。
 だが、彼女達は知らない。過去に戻れば、未来の記憶は消えてしまうという事を。自分達の辿る道を知らずに済む事を。


●成長傾向
 体力・格闘・射撃・発声・踊り・芝居

●今回の参加者

 fa1234 月葉・Fuenfte(18歳・♀・蝙蝠)
 fa1338 富垣 美恵利(20歳・♀・狐)
 fa1357 結城 紗那(18歳・♀・兎)
 fa1526 フィアリス・クリスト(20歳・♀・狼)
 fa2057 風間由姫(15歳・♀・兎)
 fa2137 御神・由希(17歳・♀・ハムスター)
 fa3464 金田まゆら(24歳・♀・兎)
 fa3691 姫月乃・瑞羽(16歳・♀・リス)
 fa3853 響 愛華(19歳・♀・犬)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)

●リプレイ本文


●夏侯月姫対董白
 方や蛇矛の柄に手を掛け、方や直刀に手を伸ばし、ソファーから立ち上がる夏侯月姫(かこうげっき)と董白(とうはく)。
 一発触発の雰囲気に、流石に甘皇后(かんこうごう)と小喬(しょうきょう)が仲裁に入るが、何故かこんな時だけぴったり息の合う二人。
「周姫(しゅうき)、お二人を止めて下さい」
「無理に止めるよりは白黒はっきりさせた方が良いよ。私が見届け人になるわ」
 小喬は、自分と夫である周瑜・公瑾との娘、周姫に仲裁を求める。現代に召喚された時点の小喬は、まだ周瑜との間に子をもうけていないので、自分の娘という実感が湧かないが、美丈夫である周瑜の面影を残した美貌を持っているし、聞けば父譲りで剣も嗜んでいるという。
 この中で董白達の戦いを止めるには適任だと思ったのだが、周姫は逆にここまでいきり立っている者は下手に止めるより、気の済むまで戦わせた方がスッキリする、と思ったようだ。
「確かに周姫の言う事に一理ありますわ。ですが、小喬の言うように無益な血を流すのも豪傑として誇れる事ではないでしょう」
「流石大ちゃん〜、いい事言うわね〜。という訳で〜、黄ちゃん〜、何か良い提案はないかしら〜?」
「すご〜い! 箱の中に人がいる〜! ねぇ、これどうなってるの? ねぇ、これって何〜? 車みたいだけど、馬がいないのにどうやって動かすの? あれもこれも、あの人に見せたらきっと驚くぞ〜♪」
 妹を不憫に思ったのか、小喬の姉、大喬(だいきょう)が助け船を出す。彼女の言葉を受けて、甘皇后は蜀漢の名軍師諸葛亮・孔明の妻であり、自身も発明家の黄月英(こうげつえい)に打開策を求めるが、当の黄月英はテレビや車といった未来のハイテク機器に興味を引かれ、あれこれ弄ったり調べたりしており、彼女の言葉は耳に入っていない。
「‥‥‥あ‥‥争いはいけないですよ? もし、決着を付けるのであれば‥‥‥そこにあるものを使うと良いでしょう」
「木刀と‥‥竹槍? 確かにこれなら蛇矛や宝刀よりは傷付かないね。流石は蔡文姫、目の付け所が違うわ」
 蔡文姫(さいぶんき)はようやく夏侯月姫と董白の雰囲気に気付いたかのように、困ったように小さく小首を傾げた後、部屋の隅に立て掛けてあったものを指差す。それは、一本は関銀屏(かんぎんぺい)も見慣れた木刀だった。もう一本は緑色をした棒で、竹のように見えるが、竹よりも硬く、弾力性がない。また、竹独特の節もない。
 実はプラスチック製の物干し竿なのだが。
「え? これを使うの? ん、私は真剣でも問題ないんだけど‥‥」
「‥‥何か言いたそうな目ね」
「別に。どこかの誰かのおじいさまとやらは、帝を平気で殺して、歴代の帝の墓を暴いて財を得ていたというじゃない。その孫娘はこんなみすぼらしい得物なんて使わないだろうなぁ、って思っただけ」
「お、おじいさまをまた莫迦にして‥‥!! 良いわ、使おうじゃないの!!」
「まぁ、あんたがそこまでいうのならいいけどね」
(「あの夏侯月姫という娘、董白の扱いに慣れてきたようですわね」)
 夏侯月姫が董白を上手く挑発して、宝刀から木刀へ得物を換えさせると、貂蝉(ちょうせん)はその光景に内心感心した。


 場所を研究所の外へ移し、夏侯月姫は物干し竿を、董白は木刀を構えて対峙する。
「息絶えなさいよ!」
「大悪党の董卓の孫娘なんかには負けないからね!」
 先に仕掛けたのは董白。物干し竿を旋回させて迎え撃つ夏侯月姫。
「元々、蛇矛と直刀では、その得物の差から受け身になればどうしても防戦一方にならざるを得ないわ。逆に相手に懐に飛び込めれば、董白にも勝機はある」
 周姫が解説を始める。
「あの矛捌きでは迂闊に近付けないわね。張飛もああやって飛来してくる矢を打ち落としたと言うわ」
「よくもよくも!!」
 攻撃を捌き切れず、徐々に金糸等により鮮やかな刺繍が施された煌びやかな紫色の着物が裂けて、白い肌が露出する。続けてお気に入りの仰々しい髪飾りも弾き飛ばされ、次第に羞恥と屈辱に顔を紅潮させる。
「董白が冷静さを失っている。一騎打ちでは、冷静さを失ったら負けよ」
 夏侯月姫がフェイントを組み込むと、董白はあっさり引っ掛かり、体勢を崩してしまう。
 その隙を逃さず、夏侯月姫は物干し竿を一閃! バックリと着物が大きく裂け、小振りな胸が見えてしまう。とても物干し竿とは思えない威力だ。
「くっ‥‥ぅ‥‥い、今! ‥‥って、あわぁ!?」
「く、なかなかやるじゃない」
「それまで! 二人とも、そんな格好では戦えないでしょう?」
 董白は怒りに我を忘れて夏侯月姫へ攻め立てる。夏侯月姫は猪突猛進な董白をあしらおうと物干し竿で足払いを仕掛けると、倒れていく途中で木刀が彼女のチャイナドレスを大きく引き裂いてしまう。
 胸が見えても構わず、物干し竿を構える夏侯月姫だったが、そこで周姫が止めに入った。
「周姫が言うなら‥‥今日のところは引き分けという事にしておいてあげる!」
「わ、私も‥‥‥‥悪かったよ」
 どこかぎこちない空気に包まれ、そっぽを向きながらも仲直りの言葉を呟く夏侯月姫と董白だった。


●貂蝉対関銀屏
「素晴らしい一騎打ちでしたわ。ですが、周姫様が言われるように、その様なあられもないお姿は女性の慎みに欠けますわ。こちらの衣類へお召し替えになられて下さいな」
 貂蝉が董白と夏侯月姫に渡したのは、フリルで彩られたエプロンを付ける青系のロリータ服と、タイトスカート仕様のカジュアルスーツだ。
 高飛車でツンと澄ました性格の董白だが、こうして、そのまま不思議の国にでも行けてしまうようなロリータファッションに身を包むと、年相応の女の子の可憐さが引き出される。
 一方、凛とした夏侯月姫がパリッと糊の利いたカジュアルスーツを纏うと、バリバリのキャリアウーマンや女教師に見える。
 貂蝉もまた、董白の事は快く思っていない。彼女は今、養父王允・子師の『美女連環の計』に協力し、董卓の片腕呂布・奉先に近付いている最中だ。とはいえ、1800年後の未来にまでそんな事を持ち込むのはナンセンスと考え、貂蝉は貂蝉なりに楽しんでいた。
 ――そう、衣類で。後にその美貌によって董卓を討ち、“傾国の美女”と称されるようになる彼女だが、呂布の側室として考え得る限りの贈り物をされており、煌びやかな装飾品は董白に勝るとも劣らないゴージャスさであり、衣装は薄手の薄絹(シースルー)をふんだんに使い、舞う時にふわりと靡くように、そして蠱惑的な、肉感的な四肢が見えるか見えないかのギリギリのドレスで、妖艶さを醸し出している。
「ふぅ、良いお湯だったわ。一騎打ちを見た後は、手に汗握ってしまうもの」
 そこへ、お風呂上がりでバスタオル一枚だけを身体に巻き付け、それで髪を拭いている周姫が現れる。先程まで鉄製の甲(=鎧)を付けていたので分からなかったが、よく見れば貂蝉に負けずとも劣らない豊満な体付きをしており、胸がバスタオルを内側から押し上げている。
(「周瑜様のお子様はこのように成長されるのですね。小喬は嬉しいです」)
 『絶世の美女』と名高い小喬だが、スタイルは主張しすぎず控えめ、といったところ。未だ見ぬ我が子の成長ぶりに、心の中で嬉しく思っている。
「董白、着替えたのね。その衣類、可愛くて似合っているわよ。笑ってみたらもっと可愛いのに」
「にゃ!? にゃにをふる!? ははひほほもはにふるは!(訳:な!? 何をする!? 私を玩具にするな!)」
 ロリータファッションに身を包んだ董白の頬を、周姫はみにょーんと頬引っ張っていた。


「先程の一騎打ちを見て、身体が、父上の血が疼いている‥‥」
 関銀屏は自分の手が震えている事に気付いた。彼女は蜀漢の五虎大将軍筆頭、関羽・雲長の3番目の娘だ。女性ながら父親譲りの豪傑で、夏侯月姫と董白の一騎打ちに触発され、自身も豪傑と戦いたいと身体が求めていた。
(「甘皇后様や黄月英様に刃を向けるなんて以ての外。夏侯月姫様と董白は先程戦ったばかりだから、全力は出せないだろうし、“江東の名花”の二喬も、蔡文姫も豪傑とは言えない。後は周姫と貂蝉だけど‥‥」)
 関銀屏はその場にいる全員を見渡す。周姫は甲を脱ぎ、バスタオル一枚なのでとても戦える状態にない。
「父上の愛馬赤兎馬(せきとば)が背を許した豪傑呂布の側室、貂蝉‥‥武人ではないようだが‥‥どうしたものやら」
「関銀屏様、わたくしはご覧の通り踊り子、赤兎馬(せきとば)が背を許す豪傑のお子に武力ではとても敵いませんわ。そこで舞いで対決を‥‥」
「銀屏ちゃん、武将でない人に武力で勝負を挑むのは、魚と足の速さを競うようなもので不公平だよ。ここは互いに持っている力‥‥女性としての魅力で競うのはどうかな?」
 消去法で残った貂蝉へ、青竜偃月刀の切っ先を向ける。貂蝉が一騎打ちでも、武力勝負ではなく舞い勝負を提案すると、給湯器の凄さを堪能してきた黄月英が彼女の提案を後押しする。
 気が付けば関銀屏と貂蝉はファッションショーを行う事になっていた。
 貂蝉は、フリルのたっぷり付いた薄いピンク色のドレス姿で現れる。サイズが合わず、たわわに実った双房がこぼれそうになっている。
 召喚された時に持っていた愛用の香を焚きしめてドレスに薫りを移し、また舞う時も香を焚いて、伸びやかな手や足だけではなく、翻る衣類も香の薫りを辺り舞わせる。加えて、胸元も足元もここぼれそうでこぼれない、見えそうで見えない危うい状態だ。男性なら目を奪われない事はないだろう。しかし、この場にいるのは女性陣だ。
 続いて、トップスとボトムのスカートが分かれ、臍を出したツーピースのチャイナドレス姿の関銀屏が、青竜偃月刀を片手に現れる。
 着替えた当初はしゃなりしゃなりと歩こうとしていたが、貂蝉の踊りを見て同じ土俵で戦っては勝てないと、青竜偃月刀を使った演武を始める。
「一番動きやすそうだったから選んだが、正解だった‥‥え!? きゃぁぁぁぁぁ!?」
 健康美溢れる爽やかな魅力を魅せる関銀屏だったが、可愛らしい悲鳴を上げた。トップスがボディのサイズと運動量に負けて、弾けてしまったのだ。当然、下着など付けておらず‥‥彼女はしゃがみ込んでしまったが、勝敗は満場一致で関銀屏だった。


●蔡文姫対甘皇后?
「これは気持ちのいい食べ物ですね」
「ぷりんとはまた違った、優しい甘さと食感ですわね」
「同じ甘いお菓子でも〜、甘さの種類が違うよね〜。甘は〜、このちょこれーとが好きだな〜」
 小喬は水まんじゅうをいたく気に入った様子で、「ほにゃ〜☆」と至福の笑みを浮かべて食べている。大喬は妹の表情を嬉しそうに暖かく見守りながら、お茶のお代わりを淹れる。
 甘皇后はチョコレート系のお菓子がお気に召した様子だ。


♪大河の流れ、水の流れ
 それは水の流れ、そして人の流れ
 人の想いもまた水の流れのよう
 水はうつろい人の想いもまたようよううつろう
 人の想いはまた時の流れに乗る
 水の流れは時に流れにも似て‥‥
 その想いはどこへと流れ着くのか‥‥♪


 すると、その光景を見ていた蔡文姫が、掛けていたあまり大きくはない伊達眼鏡を直しながら詩を詠んだ。
「題材はわたくし達二喬にちなんだ、水でしょうか? 流石は後漢きっての才女、蔡文姫ですわ」
 素晴らしい詩を大喬が褒める。蔡文姫は数々の歌や書を大量に書き残した才女なのだ。
「詩か〜。甘、苦手なんだよね〜。せっかく文ちゃんがいるんだから〜、やってみたいな〜、文ちゃん教えて〜」
「先ずはお茶でも飲んで一息付きましょう。詩を詠むのに難しく考える必要はありません。目で見て感じた事、耳で聞いて感じた事、鼻で嗅いで感じた事、肌で触って感じた事‥‥これらを心で感じたままに言の葉に乗せるのです」
 蔡文姫が見事な詩を詠むと、甘皇后は関心して惜しみない拍手を贈る。


♪空から降りた輝く雫
 風渡る地を潤し行く

 萌ゆる緑はその手で受け止め
 美しき花はその身を揺らして
 空からの輝き喜ばん♪


「えっとね〜、雨が降ると、お花や木が嬉しそうに見えたの〜」
「‥‥甘皇后様は豊かな感受性をお持ちですね」
 甘皇后に詩の才能があったようだ。彼女の詠んだ詩は蔡文姫を唸らせた。


「わ、ちょ、これどう止めるのー!?」
 しかし、平穏な時間は唐突に終わりを告げる。
 黄月英の悲鳴と共に室内に閃光が迸り、それが収まった時、大喬達が食べたお菓子の残りや、現代に来て着替えた衣類が散らばった無人の室内がそこにはあった。
 貂蝉と関銀屏のファッションショー対決の際、ちゃっかり自分もメイド服に着替えていた黄月英は、自分達が現代へ来る原因となったタイムマシーンを弄っているうちに誤作動させてしまったのだ。
 元々身に纏っていた服を含め、全てが元の三国時代へ戻った。
 董白達が未来に来た事を思い出す事はない。それは幸せな事かも知れない。自分達がどのように生き終わるか、知ってしまう事ほど哀しい事はないだろう。
 ただ、動乱の時代に敵味方であった彼女達も、こうして時を経る事で、もしかしたら共に笑い、言い合い、お互いを讃え合う、そんな一時を過ごせるかも知れなかった。


●出演
・蜀漢
 夏侯月姫:フィアリス・クリスト(fa1526)
 甘皇后:雅楽川 陽向(fa4371)
 黄月英:月葉・Fuenfte(fa1234)
 関銀屏:御神・由希(fa2137)

・孫呉
 周姫:金田まゆら(fa3464)
 大喬:結城 紗那(fa1357)
 小喬:風間由姫(fa2057)

・曹魏
 蔡文姫:姫月乃・瑞羽(fa3691)

・西涼
 董白:響 愛華(fa3853)
 貂蝉:富垣 美恵利(fa1338)

●ピンナップ


フィアリス・クリスト(fa1526
PCツインピンナップ
マカロニほうれん草