ありふれたNW退治?アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
恋思川幹
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芸能 |
1Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
普通
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報酬 |
1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/23〜03/27
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●本文
●天賦の才
天賦の才、というものがあるとすれば、それは彼女にこそ相応しい言葉だと思った。
あはは、あたしみたいなヘタレバイオリニストが言っても説得力ないかな? 獣化とかして、あたし自身のセンスを底上げして聞いてみたら、違った感想もあったかもしれないけど。
ん〜、あたしにだって「すごい人がすごい」とわかるくらいの才能はある、って思いたいから、やっぱり彼女は天才ってことにする!
うん、そういうことにする!
彼女っていうのは、村上紗衣(さい)先輩。
音高(って音楽高校のことね)の新入生歓迎会で、「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」(バッハ)を演奏した先輩なんだけど‥‥。
あたしはその演奏に魅了されてしまったんだ。
「先輩っ! 好きです!」
そして、なぁんにも考えずに吶喊! 「ありがとう」「ごめんなさい」「好きです」の三つの言葉は言いたい時に言わないと後悔するもの。
「えっ? ああ、わたくしの演奏は気に入ってもらえて?」
驚いた様子は少しだけ。優雅に振り返って笑顔をそんなことを言う。
すっごい自信。好きです、って言われて、それが自分の演奏だと思うなんて、あたしには無理だ。そりゃ、同性だから愛の告白だなんて思いはしないだろうけどね。でも、そんな自信に満ち溢れた様子も紗衣先輩だったら違和感なんてなかった。
「はいっ! とっても! 先輩みたいな人とだったら、あたし音楽が好きになれると思うんです!」
「あら? では、今までは好きではなかったのかしら?」
「家庭の事情‥‥みたいなものじゃないですか」
そう、獣人にとって芸能活動は「夢」の話じゃない。少なくとも、あたしはそう思ってた。「家庭の事情」で「夢」を諦める「人間」はたくさんいる。獣人が芸能人になるのはそういう「家庭の事情」とおんなじ。
でも、この時、紗衣先輩が不思議そうな顔をしていた。その理由は後々判明する。
「でも、どうせ一生の仕事にするなら、好きになりたいじゃないですか! だから、先輩! お友達になって下さい!」
あたしは元気よく大きなお辞儀をした。
「困ったわね」
紗衣先輩は頬に手をあてて考え込むようなポーズをとった。
「ダメ‥‥ですか?」
あたしは少し不安になって、恐る恐ると先輩の顔を仰ぎ見る。
「だって、わたくし、まだあなたのお名前も知りませんもの」
紗衣先輩の顔は優しかった。
「あっ! 申し遅れました! あたし、中津川キラです! 喜んで楽しいって書いて、喜楽!」
「喜んで楽しい‥‥素敵なお名前ね。わたくしは村上紗衣よ。これから、よろしく」
差し出された紗衣先輩の手を握るのを、あたしは躊躇った。
「どうされたの?」
「いえ、あのすばらしい演奏を紡ぎだす指先だと思ったら、恐れ多くて‥‥」
実際、プロの演奏家になれば、指に多大な保険金を掛けている人だっているのだ。
「あら、遠慮することはないわ。わたくし達、お友達でしょう」
そう言って、紗衣先輩はあたしの手をとってくれた。
あたしの高校生活と音楽人生の素晴らしい幕開けだった。
●人を超えた力
はず、だった。
その時、あたしは完全獣化した状態で化学準備室にいた。
カーテンもドアも完璧に閉め切ってあるから、誰かに見られる心配はなかったけど、鍵のかかった扉の向こうに紗衣先輩はいることはわかっていた。
あたしは演奏を始める。
二人にとっての思い出の曲「無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ」。
紗衣先輩との決別に相応しい曲だと思った。
音楽とは無縁の化学準備室にまでは、さすがに防音装置はついていない。奏でられた曲は紗衣先輩にも聞こえてるはずだ。
完全獣化したあたしの演奏は、紗衣先輩のそれを遥かに凌駕していた。あたしが先輩を上回ったわけじゃない。獣人という人間を超えた力に、「人間」である紗衣先輩は勝てるわけがない。世界最高のマラソンランナーと一般乗用車の競争なんだから。
「すごい‥‥。素晴らしい演奏だわ! いつの間にこんなに上達なさったの? わたくしも喜楽さんのように頑張らなくては‥‥」
獣人のあたしの演奏を紗衣先輩は素直に褒めてくれた。そして、自分も頑張ろうと決意を新たにする。
‥‥それじゃダメだ。
「やめてよね! 本気で演奏の腕前を競い合ったら、紗衣先輩があたしに敵うはずないじゃない!」
あたしは嘲笑うような口調で、ドアの向こうへ言い放った。
「どう? 今までいい気分でいられた? あたしがすごいすごいって褒めて煽ててたの無邪気に喜んじゃってさ。あたし達が本気になれば、あなたなんて、全然大したことないのよ。からかっていて、楽しかったわ。でも、もう遊びは終わりにするわ」
思いつくだけの罵詈雑言を喋りながら、完全獣化を解いてく。
「紗衣先輩なんかじゃ、プロの奏者になんかなれっこないわ。さっさと諦めて、田舎に帰ってお嫁にでもいけば?」
獣化を解き終わって、ようやく化学準備室の扉を開けた時、もう紗衣先輩の姿はなかった。
大好きな先輩が獣人達に締め出されて、夢を叶えられずに疲れ果てた人生を送る‥‥あたしにはそんなの耐えられない。だから、すぐにでも諦めて欲しかったんだ。
●あなたの決断であるならば
その日は、春休み中に催される公開演奏会の当日だった。
外部の人達も多く招かれる行事で、保護者とかよりは獣人関係者が集められるそうだ。
全校生徒が集まるわけじゃないから、会場付近を覗けば学校の中はガランとしてた。
「紗衣先ぱ‥‥い‥‥?」
その人気のない校舎を歩いていると、不意に紗衣先輩が現れた。お腹にずんと重く鈍い衝撃。その辺りがだんだん焼けるように熱くなってく。見れば。
「‥‥そっか。‥‥でも、紗衣先輩にじゃ‥‥仕方ないよね‥‥」
お腹に突き立った細身の包丁‥‥?
「ごめんね、紗衣‥‥先輩‥‥本当は‥‥大好き‥‥だ‥‥た‥‥」
ありがとう。薄れゆく意識の中、あたしはこの結末にどこか感謝してた。
●ナイトウォーカー出現
「ナイトウォーカーが現れた。獣人の女子生徒を殺害して、学校の裏山に逃亡したらしい」
たまたま演奏会に居合わせた獣人達にそんな連絡が密やかにまわった。
「騒ぎを大きくしたくない。少数精鋭で対応する。目撃情報では敵は人間の姿をほとんど留めたままだそうだが、羽を生やしているそうだ。では、迅速な処理を頼む」
だが、裏山へ向かう途中で聞くとはなしに、獣人の生徒達の会話が聞こえてしまった。
殺された少女とNWに成り果てた少女の関係を。
それでも、やるべきことが変わることなど、何もないのであるが。
●リプレイ本文
●
「それで、どの辺りからNWは裏山に入っていったのかな? かわいいお嬢さん方」
(「状況をわかっているのか?」)
佐渡川ススム(fa3134)の軽薄な物言いに、篠田裕貴(fa0441)は眉をひそめた。
「ちょっと、お前! 仮にも同級生が二人‥‥いや、一人が死んで、一人が生死不明なんだ! それなのにっ!」
二人を一人に言い換えたのは、裕貴の願望であろう。目撃者である獣人の女子生徒は喜楽と紗衣の同級生である。だからこそ、被害者の二人の特定ができたのであるが。
「いやー、すまんすまん。性分なんでな。かわいい女の子がいたら、慰めてもらいたいもんだろ?」
言いながら、女子生徒の身体を触るススム。
「いやっ!」
「お前というヤツは! その腐った性根‥‥」
「‥‥‥違う」
裕貴が握った拳をそっと制したのはアルケミスト(fa0318)である。何が「違う」のか?
「アルミ?」
アルケミストのほうを振り向く裕貴。アルケミストは無言でふるふると首を横に振っただけだ。
アルケミストはススムに同類の臭いを感じ取っていたのかもしれない。ススムは隠しているが、その服の下にある決して軽くはない傷。それはアクション演技でも格闘技競技でも護身術でもない、NWとの生存そのものをかけた戦闘の証。戦う術の第一義をNWとの戦闘と規定している者の臭い。
NWによって肉親を殺されたまだ幼いアルケミストにしてみれば、そういう臭いを持つ者は自分と同じように悲しみを背負って人間ではないか、と思っても不思議ではない。だから、裕貴の非難からススムを守る気になったのだ。
「真面目なんだ、裕貴は。まあ、そんなところがかわいいんだけどな」
その様子を見ていた鳥羽京一郎(fa0443)は、くしゃくしゃと裕貴の頭を撫でつけ、後ろから抱き締める。年上の恋人を捕まえて「かわいい」もないものだが、この場を収めることは出来た。
「とにかく、刺されたといってもまだ死んでしまったとは限らない。まだ、助けられるのなら全力をもって助ける!」
鷹見 仁(fa0911)が、あるいは気休めに過ぎない言葉を目撃者の女子生徒にかけた。それでもその言葉に女子生徒達の動揺はわずかに、ほんのわずかにだが、おさまったのであろう。詳しい目撃情報をわかりやすく説明し始めた。
●
女子生徒の目撃情報を元に裏山に入った一行。残念ながらサーチペンデュラムを使った探索は目標を絞り込めずに終わった。それを使った京一郎達が具体的に当該のNWと喜楽を知らなかったことが原因である。
故に三隊に分かれて索敵を優先して行動している。
「喜楽さんを連れて行ったのは‥‥それだけ喜楽さんが大好きだったのかもしれないね」
道すがら、そんなことを呟いたのは藤元 珠貴(fa2684)である。
割合にクールな方である珠貴だが、存外、ロマンチストなところも持ち合わせているのかもしれない。NWに感染した生命体は、NWの実体化と同時に死亡するというのが定説である。NWと化した紗衣の肉体にもはや、喜楽と紗衣の友情なんてものは存在していないのである。
(「彼女達はもう戻ってこないけれど、せめてNWからは解放したい」)
だが、幽霊を信じるのと同じレベルにおいて、実体化したNWの宿主にも心が残っていると信じる者もいるだろう。幽霊を信じる者が窮極的には、いつか何らかの手段で死者と再会できることを望んでいるように。NWの宿主に心が残っているのを信じる者も、正統なる魂が在るべき肉体に帰ってくることを願っている。無意識のうちに。
「待って。何か聞こえる」
珠貴が一緒に歩く、裕貴と京一郎を押し留めた。
ぐちゅ‥‥べり‥‥ぶち‥‥ぐちゅぐちゅ‥‥ぢゅるり‥‥
狐の鋭敏な耳が、不快を感じさせる音を拾い上げている。
「どこだ?」
「近くにいるんだな?」
珠貴よりも戦闘力に長ける裕貴と京一郎が身構える。
と、不快な音が不意にやみ、近くの草むらからゆらりと立ち上がる人影‥‥。
「‥‥‥‥妖精?」
可憐な女子生徒の姿を留め、その背に昆虫の翅を持っている。それはまるで絵本にでてくるフェアリーのようで‥‥けれど、そんな物は一瞬の見間違いに過ぎず‥‥。
血塗れの妖精のその手に握られているのは。
それは綺麗なピンク色をした‥‥
それは綺麗なピンク色をした‥‥
それは綺麗なピンク色をした‥‥
それは綺麗なピンク色をした‥‥
「いやあああああぁぁっっっ!!!」
珠貴の絶叫が木霊した。
●
「若い身空で命を落とすとは‥‥」
被害者への慨嘆に耽るディンゴ・ドラッヘン(fa1886)のその瞳は、しかし既に人ならざる物と化したNWをその視界に捕らえていた。
昆虫らしい震えるような羽音を響かせて、丁寧に雑木林の木々の間を飛び抜けてくる。丁寧である分スピードも速くはないが、最初に接触した珠貴、京一郎は下草に阻まれてNWに若干遅れている。翼を持つ裕貴もその飛行特性の違いから苦戦している。
ハチドリという鳥がいる。花の前でホバリングして、その蜜を餌にしている小鳥である。「蜂」のように飛ぶ「鳥」。普通の鳥は蜂のようには飛ばない。同様に昆虫型のNWと鳥型の獣人は同じ飛び方をしない。
「翅をもぎ損ねたのか?」
仁が飛んでいるNWを確認して舌打ちをした。
翅をもぎ取って飛行能力を奪うのが基本方針であったが、そうそう上手くいくとは限らない。NWが身につけたままの紗衣の制服の袖が引き裂かれているのは戦闘の証拠。顕わになったその腕は、既に人の物ではなく、昆虫のような外殻。
「感染した時点で元の生命体は死ぬ。姿は似てても『別モン』だ。‥‥やり切れねぇよなぁぁ。わかってても」
最後に軽口を叩くと、ススムの中で「スイッチ」が入った。それはアルミの感じた同類の臭い。
「くらえっ!」
先手を切ったのは仁の破雷光撃である。雑木林の中を雷光が突き抜ける。雷光によって加熱、膨張した空気が雷鳴を響かせる。だが、
「木が邪魔をする!?」
木は絶縁物質である。一直線にNW目掛けて伸びた雷光は途中の木々に阻まれて威力を減じてしまう。雑木林という障害物の多い地形が再び災いした。
「‥‥‥‥」
カウンターを考えていたススムが自ら動く。敵の目的は逃亡であるとスイッチの入った戦闘用の頭脳が告げている。鋭敏視覚でNWを観察した末の結論は、あのNWの脅威レベルは低いということだ。戦うよりも逃げるを優先する敵である。この地形では敵のほうが幾分移動に有利だが、それを嘆いても始まらない。とにかく追いかける。
●
極限まで研ぎ澄まされた猛禽の視力が、次々に迫り来る木々の位置を脳に送り込んでくる。右、左、左、右、‥‥避けていった木々が後方に過ぎ去り、進路に木々がまた迫り、その情報を脳に送り込んでいく。
アクロバット飛行を可能とする鍛錬を積んできたしなやかな身のこなし。脳が全身に絶え間なく命令を送り続けている。右へ左へ身体を傾け、時に翼をたたみ、時に翼を広げ、滑空し、羽ばたき、身体を縦にして狭い木立の隙間を飛びぬけていく。
実際の速度は普段と変るものではない。だが、狭い木立の間を低空で飛びぬけると否が応でも体感速度は普段とは比べて跳ね上がる。
一瞬たりとも気を抜けば、木の幹に激突して大怪我を免れない。
研ぎ澄まされた集中力の果て、木立を飛びぬけた、その先には‥‥
「そこに墜ちるのじゃ! NWぁっっ!」
天音(fa0204)は手にした木刀を渾身の力とスピードでNWの翅の付け根に叩きつける。
確かな手応え。確認する暇もなかったが、腕に残った感触が攻撃の成功を物語っている。
攻撃の直前に視界にはいったクッションになりそうな茂みにそのまま突っ込んだ。
●
「おとした!」
ほとんど捨て身の天音の一撃で地面に叩き落されたNWを見て、ディンゴはチャンスの到来を知る。
「再びNWを飛ばせてはなりません! 皆様っ!」
ディンゴに言われるまでもなく、いっせいに駆け寄る獣人達。だが、それよりも早くNWは立ち上がって逃げようとする。
パンッ、パンッ、パンッ!
爆竹のような乾いた破裂音が三回。本物の銃声は映画のように派手なものではない。光学迷彩で目撃者の心配の少ないアルケミストは木々の上を飛び越えて、この場に到着していたのである。
(「M93R‥‥とかが‥‥欲しい」)
アルケミストが使うM92の改良モデルで、バースト射撃が可能なハンドガンである。NWと戦うのに、より強力なストッピングパワーを求めている。現に被弾した目の前のNWはまだ動いていた。
だが、そのアルケミストの援護により、他のメンバー達もNWに肉薄する。
「少林拳をお見せしよう!」
ディンゴは踏み込みと同時に鋭い突きを放つ。NWは咄嗟に両腕で身体を庇うが、腕が嫌な音を立てた。畳み掛けるように旋風脚を見舞う。
「コアはどこですか?」
NWは既に満身創痍で戦闘能力をほぼ失っていた。コアを破壊して、その存在を抹消するチャンスである。
「敵は頭部よりも胸部を庇っている。コアは心臓の位置だ!」
冷徹に敵を分析し続けたススムの助言。ディンゴの身体はその助言に忠実に動いた。
「そこですねっ!!」
NWの心臓の位置に正確に手刀を付きいれる。肉とは違う、固い手応え。
「うわああああぁぁっっ!!」
●
「さて、終わったな」
京一郎がふぅっと息を抜いたのは、戦闘で汚れてしまった衣類を学校側が用意した替えに着替え終わった後のことである。ブラインドカーテン越しに優しい春の日差しを見ている。
「まだ、終わってない。被害者の二人の葬儀にだって出なけりゃ。事情を話して日記でも何でも借りられるものなら‥‥、紗衣の真意とか、俺たちには知らねばならないことがたくさんある」
そう言ったのは仁である。仲違いしたまま、二人は‥‥しかし、その真意は和解することを望んでいた。そうであって欲しいと願う仁はそうすることが自分達の義務だと思っている。
「そうね。私が獣人に生まれたことは幸せだったのでしょうね。紗衣さんのような人達を踏みにじって私達がいるのなら‥‥行けるだけの高みに登りつめる‥‥必ず」
一度は芸能の表舞台から降りた珠貴。今回の事件の背景はそんな彼女にも思うところがあった。
「くだらない。そんなものは飾りにはなっても、俺達には関係のないことだ。被害者のプライベートとNWに因果関係などありはしない」
何かに気付いたのか、京一郎はブラインドカーテンを指で少し押し広げて外を見続けている。
「飾り‥‥って! 京一郎、そんな言い方はないだろ!」
京一郎の言葉に裕貴が抗議する。
「甘いんだな、裕貴は」
そんな裕貴をあしらう様に、振り向いた京一郎は彼の頭を優しく撫でた。
「京一郎‥‥」
撫でられて
「だけどな、やはり無粋なことなんだよ。俺達はただ、ありふれたNW退治をこなせば十分だ」
言いながら、もう一度ブラインドカーテンのほうをみやる京一郎。
京一郎がブラインドカーテンの向こう側に見ていたもの。
「あっ! ‥‥友達‥‥」
仁もそのことに思い至って、ほんの少しだけ‥‥心が軽くなった気がした。