MusicFesta/finalstageアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 呼夢
芸能 3Lv以上
獣人 2Lv以上
難度 普通
報酬 6.6万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 08/20〜08/22

●本文

●ミュージック・フェスタ開催
 夏空の下で、心行くまで音楽を楽しもう――。
 そんな主旨で、今年も『ミュージック・フェスタ』が開催される。
 J−popの大手プロダクション、アイベックスが主催とあって、この野外ライブでは大物アーティストが登場し、またシークレット・ゲストが飛び入りライブを行うというハプニングも用意された、話題の野外イベントだ。
 今年も、夏がやってきた。
 そして真夏一夜の音楽の祭が、いま始まる。


 夏まっさかりと言えば、何かとイベントの多い季節でもある。
 アイベックスの主催する恒例の『ミュージック・フェスタ』も8月21日夕方に開催の予定が決っている。
 J−popミュージシャン達の活動を幅広く発掘している『青空POPs』の企画担者――本間加代もアイベックスに籍を置く以上当然のことながらイベントの準備に駆り出されていた。
 本間が今回担当するセクションは、トリを勤める専属のミュージシャン西条ゆかなに加えて、これまでアイベックスの企画などに参加していたり、今後参加希望のミュージシャンも含めたオムニバスコンサートの部分である――いわば『青空POPs』出張版といったところだ。
「夏場はみんな忙しそうだし、スケジュールのほうはどうかな‥‥」
 各地で開かれているコンサート情報ともにらめっこしながら、各プロダクションなどに向って募集のメールの発送を始めるのだった。

●今回の参加者

 fa0494 エリア・スチール(16歳・♀・兎)
 fa0588 ディノ・ストラーダ(21歳・♂・狼)
 fa1518 リュティス(14歳・♀・小鳥)
 fa1609 七瀬・瀬名(18歳・♀・猫)
 fa2957 ぇみる(19歳・♀・パンダ)
 fa3610 ユキイ・アバンサール(36歳・♂・獅子)
 fa3867 アリエラ(22歳・♀・犬)
 fa3920 Neiro(21歳・♀・蝙蝠)

●リプレイ本文

 夕方から始った『アイベックス・ミュージック・フェスタ2006』もライブハウスの出張コーナーからニューユニットのお披露目を経ていよいよフィナーレを迎えようとしていた。
 ラストを飾るコーナーに参加するミュージシャン達も、祭りの常と言うことで参加者同士思い思いに一夜のユニットを組んでいる。
 尤も中には、チーム『ぇみえみ』から参加したぇみる(fa2957)と七瀬・瀬名(fa1609)のユニット【EMISENA】のような純正ユニットも含まれてはいるのだが。
 『RED IMPULSE』から夫婦で参加したディノ・ストラーダ(fa0588)とエリア・スチール(fa0494)の二人には、その熱々ぶりに当てられつつも顔見知りのアリエラ(fa3867)が加わる。
 一方リュティス(fa1518)は、ステージの最後を飾る歌姫、西条ゆかなのプロモーションビデオにも参加した『DreamGarden』から単身でのエントリーだが、得意のベースをギターに持ち替えたユキイ・アバンサール(fa3610)がバックを支えることになった。
 そしてちょっと変ったバックを主催者側に要請したNeiro(fa3920)は、単独でちょっとセクシーな大人の世界を演出しようと画策している。
 個性豊かな出演者達の競演がいよいよ幕を開く。


● Take 1
 トップを切ってステージに登場したのは、白のキャミソールワンピースのリュティスと、やはり白のスラックスに腕まくりのブレザー、ルーズタイと言ういでたちのたゆっきーの二人。
「よろしくなっリュティス、俺たちで観客全てを魅了してやろうぜ」
 ステージへの階段でゆっきーが声をかける。
 誘ってくれたリュティスに応えようという思いから、『DreamGarden』が出演したオリジナルのビデオを繰り返し見て、入念にギターアレンジを行って来た。
 MCからの紹介を受けたリュティスが元気良く会場に手を振りゆっきーも即興のフレーズで応える。
「この曲は普段私が所属しているポップスユニット『DreamGarden』のオリジナル曲です。いつもはリーダーのキーボード演奏ですが、今回はユキイさんとの特別バージョンでお届けです。
 それでは、『The other side of a rainbow』、聞いてください」

 リュティスが合図するとゆっきーのギターからアップテンポなメロディーが流れ出す。

「 七色に輝く空
  水面(みず)の上に輝く光

  僕はそれを追いかける
  いつか再び君に出会える様な気がするから
  今年も僕はその光を追いかける

  The sky which shines in rainbow color

  いつかきっと再び君に出会うその時まで‥‥

  この手に掴んだその輝きを
  見失わないように離さないよう ぎゅっと掴み続ける

  The sky which shines in rainbow color
  Until someday to catch in my hand

  いつか君と一緒にその輝きを見つめるその日まで‥‥ 」

 軽快なメロディーにマッチしたリュティスの明るく澄んだ歌声が会場を盛り上げていった。


● Take 2
 リュティスとゆっきーが会場からの拍手に応えながら引揚げると、入れ替わりに【EMISENA】の二人がステージ上に姿を現す。
 青いスクエアネックのワンピース――短めのスカートの下は黒のスパッツを着用――のセナと、薄いピンクのドット柄のニットカットソーにショートパンツのえみると言う、カジュアル感を前面に出した二人が会場に大きく手を振る。
 ボーカルだけのユニットの為、バックバンドは全てアイベックス側で用意されていた。
「「それでは私たちの曲、【drem cat】をお聞き下さい」」
 二人が声をそろえて曲目を紹介すると、スローテンポな演奏が流れ出す。

「「私夢を見たの 其処では私は可愛い子猫
  貴方の膝の上で 丸くなって寝ている子猫
  何時の日か 素敵な人間になるのを 夢見て眠る
  時が過ぎ 綺麗なLadyになるのを 夢見て眠る

  目が覚めたその時 素敵な貴方が隣に居る事を夢見て」」

 穏やかなメロディーと、ふわっとした衣装に包まれた大人しめの振付けに合わせ、二人のハーモニーが、『大人になりきっていない少女の、大人の恋に憧れている気持ち』を爽やかに歌い上げた。


● Take 3
 会場からの歓声を浴びながら【EMISENA】の二人がステージの袖に下がると、一転、ステージは海の底を思わせる薄暗い青色の光で満たされた。
 中央のスタンドマイクだけが絞り込まれたスポットライトに浮かび上がる中、アコースティックベース主体のシンプルな音が流れ出し、重なるように指を鳴らす音が響く。
 やがて浮かび上がるように姿を現したネロは、俯き加減に目深に下げたハットで顔の大半を隠したまま、マイクスタンドを抱くようなポーズからセクシーなウィスパーヴォイスで囁きかける。
「もう戻れない‥‥熱くなるばかりよ‥‥あなたのせいで‥‥」
 少しずつパートの増えていく伴奏の合間を縫うように、少しずつポーズを変えながら紡ぎ出される呟きにも似た言葉の欠片。
 ベアトップの上に纏った白色の燕尾服、白のホットパンツから浅黒い脚線がシルバーのハイヒールへと伸びる。
「さあ、指を鳴らして‥‥」
 それを合図にライトが紫に変り、少しだけファストなテンポのスウィングのリズムが会場にあふれ出す。

「 ねえ、知ってる?
  この身体は毒に侵されてしまったの
  あなたが触れる所が熱くなるわ
  きっと治る事はないのよね
  そのキスをもらうまでは‥‥ 」

 被っていたハットを客席に向って飛ばすと、スタンドからマイクを抜き取り、ステージ狭しとダンスを交えつつ歌い上げる。

「 Babyそのセクシーな笑顔がステキよ
  Babyその絡みつく視線がたまらない
  私はすっかり侵されてしまったわ
  あなたの甘い毒の虜なのよ‥‥ 」

 会場をちょっぴり大人なジャズクラブのイメージに塗り替えてみせたネロの意外な演出に盛大な拍手が送られた。


● Take 4
「みんな〜! こんばんは〜♪」
 再び照明が変り、ステージ全体を包む仄かな光の中、3本のホワイトスポットに照らし出された『W・R・D』の面々の中、アリーが元気よく会場に呼びかける。
「フェスも終盤だけど、みんな大丈夫? 元気かな?」
 投げかけられる問いに会場全体が応える。
「ディノ&エリアのオシドリ夫婦&アリエラで限定ユニット発進です!」
 会場に向って今回のステージのために組んだ仲間たちを紹介する。
 赤いシルクハットに赤いスーツ姿、胸には白い薔薇といういでたちのディノがベースの即興で挨拶すると、白いTシャツに白いベスト、飾り程度のミニスカートの下はボーダースパッツというエリアもキーボードで音を重ねるように応え。
「なんかもう‥‥当てられちゃってる? みたいな〜?」
 夫婦の息のあった掛け合いにアリーが笑いながらぼやいて見せると会場からも笑い声が巻き起こった。
 そんなアニーの衣装は、コーラルピンクのキャミに濃いピンクのキャミをINに重ね、ボトムは白のクロップドパンツというもの。髪はサイドポニーテールに纏めている。
「それじゃいくよ〜! 曲は【SEED】!」
 アイベックスで手配してもらったドラマーのカウントに呼応するようにディノのベースが軽快にリズムを刻み、ディノとアニーのユニゾンがミディアムテンポで流れ出す。
 三人の中でリードボーカルを務めるディノだけは衣装に隠して半獣化している。

「「お前の笑顔が見たいだけ
  それが俺のPRIME TIME 」」

 アニーのエレキギターとエリアのキーボードがメロディーを追い、中央に立つディノのソロへと繋がる。

「 太陽みたいなお前の笑顔 今日に限って曇り空なのは
  さっきの電話が原因かい?
  Call me(Calling) 悩み事なら俺に聞かせなよ 力になるから

  何でもないと微笑むけれども 俺には見えるよお前のDARKNESS
  萎れて俯く夕立の向日葵みたいだぜ
  DAY BY DAY(any time) 不器用かも知れないが ずっと側にいるさ 」

 ディノの声にエリアのコーラスが甘く重なり、再びユニゾンへと続く。

「「いつだって近くにあるのさ 幸せのFAVARIT
  涙の雨も太陽の笑顔も 愛のENAGY いつか花咲く
  永遠に守ってやるよ お前だけのFAVARIT
  俺の想いと溢れる愛で 大きく育てて、お前に送るよ」」

 突然、ユニゾンが途切れ、ディノの声だけが響くと同時に天井から紙ふぶきが舞い、照明が明るさを増す。

「 だから‥‥気付いて! 」
「「お前の笑顔が此所にある
  ただそれだけが俺のPRIME TIME」」

 アップテンポなリズムに三人のハーモニーを載せた曲が消えていくと盛大な拍手が会場を包んだ。


● finale
 その後、ステージの最後をアイベックスのスター歌手『純白の歌姫』こと西条ゆかなが締めくくる。
 最後は、出演者全員がステージに上がり挨拶が行われ、三時間に及んだ『アイベックス・ミュージック・フェスタ』は終わりを告げた。

 関係者を集めての打ち上げの中、ゆっきーが本間に今後のスケジュールを尋ねる。
 訝しげに首を傾げる本間に、最初は、
「いや、なにきれーなお姉さんにはやっぱ声掛けてナンパしないわけにはいかないだろ?」
 などと茶化していたが、やがて知り合いが気にしていたという事情を明かされる。
 更に重ねて知らされた事実は、更に本間を驚かせるものであった。
「その知り合い、結婚しちまったんだけどお祝いは何がいいだろうな? 本間サンなら何を贈る?」
「そうね、そのお相手とどんな生活を始めるつもりかにもよるけど‥‥いっそのこと、どこかの国みたいに新郎新婦のお友達同士が集まって、本人達の希望の品を分担するパーティでも開けばいいのにね」
 咄嗟のことにうまいものが思いつかなかったのか、曖昧に微笑むのだった。