【三十六計】順手牽羊アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 呼夢
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 8.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 05/26〜05/29

●本文

 いつもの簡単な確認も終り例によって‥‥。
「今回の策は『順手牽羊』っすね‥‥羊を牽くんすか?」
「牽くと言っても紐をつけて牽くだけじゃなくて『抜き取る』とか『密かに盗み取る』って意味もあるのよね」
「はあ‥‥『草を毟る』の代わりに『草を牽く』とかの類っすね」
「そうね、なんでも羊飼いが狭い道で羊の大群を追ってたら旅人が通りかかって羊の群に囲まれたんだそうよ。で、群に飲み込まれて暫くして抜け出した時には一頭の羊を牽いていたんだとか」
「羊飼いはどうしたんっす?」
「羊を牽いてる姿がいかにも『初めから俺んだよ』って感じに堂々としてたから気がつかなかったみたいよ」
「‥‥なんかかなり間が抜けてますね」
「手に順ってってことだから、無理して手を伸ばすんじゃなく手近にあったから頂いとくよって感じ。いわゆる『行き掛けの駄賃』ね。あくまでも目的は『旅』であって、わざわざ羊泥棒しに来たわけじゃないんだけど、なんか手近にいるし気付かれそうに無いからついでに貰っていこうか、みたいな」
「微妙に地味っすね‥‥例によって画になるんすか?」
「三国志なんかの例で言うと、たまたま進軍の途中に都を逃げ出して来た少帝を保護したおかげで一時は天下を牛耳ることになった董卓とか、やっぱり都から脱出した献帝を保護して天下を取る元にした曹操、洛陽の復興作業中に古井戸に身を投げた貴人の遺体から伝国璽を見つけてそのまま持ち帰ったって言う孫堅なんかが有名なとこよね」
「はあ、拾いモンで天下を取った訳っすか」
「まあ、董卓も曹操も割と好き放題やってるけど名目上の立場はあくまでも漢の臣下ね、普通は魏の曹操とか呉の孫堅とか言われてるけど、実際にはどっちの国も本人じゃなく死んだ後に子供達が興してる訳だし」
「確かに曹操なんか一見いかにも魏の初代皇帝みたいな印象っすもんね」
「そんな感じよね。あと、赤壁の戦いで曹操が逃げ出した後で、周瑜が攻めあぐねている隙をついてさっさと荊州を制圧した劉備なんかもこの内かしらね、予めそっちがダメなようなら頂きますよって約束になってたみたいだけど、先に誰かに攻められて弱ってる相手なら楽よね」
「つまり、『これはいけそうだ』ってのをきっちり見極めて、相手が気付く間もなく『素早く』自分の物にするってことで?」
「そういうこと、あくまでも本来の目標の邪魔にならない範囲で、目の前にある美味しいものはとりあえず取っとくの。小さくても味方の得は敵の損ってことよ」
「つまりその場で最終的な勝利をもたらすような策じゃないと‥‥やっぱり画になりにくそうな‥‥」
「まっ、その辺はなんとか頑張ってもらうしかなさそうね」

 ‥‥そして、いつものようにキャスト兼スタッフの募集がかけられることになった。


●三十六計
 書かれた時代も作者も不詳とされる兵法書、最も有名なのは『三十六計逃げるに如かず』で、元になったと言われる最も古い出典『南齋書』の記述に見られる檀公の三十六策が、戦いを避けて軍の消耗を避けるものであった事から来ているとも言われる。
 その時点では三十五番目までの策が全て埋まっていたかどうか定かではないのだが、三十六と言う数字自体は、易で言うところの太陰六六を掛けた数字に由来するらしい。
 序文に曰く。

『六六三十六 数中有術 術中有数 陰陽燮理 機在其中 機不可設 設即不中』

 太陰六六を掛けると三十六になる、権謀術策も同様に数は多い、勝機と言うのは陰陽の理の中にこそ潜んでいる、無理遣り作り出すことは出来ないし、作ろうとしてもそれは失敗に終る。

●第十二計は『順手牽羊』

『微隙在所必乗 微利在所必得 少陰 少陽』

 敵に僅かな隙でもあれば必ずそれに乗ずる。僅かな利益でもあれば必ず獲得する。小さな隙を見つけては少しづつ勝利を積み重ねていくのだ

●今回の参加者

 fa0431 ヘヴィ・ヴァレン(29歳・♂・竜)
 fa1323 弥栄三十朗(45歳・♂・トカゲ)
 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)
 fa2765 黒羽 闇風(23歳・♂・蝙蝠)
 fa3211 スモーキー巻(24歳・♂・亀)
 fa3516 春雨サラダ(19歳・♀・兎)
 fa4941 メルクサラート(24歳・♀・鷹)
 fa5367 伊藤達朗(34歳・♂・犬)

●リプレイ本文

● 本番前‥‥
 控え室の片隅でドラマの内容を必死に理解しようと、台本とにらめっこをしていた春雨サラダ(fa3516)が千葉に声をかけられて台本から目を上げる。
「このシリーズは、三度目の参加です。今回は王女様の役なんですー。がんばるですー」
 これまでの名も無き忍びや留守宅の家族から、一転『関』の王女春妃役に、っと言うことで思い切りテンションが上がっている様子。
 片や連合軍の猛将、業威役を演ずるヘヴィ・ヴァレン(fa0431)は自前の『無双の斧』を持ち込み。
「演技得意じゃねえし、性格やら口調は地で頼むぜ」
 などとスタッフに注文をつける中、撮影は着々と進められていった。


● ドラマ『順手牽羊』
 時ならぬ騒乱が『関』の王城を揺るがしている。
 代々の名門に連なる高官、張高(弥栄三十朗(fa1323))による反乱であった。
 反乱に与した武官文官を従えながら王の寝所へと踏み込む。
 蒼白の体で張高を迎えた王は唇を戦慄かせた。
「おのれ逆賊めが、こうなる前に粛清しておくべきであったわ」
 王として最後の矜持を持って睨みつけるが、張高は動ずる様子も無く冷厳に言い放つ。
「佞臣どもに唆され私を排斥しようと企てていたこと、全て存知ております。『君、君たらずんば、臣、臣たり難し』と申しましょう。かかる上は潔くお覚悟を」
 歴代の宰相を輩出した名家の出ではあるが、李下であからさまに冠を正すような性癖も手伝ってか快く思わぬものも少なくない。
 そんな中、王と重臣の幾人かが謀って張高にあらぬ嫌疑を掛けて罪に落とそうとする計画が漏れてきたのであるが――張高としては座して死を待つつもりなど更々なかった。
 左右に控えた兵士達が王を捕らえ牢へと連れて行くと、
「王族は全て捕らえるのだ。一人たりとも逃してはならぬ」
 張高の命を受けた兵士達が王宮に散っていく――未だ国璽も見つかってはいない。

 これよりやや時を遡る――
 王の側近くに使える衛士、陸江(黒羽 闇風(fa2765))は王女の元へと急いでいた。
 懐には王より託された伝国の御璽。
「姫! 謀反にございます。一刻も早く落ち延びるお支度を」
 部屋へ飛び込むなり、春妃に向って急を告げ――。
 立ち騒ぐ侍女達を叱咤し春妃の支度を整えさせると国璽の入った包みを握らせる。
「姫、これを――決して手放してはなりませんぞ」
 あまりのことに呆然とする春妃を促し王宮からの脱出に取り掛かった。

 やがて王宮を制圧した張高は取り残された侍女達の話から陸江が春妃と国璽を携えて逃げ延びたことを知る――国璽を抑えねば、予てより懇意の王族を傀儡として自らが実権を握ろうという企図に支障も。
 国璽が持ち出されたことを秘匿し、直ちに傀儡を玉座につけた張高は自らを『関』の宰相に任じさせる。
 王宮の後始末と平行して速やかに国璽の奪還を図らねばならない。
「当に画竜点睛に欠くとはこのこと‥‥直にこの事態に異を唱える者共が叛旗を翻すであろうゆえ、私は暫くここを離れるわけにはいかぬ。そなたは密かに逃亡中の王女一味を探し出し国璽を奪うのだ」
 成功時の処遇も約束され、追手の指揮を命じられた秦羅(伊藤達朗(fa5367))は得たりとばかり一軍を率いて飛び出していく。
「王女一派を捕らえれば、最低でも将軍に叙するとは‥‥宰相閣下も気前の良い事よ」
 どう見ても自分より劣る者が次々と取り立てられる中、不遇を託っていた秦羅は現王朝よりも張高に与する事を選んだのだ。
「王女を捕らえたものは例え下級の兵士であろうと恩賞は想いのままぞ! 精々励めよ!」
 追撃の為に選び出した者達にも発破をかける。
 張高の乱に加担した女武官久椎間(メルクサラート(fa4941))も自ら志願して追っ手の中にあった。
 久椎間が張高に加担したのは、政治家としてより謀略家としての名声ゆえ、国璽を失うことにでもなれば玉座にいる傀儡の正統性は怪しくなる。
 そうなれば久椎間としては足元の危うくなった張高に義理立てするつもりも無く――そのまま敵陣へと駆け込むことさえも辞さない。
 夫々の思惑を胸に追撃部隊は都を離れて行った。

 一方で張高の立てた傀儡から領内の各地へ向けて新王の即位と新たな宰相の就任が報ぜられる。
 このころ、既に『関』の中央集権は必ずしもうまく機能しているとは言いがたい。
 地方によっては王権に従わず、群雄割拠の様相さえ呈し始めているのが実情だ。
 とは言え、当然のことながら先王を弑逆しての新王の即位と新宰相に反感を持つ群雄達は立ち上がった――この機に乗じて覇権を握ろうとの野心を秘めるものも多く――。
「はいはい、無い物ねだりしてねえでとっとと諦めな。‥‥それとも何だ、力尽くで国璽奪って国中を敵に回したいってんなら止めねえけど」
 辺地にあって詔勅を受け取った業威も鼻で笑い飛ばすと使者の目の前で書状を引き裂く。
 これには、都から発せられる詔勅に国璽がないことも少なからず影響していたのだろう。
 が、緒戦の軍配は張高の指揮する新王の軍に上がった。
 敗退を機に、烏合の衆ともいえる連合軍は改めて軍議を開く。
「貴公らがモタモタしているから敵に態勢を立て直す暇を与えたのだ!」
 雷閃華(ブリッツ・アスカ(fa2321))が不甲斐無い戦いぶりに不満を爆発させる。
 尚武の気風を持つ有力豪族の娘で、「男であれば」と再三父親を残念がらせた女傑ではあるが、『女だからとなめられてたまるか』との想いも強く、時として全体の利益より自らの戦功に拘る傾向も――。
 地方の太守であった張正(スモーキー巻(fa3211))も参陣していたが、軍略に通じているにも拘らずその出自――決して名門の出とは言いがたい――の為もあってか発言力は弱い。
 全軍の連携を提案するが雷閃華は聞く耳を持たず一蹴。
「不要だ! 貴公らが私に合わせていればすでにけりはついていたはずだ!」
「連携するって、この状況でか? 統率さえ取れてないじゃねえか」
 業威も些か投げ遣りに返す。
 武人としての実力もあり、日頃は冷静な状況判断も出来る業威ではあったが、緒戦の体たらくに呆れたのか、歴戦の武将らしからぬ乱暴な調子で張正の提案を切って捨てる。
 軍議は決裂し各部隊は夫々盟主の思惑によって動く。
 結果、戦況は一進一退のまま転戦を余儀なくされ、張正は連合軍としての瓦解するのではないかとの危惧を抱き始めていた。

 幾度かの鍔迫り合いを繰り返しながら次なる戦場を目指して移動していた張正の軍勢だが、突然先頭に足並みの乱れが生じ――。
 先頭を進んでいた一隊が何者かを追ってきたと思しき小部隊との間で小競り合いを始めたらしい。
 駆けつけた伝令が耳元へと何か囁くと、驚愕の表情を見せた張正は全軍に展開を命じ、精鋭を率いて混乱の源へと急ぐ。
 騒乱の中では戦いを聞いて駆けつけたらしい業威が長大な戦斧を自在に振るって追手の指揮官である秦羅と立ち合っていた。
 双方供に六尺を超える豪傑同士の一歩も引かぬ激突に周囲で戦う兵達も手を出しかねている。
 激しい戦いが続く場所から離れこちらへと向う一団を認め、張正が近付く。
 兵士達が集まった中央には武器を手に身構える僅かばかりの供回りに守られた女性の姿。
 兵を抑えながら進み出た張正の前に陸江が立ちはだかった。
 見れば太守として地方へ赴任する以前、都で見かけたことがある王女春妃に間違いない。
「春妃様! よくぞご無事で!」
 張正が恭順の意を示して畏まると周囲の兵達も一斉に倣う。
 太守の身分と逆賊張高を討つべく挙兵したいきさつを説明すると、陸江も武器を収め、春妃もようやく安堵したように表情を和ませた。
 早々に春妃達一行を保護すると戦いの中心から遠ざける。
「‥‥どうやら、張高は命運もここまでのようだね」
 乱戦に加わらず、やや離れた場所からこの様子を見守っていた久椎間は、事の成行きを見定めると無言のまま一人追手の軍を離れ姿を消した。
 春妃の存在を知らぬまま業威が追手を撃退した後も各々の率いる軍は前進を続け、やがて思い思いに陣を構える。
 陣中に春妃の一行を迎えた張正は戦場で可能な限りの歓待を施す――が、話が春妃の持つ国璽に及ぶと俄然表情を改め。
「春妃様、現在我らが軍勢は当に烏合の衆と言ってもよく、このままでは到底勝利など覚束ない次第。軍をまとめ、かの逆賊張高めを倒す為、是非とも私に国璽をお預け願いたい」
 現在の苦境を詳らかに述べて権限の委託を切々と願い出るのだが、春妃の傍らに控えた陸江は顔色を変え春妃の耳元で囁く。
「姫! 大事な国璽を、この様な輩に渡すなどなりません!」
 だが、辛い逃亡の果ての厚いもてなしにすっかり気を許した春妃は逆にのんびりとした口調で陸江を宥め。
「張正将軍は忠義の武人ではありませんか。陸江は心配しすぎなのですよ」
 結局は二つ返事で国璽と供に張高討伐の全権を張正に委ねた。
 恭しく国璽を押し頂くと張正は直ちに業威や雷閃華の陣屋に伝令を飛ばす。

 翌早朝より開かれた軍議には業威や雷閃華以下連合軍の主だった将が顔を揃える。
 張正は春妃を上座に据え、自らはその名代として諸将を迎えた。
 春妃一行を保護した経緯と国璽を預かったことを明らかにし、今後は自分の策に従うよう強い調子で要請する。
「これでも春妃様より直々に国璽をお預かりした身です。私の言葉ではなく、春妃様、あるいは亡き先王のお言葉として聞いていただきたい」
「春妃様から国璽を賜ったのでは、従わぬわけにもいかんな」
 張正の手腕には幾分の疑念を抱きつつも雷閃華が肯んずると、業威もあっさりと受け入れ、春妃に対しても豪放な笑顔を向けながら遠慮の無い言葉をかけた。
「心配するな。将軍がこのまま奴の好きにさせるとでも思うか?」
 今にもつかつかと歩み寄って頭でも撫でそうな勢いである――統率者が居れば状況を打開出来るだろうとの読みもあって積極的に協力の意を示す。
 業威の口調にはやや驚いた様子を見せた春妃ではあるが、すぐに笑顔を見せるとゆったりとした所作で居並ぶ群臣に礼を述べた。
 そんな中にあって春妃の傍らでは陸江が張正の一挙手一投足に注意を向けていた――忠義に厚い陸江は、張正が僅かでも不逞の意図を見せれば、再び国璽と王女を奪い何処かへ逃げる腹積もりでいる。
「兵も人なのだ。闇雲に戦って、無駄に命を散らす様な事はあってはならない!」
 作戦の詰めに入ると、何事も力押しで解決しようとする雷閃華と陸江の間に口論も起きたが、雷閃華も根に持つ性格ではなかったし、陸江の方でも武芸者としての雷閃華は高く評価しており、連合軍内部は徐々にまとまりを見せて行った。

 その後張正の指揮で展開した連合軍は、張高の派遣した正規軍を相手に開戦以来の勝ちを収め――。
「貴公の言った通りだったな。まさかこうもうまくいくとは思わなかった。この結果を見ては、貴公の手腕を認めぬわけにもいくまい」
 鮮やかな手際に雷閃華も張正に賛嘆の言葉をかける。
 一方では陸江も供に戦ううちに張正への警戒を解いたらしく、改めて協力を誓う。
「これまでの非礼、心より詫びる。そして、逆賊・張高を討つため、私も微力ながら協力しよう」
 業威も見込みどおりの成行きに満足げだ。
 この勝利を機に、連合軍は次第に纏まって行き、張正もいつしか全軍を束ねる盟主とも言える存在となって行く。

『―――王都を有する叛乱勢力と国璽を有する連合軍との永きに渡る内乱が此処に始まったのである。
 春妃を得た張正はこの後盟主として力を振るい、やがて『関』の新たなる国主として立っていく事になるのだが、それはまた別の話である』


●『順手牽羊』とは‥‥
 終劇の文字と供に画面はスタジオに移り。
 結びのナレーションを語り終えた三十朗が正面に向って一礼すると、順次いつもの自己紹介を兼ねたご挨拶。
 全員の挨拶が済むと早速今回の策の解説に入る。
「偶然得たものをいかに自らの利益に繋げるかがこの計略の本質なのでしょうね。今回の例でも勝利の端緒を掴んだに過ぎませんしね」
「戦術にしても対人競技にしても、相手の出した小さな隙を突くってのは基本だよな」
 三十朗の解説をヘヴィが受け。
「要するに『ことのついで』ってことだろ? それなら俺もよくやるな。ちょっとした買い物がある時とか、ロードワークのついでに店に寄って帰ったりな」
 アスカが大雑把に噛み砕くと、黒羽もドラマの中のしかつめらしい忠臣の演技とは打って変わった明るい口調で応じる。
「結局、この諺の意味って『貰える物は貰っとけ』ってことなのかな?」
「ああ、幾ら拾い物で利益が得られるっても猫糞は厳禁だからな。ったく、最近の連中は平気で万引きなんぞしやがるんだから‥‥」
 教育番組らしくヘヴィが笑いながら突っ込みを入れておく。
「何をするにも、時間やお金や体力を使う。『ついで』ならそれを少なく済ませることができるけど、それでもそれに見合った価値があるかは常に考える必要があるだろうね」
 スモーキーが淡々と見解を述べれば。
「ま、『ついでのついで』でいろいろ買いすぎたりすることもあるけど、それは悪い例か」
 などとアスカが苦笑交じりに混ぜ返し。
 やがて、たつやんからは。
「わいの演じた秦羅にとってはどちらに正統性があろうが関係あらへんのやろうね。自分を働かせてくれた張高閣下の方を高く評価しているんとちゃいますやろうか?」
 などと撮影の裏話も飛び出しながら話題は進み。
「初めてのドラマ出演だったけど、皆のお陰ですごく楽しかったよ」
 と言う黒羽の言葉で番組はエンディングを迎えた。