【三十六計】打草驚蛇アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 呼夢
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 8.8万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 06/09〜06/12

●本文

 いつもの簡単な確認も終り例によって‥‥。
「今回の策は『打草驚蛇』っすか‥‥」
「早い話がいわゆる『薮蛇』ってやつね。余計なことをして却って損害を蒙るとか‥‥」
「え〜っ!? そんなんでホントに策なんすか?」
「確かにこれじゃ策っていうよりただの間抜けね」
 三宅さんがニヤニヤしているところを見るとどうやら俺はからかわれているらしい。
「‥‥これもねぇ、ちょっと源典が見つからないんだけど、汚職をやってた役人が別の役人の汚職を民衆から訴えられて『奴等は草を打ったのだろうが、俺は草叢の蛇のように驚いた』と言ったとか言わないとか言う故事がもとになってるらしいわ」
「で、どの辺りが策なんで?」
「まあ、故事自体は策じゃないんだけど、陰で糸を引いてる大物を焙り出すために周辺の小者にちょっと探りを入れてみるって感じで使われるみたいよ。或いは周りの小者を懲らしめることによって陰に隠れてる大物に警告を発するとか。戦いなら、敵の布陣や反応を探る為に何か囮の行動を起こすとか‥‥その行動によって敵の伏兵とか罠なんかを先に発動させてしまえば後が楽になるし」
「はあ‥‥そういうことっすか」
「三国志の例で言うと、前者になるけど曹操が献帝の意を受けて自分を排除しようと狙っている武将達を焙り出すために、献帝や有力武将達を招待した狩りの最中にわざと献帝をないがしろにする行動をとって、その場にいた武将達の反応を確かめたなんてのがあるわね」
「はぁ‥‥」
「でも、難しいのは周りの小者にちょっかいを出したおかげで大物に警戒心を持たせちゃって『薮蛇』になるってとこね。『薮蛇』とまでは行かないかもしれないけど、結局ここで目を付けられた劉備達一行は曹操の手を逃れて後に一大勢力になっちゃうわけだし」
「要は『打草驚蛇』の策を使ったつもりが、匙加減や後の対処を間違えると結果は『薮蛇』になると‥‥」
「まっ、そういうこと」
 ‥‥そして、いつものようにキャスト兼スタッフの募集がかけられることになった。


●三十六計
 書かれた時代も作者も不詳とされる兵法書、最も有名なのは『三十六計逃げるに如かず』で、元になったと言われる最も古い出典『南齋書』の記述に見られる檀公の三十六策が、戦いを避けて軍の消耗を避けるものであった事から来ているとも言われる。
 その時点では三十五番目までの策が全て埋まっていたかどうか定かではないのだが、三十六と言う数字自体は、易で言うところの太陰六六を掛けた数字に由来するらしい。
 序文に曰く。

『六六三十六 数中有術 術中有数 陰陽燮理 機在其中 機不可設 設即不中』

 太陰六六を掛けると三十六になる、権謀術策も同様に数は多い、勝機と言うのは陰陽の理の中にこそ潜んでいる、無理遣り作り出すことは出来ないし、作ろうとしてもそれは失敗に終る。


●第十三計『打草驚蛇』

『疑以叩実 察而後動 復者 陰之媒也』

 疑わしげな状況であるなら事前に囮の行動で実際に叩いてみて敵情を偵察した後に本格的な行動に移る。偵察を反復するというのは、それが隠されたものを探り出す為の媒体であるからだ。

●今回の参加者

 fa0179 ケイ・蛇原(56歳・♂・蛇)
 fa0225 烈飛龍(38歳・♂・虎)
 fa0756 白虎(18歳・♀・虎)
 fa1323 弥栄三十朗(45歳・♂・トカゲ)
 fa2002 森里時雨(18歳・♂・狼)
 fa2122 月見里 神楽(12歳・♀・猫)
 fa3516 春雨サラダ(19歳・♀・兎)
 fa3957 マサイアス・アドゥーベ(48歳・♂・牛)

●リプレイ本文

● 本番前
 本番前、控室の片隅では女官雨宮を演じる春雨サラダ(fa3516)が静々と歩く練習中――ひらりとした衣装に慣れるのも中々大変らしい。
 同じく女官葉麻を演じる月見里 神楽(fa2122)も綺麗な衣装を着せて貰いご満悦の様子。
「兵士さんのキリッとした衣装も動き易いから好きだけど、やっぱり女の子の可愛い衣装がいっぱい着れるのが嬉しいかな♪」
「神楽ちゃんもすっかり女優さんづいてるっすね。そう言えば入構証未だにミュージシャンってのもアレっすね」
 千葉もつられて目を細める。
「お久しぶりです」
 にやける千葉の背中を、熱血青年武官蔡瑛を演じる森里時雨(fa2002)が手加減抜きで思い切りどやす。
「ガヤ役が居ねぇと収まり悪いし、相変わらず格闘系と芸と地で押し切る方向で行くぜ」
 むせ返る千葉を豪快に笑い飛ばす――番組中に限らず一目で所在が判る辺り、相変わらず脳味噌筋肉が似合う男である。


● ドラマ『打草驚蛇』
 玉座の間へと向う陸茂(マサイアス・アドゥーベ(fa3957))は正面からやってくる人物に気付く。
 この国の宰相秦戒(弥栄三十朗(fa1323))であった。
 落日の『宗』を立直し、かつての繁栄を取戻させた立役者で、事実上政を握る人物と言える。
 廊下の端に寄って挨拶する陸茂に鷹揚に応えるとそのまま立去っていく――陸茂の巨躯と比べれば秦戒の風貌はいかにも線の細い印象を与えるが、その物腰には威風辺りを払う趣さえある。
 御前に出た陸茂を、宗王(ケイ・蛇原(fa0179))は浮かぬ顔で出迎えた。
「おお、陸茂か。良い所に‥‥ちと、まずいことになってな」
 辺りを憚りながら陸茂を手招きすると声を潜める。
 どうやら裏で陸茂に便宜を図っていた利権の種が、秦戒の新たな施策によって廃されることになったらしい。
「‥‥主上のご威光で何とかならなかったのですか?」
「あやつめの弁には付入る隙が無くてな」
 古くから宗王に仕える猛将で、利に拘る性癖を持つ陸茂が恨み言を口にすると、宗王も渋い表情で応え――。
 人払いをして対応を練る宗王達だが、話がいっそ秦戒を討って実権を取戻そうかと言う算段に及んだ所で陸茂が人の気配に気付く。
 部屋を飾る垂布の影から陸茂が引出したのは一人の女官――雨宮だ。
 秦戒の息のかかった者と気付き厳しく問質す陸茂を宥め、宗王自ら綿々と己が苦衷を説く。
「そう、ですね‥‥宰相様のやり方は、確かに強引で。ついていけないと思っていました」
 宗王の説得が奏功したか漸く雨宮も頷いた。
「うむ。得心してくれたか」
 安堵の表情を見せる宗王に代わり陸茂が口を開く。
「ならばひとつ頼みがある。秦戒の動静に探りを入れたいのだが」
「承知いたしました、以後、情報を少しでも掴んでまいります」
 一瞬、惑いを見せた雨宮であるが、硬い表情のまま頷く――老練な陸茂の腹には雨宮の信を試す狙いもあった。

 宗王と宰相の不和は女官達の間でも口の端に上り――尤も、その多くは何れかに与する意図も無く黙々と仕事をこなしているのだが――。
「王様と宰相様の間の雰囲気が最近変よね」
 歳若い女官葉麻が居合せた雨宮に話しかける。
「葉麻様はどちらがお好きなのでしょう?」
 雨宮が変らぬ丁寧な口調で尋ねると葉麻は困ったように首を傾げた。
「どちらも使えるべき大切なお方ですし‥‥」
 葉麻に限らず、どちらが優位とも知れない現状では旗幟を鮮明にしないことが自らの保身の為にも必要であるらしい。
 これは必ずしも女官に限ったことでもなく、武官文官を問わず王宮に使える多くの者達にとっても当然の処世術であろう。
 尤も――中には蔡瑛の様に一向頓着しない者も。
「近隣諸国にも戦乱の兆しが忍び寄り、列強は次代の覇権を狙い動き出しているってぇのに、主上も宰相殿も何を考えておられるのか!」
 歯に衣着せぬ蔡瑛の口にかかると宗王も秦戒も全く形無しだ――単純明快な愛国精神に満ち溢れた青年武官蔡瑛にとっては宮廷内の勢力争いなど思慮の外。
 近隣諸国の動きもきな臭い昨今、外に備える動きの鈍さは蔡瑛の胸に憂国の情を募らせる。
 蔡瑛の激情を他所に、武力政変を図る陸茂ら旧勢力は雨宮からの情報等を元に秦戒の動きに神経を尖らせ――雨宮の情報に対して密かに裏を取っていた陸茂も漸く疑いをときつつあった。

 一方の秦戒も既に陸茂らの動きには薄々気付いている。
「陛下にも困ったもの。あのように旧弊な輩に肩入れして、日々『宗』の再建に努めている私を軽んじようなどと‥‥どうやら雨宮も陛下の側に寝返った様子」
 片腕とも言える将軍、烈飛(烈飛龍(fa0225))と供に一連の動きへの対策を練っていた秦戒が話を締めくくると。
「雨宮が‥‥ですか?」
「こちらの動きが向うに筒抜けのようなので信用の置ける間者を使って調べさせた結果だ。まず間違いはなかろう」
 無名の兵士の頃より目を掛けて貰い、将軍の地位にまで抜擢された烈飛は、秦戒に対する恩義から二心無く仕えている。
「反間を更に逆用するわけですな」
 烈飛も頷く――敵がこちらの間諜をうまく取込んだと信じ込んでいれば、偽の情報を流して相手の動きを操ることも――。

 暫しの膠着状態を経て事態は動く――隣国と接する辺境の砦より異変の報が――。
 この機を利し、旧勢力を一掃しようと秦戒は一計を案じた。
 密かに烈飛と謀って蔡瑛と供にかの地への出征を命ずる――が、これはあくまで表向き。
「そなたの不在を好機と見ておそらく仕掛けてくる筈。砦への援軍は蔡瑛に任せて途中より手勢を連れて隠密裏に引返すのだ。屋敷に網を張り、一網打尽にしてくれる」
 砦への派兵は宗王の裁可を受け大々的に準備が行われた。
「また仰々しい出陣だね〜」
 王都の警備に任っていた白(白虎(fa0756))が呆れたように眺める中、遠征部隊は列を成して門を出て行く。
「たかが地方の小競り合いなのに‥‥」
 同僚に向ってぼやく白にとり、辺境の地での戦など対岸の火事のようなもので実感の湧かないこと甚だしい。

 都の城壁が見えなくなった頃、中軍を進む蔡瑛に烈飛が馬を寄せた。
「都に不穏の動きがあるゆえ俺は一隊を率いてここから引き返す。国境の小競り合いはおぬしに任せた」
「こんな時に不穏の動きだと? いったいどこのどいつが?」
 声を荒げる蔡瑛に、烈飛は首謀者の名を告げる代りに今日の宮廷の有り様を尋ねる。
「悠久の御世を誇る宮廷は中原に冠たる物だが、すで旧態依然で拘る意義も見出せねぇ。宰相殿の采配は的確にして革新的だが、御世を蔑ろにしてよい物ではねぇ‥‥‥‥」
 問われた蔡瑛は案の定答えに窮し――暫しの後。
「くっ! 俺に出来る事は憂国の士と共にあることだけ。いい、国境は俺が引き受けよう。胡散臭ぇ輩なぞクソ喰らえ! 我が祖国に栄光あれ!」
 どうやら政治の裏側について考える事に飽いたと見え、目前に迫る敵に矛先を向ける。
 それなりの実力も行動力もある男だけに、下手に都で突っ走られた日には収拾が着かなくなりかねない――烈飛は蔡瑛の去就を確認すると手勢を引き連れて密かに都へと取って返した。
 予め秦戒が言い含めておいた裏門から都に戻った烈飛は、秦戒の屋敷に手勢を配置する。
「‥‥内乱を鎮める為に兵を鍛えておいた訳ではないのだが」
 確認しながら複雑な表情で呟く。

 一方、烈飛達の軍勢が地平の彼方へと姿を消すのを見送った陸茂は、早速宗王の耳元へと決起の意を伝えていた。
 周辺が手薄になった機に乗じて計画通り秦戒を暗殺し実権を掌握する腹積もりである。
 予てより因果を含めておいた旧勢力の武将や子飼いの手勢を率いて夜陰に乗じ秦戒の屋敷へと向う。
「ん? あれは?」
 闇を疾走する一群を目に留めた白は訝しげに首を傾げる――が一行の中に重臣陸茂の姿を認めると肩を竦めた。
「触らぬ神に祟り無し‥‥か」
 そのまま城内の警備に戻っていく。
 屋敷の裏口は予め近況の報告と称して秦戒の元へと戻っていた雨宮が開けて置く手筈。
 扉は何事も無く開き――陸茂らは闇に紛れて秦戒宅の裏庭へと滑り込んだ。
 秦戒の寝所と思しき部屋には夜半にも係らず煌々と灯が灯されている。
 陸茂が合図を送ろうとした瞬間、周囲の部屋の扉が一斉に開き火矢が放たれた。
 炎に照らされ、闇に潜んでいた筈の一団の姿は顕わになる。
 続いて屋根の上から放たれた矢が周囲に降り注ぎ、陸茂の手勢は次々と斃れて行った。
 陸茂自身も利き腕に矢を受け思わず得物を取り落とす。
「首謀者は殺すな! 必ず生かして捕らえるのだ!」
 寝所の扉を開けて現れたのは国境へ向った筈の烈飛であった。
「貴様は‥‥おのれ、謀ったな!」
 陸茂の脳裏には雨宮の罠との疑いも過る。
 得物を左手で構え直した陸茂は歯噛みするが、首謀者と見做された者を除けば既に味方は数えるほどしか残っていない。
「秦戒殿に手を出そうとは‥‥何も考えていない御仁らだ。だから、宰相閣下には勝てぬのだよ」
 もはやこれまでと悟って得物を投げ出し地面に胡坐をかいた陸茂に、配下を従えた烈飛が歩み寄る。
 陸茂らはたちまちのうちに縛り上げられた。

 そのころ――陸茂達が無事屋敷内に侵入したのを見届けた雨宮は、宗王に首尾を告げるべく屋敷を抜け出そうとしていた。
 が、門へと向う雨宮の前を人影が遮る。
 ほの暗い灯の中に立つ人物の顔を見定めた雨宮は蒼白になった。
 駆け寄った兵士達に引き据えられた雨宮の頭上から秦戒の冷徹な声が響く。
「そなたらの企てなど全ては私の掌のうちにあるのですよ」
「くっ、貴方のやり口はいつもそうです‥‥、全てを見通して、敵には容赦がない‥‥、そんな事では‥‥」
 屈強の兵士に押さえつけられ面を上げることもできず、雨宮は喰いしばった歯の間から言葉を搾り出す。
 秦戒は黙って聞いていたが表情一つ変えず踝を返し――雨宮を引き立てた兵士達もその後に続いた。

 翌朝、縛り上げられた襲撃者達が宗王の前へと引出される。
 引立てられる者達の中に旧知の雨宮の姿を見つけた葉麻は怯えたように顔色を変えた。
「雨宮様まで‥‥いったいどんな罪なのかしら‥‥」
 近くでやはり一行を見守る同僚達に問いかけるもののだれもが首を捻るばかり。
 夜勤明けの白も眠そうな眼差しで一行を見送りながら呟く。
「派閥争いなんて私達に関係ないから迷惑のかからないようにやって欲しいよ」
 どうやら係わり合いを避けた昨夜の判断が的を射ていたらしいことに胸を撫で下ろす。

「陛下、乱を起こさんとした逆臣をこの通り捕らえて参りました。これで陛下も枕を高くしてお休みになられますな」
 宗王の前に襲撃者達を引き据えた秦戒が威儀を正して奏上する――その態とらしい態度が全てを見通していると言外に圧力を加え――。
「う‥‥うむっ、この度の働き大儀であった」
 内心の動揺を押し隠しながら応じる宗王に、秦戒の傍らに控え、御前にありながら武装を解かない烈飛が更に無言の圧力をかける。
 これまでの癒着はともあれ、秦戒の排除を狙った今回の一件が自らの関与も含め全て看破されている以上、宗王としても全員を処断せざるを得なかった。
 既にそれを悟ってか、陸茂や雨宮を含め、捕らえられた者達も宗王に類を及ぼさない為一人として口を開かない。
「それでも、貴方が、わが国の‥‥長です」
 刑場に引き立てられる間際に呟いた雨宮の言葉はだれの耳にも届くことはなかった。


●『打草驚蛇』とは
 終劇の字幕と供にカメラがスタジオの出演者達を映し出す。
「おはようございます! 劇団クリカラドラゴン座長、ケイ・蛇原でございます」
 既にお馴染みとなった口上と供に挨拶が続き――。
「藪蛇との線引きが難しい計略ではあります。ね。一つ間違えると相手を本気にさせますし。今回のように脅しくらいで済ませる方が順当かも知れませんね」
 宰相役を演じた三十朗がドラマを振り返ると、
「それにしても、宰相さんの策は怖いくらい見事でしたねー。断罪される演技がうまくできていたら良いんだけどなー」
「実際の政変では此処まで巧く護りきれるなどという事はないだろうがな。『窮鼠猫を噛む』の例えもあるし、追い詰められた方は何をしでかすか分からんもんな。それこそ、藪蛇になって、今回の甘い処分を後悔する事もあるかも知れないが、まあ、それは別の話だろうな」
 明るく応じるハルサに、フェイロンが現実の厳しさなどもチラリと仄めかし。
「俺は今回もノセられる役ですが、策がヤブヘビになっちまうとこの手のバカは始末に悪いかもな」
 敵を炙り出すダシに使われ一人辺境の戦場に放り出された時雨もニヤリとする。
「まず偵察をする所から始まる計略ですよね‥‥様子を伺い、変だと思った所を調べて行く。ドラマでは芋づる式に内通者から黒幕までがすぐに分かりましたが、実際にはなかなか分からない事もあると思います。そのじっくり探す所をきちんとしないと、蛇に逃げられてしまうかもしれませんね」
「今回の国王のように『蛇』がいる場合は『打草驚蛇』であるが、仮にそうした大物がいなくとも、『一罰百戒』的な使い方もできそうであるな。かえって相手を暴走させてしまわぬよう、加減が重要なのは同じであるが」
 神楽が小首を傾げながら考えを述べると、マシーも類似する四字熟語を例にあげた。
「藪蛇という言葉の語源、正直この番組で知ったわたくしです。余計なことをした、という意味でしか捉えていませんでしたが、なるほど。わざと蛇を出しておく、という考え方もできますね。見えないものほど恐ろしいものはない」
 ケイさんも飄々とした口調で場を和ませ、談笑裏に続いた番組はやがてエンディングを迎えた。