Allstar運動会冬 閉幕アジア・オセアニア
| 種類 | ショート |
|---|---|
| 担当 | 呼夢 |
| 芸能 | 2Lv以上 |
| 獣人 | フリー |
| 難度 | 普通 |
| 報酬 | 3.6万円 |
| 参加人数 | 12人 |
| サポート | 0人 |
| 期間 | 01/22〜01/26 |
●本文
●雪まみれな運動会 終盤〜閉会式『Allstar運動会冬』。
とあるスキー場で開催されるオールスターの雪上運動会。尤もスター目当てのギャラリーやら、家族連れの見物人なども結構多いのだが‥‥。
歌手や俳優達は言うに及ばず、近頃バラエティには欠かせないタレント評論家やら脚本家その他一昔前ならお堅いイメージのあった面々も参加している。
対抗戦の頭数を合せるためという名目もあって、マネージャーやＡＤなど現場スタッフも競技者として狩り出されることも少なくない。そんなことがきっかけで一躍顔が売れ、サラリーマンな局アナがタレントとして独立する例も後を絶たない昨今である。
で、北海道からのサバイバルレース中継やら、観客席での『子供向けのお客様感謝イベント』なども含めて放送される番組の、閉会式直前に行われる二種目の参加者募集という訳だ。
●参加要項
・終了前競技 雪上ダイビング
赤白六名ずつに分かれますが基本的には個人技です。
3ｍ程の台上から雪溜りに向ってジャンプし、滞空時間及び空中でのパフォーマンスと着雪時の人型で芸術点を競ってもらいます。
雪溜りは、人工降雪機で作ったふわふわのものですので、着雪後採点用の写真撮影が終る前に暴れると人型が崩れて減点される恐れも‥‥さすがに採点が終るまで埋まってる訳ではありませんが。
・最終競技 雪運びレース
競技は三人一組で行う。
三人同時に三方向から中継ポイントを目指し、そこで一人が伸縮自在のウェアを着込み、三人掛りで雪を詰め込んでゴールまで運ぶというもの。コースは基本的に平坦な部分を使用。
勝敗はタイムと、運んだ雪の量で決まり、１ｋｇ＝1秒に換算される。
詰め込みすぎると本人が走れなくなるので要注意。ただし、まん丸にして残りの二人が転がしていくのもありだが、勢い余って応援席などに飛び込まないよう――いや、それはそれでおいしい気もするが――注意すること。
・閉会式
これまで行われた各種競技の結果で、赤白の勝敗が発表。後は‥‥
−−なにはともあれ、雪まみれの運動会を存分に楽しもう。
●リプレイ本文
●勝敗の行方北海道からのレース中継なども取混ぜて続いてきた雪上の戦いも残すところあと２種目。
これまでの所、僅かながら赤組がリード。次の競技『雪上ダイビング』に参加する紅白両陣営の選手達が待機位置に集まっていた。
「勝負はこれからサ、ま、マリスがいれば勝ちは確定だネ♪」
劣勢などものともせず、マリアーノ・ファリアス（fa2539）は白組のお姉さん達に笑顔をふりまく。
「白には負けねぇからなー！」
月岡優斗（fa0984）も顔見知りの同世代に対抗心を燃やす。
童心に帰るのもいいからなどと、そんな年少組をを眺めながら同じ組の孫・華空（fa1712）も観客に喜んでもらえる試合にしようと張切る。
一番小柄な葛城あいび（fa2715）が無邪気に「白組勝利の為にがんばるわ〜」と言えば、中学生の中では長身の赤組氷咲 華唯（fa0142）は、「何事も出来る限りのことで全力を尽くすしかないだろ。こういうのは勝ち負けもあるかもしれないが参加することに意義があるからな」などとやや大人びたことを。
寒いのがあまり得意ではないケイは帽子と手袋を着用、用意してもらったウェアの下には貼る使い捨て懐炉を複数装備していた。
身長からいくとゆーと達より小柄なのだが、白組のシャウロ・リィン（fa0968）ら年上のグループはそれほど表立ってはしゃぐ様子も無い。
赤組の湯ノ花 ゆくる（fa0640）は、毛布を羽織っているのだが、寒さ対策でもないらしく、その下になにやら仕込んでいる模様。
「まぁ、風邪をひかない程度に勝ちに行こう」
同じ赤組で、防寒対策の為ウェアの他に毛布や使い捨て懐炉なども用意したレーヴェ（fa2555）がボソリと呟き、花を意匠した桜色のウェアに身を包んだ白組の結城 紗那（fa1357）も落着いた様子でチームメイトに挨拶をしている。
「俺はいつもは裏方じゃが、たまにはこうゆうのも悪くはなかろうて」
賑やかな様子を眺めながら、がっしりした体格の熟年スタントマン、白組の里見 十吾朗（fa0697）が顔を綻ばす。
やはり普段は表に出ないベアトリーチェ（fa0167）も、「たまには裏方ではなく、自分が参加するのもいいかもしれないわね」と呟きつつ、参加する以上は白組の為に全力を尽くそうとそれなりに気合を入れる。
「あ〜、いいとこにいた、みは君。赤組のメンツが一人足りないんだ。ちょっと入ってくれる？」
「そっ、そんなこと急に言われても、私パフォーマンスなんて出来ませんよぅ‥‥」
選手達の誘導をしていたＡＤの日向 美羽（fa1690）は、いきなりディレクターに声をかけられて尻込みする。すると、何か思いついたのか「そうだ、とっておきのパフォーマンスがあるよ。これなら絶対受ける」と、有無を言わせず待機所に連れて行き、衣装係になにやら耳打ちして「よろしくたのむよ」と、肩を叩いて歩み去る。
顔見知りの衣装係に「あなたも大変ね」等と同情交じりに言われながら中に入り、衣装として手渡された水着を見て目が点になる。
「‥‥って、なんですかこれは？？！！ 聞いてませんよう！！」
全力で抗議するが、発案者は既に現場に行ってしまっている。
「‥‥撮影が終わったら、暖かいものぐらい準備してもらわないと、風邪引いちゃいますよぅ」
ブツブツ言いながらも着替えを始めるみはであった。
●白銀の妖精‥‥達？
何人かの売れっ子タレントに続いてジャンプ台に姿を現した赤組のケイは、なにやら帽子や腰の辺りが微妙に膨らんでいる。
台上から飛出したケイは、持歌の振付けを踊りながら落下し、背中から大の字に雪に埋もれた。その後は微動だにしなかったが、人型の撮影終了が告げられるとスタッフの手を借りて這い出してくる。
続く白組の選手は里見だ。掛け声と共に飛上ると、前方に向って派手に三回転してみせる‥‥が、回転しながら顔面から雪の中に突込んでしまう。会場からは笑い声に混じって心配そうな呟きも聞こえる。
とりあえず大急ぎで人型を撮影すると、スタッフが声をかけた。すると雪を跳飛ばすような勢いで立上がり、笑顔で観客に応え、客席からも安堵の声が漏れる。
華空はスノーウェアを脱いでリングコスチュームで登場。客席から思わず「寒そう」の声が上がる。ダイビング・ボディ・アタックの要領で手足をＸ字型にピンと反り返らせてジャンプ。落下が始まると体を丸めて空中回転を行い、着雪寸前に再び最初の姿勢に戻って雪上にＸを描いた。
続く紗那は、台上から踏切ると両足を蹴上げるようにして、地面を背に体を水平にしてモーグルの技であるコサックの姿勢を決める。そのまま落下すると着雪直前に思いっきり手足を広げて大の字になって雪の中に埋没した。演技の最中も雪の中から掘出される時もカメラを意識して笑顔は絶やさない。
レーヴェは、水泳の板飛込み競技の要領で『後宙返り１回１回半捻り』に挑戦。素で半獣化したケイに匹敵する華空やリィンに次ぐ軽業の技量で見事に回転を決めると、着雪時に両腕を伸ばして雪の中で倒立する。長身のところに更に両腕を伸ばしている為、雪に埋まりきらない足が雪上に直立したままだ。
採点用の撮影が終了した合図を送ると、直立していた足が引込み、すぐに雪まみれの頭部が現れた。
（個人競技と来ればやっぱりはウケを狙わなきゃね）
勝負の行方も気になるものの、そこは芸人である。後踏切前飛込で飛び出したマリスは無理にパフォーマンスをせず身体を垂直に持っていくと、両腕をぴったりと体につけたまま頭から雪に突刺さった。
（目指せノースプラッシュ！）
長身＋リーチを使ったレーヴェと違い、小柄なマリスは最小限の穴だけ残して完全に埋没していた。例によって写真撮影が終るとスタッフが声をかけるが、中々出てくる様子が無い。穴を覗くとしきりに足をバタつかせている。
数名のスタッフが慌てて飛び込むと両足を掴んで引張り出した。
続く同じ年頃のゆーとはマリスを最大のライバルと見做しているようだ。
「こーゆー高い所から飛ぶっぽいのなんか好きなんだよなー」
用意したサッカーボール大の雪球を投上げると、タイミングを計って自らもジャンプ。雪球と交差する所をバイシクルシュートで粉砕する。落下しながらどうにか体をひねると『非常口』マークの走る人を雪の上に象った。
踊り子の身軽さと足のバネを利用して出来るだけ高く飛上ったリィンは、滞空時間を使って上体を大きく反らし、体で円を描くようにゆっくり回転を続ける。迫力よりも美しさを出すのが狙いだ。
手足を大きく広げた仰向きの大の字を作って着雪した。
ジャンプ台に登ったゆくるがマント代りの毛布を脱ぎ捨てると、会場からどよめきが起こる。モコモコの毛布の正体は、いつもの衣装にメロンパンをびっしりと貼付けた特性の羽織だ。
手にしたメロンパンを空高く投げ上げると、体をスピンさせながらジャンプし、パタパタと羽織をはためかせながら遠心力を利用して周りにメロンパンの雨を降らせた。落下しながら最初に投げ上げたパンを口でキャッチしようとしたのだが――いかんせん人間形態では軽業の技量が若干不足気味らしく、水分を含んで固まっていたアホ毛にぷすりと突刺さったまま雪の中に消える。
パンの穴も含めて撮影が済み、頭にメロンパンを突刺したままのゆくるが引上げられると、再び場内は爆笑に包まれた。
助走をつけてもかまわないのかと尋ねるベリチェに、「かまわないんですが‥‥」とスタッフの今ひとつ歯切れのよくない答え。ジャンプする場所は固められているのだが、周辺は助走しようにも足が沈んでしまう。
それでも出来るだけの勢いをつけて思いきり高く飛び、稼いだ滞空時間で縦に一回転、横に一回転して最後に大の字になって着雪する。
最後に数合せで借り出されたみはが水着姿で現われる。客席のざわめきを他所に思い切ってジャンプ。
「ＡＤってのは結構過酷なんだな」
撮影後震えながら助け出されるみはにレーヴェが毛布と共に使い捨て懐炉を渡した。
撮影された雪上の模様は、画面に流れると同時に審査席のモニタにも映し出され、空中のパフォーマンスと共に得点が電光掲示板に表示される。そのたびに競技者や応援団から歓声が上っていたが、トータルの結果は赤組に軍配が上ったようである。
●雪玉？運びレース
号砲一発、双方の選手達は一斉に中継点を目指して走り出した。
一歩踏み出すたびに膝近くまで潜る雪をものともせず、真っ先に中継地点にたどり着いたのは赤組Ｂのみはだ。その場に置かれた伸縮ウェアを重ね着しようとするが、やや縮んだ状態なので中々足が入らない。
白組Ａの里見とＢのベリチェ、赤組Ａの華空も続いて中継地点に到着して伸縮ウェアの準備をしているが、こちらはウェアを着る選手がまだ到着しない。
どうにかウェアを着込んだみはの元にレーヴェも到着、雪の詰込み作業を手伝い始める。少し遅れてケイも合流した。
同じ頃、里見の元にもリィンとマリスがほぼ同時に到着。ウェアを着たマリスが万歳の格好をし、里見がウェアをひっぱって広げリィンがそこに雪を押固めながら紡錘状に詰込み始めた。
華空も中継地点についたゆくるがウェアを着るのを手伝うと、早速雪を詰込む。やがてゆーとも詰込みに加わると華空は専らウェアを広げる役に廻る。
ほぼ同時に、あいびもようやく中継地点に辿りつき、ベリチェと少し前に中継地点についた紗那が急いでウェアを着せるとこちらも雪の詰込みを開始した。
遅れを取戻すべくあいびと紗那がウェアを引張ってスペースを作り、力があるベリチェが一気に雪を詰める。更に紗那が雪を固めながら、転がしやすいように形を整える。
やがてレーヴェとケイに両手を支えられながらみはが動き始めた。こちらのチームはみはの体力にものを言わせて、普通に走って運ぶつもりのようだ。何しろ両チーム合せても半数以上の者は獣化してすら体力でみはに遠く及ばない。
「よし、転がそ」
ゆーとが声をかけると、防寒対策のために手作りの唐辛子詰め激辛メロンパンを食べていたゆくるがゴロリと横倒しになる。華空がメイン、ゆーとも手伝ってゴロゴロとゆくるを転がし始めた。
ゆーとは終盤を転がしやすくする為に溝を作ろうと考えていたが、一度転がり始めると先回りして溝を掘るのは不可能だと判った。
「どおおりゃあああっーーーーーーーーーーーーっ！」
里見の掛け声と共にラグビーボール状のマリス雪玉も転がり始める。中々転がり出さない序盤はリィンも力を添え、軽くなると里見がマリスの様子を伺いながら相撲の張り手のようにビシバシと丸くしながら転がし、リィンはルート確認しながら、凹凸や新雪にハマらないよう先導、転がす方向を微修正する。
もう一方のあいび組も少し遅れて転がし始める。ベリチェはあらかじめ自分達の前に行れた別グループのレースを観察していた。今までの参加者たちが転がしたり走ったりして踏み固められたルートに目星をつけてある。
その上で、スピードを重視し、ベリチェは渾身の力で転がす事だけに専念、紗那はコースアウトしないようにタイミングを合せて軌道修正する役に徹するなど入念な策を立ててあった。
転がり出した雪玉の勢いには勝てず、雪を蹴立てて驀進していたみはのチームは次々に抜かれてしまう。
多少先行したゆくるの雪玉にも、入念な作戦で臨んだマリスやあいびの雪玉が迫ってくる。
追いつかれてくると、華空は雪が崩れない様注意しながらショルダー・タックルを連続で雪玉に仕掛けて転がるスピードを上げる。が、ゴール間際、里見も更に加速して追抜かれると、最後の一押しはドロップキックで無理やりゴールへと押込んだ。
「無茶すんなぁ‥‥」
あおりを食ってゴール近くの雪に突っ込んだゆーとが苦笑しながら起上がる。
結果、ゆくるとマリスの雪玉が同着となり、少し遅れてあいびの雪玉もゴールイン。正攻法で挑戦したみは達のチームなども次々とゴールインした。
計量が終ると白チームは、まん丸になった雪玉を重ねて雪ダルマを作って見せる。下になったマリスに負荷がかからないように後ろで目立たないように里見が上の玉を支えている。
雪ダルマの上下から顔を出したマリスとあいびが会場に向って手を振ってみせた。
雪玉から開放されたマリスが、「寒かっタヨ！ 暖めテ♪」と女性陣に摺寄る。ベリチェはポットに用意しておいた暖かい緑茶や紅茶を仲間に振舞っていた。
●戦い終って
全ての競技が終わり、いよいよ最終結果の発表である。
「‥‥どきどきするね」
「結構いい勝負なんじゃねー？」
リィンの声にゆーとが応じる。最終競技は結局白に軍配が上ったが、それまでは赤がリード。
「精一杯頑張ったんだもん、どうなっても悔いは無いよ！」
電光掲示板の得点に最後のレース結果が加算される。最終レースで追上げをかけた白組だったが一歩及ばなかったようだ。
ゆーとや華空は手を取合ってジャンプする。更に華空は連続ジャンプにバック宙を繋げる。ゆくるはどこから持出したのか模造刀にメロンパンを突刺した物を振回す。
「ゆくる‥‥今日は‥‥色々と‥‥楽しかったです♪ 来年も‥‥また‥‥やりたいです♪」
カメラに向ってゆーとと共に笑顔でピースやらＶサインを振りまく。
白組も、リィンなどは。
「残念‥‥。でも、とっても楽しかった！」
と余韻に浸っているが、マリスにいたっては手近の木を思い切り蹴飛ばし、落ちてきた大量の雪に埋まるという一幕も見られた。
閉会式が終ると、後の予定の詰まっていない華空はその場に残ってスノボなどを楽しむことにするのだった。
