MusicFesta−The Finalアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
呼夢
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芸能 |
5Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
普通
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報酬 |
24.6万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
08/22〜08/24
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●本文
●『MusicFesta2007』開催
昨年の夏に開かれたアイベックス主催の『MusicFesta』、今年は更にパワーアップした盛大な夏祭りにしようと音楽プロダクションだけでなく、音楽の合間にバラエティイベントも挟んで盛り上げる計画が立てられていた。
関東圏の海水浴場も残り10日余りで閉まる所が多いこの時期に、去り行く夏を目一杯楽しもうと言う趣向――尤もこのところの暑さは中々暦通りに去ってくれそうにないのだが‥‥。
とりあえずそんな事情はさておいて、『MusicFesta2007』が開催される。
J−popの大手プロダクション、アイベックスとその協賛プロダクションによって執り行われる、幾つかのステージに分かれたライブコンサートを始め、お祭り要素を盛り上げるバラエティも盛りだくさん。
照りつける真夏の太陽の下、音楽の祭典が始まる。
● Final stage
サマーキャンプから戻った本間は直ちに『MusicFesta 2007』準備の最終段階に取り掛かっていた。
イベント進行の最終的な確認を行う。
「音楽関係は、最初のステージが川沢さんのプロデュースによるオープニングセレモニー。続いて木原さんのプロデュースする『ビキニde MusicFesta』と『MusicFesta☆野郎ぜ』のステージがあって、ファイナルステージのプロデュースを私が担当、と言うことね」
「そうですね、その中間にバラエティ関係のお祭りイベント各種が盛り込まれる形になります」
各ステージを取り仕切るプロデューサーなどから提出された企画書を繰りながら全体進行係が答える。
ビーチサイドでのドタバタの追いかけっこやミニ運動会、海の家の売り上げ競争などを交え、昼過ぎに始って夜まで続く延々7時間にわたるJ−popライブ祭りのラストを飾るステージだ。
時間的にも既に陽が落ちてからのスタートと言うことで、野外ステージとは言え各種照明効果や花火などの演出も準備されている。
「なかなか賑やかなお祭りになりそうね」
本間は進行係に向って笑顔を見せながら各方面に送る出演依頼のメールを打ち込み始めた。
●リプレイ本文
● The Final
昼過ぎから始った『MusicFesta2007』もいよいよラストステージを迎えようとしていた。
「ラストに出られて幸せ〜♪ 楽しいライブになるように頑張るね!」
急ごしらえの控え室でモニタに映る直前のステージを眺めながら、紗綾(fa1851)が仲間達に声を掛け。
その指には恋人の慧(fa4790)とお揃いのスコールが光っていた。
「後片付けがある程度終わったら打ち上げよ! あ、慧君と紗綾さんには美味しいご飯も作ったから食べてね♪」
演奏家達が持ち込んだ楽器に混じって、クーラーボックスを持参したクク・ルドゥ(fa0259)が満面の笑みで宣言。
「クク姉のご飯も楽しみ」
従姉弟のケイも期待に目を輝かせ‥‥。
「ライブは勿論、打ち上げも盛り上がりそうね」
蓮 圭都(fa3861)も楽しそうに仲間達の様子を眺める。
やがて直前のステージが終り――いよいよ出番だ。
「ディーの唄、楽しみにしてるよ」
楽器と共にやはりクーラーボックスを持ち込んでいた亜真音ひろみ(fa1339)が、ソロで歌を披露する友人のDESPAIRER(fa2657)に声を掛けた。
●『夏歌・花火 〜KaKa×2』
いかにも夏らしく浴衣掛けのククの後ろに設置されたドラムには、パンツスタイルに和服をアレンジした和洋折衷なイメージの笙(fa4559)、髪は襟足でラフに一束ねにしてトンボ玉付の組紐で飾り。
左右にはエレギの紅 勇花(fa0034)とベースの圭、龍笛を手にしたさーやが並ぶ。
ククがユニット『香格里拉(シャングリラ)』と曲名『夏歌・花火 〜KaKa×2』を紹介し終えると共に照明が落ち、バックには耳で聞いただけでは判らない漢字表記がレーザービームで描き出され――。
スローから徐々に早くなる笙のドラムロールに乗せ、徐々に明るくなる照明の中、圭の重みを効かせたベースと勇花のエレギが華やかに派手に高音を響かせ。
やがてゆらゆらと揺れる色とりどりの照明と音の波間に、ククの澄んだ高音がふわりと言葉を浮かべる。
「 I love songs
I love music 」
『 Io amo canzoni
Io amo musica 』
同じフレーズを伊語に変えた笙のコーラスも加わる中、いくつもの色の光が入混じり、ステージを彩り。
「 Sommer, um zu leuchten 」
『 Verano para brillar
Ete briller 』
「 Passi l’estate splendere 」
続いて独語、西語、仏語も交え、ソロで、或いはコーラスを加えて、音の波間を漂うように同じ意味合いのいくつかの言葉達が重なりあう。
さーやの吹く龍笛が一際甲高くうねり、
「 照りつける光 」
のフレーズと共に花火が一発――弾けるスネアと煌く様なシンバルロールが続く。
ミドルテンポで流れる曖昧なメロディーラインの波間に、いくつもの言葉が浮かんでは消え、
「 Il mare che accende la stella 」
『 星を照らす海 』
キラキラした細かな照明がバックスクリーンを横切り、続いて穏かな光がステージを満たす。
時に音を震わせ、早弾きを織り交ぜるなどの奏法や曲調を取り入れ、様々な顔を見せる詞に併せた演奏が繰り広げられ――時に華やか賑やかに、時に切なく哀愁を帯び、夏の様々な顔を表現する。
「 Le vent porte le parfum de l’occasion
風が潮の香りを運ぶ 」
『 Wind tragt den Duft von der Gelegenheit 』
「 El mar que enciende la estrella 」
『 Come per la notte dell’estate, e vivace.』
テンポを上げつつ強く激しく華やかに盛り上がりを見せていった演奏は突然に途切れ、
「 夏の夜は賑やか 」
音の消えた中、ククの澄んだ声だけが響き――最後の声の名残が消えぬ間に、連発の花火と賑やかに響き合う楽器達の競演で結んだ。
●『Starlight Wish』
下がる勇花と笙に代って正面にキーボードが運び込まれる。
瑠璃色のタンクトップに白のオーガンジーシャツを重ね、グレージーンズを穿いたボーカルのケイがキーボードの前に座ると、白いレースワンピに瑠璃色シフォンワンピを重ね着したさーやが龍笛をバイオリンに持ち替えて傍らに寄り添う。
ペアのの指輪に加え、星をモチーフにシルバーのネックレスもお揃いだ。
ククもウィンドチャイムの並べられたテーブルへと移動。
『Starlight Wish』――曲目が告げられると、やや青白い落ち着いた淡い照明の中に演奏者達だけが足元のライトで浮かび上がり、星型の光がちりばめられる。
微かにククのウィンドチャイムが奏でられる中。
「 Under the name of a star,
if I wish upon your eyes,
would my dream come true? 」
最初の英詩を、言葉をかみ締めるように独唱したケイが、ピアノ音にセットしたキーボードのグリッサンドで弾みをつけ、さーやのバイオリンと圭のベース、更にククのコーラスも加わってハーモニーを奏でる。
『 starry silent night 』
「 まぶたにそっと溶けた 星屑は頬を濡らす
満天の空冴え冴えと 瑠璃色の夜は鳴る 」
『 starry secret night 』
深みのあるベースが低音を支え、ちりばめられたウィンドチャイムが星の瞬きを表現する中、甘く漂う幻想的なコーラスとバイオリンがヴォーカルに寄り添う。
「 さざめくため息ひとつ 暗闇に包まれても
瞳の奥に秘められる 星辰の輝きよ
泣かなくていいからさあここへおいで 」
「ここへおいで」のハモりで一瞬音が途切れるが、星の光を表す照明が一際輝きを増し回転を始めると共に、再び伸びやかなハーモニーが。
『 You can’t forget my star,can you? 』
「 きっと君の肩に頬うずめ
僕は見たことのないような夢に焦がれるのだろう
星に祈り捧げ希(こいねが)う
重ねた手のひらいつまでも放さないよ『わかるかい』
キーボードの和音が響く中、銀の紙吹雪が舞い散り、
『 ふたりの背に 星が降る 』「〜星が降る」
最後の言葉を願いを込めて歌い上げたミドルテンポの叙情感溢れるバラードは、静かな余韻を残して消えていった。
●『The End of Summer Days』
ケイとさーや、それにククと入れ替りに、ディーがステージへと進み出る。
残っていた圭も楽器をベースからキーボードへと替え。
ディーの歌う曲は、『The End of Summer Days』。
照明を絞り、斜め上から微かに照らすように差込むスポットの中、圭が、夏の終わり、恋の終わりをイメージした、やや切なげなメロディを奏で。
ディーの声が静かに、しっとりとしたバラードを載せる。
「 夏の終わりの 夜の浜辺に一人
この海にサヨナラを言うために
一人でここに 来た時から
帰りも一人と わかってたけど 」
曲調が変ると共に、ディーの歌もやや強く、切なさをぶつけるように表情を変え――。
「 The end of summer days
一夏の夢も 恋も 思い出も
何もかも波が洗い流してく
The end of summer days
あの日見た花火も 隣にいた人も
今は記憶の中に残るだけ 」
もう一つの色の短い断章を挟んで再び元のメロディに立ち帰る。
「 The end of summer days
一夏の夢も 恋も 思い出も
なかったかのように夏は過ぎてく
The end of summer days 」
「 夏を惜しむような 花火が空に咲く 」
詞に合わせるように大輪の花火がステージを明るく照らし出し――。
「 隣にはもう誰もいないのに 」
輝きが消えるのを待って、ディーはゆっくりと、弱く呟くように最後の詞を解き放ち、圭のキーボードもそれに合わせるように静かに音を退いた。
●『感謝』
ディーと入れ替りに四人の出演者がステージに上がる。
黒のタンクトップにライトブラウンの皮のベストとジーンズを纏い、ショルダーキーボードを掛けたひろみが中央に進み、ベースの笙とギターの勇花、サンライズを手にしたさーやもドラムの前に席を占める。
一人ステージに残っていた圭も、今度はギターに楽器を持ち替えた――ステージの最初から演奏を続けている圭の衣装は、ハーフ丈パンツとキャミにチュニックブラウスを組合わせアースカラーで纏め。
ひろみの歌は『感謝』――サマーキャンプで途中経過を披露した曲に歌詞を追加したもの。
やや控えめな暖色系の間接照明の中に柔らかくステージが浮かび上がる。
さーやが頭上でサンライズを打ち鳴らして合図を送り――
圭と勇花のツインギターが、優しく、柔らかく、ミドルテンポの明るいメロディを爪弾く。
続いて加わったひろみのキーボードが主旋律を奏で、笙が弾くベースの低音とさーやの叩くドラムのリズムがしっかりと支える。
やや抑えた旋律の上にひろみのボーカルが重なる。
「 あたし達の出会いはホントの偶然
もしもあの時あの場所にいなければ
もしもあの時あなたに出会わなければ
きっと今ここにあたしはいない 」
一つ一つの詞(ことば)をいとおしむように丁寧に歌うひろみのボーカルに、スキャットによる圭のコーラスが響き合う。
「 先の見えない霧の中も
あなたの笑顔が光になってくれた
だから幾度も迷い躓きながらもまっすぐ歩んで来れたんだ 」
光を見つけ、段々と視界が開けていく様を表すように、バックライトの光が徐々に上へと向いていく。
「 一人ならきっと今もあの時のまま
音に出会う事もなく闇の中を彷徨いもがいてばかりで大切なものにも気付けなかった
偶然と奇跡の出会いがなければあたしは今のあたしにはなれなかった 」
本間やディー、そして唄を教えてくれたライヴハウスのマスター達との出会いへの『感謝』の想いを込めた詞が綴られ、柔らかく、それでいて力強い楽器達の音色と共に情景が浮かぶように語りかけ、広げ――。
小さな光が舞うように降り注ぎ、溢れる感謝へと重なり合う。
「 ここにいられるのはあなたのおかげ
あなたの笑顔がここにはあるから
あたしはここにいられる
いつもそっと支えてくれてありがとう
普段はなかなか言えない感謝の言葉
今伝えるよ 」
全ての楽器と声が一瞬消え失せ――。
『 ありがとう 』
たくさんの出会いとこの場の仲間達への、想いの丈を込めた最後の詞が会場に響くと、復活した演奏とスキャットがメロディを紡ぎ、静かに演奏を終えた。
●『夏色 Blue Lagoon』
ライトアップされたステージに、参加者全員が揃う。
前曲と同じ構成の演奏と、演奏兼も含む六人のボーカル&コーラスによる『MusicFesta2007』のエンディング曲『夏色 Blue Lagoon』が演奏される。
再びさーやが頭上でワン・ツーと打ち鳴らすサンライズを合図に、楽しげなリズムとメロディが流れ出し、いくつもの歌声が重なり。
楽器を弾きながら歌う圭とひろみに、ディーとベースを弾く笙のコーラスが重なり、ククとケイがボーカルにコーラスにと担当するパートを替えてこれに和す。
「 カレンダーめくるのも忘れて早数ヶ月
けれど季節は巡りまたやってくるものです
気がつけば太陽の花は高く空へ伸び
「地面睨んでないで楽しもうよ」明るく誘う 」
勇花と圭、笙、ひろみの四人は時折立ち位置を交代しながらパフォーマンスで盛り上げ、さーやもサンライズを煌かせながら軽快にリズムを刻む。
「 真青な地平線 白い雲が生まれるところへ
耳を澄ますと小さな歌 あなたの胸にも響いてませんか
知らないふりはしないで、ねえ
手を取り合って一緒に行こうよ 」
楽器で手の塞がっていない歌い手達――クク、ケイとディーがマイクを片手にステージの端まで進み出て観客に向って手拍子を催し。
「 Blue Lagoon クジラの優しいララバイもビートに乗せて
青い空 青い海 一人じゃない 眩しい笑顔が焼きついた
Blue Lagoon 飛ぼう イルカが焦がれた青空 羽はなくても
指先から青に染まる 夏色の We Are! 」
「Blue Lagoon〜」の部分から一気に盛り上がった曲は、打ち上げられる花火の閃光と、ステージに吹き上がる紙吹雪が会場を満たす中、華やかにラストを飾った。
●祭りの後
片付けも一通り終わった所で、ククとひろみが持ち込んでおいたクーラーボックスを、テントの中へと運び込む。
「参加した皆やスタッフさん達全員に、フルーツゼリーと杏仁豆腐を用意したよ! 打ち上げに参加できなかったスタッフさんにも、せめてデザートを‥‥」
まだ手の開かないステージなどの大物を片付けるスタッフの分もと言うことでククはクーラーボックスの一つを預け。
「あたしは、冷たい水饅頭とマンゴーのタルトに塩昆布、それに特製ブレンドのアイスコーヒーと梅昆布茶を用意して来たんだ」
ひろみの持ち込んだ昆布類はどうやら熱中症予防らしい。
ライブの感想なども交えて話が弾む。
そんな中、恋人から「後で用事が」と聞いていたさーやが隣に座ったケイに質問を投げかけ――ケイはラッピングしたプレゼントを差し出す。
「今回に限らずいつも支えてくれる紗綾に心からの感謝を‥‥『LSP』で紗綾に贈った言葉が入賞したときもらった『ラブうさぎ』だよ。いつもありがとう」
受け取ったさーやはうさぎのヌイグルミをいくつも車に積んでいるだけに大喜び、いきなりケイにキスのお礼。
赤くなるケイに周囲からの冷やかしの声が飛び交う。
暫くするともの欲しげな表情のククとさーやが笙の近くに寄って来る。
約束を思い出した笙は小さく溜息、この場に『人間』がいないことを確認して半獣化した。
二人は嬉々としてしっぽのもふり開始、ククはどこからかブラシまで取り出し心行くまで笙のしっぽを堪能するつもりらしい。
(‥‥やっぱり俺の存在価値って尻尾だけな気が‥‥)
自らの存在意義に深く思いを致す笙であった。