【三十六計】釜底抽薪アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 呼夢
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 難しい
報酬 8.8万円
参加人数 6人
サポート 0人
期間 09/15〜09/18

●本文

 いつもの簡単な確認も終り例によって‥‥。
「で、今回の策っすが『釜底抽薪』っすよね‥‥」
「そうね、煮えたぎってる釜の底から薪をひっこ抜いてしまえば熱湯もじきぬるま湯になっちゃうってこと。勢いのある相手には、正面から当るんじゃなくまずは勢いの元を断つってことね」
「前回の座談会でなんでも評論家さんが話してた官渡の戦いみたいに、守りの手薄な敵の補給基地を全滅させてしまえば二万の軍で十万の軍を追い散らせるってことっすね」
「なかなか解ってきたじゃない。補給がなくなったとなればどんな大軍でも浮き足立ってまともな戦いはできないわよね。他にも、心理的な支えを引き抜いて敵の士気を奪うって手もあるわよ。例えば、先王の遺児を旗印にして大軍団を纏めてるなんて場合なら、その遺児を懐柔してこっちに引き込んじゃうとかすれば、どんな強力な大軍もほとんど勝手に崩壊しちゃうでしょ」
「なるほど‥‥扇の要を抜くとバラバラになるってわけっすね」
「背後を支えるもの、中心にあって支えてるもの、要はそういうものを引っこ抜いちゃえば、勢いも纏まりもなくなるって訳ね。応用になるんだろうけど『完璧の遣い』なんかもこれを利用してるって言えるわよね。実行はしてないけど「璧を割るぞ!」って言われたら使者を殺めてでも壁を奪おうとしてた相手も手が出せなくなったわけだし」
「目的だった璧を割られちまったら、隣国の使者を暗殺したって悪名が広がるだけで何の得もないっすからね‥‥それにしてもこれもまた解説文短いっすね、例によって最後は唯の易っぽいですし‥‥」
「兌下乾上ね、兌も乾もいわゆる『八卦』のひとつよ、それぞれの卦に関連付けられてる自然とか人間があって、兌には沢と少女が、乾には天と父が該当するから兌下乾上だと上から天沢になるらしいわ。上が天で下が沢だとどうして履になるのかとか、そこから虎の尾を踏みそうな状態だけど噛み付かれないって話に繋がるのかはちょっと研究不足で解らないんだけどね」
「少女と父っすか?」
「少女・中女・長女って並んでるから日本で普通に言う少女とは微妙に違う意味かもね、長女も姉妹の一番上のことじゃないだろうし、基本的には小さな女の子が恐い父親に従うように上を立てて礼儀を尽くせ、みたいな感じらしいわよ」
「なんか父親って娘には甘そうっすけど‥‥ってか相変わらず策との関連が微妙っすね」
「まあ、易経ができた頃のあちらの父親は家の中で一番恐い存在だったのかもね。易のほうじゃ相手を引っ掛けて力を弱めるみたいなことは言ってないから、関連付けについては批判的な意見もないことはないんだけど」
 ‥‥そして、いつものようにキャスト兼スタッフの募集がかけられることになった。


●三十六計
 書かれた時代も作者も不詳とされる兵法書、最も有名なのは『三十六計逃げるに如かず』で、元になったと言われる最も古い出典『南齋書』の記述に見られる檀公の三十六策が、戦いを避けて軍の消耗を避けるものであった事から来ているとも言われる。
 その時点では三十五番目までの策が全て埋まっていたかどうか定かではないのだが、三十六と言う数字自体は、易で言うところの太陰六六を掛けた数字に由来するらしい。
 序文に曰く。

『六六三十六 数中有術 術中有数 陰陽燮理 機在其中 機不可設 設即不中』

 太陰六六を掛けると三十六になる、権謀術策も同様に数は多い、勝機と言うのは陰陽の理の中にこそ潜んでいる、無理遣り作り出すことは出来ないし、作ろうとしてもそれは失敗に終る。

●第十九計『釜底抽薪』

『不敵其力 而消其勢 兌下乾上之象』

 力押しでは敵わないような時には、その勢いを消耗させるようにすれば良い。これは易経の『天沢履』で言うところの「弱い者が強い者に相対する」と言う状況である。

●今回の参加者

 fa0225 烈飛龍(38歳・♂・虎)
 fa2021 巻 長治(30歳・♂・トカゲ)
 fa3516 春雨サラダ(19歳・♀・兎)
 fa3957 マサイアス・アドゥーベ(48歳・♂・牛)
 fa5541 白楽鈴(25歳・♀・狐)
 fa5602 樋口 愛(26歳・♂・竜)

●リプレイ本文

●楽屋にて
 一足先に着替えた樋口 愛(fa5602)が千葉に声を掛ける。
「知人の伝手で参加してみたのだが‥‥、難しいものだな」
 先代の娘を担ぐ熱血武将陸昭を演じるのだが、テーマだけから一編の物語を作り上げる現場に驚いた様子。
「こんにちはー。ちょっとお久しぶりですか? よろしくお願いします」
 っと、元気に挨拶していた春雨サラダ(fa3516)、今回は先代の姫君、零姫を演じる。
「今回は、おしとやかな娘さんを演じるですよ! 番組中は踊れないからねー。今から落ち着くためにも踊るよー」
 いかにもお姫様風の衣装を翻していきなり踊り始める――相変わらずではあるが千葉としては結構な目の保養らしい。
 二度目の出演で、零姫付の女官・香李を演じる白楽鈴(fa5541)は突然踊り出したハルサに驚く。
 そんな中、ドラマの撮影は開始された。


●ドラマ『釜底抽薪』
 突然の先王の死。朝廷内には二人の後継者を推す流れがあった。
 一人は先王の娘零姫、もう一人は先王の異母弟に当る魏淵(烈飛龍(fa0225))。
 尤も、母親がさしたる身分でなかった魏淵は、先王の即位と共に臣籍に下っており、その後は先王の下で武将として幾多の戦功を上げていた。
 尤も、実の姪と王位をめぐって争う意思もなかったのだが――。
 魏淵を推す一派に対して最も舌鋒鋭く批判したのは、中堅所の武官陸昭である。
「零姫様こそ正統血統、先代の不慮に乗じての後継者争いとは‥‥、国益をなんだと心得ているのだ。魏淵様とて先王陛下のご兄弟にして最大の腹心、その立場であるなら尚のこと」
 勢いに任せまくし立てる。とは言え、零姫を担いで正統派の錦の御旗を掲げる陸昭にも懸念は多い。
(零姫様をこそ盛立てねばならんというのに、女の身だの、気弱だの、果ては外婿による外政の心配まで騒ぎ立てられる)
 一方で魏淵を推す軍師薛栄(巻 長治(fa2021))は、零姫の資質を問題にしていた。
「いかに先代の令姫とは言え、政務に就いた経験もなくその指導力のほども不明。畏れながら、御性格もあまり一国の指導者に向くとは思われません。それにひきかえ魏淵様は長く先王の下で軍務に就かれて十分な経験があり、その才も既に証明されています」
 魏淵を王に据える優位を説く薛栄の弁を陸昭は一笑に付す。
「馬鹿馬鹿しい。あの先代様のご息女なのだ。資質は充分、尊い血統にて受け継がれているはずだ! 零姫様といずれ誕生される御嫡子こそがわが国を支える柱。ご不安もあられようが、不肖この陸昭が微力ながらお仕えいたす」
 古くから先王に仕えた重臣、郭高(マサイアス・アドゥーベ(fa3957))も、
「わしは零姫様の方が後継者としてはふさわしいのではないかと思う」
 零姫を推しつつも、衆議が何れに決したにせよ後継者への全面的な支援を約す。
 が、この場に零姫の姿はない――無論、周囲に流されやすい性格を熟知した郭高が、零姫付の女官香李に手を回し、議論が起きる前にこの場を去らせたのだ。
 郭高を筆頭に、対立候補の魏淵にせよ零姫を推す陸昭にせよ六尺を優に超える偉丈夫が喧々諤々の議論を戦わせる場に置けば、零姫の性格では萎縮して思わぬ事を口走りかねない。
 表面こそ零姫を強く推さず、中立的な立場を装ってはいたが、郭高には零姫を傀儡とし、自らが後ろ盾となって実権を握ろうとの腹がある。
 尤も、一方の旗印である魏淵もこの場に留まってこそいたが、先刻来いくつもの刀傷に彩られた顔を顰めたまま一言も発しない。
 やがて朝議は結論を得ぬまま散会となる。

 退出した陸昭はその足で零姫の元へと向った。
 目通りした陸昭は、零姫の傍らに郭高の姿を認め挨拶もそこそこに議論を蒸返す。
「郭高殿には、なにゆえ零姫様を強く推してくださらぬ? 血統から言っても姫様とその御嫡子にこそ忠誠を誓うのが臣下としての道ではないか!」
 内心、我が意を得たりとほくそえむ郭高だが、その老獪さゆえ陸昭を宥めるように、
「当に道理、陸昭殿のような忠義の武人こそ臣下の鏡と言うべきであろう。だが、わしも先王様より後事を託された身、臣下に不満を生じるような無理押しはできぬのだ」
 内に野心を秘め、怪しげな先王の信託を匂わせながらも、表面は慎重な姿勢を装う。
 立場上、あまり表立った動きは周囲の疑念を招きかねないと言う危惧と共に、先刻の朝議における発言程度でも十分影響を及ぼすだろうとの自負もある。
「では、郭高殿の真意は零姫様の御即位にあると考えてよいのですな?」
 重ねて念を押す陸昭に、郭高も頷く。
「無論、零姫様御即位の折には力の限り後見を勤めるつもりだ」
 期待通りの言質を得た陸昭は改めて零姫へと面を向ける。
「お聞きになられましたか? なんと言っても、郭高殿が零姫を推し支えることを約束しておられるのだ。女の身や婿の事なぞ、郭高殿の支えがあればなんの問題も生じまい。お国のため、零姫、我等が御旗となりご即位を!」
「私が王に? えっと、はい、あの‥‥はい」
 落着かぬ様子で二人の様子を眺めていた零姫は、零姫の心情を他所に盛上がる陸昭に戸惑い曖昧に言葉を濁す。
「零姫様、ご心配には及びませぬ。政などは全て郭高が責任を持って取仕切らせていただきますゆえ」
 郭高もにこやかな表情に載せて野心の一端を覗かせるが、陸昭はその意味するところを気にする風もなく、
「これは心強いお言葉。零姫様にも心丈夫なことで」
 などと却って喜色を加え。
「そうですか、はい、それでは郭高様のおっしゃる通りに」
 二人の勢いに恐れをなしたか、零姫はおどおどとした表情を浮べたまま、臣下に対するとも思えぬ口調で一切を委ねた。
 傍らに控える香李は、怯えたような零姫の様子を心配し、たまりかねて声を掛ける。
「どうやら零姫様はお疲れのご様子、ご両所にはそろそろお引取り下さいませ」
 穏かながら有無を言わせぬ口調に、陸昭もやや鼻白んだ様子で、
「おお、これは不調法な。それでは、これにてお暇いたす」
 などと口にしながら、早々に引上げる。
 郭高も一礼すると、その場を辞した。

 一方、薛栄を伴って屋敷へと戻った魏淵もまた朝議の流れに懸念を深めている。
「俺としてはつまらぬ諍いで国が乱れるのは好まぬ。ましてや相手が血を分けた姪とあってはな。何か良い策はないか?」
 魏淵自身に王位への野心がないとは言え、一方の旗頭として既に引けないところまで来ていた。
 昨今の流れを見るに、零姫擁立派急先鋒の陸昭とは別に黒幕が存在し、陸昭らを煽り立てているらしいことも窺える。
 話題がそこに及ぶと薛栄はひとつの推測を口に上せた。
「察するに、朝議の席ではさほど旗幟を鮮明にされずにいた郭高殿などが最も怪しいような‥‥」
 若くして先代にその才を見出された軍師だけに目の付け所に間違いはない。
「郭高か、だとすれば厄介な相手かも知れん」
 先王に古くから仕える重臣であるだけに、日和っている者達の中には「郭高殿が推すなら」と言うだけで靡く者も少なくない。
 決め手を欠くままに話が初更に及ぶ頃、一人の来訪者が姿を見せる。
 人目を引かぬよう質素な身成ではあるが、二人ながらにその顔には見覚えがある――零姫付の女官香李であった。
 郭高が引上げた後も猶怯えた様子の零姫を案じた香李が、叔父である魏淵に窮状を訴えに赴いたのだ。
「零姫様があまりにおいたわしく‥‥」
 香李は郭高らの会話や零姫の様子を詳らかに語る。
 聞き終えた薛栄は香李に向い改めて念を押した。
「零姫様は次代の王としての即位に乗気ではないのですね?」
 香李が首肯すると、魏淵に向って一策を献ずる。
「やはり郭高殿が陰で糸を牽いておりましたか、ここは郭高らを相手にせず、彼らを飛び越えて内密に零姫様と交渉するのが上策かと。陸昭殿は後々正統の血が保たれる事さえ保障すれば容易に矛を収めると思われます」
 薛栄の献策に魏淵も頷く。
「そうだな。血統の確かさは向こうにある。いずれは統治権を返すのが筋だな。念書にその旨を認めれば、説得もしやすかろう」
「はい、『魏淵殿が一旦国を預かり、次の後継者は零姫様の御子を据える』旨の約定を認め、香李殿の手で零姫様に届けていただくのがよろしいかと」
 魏淵と香李に向って同意を求める。
「仔細はおぬしに委ねる。いいように取りはからってくれ」
 魏淵が委細を託し、香李も頷くと、薛栄は早速書状を認める。
 内容を検分した魏淵が自らの署名を添えると、取纏めた薛栄は香李へと手渡す。
「これを、零姫様に‥‥」
 受取った香李は、しっかりと懐へ収めると二人に一礼してその場を辞した。

 落着かぬ様子で帰りを待ちわびていた零姫は、香李の姿を認めるとまろぶ様に駆寄る。
「香李、どうでした? 叔父上は、魏淵様はなんと‥‥?」
 周囲を警戒しながら零姫を長椅子へと導いた香李は、あたりに人影のないのを確かめると、零姫の耳元で囁きつつ懐から親書を取出す。
「零姫様‥‥ここに魏淵様よりの親書が‥‥」
 受取った零姫は震える手で親書を広げ、真剣な表情で読進む。
「! 魏淵様の元へ行きます」
 読終えた零姫は不意に立上がると決然と言い放った。
 突然の事に香李も慌てて零姫を押止める。
「迂闊に王宮を出ては危のうございます。ここは返書を認め、お二方のご来駕を請うのが得策かと。書状はこの香李めが持参しますゆえ」
 警備のものを動かせば忽ち郭高の知る所となろう、かと言って香李一人では万一の時に零姫を守りきれない。
 諭されてやや落着きを取り戻した零姫は早速返書を認め、香李に託す。
 ほどなく、香李に導かれ魏淵と薛栄が姿を現した。
 いかにも歴戦の勇者らしい風格を見せる魏淵の姿にすっかり安堵したのか、零姫は薛栄の示す条件を悉く二つ返事で呑む。
「それで構いません、どうか、国の事を頼みます」
 傍で見ている香李は気を揉むが、その内容はいたって穏当なものであった。
「それでは、まず郭高殿に行動する隙を与えぬよう、速やかに諸侯や百官を招集し、その面前で今回の取決めを公にするのです。そうなればいかに郭高殿といえども覆すことはできますまい」
 魏淵と零姫の連名で認められた招喚状は、魏淵達の配下の者によって密かに諸侯や郭高ら零姫擁立派でない諸官の元へと届けられる。

 全ての準備が整ったころ改めて二人の名で陸昭や郭高ら零姫擁立派にも王宮への招喚状が届けられた。
「零姫様がお呼びだと? しかも魏淵殿との連名‥‥諸侯も揃えてとは何事だ‥‥」
 訝りながらも、陸昭は王宮へと向う。
 自らは敢えて表立った動きを見せることなく配下を動かし、機を窺ってなし崩し的に零姫の即位に持込もうと画策していた郭高も、突然舞込んだ魏淵と零姫の連名による招喚状に驚きを隠せない。
 僅か数日前に陸昭と共に零姫の内意を確認――強要とも言えるのだが――したばかりである。
 とは言え零姫の署名がある以上呼出しに応じぬわけにも行かず、渋々重い腰を上げた。
 正装した諸侯と百官が居並ぶ中、玉座の前には魏淵と零姫が並び立っている。
(どういうことだ? 零姫様の横に控えるのが魏淵殿とは‥‥)
 意外な展開に陸昭も目を剥く――零姫の傍らに控えるのは郭高だったはず――。
 二人の前に進み出た薛栄が、恭しく詔勅を捧げる。
 詔勅は零姫の手を経て魏淵へと渡り――係りの文官へと渡される。
 静まり返る中、音吐朗々と読み上げられるその内容は陸昭を愕然とさせた。
(‥‥? なにを馬鹿なことを! 正統性はご息女零姫様と御嫡子にこそ‥‥)
 唸るようなどよめきが広がる中、詔書の内容は続く。
(む、国主はあくまで零姫様。魏淵殿は中継ぎの仮の王で、何れは正統なご嫡子に仕える立場と言うことか‥‥それなら筋は通るが‥‥)
 次第に納得の表情を見せる陸昭とは対照的に郭高の顔色は次第に青ざめ――。
(くっ‥‥謀られたか‥‥もはやこれまでか‥‥)
 今までの所業を省みれば、粛清の手も伸びかねない――郭高は衆目も省みずガックリと膝を着いた。
「郭高殿? どうされた郭高殿?」
 陸昭の呼掛けにも応えはなく――やがて駆けつけた医官たちによって式典から運び出されて行った。


●『釜底抽薪』とは
 終劇の文字と共にスタジオが映し出され――。
「これってさ、頑張るぞーってなってた人達は、いきなり大将が折れちゃって呆然・がっかりだよねー。あはは。‥‥、もう、笑うしかないくらい、辛い状況だねぇ」
 挨拶が終ると開口一番、零姫を演じたハルサがあっけらかんと総括する。
「相手の要がどこにあるかを見抜く洞察力、相手の隙を見逃さない注意力、そしてその要をどのように崩すかと言った発想力と、必要とされるものが多い策ですね。もっとも、今回は要を探す必要はありませんでしたが」
 軍師役のマキさんが策の要諦を解説すれば、
「この計画で最も大事だったのは明らかに『御輿』の零姫だからな。なまじ優勢であることに奢り、そこへの注意を怠ったのが敗因であろう。勝ちが見え始めた時こそ、相手は一発逆転を狙ってくる。最後まで油断大敵である」
 マシーも自らの演じた役に即した講釈を展開、
「とはいえ、自分より強い敵から決定的な勝ちを得る方法としては優秀な策でしょう」
 再びマキさんが受ける。
「戦場での戦いの勝敗を戦場外で決められるというのは武将にとってはやるせない処なんだろうが、味方の損害をより少なくするという意味に於いては策略の重要性は大きいな。この番組を出演していると色々と勉強になるな」
 見るからに武闘派のフェイロンもやや複雑な笑みを浮べつつ感想を述べ、様々な話題の中やがて番組はエンディングへと続いていった。