神戸南京町春節祭・ルポアジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
呼夢
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
フリー
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難度 |
易しい
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報酬 |
2.7万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
01/28〜02/01
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●本文
●春節祭
日本の正月は既に終わりましたが、旧暦で節句を祝う中国では、旧暦のお正月を「春節」として盛大に祝うようです。中国ではもっとも盛大な祝日で、この時期爆竹が鳴り響き、祝い事にはかかせない龍や獅子が舞い踊り、たいそう賑やかだとか。
そして今年、旧暦の1月1日は新暦で1月29日でちょうど日曜日。と言うことで、国内の中華街でもそれにちなんだイベントが盛大に催されます。
有名な所では東の横浜中華街と並んで西は神戸の南京町。こちらで1月29日から2月5日にかけて開催される「春節祭」をレポートしようと言う企画です。
このうち前日28日20時から始まる前夜祭からの前半5日間を取材することになります。
今回のお仕事は祭りの期間中行われる、様々なパレードや催しに飛び込んでの体当たりリポートです。
5日間全体をフォローするのは無理なので面白そうなところをピックアップして紹介しつつ、祭りの中に入り込んで大道芸などを披露したりと言ったところです。まぁ、芸の披露は希望者のみでかまいませんけど。
三国志の英雄や楊貴妃などが京劇の衣装とメイクでパレードしたり、参拝指南が西遊記の扮装をしたりしてますので半獣化程度は仮装で押し通しましょう。
●リプレイ本文
●前夜祭
撮影用機材がスタッフの手で準備される傍ら、ルポを担当する面々も次々と着替えを終えて姿を現す。
「中国の春節祭、いいわね。取材のお仕事だけど大道芸披露の場があるっていうから久々に私の本業が披露できそう」
手品と占いを本業とする三条院真尋(fa1081)は自慢の腕を披露しようと張り切っている。なにぶんこのところドラマの仕事が続いている。途中ルポの仕事もあったが、今回はルポに加えて手品を披露する機会もあるらしい。大学で星占学の研究もしていることから真尋教授と呼ばれることもある。
中性的な印象を与える花柄の華やかなチャイナ服を一着に及び、パンダ耳はシルクのスカーフを頭にバンダナ代りに巻いて仮装に見せている。
手品の助手を務めることになった稲荷 華歌(fa2759)もチャイナドレスに狐耳を出した装束。移動中も打合せをしながら来たのだが、前夜祭が終って宿に戻ってから事前練習をすることになっている。
「ブラックライトの龍かぁ‥‥幻想的で素敵なんだろうな♪」
揃いの黒いチャイナ服を身に纏った嶺雅(fa1514)がユニット『flicker〜R2〜』を組むラシア・エルミナール(fa1376)に話しかける。前夜祭は夜の8時からだが、打合せや準備もあって一行は陽のあるうちに現場に到着している。
「中華街の旧正月を祝うお祭りなんて、結構楽しそうよね」
黒地に赤で葉模様の刺繍、両脇にスリットが入ったロングのチャイナ服に身を包んだ凜音(fa0769)も仕事は仕事として祭りも楽しもうとしていた。肩にはストールも巻いている。
「差し支えないなら、実際に私も仮装して参加してみたいわ」
一般参加を募集していたと言う『中国史人游行』にリオの食指が動いたらしい。申込みの締切りは12月だったらしいが、取材と言うことで女官の一人に加えてもらうことにする。本人は身長があるので男役でもと思ったらしいのだが、さすがに名のある役どころは既に決定済のようだ。
MCタレントというちょっと変った肩書きを持つ結城 紗那(fa1357)は、現地スタッフに頼んで解説や進行に必要な資料を集めていた。やはりスリットが深く入ったチャイナドレス、寒さの対策には光沢のあるストッキングを履いて色っぽさを演出。多少照れながらも、これで男性を虜に出来れば上出来との思惑もちらりと覗く。
そして‥‥なぜか頭上にハートが飛び交う二人連れ――蕩けそうな笑顔を浮かべた翡翠(fa1169)の襟元を直しているのは、若草色のチャイナドレスに身を包んだ高遠弓弦(fa0227)である。
『True Blue』と言うグループのリーダーを務めるジェイドだが、弓弦を紹介するたびに「俺の奥さんだ、かっわいいだろう」と自慢するらしい。兎耳を出した半獣状態の弓弦も、大切な旦那様であり、グループのリーダーでもあるジェイドと二人での初仕事に気合が入っている。
陽も沈み、前夜祭の開始時刻が近付くと南京町広場には大勢の観客が集まってくる。広場の中央に向けて長方形に並べられたブラックライトの内側が龍舞の舞台だ。
周囲が闇に包まれると青白い胴体に鰭がやや緑掛った光を放つ龍の姿が浮かび上がった。
「ほんまにキレーやな〜」
「これは2001年夏の『福光祭』でデビューした夜光龍・焔龍(イェンロン)ですね。全長は約20mあって9人掛りで操ります」
ルポとはいえ結構本気で楽しんでいる風のあるハナカが感嘆の声を上げる横で、紗那は資料を読んで得た知識を手馴れた様子でカメラに向って解説する。
やがて鐘と太鼓に合せて巨大な龍が動き始めた。龍を誘うように動く先頭の宝玉を追って広場を駆け巡る。時折、鐘や太鼓のリズムが変化するのに連れて、ある時は激しく、ある時はゆっくりとうねりながら高く低く広場一杯に動きまわり、とぐろをまく。
ラシア達も今夜のところは全員一緒に集まって闇夜に浮かび上がる幻想的な龍の舞を見物していた。やがて龍の舞が終了すると広場には再び明かりが灯された。
●春節祭初日
開けて翌29日は旧暦の正月に当たる春節の行事が始まる。
「いよいよ、始まりやな〜」
ハナカが改めて気合を入れる中、金色の衣を纏った僧侶が神事を執り行い、盛大な爆竹の音と共にオープニングセレモニーが始まった。
今日もまた弓弦と手を取り合ったジェイドは、爆竹の音に驚きつつも、賑やかな雰囲気にご満悦の様子だ。
続いて『獅誠館』による獅子舞が始まる。かなりアクロバティックな要素があり、台上で頭役が脚役の肩に跳び上がって直立したりと次々に高度な技を繰り出していく。
再びカメラに向って司会の本領を発揮する紗那。
「『獅誠館』は最近になって新しくできた獅子舞団体みたいですね。このあとも某公立高校の生徒さんたちで構成された『龍獅團』や、一番古株の老舗的演舞集団『舞獅隊』とその『幼獅班』の皆さん、それに『同文獅子隊』の皆さんもそれぞれの持ち時間に獅子舞を演じてくれるようです」
カンペも見ずに流暢に解説する横で、ハナカが「あれって午後から商店街回るらしいし、ちょっと追跡取材してみるわ〜」などと補足を入れる。
そのころ、続く『中国史人游行』に参加させてもらえることになったリオは、京劇風の着付けと化粧の真っ最中である。
舞が終った獅子は広場を囲んだ観客達に近付くと、抱き上げられた子供の頭などを甘噛みして回る。どうやら厄除けのおまじないらしく、謝礼などとして観客が差し出すおひねりもパクリと飲み込む。
その様子を見ながら、ハナカは「あれってうちに噛みつかへんよね?」などと恐る恐る呟いている。
続いてリオの参加している『中国史人游行』が始まった。
京劇の華やかな衣装と派手な化粧で歴史上の人物になりきった参加者が次々に舞台に上がり、人物紹介とお披露目が終ると行列を作って、鐘を鳴らす先導役に続いて延々とパレードを行うのだ。
中国史の人物になりきってゆっくりと練り歩く参加者達は観光客のカメラにも気軽にサービスしている。
行列が出発すると、広場では中国音楽の演奏が始まった。
こちらのリポートは、レイとラシアのユニットが当たる。先に説明のあった各団体の獅子舞を間に挟んで、中国舞踊や歌が続く。
歌手としての勉強の意味も含めて演目を鑑賞しながら、二人で息の合ったレポートを続け、ラシアもしつこくならない程度に注意を払いながらアピールする。
レイなどは内心参加したい誘惑に駆られていたが、迷惑をかけたくないということでかろうじて押さえていた。それでもカメラが自分たちに向いていない時などは、リズムに合わせてマイクが拾わない程度に小さく鼻唄などを歌っていたのではあるが。
夕方の獅子舞に次いで、『武芸団』による中国武術の実演が始まる頃には『中国史人游行』を終えて、京劇の扮装を解いたリオがリポートをバトンタッチする。
モデルだけに、色々な服を着こなすのも自己アピールの内ということらしく、昨夜のチャイナドレスに代って青地に白で花模様の刺繍をしたアオザイを纏っていた。
武術などに余り詳しい方ではないリオは、演舞の見学を終えた後、関係者に技の説明などを兼ねたインタビューを申し込み、続く歌のリポートは再びラシア達に委ねる。
イベントの合間を縫って真尋教授とハナカは広場の一角で手品を披露する。上ってしまうと視線が高くなるのでステージ前のスペースを借りた。演技の前にはハナカと自分に「貴方に幸運を」って幸運付与を掛ける。
路上でもあるので仕掛けの必要な凝ったものはできない。組立式のテーブルを出すと用意したテープのBGMをバックにお客様参加型の出し物を中心に、カード当てやらボール、お金の穴あけなどを次々に披露する。
お約束の「星は何でも知ってる」のフレーズから客に選ばせたカードを見事に当てて見物人を驚かす。目の前でやっても種が見破られないのは長年の修練の賜物だろう。
ハナカも手品の道具を渡したりテープのBGMを入替えを手伝う傍ら「うわ〜! ほんまどないなっとるの?」等と歓声を上げて場を更に盛上げる。時折、仕掛けを探そうときょろきょろしたり「これって? タネこうなっとるんちゃう?」と指摘しては空振りに終る。
昨夜の練習ではあまりやると新鮮味がなくなるため、通しは1〜2回に止めて手順だけ覚えてもらっているのでタネのほうは教えていないらしい。その分一人になってからの練習に力を入れている。
ネタを変えながら何度かに分けて実演を行い、それぞれの最後は手品で使ったカラフルな小道具のジャグリングから鳩出しに繋げて盛況のうちに演目を終えた。
最後を締めくくる『舞獅隊』の獅子舞でその日のイベントは幕を閉じる。
●一夜明けて
南京町広場で朝から晩までびっしりと催しが行われていた前日の日曜とは違い、広場の催しは午後からになる。とは言っても2006年にちなんだ税込み2006円と言う中国正月料理のセットメニュー『迎春餐』や、同額の『福袋』などの目玉企画もありそれなりに人は出ているようだ。
今日はあちこち分散してリポートすると言うことで、福袋に向うリオは手渡された福袋販売店の一覧表とマップを睨みながら呟く。
「興味があるのは、やっぱりチャイナ服と中国茶な福袋かなぁ‥‥」
食べ歩き希望のレイは迎春餐開催店へ。相棒のラシアも当然のようについてゆくことになる。福袋のように完全個数限定でこそ無いが、こちらも何軒かは数量限定メニューになっている。
「‥‥とにかく美味い物! ‥‥甘栗は剥くのが面倒なんで‥‥」
こちらもマップと睨めっこをしながらなにやらブツブツと呟いていた。
一方紗那は専ら屋台グルメや出店などをめぐってのリポートがてら、始めて来たという南京町を色々と見て回ることにする。
午後の歌が始まる頃にはレイ達も広場に戻ってきてリポートする。続く『珠玉中華』にもハナカらと挑戦するがこちらのメインリポーターはジェイド夫妻である。
1mほどもある巨大ガラガラを回して出てきた玉の色で5種類のメニューが食べられると言う趣向である。それぞれ限定15食だが、1回300円で空籤なしとのこと。
「お、金の珠が出ると全品食べれるんだって!」
「翡翠さん、頑張って金の珠を当ててくださいね!」
「弓弦ちゃん、俺に任せて! 何てったって俺の髪は金! 占いでラッキーカラーは金! 絶対当てたる〜〜! とりゃ〜〜〜!」
カメラに映っていることも忘れて、素、丸出しだ。弓弦もドキドキしながら見守る‥‥結果。
「わあ‥‥! 当たりましたね!」
思わず飛びつく弓弦。続く試食タイム。食べ物のルポは表情豊かにしないと、などと意気込むまでもなく自然と零れる笑顔は本物。
「水餃子はプリプリだし、豚まんからはフワ〜と湯気♪ 寒い外でも体がほっこりしてくるな♪
これホントに美味しいよ、ね、ほら、弓弦ちゃんも食べてみて!」
アーン等と言いつつ弓弦の口にも豚まんを運べば、弓弦の顔も自然と綻ぶ。
「うーん、弓弦ちゃんの笑顔で心もホカホカ」
等と完全に蕩けきっているジェイドに代って、「良ければ皆さんも珠玉中華、挑戦してみてください♪」と締めくくった。
続く龍パレードのルポはまたまた紗那。集めた資料を基に、宝玉を先頭に町内を練り歩く龍の解説を行う。
「夜光龍に代って今日の主役は雌のメイロン。長さは約20m、後から出てくる雄のロンロンはなんと48mもあるんですよ!」
ジェイドも弓弦と手を繋いでパレードについて町の中を回って歩く。
暫く歩き回っていたがやがてが子供の泣き声を聞きつけた。迷子と見てすかさず声を掛ける、お助けお兄さんに変身だ!
泣き止まない子供に、「手品だよ」と声をかけつつ、頭に両手を当てていないいないばーの要領でピコンと狐耳を出してみせる。始めはきょとんとしていた子供も、耳を引張られたジェイドが大げさに悲鳴を上げるとようやく笑顔を見せた。
肩車をして迷子預かり所に行く間も母親を探そうと、「僕はここだよ」「お母さ〜ん、何処ですか〜」などと自慢の声で一緒に呼びながら歩く。間もなく母親も見つかり手を振りながら雑踏の中に消えていった。
この日は夕方から雨になり最後のイベントは中止となる。翌日は同じスケジュールなので、撮り逃したイベントや場所のリポートを行う。
「西遊記の人気者と記念撮影は絶対にしたい!!」
っというレイの要望で三蔵法師や孫悟空に扮した参拝指南に指導を受けながら祭壇に参拝することになる。初めは何かと渋っていたラシアも、「何がなんでも! 子ども向けだろうがなんだろうが楽しそうなんで撮りたい!」と強引に巻込まれ、結局今回の仕事の記念と言うことでで全員が参拝指南のキャラを交えて記念写真に納まった。
取材の最終日。初日は参加したリオを中心に『中国史人游行』の仮装などを改めて解説しながら一緒に記念撮影も行う。リオは特に華麗な刺繍を施した色違いの衣装に四本の旗を背負った劉備以下の武将や長衣に羽扇を手した諸葛孔明など三国志関係にご執心の模様。
その後春節祭名物の雨に祟られたりしながらも、弓弦やハナカが見たがっていた花文字――花鳥風月や伝説の生き物である龍や鳳凰などを組合わせて文字を描く縁起物の書――の実演販売で自分達の名前を書いてもらったり、女性占い師が三名ずつ日替りで登場する「東洋占い」で全員が代わる代わる占ってもらう。
「毎年このような素敵なお祭りを催されているのだと思うだけで気持ちが浮き立つようです」
「来年は是非、神戸南京町春節祭に来たってや〜」
最後に全員が並び、弓弦とハナカがカメラに向かってにこやかに挨拶して5日間に及んだ取材は幕を閉じた。