Nights ―義賊の旅立ちアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 香月ショウコ
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 9.4万円
参加人数 8人
サポート 1人
期間 09/18〜09/22

●本文

●闇夜駆けるU・B・N
 彼らが一体何者なのか、知る者はいない。
 いや、正確には‥‥誰も「知っている」とは答えない。
 Ultimate Bandit Nights 。彼らは『最高』の盗賊団。

 彼らの仕事の稼ぎは『最高』。
 彼らの民衆への還元率も『最高』。
 彼らの失敗の数も『最高』。
 そして何より、仲間達が『最高』。

 弱きを助け強気を挫く盗賊団Nights。この番組は、彼らの『最高』の物語を伝える特撮番組である。

●『Nights』の世界
 文明レベルは蒸気機関が開発された直後ほど。その世界には凶悪な怪物どもが闊歩し、人々の生活を脅かしていた。
 怪物の脅威から身を守るため、人々は高く強固な城壁を造り巡らすことを思いついた。突破されぬ城壁に囲まれた幾つもの集落は、規模の大きなものは『国』、小さなものは『街』と呼ばれ、それぞれに独立し、また相互協力を行いつつ生きている。

 多数存在する『街』の中でもかなり大きい部類に入る街『アルテイス』。そこに、治安を取り締まるはずの騎士警察を手玉に取り、犯罪を繰り返す盗賊団がやってきた。『Nights』。裕福な商人や貴族のみをターゲットとし、奪った金品を貧しい人々へ分け与える、義賊を名乗る集団である。

●出演に当たって
 出演者には以下注意点各種を踏まえてテンプレートを埋め、番組の登場人物を設定してほしい。
 出演者は『一般人』選択時以外は、半獣化しての撮影となる。

【能力】4つのパラメータに合計15ポイントを1〜10の範囲で振り分けてください。
 体力:筋力、持久力など。敵を蹴り飛ばしたり、高くジャンプしたり。
 技量:手先の器用さ。狙いすました突きや、鍵開けなど。
 速度:足の速さ、身の軽さ。受身の巧さもここ。
 知識:知識の量。不測の事態に対応する力や小さな情報から答えを見つける力。

【特殊】習得している特殊能力を1つ記載してください。
 特殊能力は、『出演者の獣人種族が』習得できる特殊能力から1つを選んでください。
 この時、自身が習得していない能力を選んでも構いません。
 番組の登場人物はその獣人能力のようなイメージの特殊能力を、番組中で行使します。
 威力や効果、使用回数については、獣人能力のデータを参照してください。

※『一般人』の選択について
 キャラ名・能力は通常通りに記入し、【特殊】の欄には『一般人』(カッコ不要)としてください。
 一般人とは、獣人ではない通常の人間の姿をした、特定勢力に加わっていない者を指します。一般人は特殊能力を使用出来ません。

<キャラクターテンプレート>
キャラ名:
能力:体力・技量・速度・知識/特殊
備考:

※皆さんが演じるのは原則として盗賊団ナイツの一員若しくは一般人です。その他は選択できません。

●義賊の旅立ち
「さぁて、どうすっかなぁ、これから」
 そこはナイツのアジト、レッドスピネル(紅棘)‥‥ではなく、特捜2課のクレイトンが用意した隠れ家の一つ。ナイツの面々はそういった隠れ家の幾つかに分かれ、今は隠れ住んでいた。
 これまで、ナイツのことを『知る』者はいなかった。ナイツの存在や、彼らの影カタチ、悪事の内容などはアルテイス中の住民が知っている。しかし具体的に何者で、普段はどこで、何をしているのかは、エステルなどほんの一部の者しか知らなかった。それが、今回の事件の折に知られてしまった。
 ナイツは、アルテイスで酒場兼食堂の紅棘を経営する一団である、と。
 よって、紅棘には戻れない。顔を見られないよう変装はしたつもりだったが、誰に見られているかも分からない。こうなれば、一番手っ取り早い方法は。
「俺は、そろそろ別の所への移り時だと思ってる。『街』でも『国』でも、どこか楽しそうな所に」
「そんなぁ。僕、今回の事件の騒ぎが収まったら彼女と‥‥」
「はいはい死亡フラグ。‥‥とにかく、さすがにそろそろ身の振り方を考えなきゃね」

 かくして、ナイツの活動が再開した。当面の活動目標は『活動目標を考えること』。
 アルテイスを出るのか、ここに残るのか。出るとしたらどこへ。そもそも、ナイツ全体として移動するのか個人で好き好きになのか。そして、ナイツという集団の存続はどこでどうなるのか。
 様々な意味を含んだ、『旅立ち』の時が今、やって来た。

●今回の参加者

 fa0761 夏姫・シュトラウス(16歳・♀・虎)
 fa1420 神楽坂 紫翠(25歳・♂・鴉)
 fa2122 月見里 神楽(12歳・♀・猫)
 fa2321 ブリッツ・アスカ(21歳・♀・虎)
 fa2340 河田 柾也(28歳・♂・熊)
 fa2832 ウォンサマー淳平(15歳・♂・猫)
 fa3369 桜 美琴(30歳・♀・猫)
 fa5508 アイリス・エリオット(20歳・♀・猫)

●リプレイ本文

●OPキャストロール
シオン‥‥神楽坂 紫翠(fa1420)
ディアナ‥‥桜 美琴(fa3369)
シュカ‥‥アイリス・エリオット(fa5508)
ルイス‥‥ブリッツ・アスカ(fa2321)
ゼフィリス‥‥夏姫・シュトラウス(fa0761)
メイ‥‥月見里 神楽(fa2122)
リッツ‥‥ウォンサマー淳平(fa2832)
チャールズ/ヴァイス‥‥河田 柾也(fa2340)
エド‥‥桐尾 人志

●前夜
 特捜2課所有物件の1つにて。
「暇ねー」
 潰れてるシュカが約1名。
 紅棘=ナイツのアジト、店員=ナイツという(一部例外アリ)事実が判明したあの事件以降、ナイツの面々はなかなか大手を振っての外出は出来なくなっていた。ナイツの素顔が明らかになったことで、ナイツに憧れる住民やナイツを警戒する者達の目は厳しくなった。だから紅棘での仕事も夜の『仕事』も出来なくなり。
「そうです、暇です」
 以前の事件時に危険だからと留守番させられていたメイなどは暇の度合いもひとしおで。
(「暇な時は‥‥そうです! 先を越されたけどシオンの髪を弄りに行くです!」)
「どっかに悪い子はいねーがー‥‥なんちゃってー」
「にゃあ! ごめんなさいです! メイまだ悪い子じゃないです!」
 何となく呟いただけの言葉への突然の反応に、シュカの頭上には『?』マークが3つほど。

 ・ ・ ・

「実は私、修行の旅に出ようかと思うんです」
 皆が暇を持て余していた日々に終止符を打つきっかけになったのは、ゼフィリスのそんな一言だった。
「ここ最近になって私気付いたんです。私は他の皆よりほんの少しだけどどじなんじゃないかって。だから、お皿を1、2枚割っちゃったりするのかなって‥‥」
 皆が心の中で「えー」と思っているのはあえて指摘しない。「自覚無かったのかよ」とか「割った皿の枚数、桁が二つ違わねーか?」とか「どじを直す修行ってどんなんだよ」とか、誰でも思うような心の声は心の声で、ゼフィはもちろん視聴者にも聞こえていない。聞こえていないだろうけど、皆まったく同じことを考えているだろう。
「きっとゼフィのどじは治らにゃ?!」
 咄嗟にディアナがメイの口を塞ぐ。危ない危ない。これだから心の声を心の内に留めておけない純粋無垢な子は‥‥
「だから私は、このどじを直す修行の旅に出て、新しい自分に生まれ変わるんです!」
 力みすぎたゼフィの一撃はドンというよりズガンとテーブルを叩き、テーブル上のビンやら何やらが吹っ飛んで散乱する。ジュースがゼフィの顔面にかかり慌てて振り払おうとしたところで足を滑らせ、後頭部を床に打ち付けそうなところで何とか留まるも振り上げた足がテーブルを天井へ向けて蹴り上げ、ゼフィは落ちてきたテーブルを両手両脚でキャッチするも身動きが取れなくなり。
「そうだな、面が割れたからには、この街には、いられない。残っても、面倒なことになるしな」
 部屋の惨状やゼフィの窮状は気に留めず、シオンが言う。それは、ゼフィの修行の旅に賛同するだけのものではなく、自分も含めたナイツ皆への、旅立ちを促す言葉。
「そうね〜。私も紅棘を再開したいけど、アルテイスじゃ無理だし〜‥‥とりあえずパルミラドに行ってみたいわ〜。そこで、水の合いそうな国なり街なりを探してみたいわね〜」
「ここじゃナイツの仕事が出来ないなら、私も旅立ちには賛成よ。前にパルミラドに行った時に知り合った商人さんを探して、パルミラド経由で遠くに行ってみるつもり。ナイツ旅立ちが伝わるより速く、新しいナイツとして仕事が出来たりしたら、面白いかなとか」
「メイもお引越しです!」
「メイは兄貴とセットで私とよ〜。食いっぱぐれるでしょ〜?」
 ディアナが一番飯食いそう、というのは置いといて、ディアナ、シュカ、メイが意見を述べ。
「ルイスは、どうする? 顔もばれていないし、ここに残っても、大丈夫だと思うが」
「いや、俺も出るよ。別口の事件でドジッちまって、俺もナイツだってばれちまったし。皆パルミラドまでは行くみたいだから、そこまでは一緒に行くよ。そっからは‥‥行ってから考える」
 『ドジった』という部分に仲間意識を持ったかゼフィが反応したがスルーして、話はどんどん進んでいく。その話に、リッツはついていけなかった。リッツには、アルテイスに家があって、家族がいる。ナイツと共に旅もしてみたい。だが。
「じゃあ、出発は明日の深夜、日が変わる時だ。皆、準備をしておけ。リッツも、その時までに結論を出すんだ」
 シオンの言葉に物思いを中断して顔を上げると、皆がリッツを見ていた。平静を装っていても、皆気付いていた。

●旅立ちの日
 行ってきますです、とメイが大きな帽子を深くかぶってお出かけする。深夜に秘密の出発。でも借りたものは返してから出発しなければ。メイはまず、本を図書館へ返しに行く。その後の日程は、行き当たりばったりで決めていこう。

 昼前には、ディアナに依頼されたクレイトンが、紅棘の家財等の処分にやってくる。その中には、手伝いという名目のリッツの姿も。
 クレイトンら2課員はテーブルや椅子、皿などを運び出し、リッツは『奥』へ入って、シオンの帳簿などを回収する。『奥』にはこれまでナイツが『仕事』で使用した道具などもあって。
「‥‥‥‥」

 もともとの生き方から身の回りの物以外に荷物がなくすぐに荷造りの済んだルイスは、夕日の沈むアルテイスの街並みを見下ろせる城壁の上に、変装してやってきていた。嫌なこともたくさんあった。だが、それ以上に良いこと楽しいことが多かった。去るのは惜しい。ふと、強い感情に襲われそうになったその時。
「ナイツ、か」
 突然の声に一瞬身構えるも、ルイスはすぐに座りなおした。やってきたのはリッツだった。
「ルイスらしくないね。仲間との別れは涙かもって思ってたけど、街との別れでも涙?」
「似合わないとか言うな! 俺だって人並みの感情は持ってるんだ。‥‥なあ。どうするんだ? お前は」
「‥‥らしくないかもしれないけど、正直迷ってる。家か仲間か」
 城壁の下を人々が歩いている。その人々の影を長く地面に映して、日が沈む。
 ふいに、リッツが立ち上がった。その視線は、街中を見ていて。
「‥‥そうか、それじゃ当分お別れだな」
 少しだけ寂しそうに、ルイスが呟いた。リッツは頷くだけ。
「ま、お互い頑張ろうな?」
「‥‥うん」

「あらら。思いもしないところに先客さんがいらっしゃったわね」
「見つかっちゃった? どう、一杯いく?」
 日がすっかり落ちて闇の帳に覆われたアルテイスで、紅棘の店の奥に二人の女性がいた。ディアナとシュカ。
 ディアナは通りに人気が無くなったのを見てから自宅でもある紅棘へ忍び込み、衣服やら何やら、私物をまとめていた。要るものだけを集めてみると意外と少なく、しかし思い出全て持っていくには多過ぎた。
 シュカは一度自宅へ戻って財布を取り、服を取り。必要最低限の荷物だけを持ったはずが、もともと物の少ないマイルーム、すっかり空っぽになったようにも見えた。引っ越してきた時のことを思い出して後ろ髪を惹かれたりしながらも、ついさっき、きっちりと別れを告げてきた。そして、長い時間を過ごした紅棘にも別れを言いに来たら、遭遇した。
「一杯って言っても、もう全部片付けられてるでしょ。はいこれ。うちから持ってきたわ」
 シュカが荷物の中から取り出す酒と2つのグラス。互いに酒を注ぎあうと、一度グラスを重ねて、一口で飲み乾す。
「もうすぐね」
「もうすぐだわ」
 出発時間が迫ってきた。紅棘にはもう誰もおらず、半分酒の残った酒瓶と、2つのグラスだけ。
 アデュー、マイルーム。

 深夜、日が変わる時。シオンは集合場所へと向かっていた。旅の間本当に必要なものだけをまとめ、前に故郷から届いた手紙を懐に。
 手紙の内容は、故郷からの呼び出し。帰って来いと。アルテイスやパルミラドからは遠く、遠く、遠い国。
「帰ると継承者にされるから、嫌なんだが、しょうがないか」
 故郷の大きな盗賊団。その次期頭首としての呼び出し。気は進まなかったが、ナイツとしてはいられない。盗賊稼業は天職らしい。ならば、仕方ない。
 集合場所には皆揃っていた。リッツが用意した馬や馬車のまわりに、ゼフィが、メイが、ディアナが、シュカが、ルイスが。リッツの姿は無く、まあそうかなと、シオンは思う。
「隠れ家とか色々と助かったわ。あなたも元気で。またね」
 見送りに来ていたクレイトンにシュカが礼を言い、クレイトンは礼を受けた後でディアナに紅棘処分で出来た資金を手渡す。これはまたどこかの街での紅棘開業資金になる予定だ。
「メイの日記に、シオンが髪を解いた時の似顔絵だけ無いです‥‥でも要らないです! また会った時に見るです!」
「シオンさんだけ別行動ですね‥‥手紙のやり取り、しましょうね!」
 ゼフィがそう皆に提案し、しかし行く先も決まってないのにどうやって手紙を送るのか議論になる。が、そこはシオンだけ行き先が決まっているので、一度そこに送って、中継をしてもらえば済むということになり。
「時間だな。出発するか」
 アルテイスの門がクレイトンらの手によって開き、シオンの馬と他の面々が乗った馬車が動き出す。
「じゃあな」
「違うですっ! 皆離れ離れになるけど、またいつか会うです! だから、バイバイじゃなくて、またねです!!」
「‥‥ああ。またな」
 メイの満足そうな笑みを見送って、馬車とは進路を違えてシオンは一人馬を歩かせる。ここからは一人旅。いや。
「お前が道連れだな」
 シオンの荷物の中からひょっこり顔を出した、子猫が首を傾げた。

●ピアニシモ
 チャールズが自身のレストラン『ピアニシモ』に帰ってきた遅い時間にも、店には客の姿が多くあった。彼ら彼女らの話題は、事件から数日経っても変わらず『ナイツ』。
 だが、彼らはもうこのアルテイスにはいない。ついさっき、彼らは旅立った。それをチャールズは一瞬だけ出向いて、見届けてきた。
 ナイツは、紅棘を経営していた一団と同一人物達だったという。営業時間が被っているのと、少しの間留守にして営業を蔑ろにするだけの興味は無かったから、足を運ぶ事は無かったが。紅棘は悪い店ではなかったらしい。客層は大きく違っていて競合することはほとんど無く、双方の店が盛り上がることでアルテイスが発展するなら良いことだと思っていた。残念に思うが、事情が事情。
 店の奥の方の席では、どこから聞きつけたのかナイツがアルテイスを去るらしいという話を耳にした弟、ヴァイスがワイン片手に大騒ぎしている。店に来た時からそういう話題で大騒ぎするだろうと思っていたから、客の迷惑や店の名声のことも考えて一番奥の個室に押し込めたのに、声が漏れてくる。
「まあ、他のお客様には詳しく聞こえない程度で済んでいるなら、まだ‥‥アルテイスの住民には、もうしばらくナイツの夢が必要だ」
 ヴァイスが店員に噛み付いても困るので、出来上がった料理はチャールズ自身が持っていく。その途中で、振り掛ける秘密の粉末。
「デリカシーが無いという点では私以上だね。大衆の感情を察知できない、理解できない者は大物にはなれないよ」
 料理を置いてきて、扉を閉める。一度デカい叫び声が聞こえた気もしたが、それ以降は静かになった。これで全ての客が落ち着いて食事できる。
 ナイツは去った。だがまだ、アルテイスにナイツはいる。
 明日からは、リッツという青年がピアニシモに修行に来るという。チャールズの店がどういう店かを知っていながら、リッツはピアニシモを修行先に選び、親もそれを承諾した。家庭内でどういう話があったのか、そもそもリッツは家庭内でどんな立場にいたのか、分からないが、知る気もない。勝手な詮索はマナー違反だ。
 とにかく、アルテイスにはまだナイツがいる。リッツだけではない。住民皆の心の中に、ナイツはいる。いつか、またアルテイスが曇る時。風は吹くだろう。

 翌朝、ピアニシモを訪れたリッツは、密かに拳を握り締めて、決意を新たに。
 アルテイスは退屈な街だった。だが、ナイツと共にいたことで、日常のアルテイスの中に光を見つけた。今は、アルテイスとその周辺、出来るだけ広く世界を見てみたい。それが、多くの人と情報の集まるチャールズの店なら出来そうだと思った。
 もしもまた、アルテイスにナイツが必要になる時が来たら、きっと人々の中から新しいナイツが生まれるだろう。その時は、今のナイツを知る者として、彼らを支援するのも悪くない。
 アルテイスの新しい一日が始まる。

●Nights―最高の盗賊団
 軽く息をついて、筆を置く。随分と集中して書いていたようで、いつの間にか日が傾き始めている。エドはだいぶ白髪が混じった髪を少し掻いて、文章に間違いがないか軽く眺めてみる。
 とりあえず、これでナイツがアルテイスを去るところまで書き終えた。次は、遠い街で再開された紅棘の話や、海の向こうの国の盗賊団の話を書く。
 アルテイスを出て以降のナイツについては詳しくは知らない。印刷と情報伝達の技術が以前よりずっと進歩した今でも、事件発生と情報到着には大きなタイムラグがある。
 それでも、ナイツの活動についての情報を提供してくれる人物もいる。その情報提供者の情報を元に、この本は完成させよう。
 机の端に置いてある、遠くより送られてきた一冊の日記帳を開いてみる。そこにはナイツの毎日のことが、目に浮かぶように詳細に書かれていて。
 日記帳の送り主は、メイという女性。かつてナイツとして走り回っていた、義賊の一人。

【End】