劇場版奏デ歌ウ想イ・�Wアジア・オセアニア

種類 ショート
担当 香月ショウコ
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 5.5万円
参加人数 10人
サポート 2人
期間 10/12〜10/14

●本文

 戦いは、終わった。
 駆けつけた新響派の楽士達の手によって、アデライデ達14楽師は皆捕縛され、どこかへ連れて行かれた。その後彼女らがどうなったのか、旧響派の協会はどうなったのか、新響派の活動は何か変わったのか、全て、伊紀は何も知らない。

 あの後、他の国の楽士達とはあの場で別れた。白は「お前らがあいつらと似たような奴だって分かったら、いつでも潰しにいくからな」と言って一人どこかに去り、ジルはまたどこかに去るというジョアンを引き止めるのに必死になっていた。エレはシードルと共にロシア東協会へと帰り、貴朔は秋緒に連行され、楽しいバカンス(貴朔にとっては死のバカンス)に向かった。

 帰り際、千歳が言っていた。
 おそらく、奏歌楽士とは自己と他者の心の歪みが分かる者。人身の歪みが歪を生み出し、それを分かる者がそれを見ることが出来、退治することが出来る。
 アデライデ達は、その力のことを特別で優位なものと見てしまったのだろう。それがそのまま、歪みとなってしまい道を誤った。
 伊紀の覚醒は、きっと実はまだ誰も知らなかっただけで、普通のことだったんじゃないかと。

 だが、そのことも推測にしか過ぎなくて。
 結局、分かったことはふたつだけだった。
 戦いは終わったこと。
 そして、
 まだ戦いは続くこと。
 日本への飛行機から窓の外を見ながら、やはり大騒ぎの機内をスルーしつつ、伊紀はこれからのことを、ぼーっと考える。

●試写会を終えて
 というところで、劇場版の試写会は無事に終了した。会場が割れんばかりの拍手の中、出演者や関係者が舞台上に登場する。
 そして、出演者談話や関係者へのインタビューが始まる‥‥

●今回の参加者

 fa1359 星野・巽(23歳・♂・竜)
 fa2122 月見里 神楽(12歳・♀・猫)
 fa3028 小日向 環生(20歳・♀・兎)
 fa3319 カナン 澪野(12歳・♂・ハムスター)
 fa3742 倉橋 羊(15歳・♂・ハムスター)
 fa4371 雅楽川 陽向(15歳・♀・犬)
 fa4579 (22歳・♀・豹)
 fa4769 (20歳・♂・猫)
 fa5181 雪架(18歳・♂・小鳥)
 fa5498 雅・G・アカツキ(29歳・♂・一角獣)

●リプレイ本文

さあ、風に乗り奏でよう その自由な想いを
さあ、地を蹴って奏でよう その力強い鼓動を
さあ、灯を燈し奏でよう その暖かなぬくもりを

そう手をかさね 口ずさむ

皆で奏でる世界へ

遥か広がる世界へ

 ・ ・ ・

「映画完成おめでとうございます。そして長い間お疲れ様でした」
 EDテーマをBGMに星野・巽(fa1359)がデカい花束を持って来る。それを私はありがとうと受け取ろうとし‥‥
「監督、お疲れ様〜!」
 危険信号パターン青。雅・G・アカツキ(fa5498)だ! 走ってくる彼が何をしようとしているのか、長い付き合いになってしまった私には分かる。
「か・ん・と・くーっ!」
 次の瞬間。目の前にあった花束が爆裂する。やけにデカいと思っていたら、中に潜んでいたのは倉橋 羊(fa3742)。そうか、君のサイズなら。
「監督さんまで小さいとかゆうー!」
 まだ言ってない。
 とか思ってる間にアカツキが急速接近。そして不意に飛び出してきた羊くんに激突すると、その頬に暑苦しいちゅーを。
「わあああっ、ぼくはっ、監督さんのとこにお嫁にいくのーっ!」
 ご愁傷様。

●出演者挨拶
「劇場版では白役でちょっとだけ出させてもらいました、アネモネの雪架です。今回は司会進行を担当させて頂きます。皆よろしくね」
 雪架(fa5181)の司会進行で開始される談話。
「新人奏士、渋谷伊紀役、小日向環生です」
 トップバッターは小日向 環生(fa3028)。彼女の挨拶を最初に持ってきたのは打ち合わせどおり。出演者にも明かしていないが、劇場版の脚本は彼女を主役ポジションに置いて作成されている。
「久瀬灯役の倉橋羊です。奏デとはほんとに長いお付き合いになりました。どの雑誌見ても代表作って名前が挙がっててちょっと嬉しーです」
 本当に長い付き合いの羊。実は私が少しでも絡んだお仕事での遭遇回数を調べると、全芸能人中彼が1番多い。
「如月楓雅役、星野巽です。難しい撮影ばかりでしたが何とかここまでやってこられました」
 巽は、劇中の妹役千春と並んで物語を進める上でとてもお世話になった。愉快なネタとシリアスな展開をありがとう。もうちょっと兄妹漫才を撮りたかった(ぇ
「第一話からの付き合いやけど、早いもんやなぁ」
 凛役の雅楽川 陽向(fa4371)は、テレビ版で最初に驚かされた人。『歌』でそっちの歌が来るとは全く予想もしておらず。
「美樹秋緒役、檀です。またの名をゴーンの母ともいいます。映画館にもお友達連れて見に行ってくださいね。見に行かないと夢の中に現れてゴーンしますよ」
 いや、ゴーンの母役、またの名を美樹秋緒が正し‥‥
 ゴーン。
 希望者がいれば連続で決めさせて頂きますと言う檀(fa4579)は、冗談と言いつつ本気な気がする。
「カナン藤堂役のカナン・澪野です。あの、監督さん、体操服の謎‥‥最初の説明では普通に制服だった気がするの‥‥なんで本番は体操服に?」
 そそそれはね、ほら、ぎりぎりで衣装が間に合わなくてさ。数が足りなくて。担当者を蹴っておきますっ。
 カナン 澪野(fa3319)演ずるカナン君は、テレビ版では香佑との絡みもあってヒロイン的な扱いだったなぁ‥‥
「二宮千鶴役の欅です。主にアクションと弄られ担当? 毎回デンジャラスでした」
 そりゃねぇ。怪人アンテナ立ってりゃ弄るし派手なアクションもあろうというもの。
「エレオノーラを演じました桜です」
 美琴の姐さんには別の番組の方でもお世話になりっぱなしで。やっぱり店長も音痴だったんだろうか?
「ロシア楽士『景山 千歳』役の忍です」
 無駄だぜ忍(fa4769)、そんなクール気取っても。君の本性は声援かかれば分かる。
「皆さんご来場ありがとうございますっ! はーい、千歳さんだよー!!」
 ほら、そっちの方。テレビ、劇場版通して、事情通な人物は便利で便利で。おかげでシードルやエステルの出番が減少(笑
「暁役の雅・G・アカツキよ。誤爆ちゅーの灯とはよく絡ませてもらって感謝してるわ。ボケがいないとアタシの華麗な突っ込みも活きないものね」
 華麗かどうかは置いといて、アカツキさんにも一応感謝を。でも出演開始当初扱いに困っていたのは秘密だ。
「最後に、テレビ版より応援に来たカッ飛び娘の葉月舞でーす☆よろしくお願いします」
 ぺこり、とお辞儀の月見里 神楽(fa2122)。劇場版では演奏家として参加でした。楓雅対フランソワとか、ディエゴ登場シーンとかで流れていたホルン中心の曲に。
 そんなこんなで、ここにいる人いない人、多くの人の協力で、奏デは無事に完結したわけで。

●撮影裏話
「撮影中に大変だったこととか役作りについてとか聞かせてもらえたら。そういえばゴーンとかエレの蹴りとか皆派手に吹っ飛んでたけど、あれはほんとにどかっと‥‥?」
「ゴーンはこんなに定着するとは思っていませんでした。秋緒としては可愛い後輩達への愛情表現で」
「うそだ、ぜったいー。下にマット敷いてたけどあのぶっ飛びはほんとー」
「血の繋がりは無いけれど、ゴーンの息子達が大好きです。楽屋に帰ったら一列に並びなさい貴方達」
 今すぐにでも逃げたい羊や欅。その一方で。
「はい! 憧れていたので一度受けてみ‥‥!」
 ゴーンゴーン。
「うぎゃ‥‥! ほんとに後を引く痛み‥‥!」
「それはいいけど何で俺まで」
 頭を抱えて蹲る忍と欅。檀は「流れよ流れ」とカラカラ。
「エレの蹴りの方は‥‥?」
「嫌ぁね、役で蹴っていただけよ?」
 雪架の問いに蹲る忍の背中を蹴り飛ばす美琴。体勢が体勢だったのでごろごろと消え去っていく忍。
「おお、生ゴーンに生蹴りに生転がる白大福‥‥」
「もう、シノちゃんったらオーバーなんだから! あとさっき監督がぼそっと言ってたけど、私は音痴じゃないわ! 役作りよ!」
 へー。
「役作りといえば、あたしはダンスレッスンに通ったのよ。タンバリン叩くだけじゃ目立たないでしょ? 美しさとの相乗効果を狙わなきゃ。ダンシングスターの称号とこのタンバリンは台本と共に一生の宝物ね」
「そうそう、アカツキさんと同じく、俺も台本は宝物ですね。毎回次の台本を貰うのが楽しみで‥‥次回の展開はどうなんだろうって予想したりして」
 復活した忍がアカツキに賛同する。そこに後ろで一杯に手を上げてる羊。
「台本! いつだかラジオでも語ったんですが、台本に書かれてる特殊効果の指示が、熱くて! 水とか雷とかはCGなのに炎はぼくへのいじめとかでほとんど本物だったのでほんっとーに熱くて! やせました!」
 雷とか実物使ったら死人が出るでしょー。火だるまにはしなかったんだから良しとしてよ。
「役作りは‥‥必要以上に幼く見えたり、女の子に見えたりしないようにするのが難しかったなぁって」
 羊の主張は置いといて、カナン君。台本の傾向がカナン君は女の子っぽい少年だったから相当難しかったはず。
「役のカナンは僕より泣き虫で繊細、だと思ったよ。楽器は壊さないかおっかなびっくりで‥‥」
「楽器は、俺も結構てこずったね。役は‥‥プリンから崩れていく過程が楽しくも難しかったですね。自分とは似ていないと思います。説教長くないし」
 きっと巽の場合は、自身の説教より姉からの説教の方が長く‥‥あ、本編でも同じか。
「俺の役作りは、監督さんに専門用語の質問をすることでしたね。聖なる絶対領域ってミニスカのあれですかー、とか。クールで斜めに構えてて、余裕あって格好いいところとかは、本当に俺と真逆な子だなぁと思いましたね!」
 共演者一同、黙って頷く。
「舞は元気娘☆撮影はチャクラムに乗ってる時のシーンが一番楽しかったけど、乗りながらホルンはダメって言われたのがちょっと残念‥‥もっとノリノリで行きたかったのになぁ。あ、スノボのシーンで乗ったグラグラ揺れる装置、キャーキャーって楽しいの♪」
 共演者一同、黙って頷く。っておい!
「まあ、子どもな大人達は放置しておいて‥‥環生さんは、奏デへの初出演はどうでしたか?」
「そうですね‥‥有名な作品に劇場版からの参加ということで緊張しました。さっきの監督さんの言葉で、主役っていうのも初耳で驚いています。皆さん楽しい方で、撮影外でも仲が良くて、奏デ組として絆が強いですよね。撮影が休みの日は皆で買い物に出たり、観光したり」
 放置されている大人集団の中から、埋もれていた舞が「ずーるーいー」と文句。でも君は南半球にスノボしに行ってたんでしょ。
「ま、まあともかく‥‥伊紀は、奏歌楽士としての使命を純粋に負おうとしている娘でした。私が見習いたいくらい真っ直ぐで。一番難しかったのは、やはり最後の決戦の場面ですね。悩みに悩んで、純粋過ぎるかなと思いましたが『協会の現状に対する不信』を前面に出しました」
「その不信は、これからの奏デの世界では払拭されると思いますか?」
「分かりません。でも、多分皆で払拭していくんでしょう。これから、未来へ向けて」

●凛のお相手
「この辺で次の話題に移りましょうか。作中では結局分からなかった凛の恋のお相手。ファンの皆さんは大方予想がついてると思うんですが、やっぱりはっきりしておかないといけないですよね?」
 そうそう、これは気になってた。私の予想はふう‥‥
「うちの本命? 大方の予想通り、灯君やで。一度関西に帰って、しばらくぶりに戻ってきた時にくらっと。でも灯君×春燈嬢が基本カップリングかと黙っとって。でも進展が全然無いから、ちょっと勇気出して最後の爆弾投下、なんや」
「り、凛の相手って楓雅じゃなかったのか!?」(by灯)
 楓雅じゃなかったのかー!?(by監督)
「実はぼくずっと勘違いしてました‥‥!」(by羊)
 バレンタインの時、間違った描写しなくてよかった‥‥(by冷や汗の監督)
 思った通りとか頷いてるそこの楓雅、気付いてたなら教えてよー! 危うくフラグを一本消し飛ばすところだったじゃないかー!
「灯君にーぶーいー。チョコ持って行ったやん。メッセージカード見なかったんか?」
「カード? チョコは「名前書いてなきゃ皆の物」って楓雅が持ってって、スタッフさんに配ったって‥‥」
 え? 貰ってないよ?

「‥‥‥‥‥‥‥‥」

「ま、まあ、ここまで言わしたんやから、灯君の返事は?」
「んー、どうかなー‥‥ぼく灯は春燈も凛も仲間以上になってない気がします。修行修行で恋愛どころじゃなくて。一番気になる人って聞かれたら全力で「如月楓雅!」って答えそう」
「俺の気になる人は灯じゃないけどね?」
 ガーンと項垂れる灯。の後頭部に凛の必殺扇子スラッシュが! 命中判定に−5が加わるが、命中すると対象に与えるダメージのランクが1段階上昇!
「女の子が勇気出して言うたのに、なんやその返事は」
「うん、それは違うと思うよ」
 凛のお説教にカナンのツッコミ。うん、カナン君くらい分かってればお嫁の貰い手も‥‥ってあれ?
「ところで、春燈嬢から伝言預かっとるで。春燈嬢の気になる人‥‥『お兄ちゃん』」
「あら、ちょっと危険な匂いがしてきたわね」
「アカツキさん、冗談を冗談として受け取ってやりなよ」
 忍がそう窘めるも、会場は危ない関係方面に動きつつあって。
「『若いトリオはなんだかんだ馴れ合いって感じで仲良いと思います。あと、あのあたりとか、あのあたりとかも』‥‥あのあたりってなんやろうか?」
 あのあたりっていうのは、多分‥‥

●キャラの今後
「皆さんとしては今後自分の役はどうなると思いますか? 特に『あのあたり』に心当たりのある方」
「楓雅は、仲良し鵠夜とコンビを組んでフリーになる予定だったんですよ。ドイツに鵠夜がいたのはその準備のためで。‥‥プライベート? 良い仕事仲間ですよ」
 素敵な笑顔で話す巽。裏話は明かさない。ファンのために。
「蛍雪さんと秋緒の恋の行方とか、未来の奏デの世界は皆さんに想像してもらえたらなと個人的に思っていますね」
「意外と教官って性に合ってたと思うのよね。これからも続けるのかしら。どう思う? 伊紀チャン」
「え、あー、そーですね」
 恋する乙女秋緒と、弟子にラブ(?)の暁のコメント。伊紀が教官をどう思っていたかはすぐ分かる。ちなみに伊紀のその後は、自分と似た境遇の人の教育とか、楽士の誰かと結婚とか。楓雅か? 千歳か? 大穴で暁か?!
「色んな協会に留学して、ついでに世界中のスキー場巡り! えー、子どもだからダメ? フリーになって旅行行こうかな‥‥」
 むくれる神楽を、秋緒と一緒にバカンスに行けばいいのよと檀が宥める。某『足』の人、お仕事増加の予感。
「千歳はロシアに戻るのかな。と思ったらまた日本に現れたり」
 千歳が日本に来るのは事件の度にって感じだから、来日しなけりゃ平和かも?
「うちの場合は関東におっても関西におっても事件起こるし、どこいてもええよね? どっちかに落ち着くんは、忙しそうやしまだ無いかな?」
 地域的にどっちかより、灯か他の男かに注目の凛ちゃんの今後だが。モテモテ灯君は。
「先輩フリーになるってゆってた‥‥協会で頑張って楽師とかなってもこき使えない」
 最後までこんな感じ。

●さらば奏デ
「奏デは毎回欠かさずに見てたんです。主題歌はどうしても歌いたかったので、本当に嬉しかった」
 話す雪架の横で、ギター準備の欅。今回はアコースティックVer。

惑いながら掴んだ旋律よ
歪な世界を調律せよ
青い空の下 もう一度 出逢うために

奏デ 歌エ この想いを
いつも胸に抱きしめて
今 踏み出す一歩から 道は続いていく

●さらば観客
「皆さん長く座っていて疲れたでしょう。ゴーン体操行きますよー」
 最後に檀が竪琴構えて宣言する。貴朔のいないこの場、被害者は誰だ!?