奏デ歌ウ想イ―哀歌・後アジア・オセアニア
| 種類 | シリーズ |
|---|---|
| 担当 | 香月ショウコ |
| 芸能 | 2Lv以上 |
| 獣人 | 1Lv以上 |
| 難度 | 普通 |
| 報酬 | 3.6万円 |
| 参加人数 | 8人 |
| サポート | 0人 |
| 期間 | 01/12〜01/16 |
●本文
●奏デ歌ウ想イ『歪』。それは世界に生じた歪みとも、もともと存在していたが気づかれなかった歪な部分とも。『歪』が世界に生まれた瞬間、調和は乱される。
世界の調和のため、日夜人知れず『歪』と戦う奏歌楽士たち。
この『奏デ歌ウ想イ』は、彼ら奏歌楽士たちの戦いの記録を記す特撮番組である。
●『奏デ歌ウ想イ』の世界
奏歌楽士とは、『奏（ソウ）』『歌（カ）』と呼ばれる特殊な能力を使用して『歪（イビツ）』と戦う者たちのことである。
『歪』とは、特定の形を持たず宙に浮く影のような存在である。これが人や物に取り付くことによって、『歪』として本来の力を行使し世界の調和を乱しはじめる。
『奏』『歌』とは、楽士たちが行使する特殊な能力で、専用の特別な楽器を弾く、または歌を歌うことで発動する。
楽器という増幅装置がある分『奏』は強力な力を行使できるが、楽器の形状や大きさにより取り回しの利きにくい状況があるという弱点をもつ。また一般人には奏歌楽士たちや『歪』の存在を知られてはならないため、楽器が無ければ力を発揮できない奏士は時にただの人間でしかない。
対して『歌』は歌士が歌える状態であればいつでも発動可能だが、白兵戦用の武器を生成することを苦手とし、また増幅装置が無いぶん一部の強大な楽師を除き行使する能力の威力では『奏』に見劣りしてしまう。
●出演に当たって
出演者にはこれらと以下注意点各種を踏まえてテンプレートを埋め、番組の登場人物を設定、毎回提示される目的の達成を目指してほしい。
【能力】「奏」もしくは「歌」を選択。
【ジャンル】能力の種類を設定。いずれか一つ。
奏‥‥白兵（＋5）、単体射撃（＋3）、複数射撃（＋2）、散弾／扇状／放射（＋1）、回復（＋3）、補助（＋3）
歌‥‥単体射撃（＋4）、複数射撃（＋3）、散弾／扇状／放射（＋3）、回復（＋3）、補助（＋4）、修復（＋5）
【射程】能力の射程を選択。いずれか一つ。
奏‥‥短（＋5）、中（＋3）、長（＋1） ※短：０〜１ｍ 中：１〜１２ｍ 長：１２〜１００ｍ
歌‥‥短（＋4）、中（＋4）、長（＋2）
【効果】４つのパラメータに合計２０ポイントを１〜１５の範囲で振り分けてください。
威力／効果：破壊力、回復力など。
速度：演奏・歌唱から発動までの速度。射撃であればその弾速。
持続：その能力が発動してからどれだけの時間効果を持って存在し続けるか。
安定：発動確率、効力の安定、妨害に対する抵抗。
【回数】能力を一日に使用できる回数。
ジャンルと射程を決定後、（）内の数値を足した数。
パラメータポイントを２点消費することで使用回数＋１することも可。
【その他】能力についての注意点
『奏士』と『歌士』の掛け持ちは不可。しかし、『奏士』なら『奏』、『歌士』なら『歌』の複数習得は可能。
＜キャラクターテンプレート＞
キャラ名：
能力：能力・ジャンル・射程／効果：威力・速度・持続・安定・回数
備考：
※皆さんが演じるのは原則として楽士協会所属の奏歌楽士です。一般人、フリーの楽士、マイスターは現在選択できません。
※連続戦闘オプション
『哀歌・前』と『哀歌・後』は間に日を挟まない連続した物語です。そのため、『奏歌』の使用回数が回復していません。
今回、継続参加の皆さんは一律、能力の使用回数が半分（端数切捨て）の状態でスタートします。残り回数を明記する必要はありません。新規で参加の方は、使用回数満タンから開始できます。
●哀歌
「追撃部隊が来るだろう」
それは誰もが分かっていることだった。結界を破る際にその事が知られぬよう情報遮断も行ったが、それだけでは『いつ、どこから逃げたか』がすぐには分からなくなるだけで、内部で混乱が起きた時点で転送弦之壱を協会周辺に向ければ大体のことは知られてしまう。
だが、追撃が来るのを遅らせることは出来る。
「外で味方が待機している。追っ手がかかる前に、それと合流する」
ロシアの楽士協会所属だと名乗った彼らは、そう楽士達に提案した。今協会に戻っても、今回の迎撃作戦中行方不明だったと嫌疑を向けられるだろう。共にそこまで逃げ、その先はそれから考えろと。
「味方と合流して、我々は報告のために国へ帰還する。その時に、人質として連れられていたと言って戻るといい」
空中に『歌』で描かれた小さなスクリーン。そこで脱出ルートの確認を行う。
「この距離、このルートだと‥‥最低一度は敵との交戦がありそうだな」
「戦わずに済む道は無いのですか？」
「これ以外のルートだと、外で展開していた部隊の中を突っ切る形になる。敵がうまく道を開けてくれていれば見つからないだろうが、不確定要素を盛り込んだ作戦行動は控えたい」
幾つか、考えられるルートがスクリーンに矢印で表示されていく。表示されないルートは戦力的・時間的に選ぶことの出来ないルートだ。
「知り合いと戦うのは辛いだろう。戦闘は全て我々に任せてくれても構わない。世界の歪みを監視する奏歌楽士の役目のために、生き延びるんだ」
●リプレイ本文
●逃亡〜遭遇「人質、と言って素直に信用する協会とも思えないが‥‥」
黒崎 蛍雪（明石 丹（fa2837））の心配は至極当然のものだ。幾らロシア楽士達が強いとしても、蛍雪自身や如月 楓雅（星野・巽（fa1359））、遠野 静流（冬織（fa2993））など協会内である程度は名の知られている楽士達が一度に人質として囚われていた、などそう簡単に信用してもらえるものではない。だがその点は、まだ場数の少ない久瀬 灯（倉橋 羊（fa3742））やジルベルト・パーラ（渦深 晨（fa4131））が先に人質にとられ仕方なく、と言えば何とか通じるかもしれない。
「とにかく、今は迷っている時じゃない、か‥‥」
「そうでございますよ〜。今はどうやって追っ手に対処するか、どうやって帰るか、ですわ〜」
静流はそう言うと、一人、先を歩くロシア楽士とイリヤ・フォルトフ（慧（fa4790））の方へ。
「私達に人質にされていたと言って戻れと仰っておりましたが、それでは不自然なところがございますわ〜。皆様が歌士であることは、協会も分かっておりました〜。とすれば、『歌』だけで突破できる結界を用意していたはずはありません〜。奏士の内通者が必要でございますわ〜」
確かに、静流の指摘するとおりである。ロシア楽士も、また彼らと同郷であるイリヤも歌士。楓雅か灯、ジル、迅雷（玖條 奏（fa4133））、静流の誰かが協会の裏切り者として逃亡しなければ、全員が共謀者と疑われる。
「俺が消えますよ」
「いいえ、私が皆様と共に逃げますわ〜」
楓雅の言葉に視線がそちらへ向き、続く静流の言葉に今度は視線が戻ってくる。
「何故、離脱しようと？」
「私は今回の事件の真相を、外から探してみたいのでございますよ〜。私達は抹殺指令からの逃亡に協力して頂きましたが、皆様の脱走の助力も。これでまずイーブンですわ〜。そして、私を外へ連れ出すことと皆への疑いが薄れること、日本協会内の事情の情報源が手に入ること、これでイーブンになりませんか〜？ 皆様を信用してはおりませんが、利用価値があればお互い様です〜」
イリヤの問いに静流はそう答えた。堂々と「信用ならない」発言をしているあたりは無意識なのか大物なのか。きっと後者なのだろう。ロシア楽士達は苦笑しながらそれを受け入れ、イリヤは
「気の強い女性は好きですよ」
と言って微笑む。
「気が強いのではなく、強かなだけですわ〜。‥‥私も歌士の方は好きですわ、その中で生まれ育ちましたもので〜。色々な歌に敏感ですの〜」
イリヤの表情が一瞬だけ変わった。だが、それは会話の内容を把握しているこの二人にしか分からないほどほんの些細で。
「楓雅さんは、どうするんですか？」
「俺も消えるよ。静流とは別に。やっぱり俺も、外から協会を見てみたい」
‥‥‥‥。
そんな会話の中、沈黙を続ける者が二人。リディア・レヴァイン（ラム・クレイグ（fa3060））はこれから合流するロシア本隊にいるというとある楽士と会うことについて内側で想いを巡らし、灯はただ、俯いて。
「おい。予想通り、追っ手が来たぞ」
警告する迅雷の視線の先には高速で移動してくる水色の何か。そしてそれに乗る人物。
「君達はどうするんだ？ 戦うか、それとも‥‥」
「僕は戦うよ」
ロシア楽士の問いに、蛍雪は一言で。色々と信用できないという理由は伏せつつ。
「それなら、顔が知れると拙いんだな」
・ ・ ・
先行して仕掛けてきたこの少女は足止め役なのだろうとすぐに分かった。出来るだけ早くどうにかして先を急ぎたいのだが、しかし。思う以上に厄介だ。そう思う間にも、追っ手の本隊が到着してしまう。足止め役の少女が呼び戻される。
「‥‥今の声は‥‥」
楓雅の呟きには誰も気付かず、迅雷が電撃を飛ばす。敵の足元に向かったそれは、当たることなく結界に阻まれる。舌打ち。
「向こうにも結界を使う楽士がいるのね‥‥射撃戦じゃすぐには終わりそうにないわね」
反撃に飛んでくる炎の雨はリディアが展開する結界が全て受け止め。灯が牽制のため放った光の矢や静流が敵歌士の無力化のために投げる饅頭ストレート130km／hも無力化される。
「せめて、俺が武器を使えたら‥‥」
悔やむジル。彼の『透過』の『奏』は直接攻撃の能力では無い。放った弾丸の軌道を隠す使い方も出来るが、彼の能力では『透過』出来るのは姿と気配のみ。壁や結界をすり抜けさせることは出来ない。
「ジル、攻撃することだけが戦うことじゃないよ。自分や他人を守ることだって、時には戦わないことだって戦いだ。大事なのは力を振るえるかどうかじゃなく、どう振るうかなんだ」
蛍雪がジルを励ます。自身も平均を超えるような力を持たないことで無力感に苛まれたこともあった蛍雪だが、しかしジルの前にいる蛍雪はしっかりと戦うことの出来る人間だ。それは力の大きさの必要性を振り切って、振るう者の心得の重要性を知るに至ったゆえ。
「ありがとうございます！ 俺、もっと頑張ります。今は応援だけだけど‥‥」
ジルは気付いているだろうか。協会脱出時に蛍雪の攻撃の軌跡を隠したあの能力もまた、蛍雪が日本協会に戻れる可能性を『守った』ひとつの力なのだ。
「先輩」
自分達を呼ぶ楓雅の声に蛍雪は振り返る。『達』というのは、蛍雪とリディアと。
「あのバチバチ、見覚えがあるんですが」
白兵突撃の準備を行っているらしい敵を見ると、確かに見たことのあるバチバチ電気。そしてそれを発生させている演奏。
「今は躊躇している暇も考えている時間もありません。急ぎましょう」
「まさか‥‥な」
イリヤの言葉に、楓雅はふと過ぎった想像を振り切って風の太刀を作り出す。
●真実の光
辺りを覆った光の結界が消えた。それによって、世界が変わった。
追っ手達と戦うにあたって顔を見られては拙いと、ロシア楽士達の『歌』によって、他人が自分達の顔を別の人物と認識するようにしていた。正確には、空間にあるラインを引き、そのラインを越えて見た人物の顔が別人に見える、というもの。こちらの顔が見られないのと同時に、あちらの顔が見えなくなる。
その『歌』が消えて、お互いの本当の姿が見えるようになった。
「春燈！」
楓雅が叫ぶ。不可解な表情を浮かべるジルには、リディアが説明をした。
「追っ手が、皆さんの知り合い‥‥でも、俺の知り合いはいないしなぁ」
まあ確かに、それならそんなに関係ある重大な話でもないか。
向こう側でも多少の動きがあった後、貴朔と目玉パパの息子、小脇に抱えられた少女が出てくる。何やら秋緒が一撃見舞っているが‥‥
貴朔がゴーンを喰らっている。と、いうことは。
突然飛来する多数の弾丸。それらは狙いという狙いをつけずにただ片っ端から撃ち込まれる。
「我を忘れてるな‥‥アレは」
「この、やったな‥‥俺は大人しくしてたってのに。もうこっちも遠慮しないぞ‥‥」
迅雷が指の雷を宙に泳がせる。だが、それを蛍雪が止めた。攻撃は止んでいた。向こうには頭を抱えているのが２名。その瞬間は見えなかったが、誰かが止めさせたようだ。
「頼む、話を聞いてくれ！」
叫ぶ蛍雪に、一人倒れない貴朔の掌が向けられる。そこから攻撃が放たれることを危惧し、リディアが結界を張る準備を始める。
「‥‥この歌は‥‥リディア、結界は一枚じゃ足りない！」
放たれた黒い弾丸。それはリディアが急遽張った直方体の結界（二枚平面結界を張らずとも、貫通には二枚分の威力を要する）の一面にぶつかり‥‥いや、何の抵抗も受けず弾丸の大きさだけ結界を抉り取って飛来する。もう一面にぶつかって弾け結界を焼失させて、黒い弾丸はようやく消えた。
「楓雅、貴朔を止めるよ」
「分かりました！」
合意が取れるなり、蛍雪が扇状の光を放つ。それに楓雅が風の力を乗せると、勢いを増した光は貴朔の足元の地面を爆砕し、吹き荒れた風が地面から舞い上がった土や石を巻き込んで貴朔を包む。
『光風』。本来は攻撃用の『共音』だが、今回は威力を落とし狙いを外して、貴朔を止めるために放った。果たして。
土煙が収まったそこには、変わらずにこちらへ掌を向けたまま、貴朔が立っていた。そして、次の瞬間。
貴朔が踊り出した。
・ ・ ・
「これで最後ね」
リディアが残る力の全てを使って、現在地と協会との間に巨大な結界を張る。そこに静流の水の力とイリヤの植物の力が注ぎ込まれ、『共音』による妨害結界『霧と森の迷宮』が完成した。
これで協会本隊の到着が遅れる。会話の時間程度は稼げるだろう。
●それぞれの道
向こう側とこちら側。いる世界は違うのだろう。向こう側にいる従兄弟のカナンを見ながら、イリヤは思っていた。
立場が違えば、正義も違う。今のイリヤにとっての正義は、彼が敬愛する楽士の正義と同一だ。だが、カナンにとっての正義は、イリヤ達を止めることだ。
これからも邪魔を続けるのならば、いずれ倒さなければならない。
と。カナンがイリヤを見、走ってきた。そして、軽く抱きついて。
「イリヤお兄ちゃん、ごめんね？ 僕、生まれ育ったのはここだから‥‥日本の協会員として邪魔するしかないの‥‥でも、イリヤお兄ちゃんには無事に逃げてほしいから‥‥だから、一緒には行けないけど、少しだけ、後ろを向いてるから‥‥」
「‥‥まったく。いい子ですね、相変わらず」
リディアと蛍雪は、追ってきた面々に事情を全て話した。突然の抹殺指令から、日本協会が秘匿している『何か』。そして、ロシア楽士達から人質にされていたと言って戻れと言われているということ。
「僕達は、可能なら協会に戻ろうと思う」
蛍雪、ジル、迅雷は、その道を選択した。
「協会が何を考えているのか調べたいんだ。無事に戻れてもマークはされるかもしれない。だが、殺されることは無いだろうと思う」
「戻る奴は人質だった、いなくなった奴は知らん。全員がそれで通せば何とかなるだろ」
異論は、出なかった。本当に受け入れようと思っている者もいれば、不信感を抱きつつも、周囲の雰囲気から黙って飲み込んでいる者もいるだろう。特に、自分達と面識の無い者達は。
それでもいい。大事なのは、そこじゃない。
「俺は、協会には戻らない」
「ちょっと、何言ってるのよお兄ちゃん！」
「ロシアの楽士達が行っている事が嘘だとしても、日本協会が俺達を殺そうとしたことは事実だ。何か、とんでもないことが動き出そうとしている気がする。だから俺は協会を出て、内側からじゃ見えない物を見つけようと思う」
「っ‥‥」
皆が納得できる理由を述べよ。そう言おうとした春燈は、兄に対しては黙るしかなく。納得は出来る内容ではあったし、兄は言い出したら止まらない人間だということも嫌というほど知っている。
「大丈夫だ。いつか戻る。‥‥元気で」
楓雅は春燈を一瞬抱きしめる。そして軽く頭を撫でて、もう一人、協会を去る者に微笑みかけて。
「お互い家のこともあるが、元気で」
「そうですわね〜。孤立と他国と。お互い前途は多難ですわ〜」
「リディア。共に、来ないか」
それは、これまでに何度か見え隠れしていたその人との邂逅。そしてずっと待っていた言葉。はっきりと覚えている。あの時の別れの約束。
『私、楽師になります‥‥迎えに来てくれますか』
いつか、一緒に。彼も迎えに来ると約束してくれた。でも。
「私は残ります。まだ、その時ではないから」
まだ、彼と一緒に歩める自分ではない。
彼は残念そうな表情を浮かべたが、しかし。分かった、と。
リディアは、自分に背を向ける彼を見てこみ上げる涙をぐっと堪えた。彼は私の事を覚えていてくれている。そして、私もずっと想い続ける。
必ず、いつかまた。お互いに厄介なことを背負わずに逢える。
・ ・ ・
それぞれの道は別れて。再編成の終わった日本協会の本隊が近づいてきている。『霧の森の迷宮』もいつまでも効いているわけではない。
協会へ帰る者達はその道を。去る者達は各々に選んだ道を。一人ひとり去っていって。
「‥‥『鳳仙花』」
灯が空へ放った巨大な一撃。それは空中でバラバラに散ると、協会本隊がいるであろう方面へ降り注いだ。
「‥‥‥‥」
「さて？ どこに行こうか？」
ただ一人姿を消そうとした灯の背に、楓雅の声がかけられる。
「付き合ってやるよ。どうせ俺も、当ては無いんだ」
楓雅は灯の後頭部を軽く小突いて。
「灯は、どこか当てはあるのか？」
「‥‥一応」
・ ・ ・
「調査結果の分析を急がなければ‥‥イギリスや中国も動き出すとなれば、自棄になって使われる可能性がある。我々の推測が正しければ、あれは‥‥」
「あれとは、何ですか〜？」
「あれは、世界中に歪のタネを撒きかねないものだ」
場合によっては、分析を本国に戻って行っている暇も無いかもしれない。
「そう。ですから、これはただの始まりに過ぎません。僕たちの戦いは‥‥これからなんです」
