あなたの望む魔法アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 香月ショウコ
芸能 3Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 12.3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 02/13〜02/19

●本文

●舞台演劇『あなたの望む魔法』
 まったくもって、情けない。
 バレンタイン。それは女性が男性にチョコレートをはじめとする贈り物を渡し、想いを告げる日。‥‥まあ、海外では男性から女性にプレゼントが渡ることもあるようだし、義理チョコという寂しい男どもを慰めるためだけのプレゼントもあるからバレンタインの意味を一つには限定できないのだけれど。
 で、だ。そのバレンタインに、本命の男性に、自分の本気の想いを伝えたいと思ったら、どうする?
 ブランドのチョコ? 違う。
 手紙を添える? うーん、それもアリだけど、バレンタインらしさをもっと前面に。
 体育館の裏で? この時期、呼び出す方も呼び出される方も寒くて辛い。
 答えは、手作りチョコ。そう、恋のおまじないがかけられた愛の手作りチョコレートをプレゼントして、彼を落とすのよ!
 そう思って、材料を買い込んできたのはいいのだけれど。
 チョコレート作りなんて、時間がかかってもせいぜい一時間くらい。冷やして固めるのは前日の夜から当日の朝まであるから大丈夫。そう思っていたのだけれど。

 チョコレート作る時に黒煙がもうもうと立ち上るなんて、聞いたことがない。

 そう、私は自他共に認める料理音痴。ていうか家事音痴。チャーハンもカレーも料理するっていうより工作してる感じだし、洗濯すれば服のポケットからティッシュ乱舞が巻き起こり、洗い物をすれば一度に一枚はお皿を割って、もう洗い物じゃなく『荒い物』レベル。
 一応、時間がかかると思って3月下旬の彼の誕生日に渡す予定の手編みマフラーは去年の今頃から作っているから間に合うけれど。チョコレートは間に合わない。「失敗しちゃった☆」って手元にある黒焦げの物体を渡すわけにもいかない。こんなものを渡したら彼を落とすどころか私の評判ガタ落ちだし、最悪彼が奈落に落ちてしまう。


 そういうわけで、まったくもって情けないけれど、バレンタインの手作りチョコレート大作戦は中止。来年に延期だけど、来年まで彼はフリーでいるのかな‥‥
 そんなことを考えながら、私は帰り道を歩いていた。冷たい空気の中、8度目の大きい溜め息を吐いた時。
 私は、何だかよく分からない人に絡まれた。
「困っているようだね」
 確かに、困ってる。困ってるっていうか、困り終わった。これからは自己嫌悪タイム。
「なるほど、恋煩いか」
 バレンタインに溜め息だらけの女なんて、きっと皆そうなんだろう。
「ほら」
 何?
 その人は、コートのポケットから小さいガラスのビンを取り出して、私の手に握らせた。小指ほどのサイズのそのビンには、透明な液体が半分ほど入っていた。
「それは、想い人に飲ませれば必ず想いが叶う魔法の薬だよ」
 この人、大丈夫?
「飲ませる方法は何でも構わない。ただし、一滴二滴じゃなく、全部飲ませなきゃ効果は出ない」
 それだけ言ってその人は去っていく。ワケが分からない。不審に過ぎる。その人が歩き去った先、曲がり角の向こうを覗き込むと。
「‥‥あれ?」
 誰も、いなかった。


 絶対、怪しい。手元にあるこの薬。毒薬かもと思ってちょっと匂いを嗅いでみたけど、無臭。味は‥‥彼に全部飲ませなきゃならないから、分からない。
 ‥‥って、いつの間に私はこれを彼に飲ませると決めたんだ? 決めてない決めてない。だって、ほら、怪し過ぎるし、絶対都合が良過ぎる。

 でも‥‥何か‥‥ねぇ?

●今回の参加者

 fa0182 青田ぱとす(32歳・♀・豚)
 fa0430 伝ノ助(19歳・♂・狸)
 fa2021 巻 長治(30歳・♂・トカゲ)
 fa3742 倉橋 羊(15歳・♂・ハムスター)
 fa4579 (22歳・♀・豹)
 fa4992 雨月 彩(19歳・♀・鴉)
 fa5313 十軌サキト(17歳・♂・一角獣)
 fa5461 榊 菫(21歳・♀・竜)

●リプレイ本文

「バレンタインですか‥‥言われてみれば、もうそういう時期ですね」
 稽古初日、稽古場へ現れた巻 長治(fa2021)は『あと○日』と書かれた日めくりメモを見て改めてそう感じる。台本を渡された時は、まだずっと先の話だと思っていた。
「巻さんは、チョコを貰う当ては無いんですか?」
 檀(fa4579)が尋ねるが、巻は軽く肩をすくめ、首を横に振ってみせる。その仕草は真実を表現しているのか。
「チョコは早いうちに買いに行っとき。本番終わってから、なんて思っとったら棚から撤去されてしまう」
 青田ぱとす(fa0182)による女性陣へのアドバイス。しかし青田本人にはチョコを用意するつもりがあるか分からない。それは今朝の、稽古場の鍵が開く前に到着して寒空の下途方に暮れてしまったほどの舞台への入れ込みようから窺える。
「そういえば、あんたは妹さんからは貰えんの?」
「‥‥あっしは、妹がそれほどの色気を備えているとは思わないっすよ」
 青田の問いを伝ノ助(fa0430)は少し考えてから否定する。少し考えたのは、少しは期待があったからだ。でも無いだろうなとすぐ結論。
「ヨウは、チョコ貰う当てはたくさんありそうですよね」
 雨月 彩(fa4992)は、台本に顔を埋めるようにして台詞を読んでいる倉橋 羊(fa3742)の肩を叩く。と、倉橋はビクッぎゃーゴロゴロゴロとどこかへ転がり消える。
「あら、集中していたのを邪魔してしまいましたね‥‥大丈夫ですか?」
「大丈夫そうですよ。『装置類は』」
 倉橋の消えた先から現れた榊 菫(fa5461)が、皆の死角の暗闇の世界の状況を伝える。彼女の言いようだと‥‥『倉橋は』どうなのか。
 アンサー。
「びびびっくりしたぁ‥‥」
「ごっごめんなさい、でもサイがっ! サイが驚かすからっ!」
 謎の回転物体に突撃された十軌サキト(fa5313)は、勢いで手放した台本を探して見つけると、ふぅと一息。しかし。
「あれ? これ僕のじゃない‥‥」
 見てみると、自分がしていたように書き込みがされた台本ではあるが、自分の字ではない。
「そっちはあたしの。こっちがあんたの」
 ほい、と青田が十軌に差し出す台本。確かにこっちが彼の本。
「あんまり、ガッチガチに緊張せんでも大丈夫やで。普段どおりの気持ちで、役の枠の中に、自分を流し込めばええ。自分がガチガチやと、役もガチガチ、歪やったり、破れてしまうこともある。普段どおりの柔らかい自分で、バッチリ演技したったら、それでお客さんにはちゃんと伝わる」
 言って、十軌の台本のページを開いてやる青田。そこには役についての自分なりの第1弾設定。
「大丈夫、真正面からぶち当たり続けりゃ、成功するよ。心配ないんや」

●パンフレット
カオリ‥‥檀
トオル‥‥伝ノ助
ユキ‥‥雨月 彩
コウスケ‥‥十軌サキト
ハルカ‥‥榊 菫
ミチル‥‥青田ぱとす
コートの男‥‥巻 長治
ジャケットの少年‥‥倉橋 羊

●魔法の薬と魔法の準備
 コートの男は一人佇む。その姿は誰の目にも映らず、彼の足音、笑い声、全てが人々の耳には届かない。
 彼の見つめる先には、薬を渡したカオリの姿。
「君は、何を選択する? 選び取るのは私の魔法か、それとも‥‥」


「相変わらず良い匂い‥‥」
 何度か立ち寄ったことのある菓子店に入ったカオリは、いつものようにケースに並ぶケーキに目が釘付けになる。どれも美味しそうで。
「じゃなくて。完成品じゃなく、材料を買いに来たのよね」
「あら前来た子じゃない。浮かない顔ね」
 店の奥から出てきた女性店員はカオリの顔を覚えてくれていて、たまに立ち寄った時、雑談をすることもある。
「ちょっと‥‥あの、魔法って、信じますか?」
「魔法‥‥ね」
 店の人は「ちょっと待ってて」と言って一度奥へ引っ込むと、小さなお皿を持って出てきた。
「新しい材料入ったんだけど、試してみない?」
 それは果物や飾りのお菓子ではなく、黒い粉末。
「これって何ですか? 甘いもの?」
「さあ? 甘いかどうかは、食べてみないと伝わらないでしょ?」
 黒い粉末にちょっと指先をつけて、それをそのまま口に運ぶ。そしてたちまち。カオリの顔が歪む。
「にがーい」
「チョコだと思ったでしょ。これ、カカオなのよ。それもとびきり苦いやつ」
 予想通りの反応に店の人は笑顔になって、粉末の正体をばらす。
「さっきの、魔法を信じるかって話だけどね。私は信じてるよ。だって、お菓子を作るってそういうことでしょう? 何も無い黒いチョコの板と白い小麦粉、甘い砂糖に少し甘酸っぱいフルーツ、ちょっとお酒も加えてほろ酔い気分。時にはこんなカカオも使って、大人な雰囲気も演出してみたり。ぐりぐり混ぜてことこと焼いて煙の中から取り出したるが、ハイこちら! 当店自慢の期間限定ニューチョコケーキ!」
「うわぁ、美味しそう!」
「お菓子ってね。材料の分量でも作り方でも、食べるシチュエーションでも味や様子が変わる食べ物なのよ。甘い砂糖をたくさん使ったチョコはとても甘くなるけど、毎日は食べられない。だからって苦いカカオの日々には果物も恋しくなる。お酒とのお付き合いばっかりじゃそのうち躓くかも。材料と、工程と、食べる時。これが、お菓子作りの魔法だと思うのよ」

 ・ ・ ・

 買ってきたチョコの材料をテーブルに並べておいてチョコケーキを食べるカオリに、妹のユキは呆れ。
「準備するまではいいんだけど、肝心なところに踏み込む前に現実逃避してるよね」
「でもほら、一応ナマモノだから。‥‥ところで‥‥ねぇユキちゃん、恋の特効薬ってあると思う?」
 カオリがテーブルの上に置くのは、あのコートの男からもらった薬。
「何これ」
「想い人に飲ませれば想いが叶う魔法の薬だってさ」
「‥‥インチキ?」
「そう思うんだけど‥‥これをくれた人、私が一瞬目を離した瞬間に消えちゃったのよ。魔法みたいに」
 カオリの言葉にふーんと生返事を返しながら、ユキはビンを手にとって眺めてみる。
「まあ物は試しで、それ飲ませる作戦を考えようかなって」
「へぇ」
 飲み物に混ぜる、努力と根性で飲ませるなど案を出していくカオリ。だがそれを殆ど気に留めることなく、ユキは。
「‥‥‥‥」
 魔法の薬を、見つめていた。

●バレンタイン昼の陣
 コートの男はただ、学校内、自分の渡した魔法の薬の行く末を眺めている。彼女の知らない、面白い方向へと今日は動き出している。


 バレンタインその日、決心して作ったチョコをカバンの中に隠し、カオリは。
「やっぱ無理」
 へたれていた。
「こら。シャキッとしなさいシャキッと」
 カオリの元にやってきたのは、友達のハルカ。男前な性格なのもあってか毎年その辺の男子生徒よりもチョコを貰っているが、少し複雑な心境。
「失敗してもいいから、思いっきりやってきなさい。マジなんでしょ?」
「え?」
「分かりやすく顔に出てるわよ。好きな人に、チョコ渡したいんでしょ。トオル君だったら、友達と昼ご飯食べに屋上の方に行ってるわよ。寒いから外には出てないでしょうけど」
「ええ!? 何でトオル君って」
「だから、カオリの顔に毎日出っぱなしなのよ。ほら、取り巻きどもは私が追っ払うから、腹を決めなさい」


 かくしてバレンタイン昼の陣はその戦場を屋上への階段に移す。隠れて待機していたカオリの前を、ハルカと数人の男子生徒が歩いて降りていく。
「‥‥‥‥」
 機会は今しかない。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ。
「あ、あのっ!」
 声は出た。ちゃんと一歩踏み出して、階段を上って、トオルの前へ。
「あれ? カオリさん、どうしたの?」
「あ、あの、これっ!」
 決まれ電光石火の一撃。突き出すのは魔法の薬。どさくさに紛れて飲ませ何とかしてやれという作戦だが、しかし。
「おわっ!!」
 そうそうタイミングよく相手が口を開けてボーっとしていてくれるわけではない。一撃必殺で歯や鼻を突きそうになったところを、トオルが間一髪で避ける。
「し、失敗? ああああ、薬無くなっちゃったよ‥‥」
「えと、何、一体どうしたの?」
「な、何でもないです、ちょっと体が勝手に動いて‥‥あ、いや、あの、それで、えっと、これ! あなたは好き、じゃなくて、私あなたが好きです!」
 すかさずチョコを取り出し、トオルの手に押し付ける。トオルの手にチョコが渡ると同時に、カオリは数歩分後方へスライド。真っ赤な顔で俯いて。
「‥‥え」
「え?」
「あ、いや‥‥その‥‥」
「‥‥」
「‥‥お、俺でいいの?」
 トオルのその言葉に、カオリは顔を上げて、大きく何度も首を縦に振る。トオルの顔は真っ赤になっていて。
「‥‥う、うん、ありがとう。ありがとう、大事に食べるよ」
「あんまり味は期待しないで‥‥」
 昼休みの終わりを告げるチャイムが響く。はっとして少し急ぎ目に教室へと戻る二人。トオルのポケットには、しっかりとピンクの包装のチョコが収められて。

 ・ ・ ・

「ユキ、家まで送ろうか?」
「‥‥ううん、大丈夫だよ。ありがとう」
 バレンタイン昼の陣は日本全国で同時多発する。それはユキと、ユキの想い人であるコウスケの例も含む。
 ユキは、バレンタインである今日の昼、コウスケにチョコを渡し告白した。そして、OKされた。
 魔法の薬を飲ませたから。


 時間は少し遡る。
 カオリが焦げつくチョコと格闘している間、ユキは件の魔法の薬について考えていた。これを飲ませれば‥‥
 黒煙漂う部屋でぎゃーぎゃー騒ぎカオリが窓を開けに行くと、ユキは急いで手近な容器に薬を移し替え、元の小瓶には水を入れておく。そして自分の部屋へと持ち帰る。


 結果。薬の効果で彼は、ユキの彼氏になった。
(「でも、何か違うよ、これ‥‥」)
「悩んでいるようですね」
 はっ、と顔を上げると、目の前には黒のゴシックジャケットの、年はほぼ同じくらいに見える少年。
「幸せになったはずなのに、どうして?」
 何のことか。考えてみる。これは、姉が会ったという謎の人? いや、違う。
 不意に差し出されるガラスのビン。
「これは、全てを無かったことにする薬です。これを飲んだ人は、時が遡り、それまでのことを忘れる。薬の効果も消えて無くなる。但し、一度に全部飲ませないと効果が無いのでご注意を」
 いかにも楽しそうな笑みで話す少年。怪しい。けど、これは間違いなく魔法の薬。だって、あのビンの薬は本当に効いた。これなら、これを使えば‥‥
「あなたは僕に出会えて幸運だった! これで彼は恋人ではなくなり、振り出しへ戻れる。彼は私を好いてくれるのか。海よりも深い不安の中に、鬱屈とした過去に戻ることが出来る」
 そう。この薬を使えば、今の違和感は消せる。だが、それはしかし。
「それでは、失礼します。僕の薬があなたの役に立つことを祈っていますよ」
 少年は手を胸にあて大仰に深く礼をし、踵を返す。そして。
「いない」
 追いかけたユキの視界から一瞬消えた間に、忽然とその姿を消してしまった。
「‥‥どうしよう」

●バレンタイン昼の陣、再び
 日にちは変わってしまったが、第二次作戦決行である。
 自宅にて、ユキはカオリに全て打ち明けた。薬を摩り替えたこと、告白が成功したこと、そして時を戻す薬。
 姉は許してくれた。そして、薬を使って元通りにした方がいいとユキ自身の想いにも賛同してくれた。
 だからこの日。ユキは屋上への階段にコウスケを呼んだ。いつもここに来る男子生徒達はカオリがトオルに連れ出させ、その他の邪魔者はハルカが全部叩き出した。
「はい、これ」
 温かいお茶。ユキはそれをコウスケに差し出す。
「ありがとう」
 コウスケはそれを何の躊躇いも無く口にする。恋人同士という関係だから出来るこの作戦。このお茶には薬を混ぜてあった。
 コウスケはお茶を飲み干すと、一瞬「あれ?」という顔を浮かべた。自分はいつここに。何故ユキと一緒に。
「ねえ、コウスケくん‥‥あたし、あなたのことが好きです。付き合ってください!」
 状況について尋ねられる前に、先手を打って告白するユキ。恋の特効薬の効果はもう無い。不安だけど、でも。彼の気持ちを知りたかった。
「‥‥ありがとう。すごく嬉しいよ。でも」
 コウスケの答え。『でも』。やっぱり、と思う反面、これでよかったんだとユキは思う。
「でも、いきなりっていうのは無理かな。もう少し時間をください。その間に、お互いの良い所とか、悪い所とか、しっかりと見て、それから結論を出そうよ」
「え‥‥?」
 それは、『ダメ』の答えではなく。これからどうするか考えていこうという、保留の言葉。0か100かの答えしか考えていなかったユキは、思いがけない50の進歩に、崩れかけていた表情にまた笑みを戻し始める。
「‥‥うん。分かった」

 ・ ・ ・

 その後、姉妹で変わったことが幾つかある。
 カオリは、今まで出来ないからと無理に手を出さなかった様々を、練習するようになった。ユキは、それまでネガティブに物事を考えていた自分を、前向きに変え始めた。

 恋は甘いもの。時に甘酸っぱく、苦く、気持ちを昂ぶらせ、足元を覚束なくもさせる。恋が最終的にどんなものになるかは、実際に迎えてみないと分からない。恋の結果は、そこに至るまでに何がどれだけ加わったか、どんな道筋を辿ってきたかで決まる。例え甘い日々だけを加えても、最後には飽きて放棄してしまうかもしれない。苦い日々を送っていても、その中に垣間見えるほのかな酸味や幸せを楽しめるかもしれない。
 まこと、恋は魔法のよう。千差万別に味の変わる、お菓子のようである。
 あのコートの男やジャケットの少年が伝えたかった、渡したかった魔法とは、これだったのかもしれない。