戦隊物オーディション?アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 久条巧
芸能 1Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 普通
報酬 0.3万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 10/22〜10/26

●本文

──事件の冒頭
「せ、先生‥‥この脚本は‥‥」
 そこはとある脚本家の書斎。
 TOMITV下請けである『虹色映像企画』の製作責任者である『円英一(まどか・えいいち)』が、特撮などの脚本をしているとある作家の元に、新番組の脚本を取りに言ったときのこと。
「あーーん? 新番組だよ、特撮、それも戦隊物だよ‥‥」
 にこやかに告げるこの男。
 着物姿にプチふとっちょ。
 ハゲ面メガネに顎鬚少々。
 いまをときめく(本当か?)特撮シナリオライターの『りんくじょう』である。
「えーっと、それは判っています。戦隊物でしたら、タイトルをどうにかしていただけませんか? ほら、最後に『〜レンジャー』とか『〜ジャー』『〜マン』ってついていませんよ?」
 そう呟く責任者に、りんくじょうが一言。
──グビグビ
 ワンカップ片手に、静かに呟く。
「『サンバルカン』にはレンジャーはついていないが?」
 あ、まったくだ。
「で、では、この登場人物。普通はアカレンジャーとか、デンジブルーとか、色と戦隊を示す名前がついていますよね? それもないのですけれど‥‥」
──グビグビ
「色はなくてもよいではないか。チェンジマンはドラゴンとかペガサスとか。バトルハンマーフィーバーに至っては国名だ。戦隊物は色ではないのだよ‥‥判ったら、とっとと脚本持っていけーーーい」
 ああ、もう出来上がっているし。


●虹色映像企画(通称レインボー企画)より公開オーディションのお知らせ
 来る●月●日、虹色映像企画第7スタジオにて新作オーディションを行います。
 オーディション希望者は必要事項を記入の上、申し込みをお願いします。


・新番組『文学戦隊・ダイブンゴー』
・募集要員は以下のキャストです。
 今回はヒーローサイドのみのオーディションとなります。

・レッド・オーガイン(森林太郎:もり・りんたろう)
・ブラック・ブライオー(津島修治:つしま・しゅうじ)
・シルバー・サンシロー(夏目・ゴールド・三四郎:なつめごーるどさんしろう)
・ブルー・シラカバン(有島武郎:ありしま・たけろう)
・イエロー・サーティーン(樋口夏子:ひぐち・なつこ)

・謎の助っ人プローレ・タリアン(小林滝二:こばやし・たきじ)
・同、謎のヒロイン、マンガイザー(天王寺愛:てんのうじ・あい)


●文学戦隊ダイブンゴー解説
 日本が危ない!!
 ある日突然現われた謎の集団『異人衆13傑』
 彼等はこの日本の文学を食い荒らし、人々を異国文化に洗脳する為に暗躍を開始した。
 ロマンス・ハーレー女王を筆頭に、『キャロル001』、『周樹人豫才』、『永井カフー』といった幹部達が日本を聞きに陥れる。
 
 そしてある日、一冊の本から姿を現わした人物『武者実篤』により、諸君は純文学を愛する戦士『ダイブンゴー』に変身したっ!!
 戦え、文学戦隊ダイブンゴー。
 負けるなダイブンゴー。

●今回の参加者

 fa0175 クラウド・オールト(16歳・♀・竜)
 fa0190 ベルシード(15歳・♀・狐)
 fa0200 影山志狼(22歳・♂・狼)
 fa0386 狐森夏樹(18歳・♀・狐)
 fa0463 伊達正和(25歳・♂・竜)
 fa0778 煌宵蓮(28歳・♂・竜)
 fa1032 羽曳野ハツ子(26歳・♀・パンダ)
 fa1633 アキラ(18歳・♂・蝙蝠)

●リプレイ本文

●第一次書類選考〜選考に受かったのは貴方たち?〜
──虹色映像企画第7スタジオ
 通称『レインボー7』と呼ばれているこのスタジオには、脚本家や製作責任者、監督など、様々な人が審査の為に席に着き、参加者達を値踏みするようにじっと見ていた。
「えー、それでは、第二次選考オーディションを始めたいと思います。まずは順番に自己紹介をお願いします」
 進行役の円英一(まどか・えいいち)が、説明を開始。
「その後、簡単ではありますが希望役毎に割り振り、演技、実技テストを行います‥‥何か質問はありますか?」
 そう説明を終えると、
「質問なんだが。今回の特撮、殺陣はかなりあるのか?」
 そう質問しているのは影山志狼(fa0200)。
「今回、スタントマンはあまり使わない方向で考えているので、それなりに体力にも自信のある事も条件となる」
 そう返答する『りんくじょう』。
「最近流行のCG合成とかは?」
 今度は伊達正和(fa0463)。
「使うが、使いすぎはない。ほら、外国のなんとかという映画でもあったであろう? 『スタントマンは使いません、CG合成もありません、ワイヤーアクションも使いません、ムエタイが世界最強であることを証明してみせます』っていうのが。あそこまでは徹底しないが、『様々な点で魅せる』特撮にしていきたいと思っている」
 再びりんくじょうの返答。
 そのあとも簡単な質問が飛び交ったが、都合により割愛。


●自己紹介〜それぞれのケース〜
 と言うことで(何がということなのかわからんが)、自己紹介タイムとなったようで。

──クラウド・オールト(fa0175)
「俺はクラウド・オールト。希望役はプローレ・タリアート。以上だ」
 たったそれだけを告げると、クラウドはそのまま椅子に座る。
「あ‥‥えーっと、なにかアピールするものはないのですか?」
 そう問い返す司会に対して、クラウドはただこれだけ。
「別に‥‥ああ、敢えて言うなら、俺のモットーは『手段選ばず』。ただそれだけだ‥‥」
 し、渋い。
 あんた渋いよ。

──ベルシード(fa0190)
「僕はベルシードだ。宜しく」
 にこやかにそう告げるベルシード。
 黒のタキシードを身に纏った男装の麗人。
 クールな表情を装い、『氷のごとき冷たさを持った静の戦士』といったイメージを作り出しているらしい。
「アピールすることは?」
「そうですねぇ。今までの戦隊物にはなかった『男装の麗人』というシチュエーションを加味することで、これまでにない新しい路線を生み出し、若い女性や少女達といった年齢層の支持を獲得したいと思います‥‥」
「えーっと、希望の役は?」
「ブラック・ブライオーで」
 その言葉に、脚本家むせる。
「ぶ、ブライオーを男装の麗人にだとォ!! 面白い!!」
 あ、受けている。
 つかみは十分の模様!!

──影山
 シュタタタタタッ!!
 突然椅子から立ち上がると、影山志狼は素早く助走を付けてロンダードの側転を決める。
 さらにバネを使い、一気にバク宙、しかも難易度の高い『スワンダイヴ』である。
──ビシィッ
 そのまま着地と同時に空手の構えを取る影山。
「俺は影山志狼。剣道と空手が得意だ。車と二輪の免許を持った、見てのとおり体育会系で、元々『ブンガク』なんてものには縁がない」
 キッパリと言い切る影山。
「あ、えーっと。随分と不利なことをいいますねぇ」
「隠していても始まらない。それに、このオーディションの話を受けてから、役柄について勉強するため図書館に通い詰めて来た」
 そう告げると、すっと静かに立ち上がり、目を閉じて意気込みを話し始める影山。
「希望するレッド・オーガイこと森林太郎のモチーフは、洋行帰りの軍医として活躍した文学者で、これを文学戦隊ダイブンゴーに当てはめるなら、敵方の『異人衆13傑』の元で育った狭間のキャラクターだと考えます」
 その言葉に、審査員達は興味津々‥‥。
「敵方に近い立場故に、他のメンバーと衝突したり、馴染めなかったりもする。孤立しがちながらも、馴れ合いや、序列関係による組織的結びつきとも違う、一人一人が自立した上で、互いに研鑽しあい、助け合いながら、共に高みを目指せるそういったチームワークや友情を示していく、そんなキャラクターとして演じたいと思います!!」
──パチパチパチパチ
 あ、拍手が湧いたぞ。
 好印象マーク!!

──狐森夏樹(fa0386)
「あたしは狐森夏樹といいますっ!!」
 動きやすいミニスカート姿でまずはアピール。
 そのまま自慢の美脚らしい脚線をみせつつ、ジャンプとキック等を披露。
「多少はアクションできるようだな‥‥うんうん」
 監督らしい男が咥え煙草のまま書類に何かを書きこんでいく。
「アピールすることは?」
「はい。実は、あたしは特撮ヒーローに対してある思い出がありますっ!!」
 そう告げると、演技も混ざったような感じで話を始める狐森。
「子供の頃にエキストラで出演したヒーロー番組で、爆発とかで本当に怖くなってきた所を、メタルスーツに身を包んだヒーローに助けられて抱き上げられた時、そのヒーローに初恋を覚えて以来ヒロインとしてヒーローの恋人役をやりたいと思ってきました。マンガイザーというヒロインで、ダイブンゴーと文学に親しみのない人の橋渡し役を演じたいと思います」
 その心意気やよし。
 そして脚本家のこの一言が‥‥。
「天王寺愛のイメージにはぴったりですねぇ‥‥」
 おおっと?
「いいねぇ‥‥細くてペタムネっぽくて‥‥」
 こら、おっさん。

──伊達
「伊達正和です、よろしくお願いします」
 元気のいい声で丁寧な挨拶。
 スーツを身につけている伊達は、丁寧な口調でまずは自己アピール。
「得意なのは格闘で、大学時代国文学科で学んでました」
「ふむふむ。それで、希望の役は?」
「はい。夏目・ゴールド・三四郎です。学生時代に学んで好きになった文豪というところと、お札になるような人物ですから、俺もそんな役を演じたくて希望しました。何でも受け入れて立ち向かう覚悟はできてます」
 そのままゆっくりとスーツの上着を脱ぐと、合気道の演舞を始める伊達。
「いいねぇ‥‥羽織袴の似合いそうな日本男児。イメージだよ!!」
 と、審査員の誰かが呟いた。
 イイ感じですねぇ。

──煌宵蓮(fa0778)
 スチャッ
 素早くサングラスを外すと、そのままそれをポケットにしまい込む。
 その仕草、まさにダンディ。
 全身を真っ黒のロングチャイナスーツで包む長髪美麗。
 その仕草の一つ一つが実に格好いい。
「煌宵蓮(ファン・ショウレン)だ。宜しく頼む」
 その仕草に、女性審査員達は頬を赤めつつ。
「え、えっーと。希望は?」
「異人衆13傑‥‥と言いたいところだが、ブラックで‥‥それじゃあ」
 スチャッと右手二本指で軽く敬礼のような仕草をみせると、そのまま椅子に戻っていく煌。
 これが煌の見せる技。

──羽曳野ハツ子(fa1032)
「私は羽曳野ハツ子よ。希望役職は勿論、イエロー・サーティーンの樋口夏子役ね」
 そう挨拶をすると、羽曳野はそのまま自分の中の『樋口夏子』のイメージを語り始める。
 そして
「子供たちにずっと覚えていてもらえるような、そんな夏子を目指すわよ。普通、子供たちって変身した後のヒーローと、戦闘シーンに夢中になるものじゃない? 私も小さい時は、シャークジョーズとか叫びながら、ひいおばあちゃんの顔をガシガシやってたしね‥‥」
 最後のところで、審査員席からクスッと笑う声が聞こえる。
「ああ、一つ聞かせて欲しいんだが」
 ここで始めて、りんくじょうが参加者である羽曳野に質問。
「はい」
「もし途中でキャラクター交代となった場合、それを受け入れることは出来ますか? ああ、『樋口夏子役』にだけの質問です」
 そう問い掛けるりんくじょう。
「シリーズ途中での交代ですか? サンバルカンのバルイーグルのようにですか?」
「いや、バイオマンのイエローフォーのように‥‥だな」
 つまり、樋口夏子役は悲劇の主人公であることも必要であるというところか。
「私はプロです」
 それ以上の答えは無い。
 だが、審査員達はそれで十分理解した模様。

──アキラ(fa1633)
「お‥‥俺の名前は‥‥ア、アキ‥‥アキラ‥‥」
 震えつつそう呟くのは、着物スタイルのアキラ。
 この審査が始まってから、アキラはずっと隅っこの椅子に座ってガタガタと震えていた。
「大丈夫ですか?」
「あ‥‥す、すいません‥‥ちょっと‥‥」
 そう呟くと、アキラは近くに置いてあった袋から三味線を取り出すと、それを軽く指で弾く!!
──ヴィィィィィィィィン
「ふぅ‥‥俺はアキラだ。希望役職は謎の助っ人・プローレ・タリアートっ!!」
──ベン‥‥ベンベンベンベンベンベンベンベベベベベンベンベンベンヘン
 素早く三味線を奏でると、そのままノリと勢いで話を始めるアキラ。
「はぁ〜」
 そのまま一気に、唄に合わせて自己紹介。

♪〜
小さい頃から、楽器とテレビだけが友達だった。
特に〜勧善懲悪な時代劇と戦隊モノに夢中だった。
で、戦隊モノのオーディションと聞いて飛びついた俺〜。
今度は俺が!! 引き篭もり少年のヒーローになる番だ!!
♪〜

 そして最後に眼鏡を取って、笑顔で一言
「眼鏡の下は意外と美形っ!!」
──ベンベンベンベンッ
「おそまつでしたっ」
──パチパチパチパチ
 拍手が沸き起こるスタジオ。
 かくして、自己紹介タイムは無事に終了した。


●演技テスト
 各自、自分の希望役の仮台本を手渡される。
 それをもとに、書かれているセリフを自分なりのイメージでアレンジし、巧く話を進めていくというものである。

──シーン1−1
「はーっはっはっはっ。そこまでだダイブンゴーっ」
 悪役担当の永井カフーがそう叫ぶ。
 その腕の中には、人質役の女性『天王寺愛』を演じる狐森が抱しめられていた。
「ぐっ。人質とは卑怯だぞカフー!!」
 全身で演技をするレッド・オーカイン役の影山。
「だまれっ。まずは武器を総て捨てて貰おうか‥‥この女の命が惜しければなっ!!」
「た、助けて‥‥お願いよぉ‥‥」
 涙を流しつつ哀願する狐森。

──シーン1−1−1
「そこまでだっ!!」
 そう叫びつつ、三味線を流して姿を表わすプローレ・タリアン。
「貴様何者ダッ」
「誰が呼んだか謎の助っ人‥‥プローレ・タリアン参上!! くらえっ。必殺『カニ光線!!』」
 とりあえず何かを出す雰囲気を見せるプローレ・タリアン役のアキラ。
 じつにイイ感じである。

──シーン1−1−2
「ぐうぉぉぉぉぉぉぉぉつ」
 カニ光線を受けて絶叫するカフー。
 その隙に愛はカフーの元から走り出す。
「逃がすかぁぁぁぁぁぁ」
 そう叫ぶと、カフーは瞳からレーザー放つ。
 それは愛の背中に向かって突き刺さったかのように見えたが‥‥。
──ビシィッ
 レーザーは突然現われたブラック・ブライオー役であるベルシードの手にしたマントによって弾かれる。
「‥‥女性に対してその仕打ち。あまりクールとはいえないな‥‥」
 フッと笑みを浮かべつつ、そう告げるブライオー。

──シーン1−1−3
 そのままブライオーの翻したマントの向うから、走ってくる袴姿の男児が一人!!
──ガシッ!!
 そのままカフーを掴むと、力一杯大地に向かって投げ付けたぁぁぁぁぁぁ
「我輩は夏目・ゴールド・三四郎、坊ちゃんと呼ぶが良いっ♪」
 そう叫ぶと同時に、夏目は着物の襟に手をかける。そしてそれを素早く引いた瞬間、夏目の姿は『シルバー・サンシロー』に変化した。
 ちなみに担当は伊達。
 実に生き生きとしている!!

──シーン1−1−4
「いまだオーガイン!!」
「今よッ」
 仲間たちの言葉を背中に受けるオーガイン役の影山。
 全身に闘志をみなぎらせると、その力を拳に集める。
「くらえっ‥‥オーガイン必殺『高踏破っ!!』」
 説明しよう!!
 やっぱりやめようっ。
──ドゴォォォォォォォォォォッ
 爆風と共に吹き飛ぶカフー。
 そしてオーガインの元に駆け寄る愛。
 かくして平和は訪れた。

──シーン1−2−1
 シュンッ
 突然一本のナイフが飛んでいくと、それはカフーの腕に突き刺さる。
「痛ッ!! 何者ダッ」
 そう叫んだ拍子に、天王寺愛はカフーの腕から逃れる。
「こっちよっ、早くっ!!」
 素早く愛に呼ぶと、そのまま愛の元に駆けていって抱しめるイエロー・サーティーン役の羽曳野。
 そして物陰に走りこむと、素早く抜き身の刃でカフーの腕を切断する謎の助っ人プローレ・タリアン。
 ちなみに今回はクラウド。
「悪いな‥‥あんたの生きざまが、俺の癇に触っただけだ‥‥」
──チン
 名刀『人殺剣』を鞘に納めると、そのままプローレ・タリアンは姿を消していく。

──シーン1−2−2
「やれやれ。またおせっかいヒーローか‥‥」
 斜に構えたような口調でそう告げるのはデラック・ブライオー役の煌。
「おのれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ」
 叫びつつブライオーに向かって走り出すカフーだが、ブライオーはそのまま拳を構えると、一気にカフーとの間合を詰める。
「残骸拳フォス・フォレッス・センス。これが貴様を冥府に送る技だ‥‥」
──ドゴォォォォォォォォォッ
 そのままカフーは塵となってきえていった‥‥。


●ラッシュを見て
 演技テストでの映像を元に特撮CGスタッフが作ったラッシュを見て、参加者は感動‥‥?
「まだ次の審査を受ける人たちもいらっしゃいますので、最終的な結果は後日お知らせします‥‥それでは本日はお疲れ様でした」
 そして一行は交通費を受け取ると、それぞれのプロダクションへと戻っていった。

果たして、この中から合格の烙印を受け、ダイブンゴーとなるものがでるのか?

〜刮目して待て!!