鍛えろ肉体☆轟け銃声中東・アフリカ

種類 ショート
担当 久条巧
芸能 フリー
獣人 2Lv以上
難度 やや難
報酬 4万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 03/08〜03/14

●本文

●戦闘訓練
──とある組織のとあるラボ
 コポコポ
「OI−035の容態は?」
「依然小康状態のままです。それと主任、南アフリカの遺跡から『ヴィジャヤ隊』が新しいコアを三つ回収に成功との事です。まもなくそれは届けられます」
「ふむ。同行していたプロフェサー・ユウキからの報告は?」
「タイプ・アニマル。トカゲ型という報告が」
「ビーストタイプではないのか。珍しいな」
「はい。今回のはまた新しい情報を組み込まれているかと」
──パチッ
「まあよい。それが到着次第、実験に入る。験体は?」
「狼が2人待機しています」
──コツコツ
「ふむ。自ら志願してきたとはかなり勇気があるな‥‥」
「いえ、元WEAのコマンダーです。薬を使って精神を焼き切ってあります。自我はもうありません」
──ガンッ!!
「ん? なんの音だ?」
「生体保護カプセルからです!! まさかっ!!」
──ヴィーーーン、ヴィーーーン
『アラート。OI−35ガカプセルヲ破壊シテ逃亡。アロンダイトトダインスレヴハコントロールセンターニ、残リノ部隊ハOI−35ヲ抹殺セヨ!!』
 このアラートから18分後。
 二つのコマンダー部隊24名が全滅‥‥。

──そして
「カエルンダ‥‥オレハ‥‥カゾクノモトニ‥‥カエ‥‥」
 ドサッ。
「ようやく死んだか‥‥」
「こちらの損害も甚大です」
「新しいデーターも取れた。幸いにも、OA−01の実験体も手に入ったではないか? ダインスレヴの生き残りを至急ラボに。明日届くアニマルタイプ‥‥OA−01の実験体としての処理を行う」


●そして本題
 さて、そんな誰も知らん話はおいといて。
 ここ最近の謎の組織の動きに合わせて、中東のリバーススフィア発掘第2ベースキャンプでは戦闘訓練を行います。
 希望者は荷物一式纏めて現地に向かってください。
 現地では二人の戦闘教官が貴方を優しく待っています。

●今回の参加者

 fa0190 ベルシード(15歳・♀・狐)
 fa0258 夜凪・空音(16歳・♀・蝙蝠)
 fa0356 越野高志(35歳・♂・蛇)
 fa0677 高邑雅嵩(22歳・♂・一角獣)
 fa0683 美川キリコ(22歳・♀・狼)
 fa0780 敷島オルトロス(37歳・♂・獅子)
 fa2268 ザビエール神父(48歳・♂・熊)
 fa2386 御影 瞬華(18歳・♂・鴉)

●リプレイ本文

●鬼だ悪魔だ死神だ
──中東、とある屋敷
 ザーッ
『キャリバーベース応答せよ‥‥』
「キャリバーベースよりクサナギベース、感度は最悪だ。そちらの状況を報告せよ」
──ザーツ
『無事に死体の処理も完了。クサナギフォースはこれよりWEAコマンダーとして、奴等の特訓を開始する』
「了解。引き続き奴等の中に『種(シード)』を受け入れる『器』を持っているかどうか調べて欲しい」
──ザーッ


●巧みなトラップ
──中東、とある廃墟群
 リバーススフィア発掘ベースキャンプにて今回の依頼を受けた一行は、まずは今回の特訓施設である廃墟群へと向かっていった。
 そこで訓練教官であるククル・ヴァインと合流し、まずは午前中の射撃訓練を開始した。
 射撃訓練は実に簡単。
 一定の距離の先にあるターゲットを3発打つ。その時のスコアの合計で成績が付けられるというものである。
 ちなみに1時間の訓練の後テストが開始。
 トータル180ポイント以下は罰ゲームという事になっているようであるが‥‥。
「78‥‥79‥‥82‥‥まあまあという所か」
「ふぅ‥‥完全獣化なら、もう少しいけるかと思ったんだけどねー」
 ベルシード(fa0190)が残念そうに教官にそう呟く。
「まあ、相手が同じ獣人である以上、完全獣化しての戦いはあり得ないだろう? 強制解除されるのが落ちだからな‥‥それでもとりあえずは合格点だ」
 その教官の言葉にほっと安堵するベルシード。
──ズキューーーン
「使いなれない銃はちょっと‥‥でも大丈夫だよね?」
 夜凪・空音(fa0258)が教官に問い掛ける。
「ふむ。75、78、69か。よろしい」
 ちなみに最高スコアは360。もっともそんなスコアは誰が出せるんだと聞きたい。
──ズキューン‥‥ドサッ
 さらに横では、越野高志(fa0356)が銃の反動に耐えられず尻餅を着いている。
「こ、この銃は反動が強すぎます!!」
「それでも馴れて貰う。と、45、42、0。とっとと走ってこーい!!」
 教官の叫びに後押しされて、越野はあわれ罰ゲーム。
 20kgの荷物を背負って5kmのランニングである。
 ちなみに越野の前に、既にザビエール神父(fa2268)がランニング。
 体力には自身のあるザビエールは汗一つかかずにスタートで困った顔をしている越野の元に到着。
「はっはっ。これも基礎体力を鍛えると思ってとっとと走ってこーいっ!!」
 笑いながらも越野に激を飛ばすザビエール。
「まったく。優しい教官は一体どこにいやがるんだよっ!! 右も左もマッチョマッチョマッチョの軍団‥‥女性コマンダーだって筋骨隆々、まったく騙されたって感じだ‥‥」
 罰ゲームのランニングから戻った高邑雅嵩(fa0677)は、大地に身体を横たえて空を眺めつつそう呟く。
「女性教官たちは殆ど南アフリカで遺跡の調査だってさ‥‥残念だな?」
 額から流れる汗を拭いつつ、美川キリコ(fa0683)が高邑雅嵩(fa0677)にそう告げる。
「それにしても熱いな‥‥汗が貯まって鬱陶しいったらない」
 そう呟きつつ、汗で透けているシャツの胸許をタオルで拭うキリコ。
「まったく。ここに異性がいるんだから少しは気をつかえッてぇの!!」
「あら、襲う? いつでも掛かってきな。あたしに力で勝てるんならな?」
 涼しげな表情でそう告げるキリコに、高邑はゆっくりと立上がって再び訓練場へと移動。
──ズキューーーーーン
 次々とターゲットに弾を叩き込んでいるのは御影 瞬華(fa2386)。
「今ひとつ‥‥ですか」
 納得の行かない表情でターゲットを見る瞬華。
 だが、その横で教官はスコープ片手に静かにポイントを読み上げる。
「87、79、101。プロとまではいかないが、いい腕をしている。ただ、ポイントに対しての集弾率が今ひとつ甘い」
「ええ。私もそう思います」
 そう呟きつつも、瞬華はリロード。
 再びターゲット相手に訓練を続けていた。
 その横顔は、普段の瞬華からは想像も付かない。
 鋭く尖ったような感覚を感じさせるその集中力は、やはり天性のものなのであろう。


●午後はまるまる格闘訓練
──午後は体術訓練
 教官との一対一での格闘である。
──ドガッ!!
 射撃訓練ではそこそこにスコアを出した夜凪は逆にノックアウト。
 高邑の元で治療を受けることとなっていた。
 ちなみに格闘訓練では敷島オルトロス(fa0780)とザビエール、キリコの三人はスコアトップ。
 その他のメンバーは全員体力も含めた強化特訓に移行。
 ザビエールとオルトロス、キリコの三人はナイフコンバットも加えた実践モードにスケジュールが移行されていた。

──実践組・ザビエール
 激しくナイフで切りかかってくる教官に対して、オルトロスとザビエールは防戦一方である。
「ダミーナイフとはいえ、当たると痛いぞ‥‥それに、逃げているだけでは、状況は変わらない。お前たちは格闘が得意じゃなかったのか?」
 その言葉に、オルトロスが一気に間合を詰める。
 そして教官の繰り出すナイフに対して、その腕の部分を受けようとしたが、逆にその腕を切り付けられた。
──ドシュッ
 刃は着いておらず、特殊ラバーに染み込んだ赤いインクがオルトロスの腕を掠める。
「素手よりもリーチは若干長い。その間合を掴めないと、本番では首が胴体と泣き別れになるぞ」
 そうオルトロスに激を飛ばす教官。
 そしてザビエールはその教官の言葉にハッとして、体勢を低く取ると、素早く間合を詰めに入る!!
「むやみに突っ込んでくるのは危険だと何度言ったら判る!!」
──ドゴッ
 斬りかかったナイフに対して、ザビエールはカウンターでその腕にアッパーカットを叩き込む。
 さらに!!
──ダン!!
 力強い震脚で間合を詰めると、そのまま肩口から一気に体当たりを叩き込む!!
「食らえ鉄山靠っ」
 間一髪でその攻撃を躱わすと、教官はそのままザビエールの首筋に止めの一撃を叩き込む。
──ビシィッ
「いいタイミングだ。相手の間合を掴む事、特に獲物を持っている場合の敵は、その懐に飛込むのが難しい。間合とタイミングをもう少し掴む練習をするか」
 そののち、ザビエールの絶叫が周囲に響いたのはいうまでもない。

──一方のオルトロスは
 敵はナイフを構えた教官と銃を構えた教官の二人。
 格闘と射撃、この連携を相手にどう戦うかといのがオルトロスに与えられた試練。
 素早く切りかかるナイフを相手にギリギリ野所で身をかわすオルトロス。
 だが、間合を放しすぎると援護射撃が問答無用で叩き込まれる。
──ピシィィィッ
 腹部に着弾したペイント弾が、オルトロスの腹を深紅に染める。
「ナイフで二回、銃で一回。合計3度死んでいるな」
 その教官の言葉に、オルトロスは務めて冷静。
「あと1時間で死ななくなる」
 ニィッと口許に笑みを浮かべつつ、オルトロスは教官に向かってそう吐き捨てた。
「言うねぇ‥‥再開だ」
──シュンッ
 いきなり切りかかって来たナイフを躱わすオルトロス。
 そのまま素早く足払いをしてナイフ教官の耐性を崩すと、素早く後に回りこもうとして。
──ドシュュュュッ
「銃を持っている相手の立ち位置も考えろ。仲間に当たらない場所というものが存在する」
「ああ‥‥もう一度だ」
 さらに熱くなるオルトロスであった。

──一方のキリコは
「いやな感じだな‥‥」
 目の前で対峙している教官との間合。
 それを感じつつ、キリコは次の一手がどう来るか考えていた。
 相手の筋肉の動き、空気の流れ、其の場の雰囲気、そして戦場環境。
 全てが戦闘において重要なファクターとなる。
「さて」
 ボソッと教官が呟いた瞬間、キリコの視界が突然消える。
「目くらましかよっ!!」
 教官が爪先で砂を蹴りあげ、キリコの顔に向かって砂を飛ばした。
 視界を失ったのは10秒程。だが、既に教官は其の場にいない。
「後ろっ!!」
 素早く後方に向かって回し蹴りを飛ばすキリコ。
 だが、そこにも誰もいない。
──ドガッ
 突然後頭部に激痛が走る。
「上だよ‥‥飛行型獣人を相手にした場合の戦闘エリア『空中』も考慮にいれような‥‥」
 蝙蝠状の翼をたたみつつ、教官が言う。


──そして初期訓練チーム
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
 マッチョ教官にリフトアップされ、夜凪は絶叫。
 そのまま大地に向かって夜凪は身体を叩きつけられる。
 持ち前の翼を広げるだけの時間もなく、夜凪は勢いで受け身を取る事となった。
──ズテーーーン
「いったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」
「受け身をちゃんとしないとなぁ。早く次のステップに進まないと、他の仲間たちはもう組み手を始めているぞ」
 そう告げるマッチョ教官の視線の先には、マンツーマンで組み手をしているベルシードと越野の姿があった。
「ハアハアハアハア‥‥まだまだっ!!」
 そう吐き捨てるように叫ぶと、ベルシードは教官に向かって殴りかかる。
 だが、その拳をパシィッと受止めると、そのまま合気で軽くベルシードを投げ飛ばす教官。
「力がないのなら、相手の力を使ってこう。君にはこれを覚えて貰うほうがいいだろう‥‥」
 そう告げると、教官はそのままベルシードに合気の訓練を行う。
 その横では、既にゴムナイフを使って教官と戦っている越野がいた。
──シュシュッ!!
「まだまだ。腰が泳いでいる。もっと重心を安定させて‥‥そうだっ!!」
 教官に指示されつつ、越野は一つ一つの技術をじっくりと頭と身体に叩き込む。
「ふぅふぅ‥‥」
 息が切れ、もう言葉もでないほどの疲労感。それでも越野はナイフを降り続けた。

──一方テントでは
「ふぅん‥‥」
 目の前に広がっているのは様々な武器。
 高邑はまず、全ての武器に精通する事から始めた。
 肉体的な部分については、どうやら『限界』であることを感じた女性教官と話し合い、様々な武器の取り扱いをメインに学ぶ事となった。
「‥‥とまあ、これで一通りのレクチャーは終了。実弾は抜いてあるので、あとは好きにして頂戴」
 そう告げられて、まずは武器の分解。
 そして次にそれを組み立てていく。
 一つ一つのギミックを理解し、それらの動きを知る。
 やがてそれらの武器の特性を女性教官にレクチャーされ、高邑はいよいよ実践モードに突入。
 肩から対戦車ライフルを下げ、両手にはシュツルムファウストと呼ばれるグレネードランチャー。
 背中には分解式の様々な武器が納められており、それらを手に女性教官と共に武器取り扱い特訓開始っ!!


●そして模擬戦闘
──翌日・廃墟群
 模擬訓練はとあるルールで行われる。
 参加者達のチームを二つに分け、教官率いるチームとの対戦を開始。
 武器は自由、但し銃器は総てペイント弾とし、ナイフなどは刃をゴムに切替えたものを使用。
 相手の急所部分に一撃でも与えられたらそこで死亡。
 目標は一つ、教官達の守っている旗。
 それに一撃でも与えられたら終了である。
「さて‥‥と、チーム割りはこれでOK。あと30分後にスタートですね」
 ベルシードが廃墟の外で待機している仲間たちにそう告げる。
「ああ。教官達の位置もまったく判らない。それこそ、自分達の能力を駆使する必要があるか」
 オルトロスが静かにそう呟く。
「まあ、飛び道具がきたら、我が輩がこの肉体で楯となろう」
 バシィッと拳を鳴らすザビエール。
 その頃キリコ、ベルシード、瞬華、夜凪の4名は全員が武器のチェック。
 全ての準備が完了したら、一斉に突撃開始。

──廃墟では
「‥‥ターゲットはいまだ確認できず‥‥か」
 越野が静かにそう呟く。
「シッ‥‥何処にいるか判らないんだ‥‥」
 そう制する高邑。
──ピタッ
 ふと突然、オルトロスとザビエールの二人が脚を止める。
 その後方では、女性+1のシューティングチームがこっそりと待機。
──ガバァァァァァァッ
「甘いぞっ!!」
 突然建物の上から飛来する3名のコマンダー。
 そのうちの一人の腕を掴むと、オルトロスはそのまま力任せにコマンダーを壁に叩きつけた。
「どりゃぁっ!!」
 さらにザビエールもまた、切りかかってきたナイフをギリギリで躱わし、そのまま腕を掴んで懐に飛込む。
──ドゴッ
 そのまま拳をそっと当てる。
「これで一人死亡である」
 そう告げた刹那、後方からキリコ達が武器を捨てる音が聞こえる。
「‥‥はい、こっちはギブアップ。それより後からとはいい腕をしているわね」
 どうやら後方から完全武装のチームが回りこんできたらしい。
「君達の所属は? ここにいた筈のコマンダー達は?」
 ふと、後から聞こえてきた声に、一行は頭を傾げる。
「ちょっと待って下さい。私達はベースキャンプから特訓の為にここに移動してきたんです。いまだって、模擬戦等の最中‥‥貴方たちは誰ですか?」
 そう問い掛ける瞬華に、ようやく事情を理解したオルトロスがコマンダー達に話し掛けた。
「我々はウェンリー教授と共に発掘を手伝っていた。今回は自分を鍛える為にこの訓練に参加したのだが、何か問題が有ったようだな‥‥」
 そう説明すると、コマンダー達はようやく銃を降ろす。
「ああ、この先にある洞窟で、コマンダー達の死体が確認された。この廃墟群で君達に訓練を付ける筈だったククル・ヴァイン訓練教官も一緒に。君達は、ここで誰に訓練を付けてもらったんだ?」
 そう問い掛けられて、一行はまさに背筋が凍り付く思いである。
「ま、まさか‥‥」
 ゴクッと息を呑む夜凪に、ザビエールが静かに肯く。
「どうやら、クサナギ・フォースとかいう輩であろう。一体何の目的で‥‥」
 それ以上の言葉はない。

 一行はそのままのコマンダー達と其の場をあとにした。

──Fin