本能〜魂の赴くままに〜中東・アフリカ
種類 |
ショート
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担当 |
久条巧
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芸能 |
フリー
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
不明
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/13〜04/17
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●本文
中東・エジプトで起こった『リバーススフィア』の発掘。
最初に発掘された遺跡をもとに、WEAでは現在幾つかのリバーススフィアを確認、急ピッチでその調査を行なってきました。
ですが、クサナギフォース、そしてキャリバーフォースと名乗る謎の組織により、幾度となく発掘を阻止され、多くの同胞の命が散っていきました。
現地責任者であるウェンリー・ジョーンズ教授もこの事についてはエジプト支部に援軍を要請し、これまでに『帯』と呼ばれる3つのスフィアの調査を行なってきました。
しかし、そこから先はまだ手付かず。
『リケルのスフィア』はどうやら敵の手に落ち、そして『特使』を名乗る謎の獣人『ペルル』の出現と、事態は急転直下の兆しを見せてきました。
いままで発掘されたものは水晶のリバーススフィア。
その中心には『スカラベ』と『ホルス』の刻印が施されています。
調査の結果、それらはオーパーツである事が判明したものの、それをどう扱うのか、それを知る術は現在はありません。
さて。
このような状況下で、皆さんはどう行動しますか?
皆さんに与えられた時間はほんの5日。
その貴重な時間を貴方はどうしますか?
●リプレイ本文
●とりあえずは惨劇から
──とある酒場
「成る程ねぇ‥‥この発掘ベースでそんなことがあったのか‥‥」
越野高志(fa0356)と白鳥沢 優雅(fa0361)の二人は、WEAよりの情報屋から様々な情報を入手し、この現地でフリーの情報屋を探し出すと、彼との接触に成功していた。
ジョニー・ジョーカー(fa3096)もまたそこに合流し、そこで情報屋から色々な情報を聞き出そうとしていたのである。
まずは情報屋に今までのいきさつを説明すると、ようやく越野は本題に入る。
「クサナギフォースについて知りたいのですが」
そう問い掛けたとき、情報屋の耳がピクッと動く。
「それは何者だい?」
(ふぅ‥‥この人は知っているようですね‥‥)
とぼけた口調でそう告げる情報屋に、越野は心の中で静かに舌打ちする。
「まあ、知っているといえば知っていますけれどね‥‥」
何かを含んだ言い方をする情報屋。
「おいおい、本当かよ。テキトーな事フカシて金だけ取ろうって魂胆じゃねえか?」
ニィッと笑いつつ、ジョニーがそう告げる。
「私は情報屋でこの道を生きてきたんですよ? それを疑うと?」
「じゃぁ賭けようぜ! アンタの言ってる話がマジなら5万くれてやるよ!」
そのジョニーの言葉に、情報屋は満足。
(ちょ、ちょっと待ってください!! 5万って払えるんですか?)
そう越野が問い掛けると、ジョニーはニィッと笑う。
(5万円程度安いものだろう?)
(ここはエジプトですよ。円なわけないですね‥‥エジプトポンドで5万とは大金ですね‥‥)
越野と白鳥沢がそう告げた瞬間、ジョニーの顔色がサーーーーーーーーッと青くなる。
えーと、ちなみに説明しましょう。
5万エジプトポンドは日本円で大体『100万ちょい』。
ベースキャンプのあるエリアでは、かなりの金額ということに。
そしてその表情を見て、白鳥沢がやれやれという表情を見せる。
──ゴトッ
ポケットからハンカチで包まれた何かを取り出すと、それをテーブルの上に広げ、小さな指輪を静かに置く白鳥沢。
今回の情報収集の際に使って欲しいとシャローン・テンプル女史が越野達に手渡したものである。
「情報料はこれで間に合うかな? さっきの5万エジプトポンドよりはあると思うが」
「ほう、いい指輪だねぇ‥‥クサナギフォースね。リバーススフィアの発掘ベースを襲ったっていう奴等だな。今は『リゲルのスフィア』に駐留しているぜ。『サイフのスフィア』には別働隊が向かって調査していたらしいが、今はそこから撤退しているな」
「撤退?」
リゲルにクサナギフォースが駐留しているというのは予測が着いていたが、『サイフのスフィア』に別働隊がいるというのは初耳である。
「ああ。撤退。なんでも、そこにいた一人の研究員が、大切な何かを盗みだして逃亡したらしい。それを追いかける為に、其の場の駐留部隊全てが追跡任務についたらしいぜ。そしていまだその研究員は消息不明と」
そう告げると、情報屋は指輪を静かに手に取る。
「クサナギフォースの戦力は?」
「輸送ヘリが2、サンドバギー6、オフロードバイク6、輸送トラック3、それとクサナギフォースのメンバーが18人というところだな。装備は全て『次世代統合型歩兵戦闘システム』っていう奴を装備している。まあ、アメリカの『ランドウォーリア』みたいなものだと思ってくれればいいか」
そう告げられて、越野は頭をフル回転。
白鳥沢はやれやれと言った表情で情報屋を見ている。
「僕達に軍の特殊部隊を相手に出来る力があると?」
そしてようやく越野がランドウォーカーの情報を知識の端から引きずり出したとき、全身に寒気が走った。
「白鳥沢さんの言うとおりです。その戦力に対して、私達は装備もろくに無い‥‥」
「神は僕達に試練を与えて下さった‥‥けど、これは試練なんてもんじゃないっ!!」
「まあ、民間人は黙っていたほうがいいって事だろうぜ」
それだけを告げると、情報屋は静かに立上がると、店の外にゆっくりと歩き始めた。
そして越野と白鳥沢もまた、ゆっくりと立上がると情報屋の後に着く。
必要な情報は得た以上、それを仲間たちの元に届けるのが越野の仕事。
だが。
──ブシャァァァァァァァァァァァァァァッ
酒場の外に出た情報屋の頭部が突然炸裂した。
周囲に大量の血と脳漿を飛び散らせつつ、男は其の場に崩れた。
(口封じですか‥‥やはりまだなにかあるようですね‥‥)
そう呟きつつ、越野と白鳥沢は素早く建物の蔭に隠れると、そのまま裏路地を走りつつ仲間たちの元へと向かっていった。
●ということで
──話が早いぜリゲルのスフィア
ちなみに、現在まだ越野、白鳥沢、ジョニーは他のメンバーと合流していません。
何が起きたのかはまた後程。
ベースキャンプを出発したベルシード(fa0190)、美川キリコ(fa0683)、敷島オルトロス(fa0780)、御影 瞬華(fa2386)の4名はひととおりの打ち合わせを終えてのち、リゲルのスフィアへとやって来ていた。
「米軍の輸送ヘリが2機と車両か‥‥」
双眼鏡でリゲルのスフィア近辺にある発掘ベースを眺めているのはオルトロス。
「あそこに『ペルル』がいるのは間違いがない。となると、あとはどうやって合流するか‥‥」
後で待機している仲間たちにそう告げたとき、前方からオフロードバギーが1台走ってくる。
──ズキューーーーーーーン
そのバギーの上から、一人の獣人がライフルを構え、オルトロスに向かって威嚇射撃を行う!!
それはオルトロスの顏を掠めると、真紅の筋を頬に刻み付けた。
「どこの所属の者だ!!」
怒声にも似た声でそう叫ぶ兵士らしき男に向かって、オルトロスは驚く様子もなく、頬に滲む血筋を指に取るとペロッと舐めてこう一言。
「下っ端には用事はない。ペルルに伝えろ。『WEAエジプトの特使』だとな!!」
その言葉の刹那に、バギーは後に向かって引き返す。
そして10分後。
今度はペルルが自らバギーで迎えに来た。
「やあ、特使の皆さん。お久しぶりですね‥‥とりあえずはこちらに‥‥」
そう告げられてペルルの後をついて行く一同。
敵ベースキャンプの中に案内されると、一つの天幕の中に通される。
(うっわー。民間レベルでは入手不可能な装備着けているわ‥‥)
(これがあたしたちの敵か‥‥成る程ねぇ‥‥)
(一つ手合わせを願いたいな。これだけの猛者がいるのなら)
(ああっ‥‥最新型のペイロードライフルにあっちは特殊誘導ロケットプレデター。ああ、対戦車ミサイルまで!!)
えーっと。
以上、敵ベースキャンプを移動中のベルシート、キリコ、オルトロス、瞬華でした。
「さて、ここにきたということは当然何か目的がある筈ですよるね?」
頭の上にチョコンと生えている耳をピクピクと踊らせ、尻尾をパタパタと振りつつペルルがそう告げる。
そして椅子に座ったペルルに対して、瞬華が懐から小さな水晶のピラミットを二つ、テーブルに置く。
「必要なものは情報。こちらから提示できるのは二つのスフィア。そちらにとってこのスフィアの価値が判って居るのなら等価交換といきませんか?」
ニコリと微笑みつつ、そう告げる瞬華。
「等価交換ねぇ。いいでしょう。何を知りたいのですか?」
「えーっと、まず貴方はフランス人?」
ベルシードのその問い掛けに、ペルルはキョトンと瞳を丸くする。
「え、ええ‥‥そうですが‥‥」
呆気に取られているペルルに対して、さらに軽い牽制。
「リケルのナイトウォーカーは何者なの?」
「ああ、遺跡に眠っていたタイプですよ。皆さんもナイトウォーカーについてはある程度は知っていると思われますけれど、彼女は特別です‥‥完全人型タイプ、ナイトウォーカーとしての特徴は額に着いているコア一つのみ‥‥擬態というかなんというか‥‥まあ、兎に角強いんですよ‥‥」
そう告げたとき、ペルルの耳がそわそわと動いているのをオルトロスは確認した。
(妙に落ち着きが無いな‥‥)
「スフィアだけれど、このまえは確か僕達の手に余ると言ったけど、それじゃあ君達の手には余らないのかな? 大方、実験に失敗ばかりして余計な被害を多く出しているんじゃないの?」
そうベルシードが問い掛けたとき、ペルルの耳がピンと立つ。
「制御は難しいからねぇ‥‥でも、幾つかの完全制御タイプは完成しているんだ。いや、完成していたといった方がいいか‥‥」
「していた? ココにはないのか?」
そうキリコが問い掛けたとき、ペルルは困った表情をしてみせる。ちなみに耳はピンと立ったまま。
「担当研究員が盗みだして逃走。大切な『スフィアシード』のはめ込まれたブレスレットを持ってね‥‥」
(成る程。嘘をつけない耳だな‥‥)
ペルルの耳がそのまま感情を表わしているのをオルトロスは理解したようである。
「その融合実験の結果は?」
キリコがそう問い掛ける。
「今のところ、融合実験では3つのタイプが確認されている。一つは動物型、コードはOA(アウトキャスト・アニマル)。融合後は特徴を持った獣人というか、まあそんな感じ。一つは獣型、コードはOB(アウトキャスト・ビースト)。ナイトウォーカーの特徴を持った獣人って所だね?」
耳がピクピクと躍っている。
「そして最後がOI(アウトキャスト・インセクター)。融合実験で完成したブレスレットには、こいつのデータが入っているんだ‥‥。昆虫の特徴を持った獣人って所?」
「そのために、多くの人体実験を繰り返したと?」
「まあね‥‥」
「盗んだ研究員の名前は?」
「Dr.ジョージ・ユウキ。組織の中でもトップクラスの科学者ですよ。口癖は‥‥ああ『私の科学力は世界一』だったかな? 今頃は部隊の者たちが回収していると思いますけれどねぇ‥‥」
そう告げてから、暫くは普通の会話が続いた。
やがて話が終ると、4人は敵ベースキャンプを後にした。
組織自体は知ることが出来なかったものの、それなりの収穫はあったようで‥‥。
──一方、とある街のさらに下町
「ハアハアハアハア‥‥」
域を切らせつつ、越野が窓の外を警戒している。
あのあと。
白鳥沢と越野、そしてジョニーの3名は敵部隊の襲撃を受けていた。
部隊名は『ゲイボルグ・フォース』。
どうして襲撃を受けたのかというと‥‥
「もう私のことは置いていってください。関係のない貴方達まで殺されてしまう‥‥」
そう呟いているのはDr.ジョージ・ユウキ。
あの後で、敵組織に襲われているドクター・ユウキをジョニーが助けに入った事で騒動が大きくなった。
ちなみにドクター・ユウキは右腕を肘から切断されているという大怪我をおっている為、急いで仲間たちの元に戻って手当を受ける必要が有った。
「ここまで巻き込まれた以上、そうも言っていられませんよ‥‥」
「‥‥気配が消えました。今のうちです!!」
越野に続き、周囲を警戒している白鳥沢がそう告げる。
と、一行はそのまま建物から飛び出すと、近くに泊まっていた車を拝借して一気にベースキャンプへと帰還成功!!
●そしてエジプト支局
「それではエジプト支局に向かいましょう、高邑さん。エジプト支局でのデーターベースの管理は私が責任者になっていますので、私がいないとデータは見られませんから」
そう告げられて初日、高邑雅嵩(fa0677)とシャローンはエジプト支局に赴いていた。
「‥‥なんだよこれは‥‥」
支局の情報処理室。
それをじっと操作している高邑が、今までのエジプトでの動向を一つ一つ念入りに調べていたとき、あるキーワードが幾つか発見する事に成功した。
そのキーワードは
『WEAPON』
一体何を意味するのか、隠された何かを調べていた高邑だが、突然支局のデーターベースが暴走を開始。
全てのモニターが真っ赤に輝くと、WEAPONの文字が次々と浮かび上がっていく。
「システムの強制ダウン!! 外部から何者かがハッキングして来たわっ!!」
シャローンがそう叫ぶと同時に、他の局員が次々とマシンをダウンさせる。
「ふう。どうやら一筋縄ではいきそうも無いということか‥‥」
得られた事実はこれ一つ
でも、それがかなり重要である事を、高邑は理解した。
〜Fin