命懸け〜本能のままに〜中東・アフリカ
種類 |
ショート
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担当 |
久条巧
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芸能 |
フリー
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獣人 |
3Lv以上
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難度 |
難しい
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報酬 |
不明
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
04/27〜05/01
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●本文
さて。
敵組織との接触に成功し、『種(スフィアシード)』の持つ真実を知ることが出来た一行。
いまだ敵組織の全容は掴めず、事態は好転の道をたどろうとはしない。
「メインシステムのバックアップ使って!! ワームの可能性もあるわ‥‥」
エジプト支局での事件。
敵組織についての情報をデーターベースにて検索。
その時見つけた謎のコード『WEAPON』。
外部からの強制ハッキングによるデーターベースの崩壊と、事態は急変していく。
情報屋から得た情報を仲間たちのもとへと伝えようと動きだす。
だが、目の前で殺された情報屋、そして自分達も狙われているさ中、敵組織に襲われている人物を発見する。
「大勢で一人を襲うとは一体どういう了見だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
特殊部隊『ゲイボルク・フォース』に牙を剥く一行。
だが、その圧倒的な戦力さに、撤退を余儀なくされる‥‥。
そして、保護した科学者『ドクター・ユウキ』のもたらした一つの真実。
「これは『シード・バンクル』。OI(アウトキャスト・インセクター)についての情報が刻まれている『NW(ナイトウォーカー)のコア』がはめ込まれています。同調融合できるのなら、より強力な力を得る事が出来ますが‥‥成功率はコンマ05以下です‥‥」
全てはこれから始まる。
そしてその頃。
「さて、そろそろ『彼』にも目覚めてもらいますか。実験にはちょうどいいでしょうからねぇ‥‥」
耳をぴくぴくと動かしつつ、とある遺跡最下層でペルルが呟いた。
●リプレイ本文
●それぞれの思い、それぞれの信念
──ベースキャンプ→リゲルのスフィア
『あと少しでリゲルのスフィアね。そっちは大丈夫?』
『ええ、なんとか‥‥それにしても、熱いわね‥‥』
それはベルシード(fa0190)とベアトリーチェ(fa0167)の二人である。
今回、彼女達はとある目的の為にリゲルのスフィアへと向かっていたのである。
とにかくこの日は暑かった‥‥。
けれど、その汗もすぐ煮詰めたくなるような感覚が、この後二人を襲った‥‥。
──リゲルのスフィア・キャリバーベース
「おやおや、今日は二人きりでどのようなご用件ですか?」
パタパタと尻尾を振りつつ、早足で駆けてくるのは特使・ペルルである。
ここにくる途中でキャリバーフォースの襲撃を受けたものの、すぐにペルルに連絡を取ってもらった為になんとかここまでやってきたのである。
「本日は交渉にやってきました」
そう告げるベルシードをテントに案内すると、ペルルは副官を横に座らせて静かに話を聞き始めた。
「交渉ですか?」
「ええ。私達の提供出来るものは、ここの地下を徘徊している『リケルのナイトウォーカー(NW)』の討伐に対して共同戦線。そちらから提供して頂くのは『ユウキ博士の身の安全の保障』というのはどうでしょうか?」
そう告げたとき、ペルルの耳がピクッと反応する。
「つまり、WEAではすでにユウキ博士の身を保護しているという事ですか‥‥」
そう告げるペルルに、ベアトリーチェが静かに肯く。
(どうせ、この前の襲撃部隊から報告は入っているんでしょうけれどね‥‥)
心の中でそう呟くベアトリーチェ。
「地下にNWという危険な爆弾を抱えたままでは、リケルの調査も満足にいくものではないはずでは? 一緒に戦えばこちらの力もわかってそちらには好都合ではないかとおもわれますが」
そう告げると、ベアトリーチェは一拍おいて一言。
「あくまでもNWを倒す為の協力なので、その後での調査などはそちらに任せて邪魔はしないようにこちらはすぐに撤退することをお約束しますわ」
その言葉に、ペルルは静かに肯くが、ふと何かを思い出した。
「ドクター・ユウキがそちらにいるということは、シードバンクルは回収済みで?」
「ええ。今回の交渉が成立するのでしたら、回収したシードバンクルはお返しします」
そうベルシードが告げると、ペルルは1度テントから外に出て行く。
「うまく行くかしら?」
「運を天に任せましょう?」
ベアトリーチェの呟きにベルシードがそう告げる。
──そして10分後
テントの外が騒がしくなってくる。
「‥‥まさか‥‥」
「多分」
そう二人が肯くと同時に、ペルルがテントの中に戻ってくる。
「キャリバーベースのチーフコマンダーとの協議の結果をお伝えします」
尻尾をパタパタと振りつつ、にっこりと笑いながらペルルがそう告げた。
──バッ!!
突然テントの入り口が思いっきり開かれると、外から突撃銃を持った兵士が飛込んでくる。
「交渉は決裂です。ドクター・ユウキがそちらのベースにいるというのであれば、我々は全力を持って奪回に向かいましょう。地下のNWはそのまま徘徊させておいてもいいでしょう。こちらとしても貴重な実験体ですし‥‥ほうっておいても、やがてそちらの気配に気が付いて貴方たちのベースを襲うでしょうからねぇ‥‥」
そう告げるペルルに、ベアトリーチェが叫ぶ。
「どういう事なのっ?」
「ああ、言ってありませんでした? 『全てのスフィアを繋ぐ地下回廊』の存在。ちょうどオリオンザのラインと同じに作られている為・私達は『オリオンライン』と呼んでいます。そこを伝っていけば、他のスフィアにもたどり着けるという事ですよ‥‥まだ調査中ですけれどね」
そう告げると、ペルルは指をパチッと鳴らした。
──ガシャガシャッ
一斉に銃が構えられる。
「では、貴方たちの一人には捕虜になって頂きます。もう一人には死体になってもらって‥‥そうねぇ‥‥WEA支局にでも送り届けてあげましょう」
そう告げつつ、一人の女性が入ってくる。
「サー・プラティーヌ。では貴方の命ずるままに」
うやうやしくその女性にそう告げると、ペルルはにぃっと笑った。
(右に走ればバイク)
ベルシードがそっちに目配せしたと同時に、二人は一気にテントの右に向かって飛び出す。
「ははっ☆ にがしませんよー」
そう後ろで叫ぶペルル。
銃撃音が響き渡り、ベルシードとベアトリーチェは彼方此方に銃創による血のにじみが作られる。
それでもどうにかベースキャンプへとバイクを走らせていった。
●二人のドクター
──ベースキャンプ
沈み行く夕陽を眺めつつ、ドクター・ユウキが何かを考えている。
「さて、それじゃあドクター、貴方に色々と教えて欲しいのです」
それは越野高志(fa0356)。
右腕の傷がまだ癒えてはいないものの、ドクター・ユウキがベットから身体を起こすことができるようになった為、ようやく本格的な話し合いが始まったようである。
「ええ」
「では最初に‥‥何故サイフから逃走したのですか?」
そう問い掛けたとき、ドクター・ユウキの表情が曇っていった。
「‥‥私が行なっていた研究全てが、本来の目的ではない、別のものであると判ったから‥‥だから、あれ以上組織に留まっていると、私自身が危険になると判断したから」
「では、ドクターはどの様な意志で、どんな目的でNWとの融合を研究していたんじゃ?」
そう問い掛けたのは鬼王丸・征國(fa0750)。
「元々は、シードに眠っている情報の解析が私の仕事でした。シード、即ち亜種NWのコア。それを古き人々は何等かの方法で、獣人が受け入れられるように情報をリライトしていたのです。その結果、NWと融合した獣人は、新たな力に覚醒する。例えば、君のような獅子型獣人の場合、金剛力増によってさらに強靭な筋力を身につけることができるようになるだろう?」
そう敷島オルトロス(fa0780)に問い掛けるドクター・ユウキ。
「ああ。確かにな」
「けれど、融合後の金剛力増は、例えだが約1tもの石の塊すら、軽く持ち上げられるようになる」
「その力を使って、世界中の様々な遺跡を作りあげたっていこと?」
美川キリコ(fa0683)がそう問い掛ける。
「まだ全てとは断定できませんが。その力を有効に使えるように、私はシードの研究を続け、様々な調整を施したコアをラボに送り出していました」
そう告げたとき、御影 瞬華(fa2386)がゆっくりと口を開く。
「けれど、作り出したコアを別の目的で使っていたと‥‥」
──コクリ
「事実、私も一つ、シードバンクルを使っていました。数少ない融合の成功例の一人が私です。ですが、コアとの融合は、計算よりも驚愕するデータを得る事が出来たのです。それを知ったのがサイフのスフィア。私と同じ融合体が3名、あの地にて、封印されていたNWの解析を行なっていたのです‥‥そして目覚めたNWと‥‥」
そう告げると、言葉を紡ぐのを止めてしまった。
「NWをどうしたのですか?」
「戦闘状態に入り‥‥だが、返り討ちにあって‥‥ベースに対しての報告では、『失敗か』と。私は戦う為に、そんな目的でシードバンクルを開発したのではないのです。そのため、其の場に持参していた残りのシードバンクルを持って逃走したのですが、ゲイボルグフォースにおわれ‥‥この腕は、その時の戦いで失ってしまいました」
「種、つまりスフィアシードと呼ばれているものはまだあるのですか? それは他に何処で発見されたのでしょう。種の解凍方法など、色々と知りたいことがありすぎます‥‥」
越野がゆっくりと問い掛ける。
「この世界、様々な遺跡でそれらは発見されたという噂を聞いています。WEAPONのオーパーツ調査部隊は、そのために作られたものであると言っても過言ではないでしょう」
「NWとの融合は、NWを使役する技の奥義とのことだったが、組織では使役の実験は行われていたのか?」
「ええ。NWはさらにその上位の存在に従う‥‥昆虫で言う『蟻』のような存在ではないかという仮説があります。それらを考えうるに、可能ではないかと‥‥ですが、それは地下を徘徊する『母体』との接触で失敗と判りました」
様々な言葉が飛び交う。
「その母体、つまり『彼女』ですが、組織の制御下にあるのでしょうか? 組織がリゲルを離れられないのは、或いは彼女の扱いに困ってのことでは?」
「それはありませんが、私が知る限りでは、彼女の捕獲が最重要かと?」
「リゲルの彼女なら『左足』といったように、各封印NWはスフィアに対応した各部位の強化パーツになるとか?」
「近いです。母体はその殆どの力を失っています。というのも、その力は全て、種の中に封じられ、それを封印する為にリバーススフィアが創られたという事です。全ての種が彼女の元に集められた場合、どの様なデータがはじき出されるのか、それが知りたいのでしょう。私がこの地に派遣されたのも、そのデータを調べ、解析する為と言われていますから‥‥」
そう告げられたとき、キリコが目の前に置かれているバンクルを 一つ手に取る。
「コレって取り外せば同調融合から解放されるもんなの?」
「中央のコアに強い衝撃を与えたら、変身は解除されます。もっとも、完全変身した場合、コアの上に薄い生体装甲が作られますので、ちょっとやそっとの衝撃では‥‥」
そう告げたとき、敷島オルトロス(fa0780)がバンクルを手に取る。
「まさか‥‥お主、同調するんかぁ?」
鬼征がオルトロスにそう問い掛ける。
「ああ。実際に試してみないと、その力を知ることは出来ないからな‥‥もし何かあったら、あとは頼む。
そう告げると動じに、オルトロスは完全獣化モードに入る。
──そして実験
「さて‥‥それじゃあ‥‥変身(トランス!!)」
そう叫ぶオルトロス。
と、突然オルトロスの全身が輝き始め、腕や脚の筋肉が奇妙な煽動運動を開始した。
「ぐっ‥‥こ、こいつは‥‥」
オルトロスの意志とは関係無く動き始める筋肉。
それは表皮を内部から切り裂き、筋繊維が皮膚から剥き出しとなる。
そして激しい煽動を続けつつモ、その表面に甲虫のような薄い装甲を形成していく。
──グッ‥‥グァァァァァァァァァァァァァッッッッ
口許から粘性の強い体液を垂らし、全身を押さえつけようとするオルトロス。
やがて、全身が甲虫のごとき硬質の殻に覆われ、その頭部もまた褐色の甲羅の中に埋まりつつある。
頭部には二つの巨大な瞳。
そして巨大な角。
全身を茶褐色の装甲に包まれ、背中に形成されたばかりの半透明の翼が、ゆっくりと装甲の中に包まれていく‥‥。の
「オルトロス‥‥聞こえる?」
キリコがそう呟いた刹那。
──ベキバギハギッ!!
その肉体が後の壁を突き破り、砂漠の外に放り出された。
口から血を吐くキリコ。
オルトロスの腕の一振りで、いきなり肋骨を6本粉砕された。
『フーーッ、フーーーッ』
口から言葉にならないなにかを 吹き出しつつ、全身を押さえるオルトロス。
「ダメです!! 急いで融合解除を!! 敷島さんの肉体では『まだ』制御ができないようてすっ!!」
ドクター。ユウキの叫びに、越野が素早くホルスターから銃を引き抜く。
「すみませんっ!!」
──ドゴオオッ
その弾丸は明らかに心臓を直撃した。
だが、それは皮膚を貫通することなく、弾け飛んだのである。
「下がって!!」
素早く越野と入れ代わる瞬華。
その手にはオートライフルが握られている。
そして一気に間合を詰めると、オルトロスの頭部に銃口を付ける。
「5.56mm×45口径‥‥最大初速1100m/s。装弾数36の特製対NW用フルメタルジャケットよ‥‥」
──ガガガガガガガガガガガガガガガガガッ
普通のNWならば絶命しているであろうその威力すら、今のオルトロスの装甲は弾き飛ばしてしまう。
「ちぃとやれんことになったわ‥‥まあ‥‥」
広島弁で鬼征が呟くと、そのままオルトロスの右腕、バンクルの『まだ剥き出しになったままのコア』に向かって『集水流弾」 を叩き込む。
──プゥン‥‥
突然オルトロスの全身が揺らぎ、その肉体に激痛が走る。
そして強制融合解除。
その皮膚はズタズタに引き裂かれ、筋繊維や筋もまたボロボロ。
意識も喪失したまま、敷島とキリコは急いで医療班に運ばれていった。
シャローンの能力により、どうにか怪我は戻っていくオルトロス。
しかし、あの融合の恐怖を、その魂に刻みこまれていった。
●禁じられたパスワード
──エジプト支局
高邑雅嵩(fa0677)とシャローン・テンプル。
「私達WEAの支局にあるデーターベース。これにアクセスすることなんて、そうそう出来ない筈なんだけれど‥‥」
「それも『WEAPON』の力‥‥か。まてよ?」
ふと、高邑が検索ワードを打ち込み始める。
‥‥検索ワード『WEA』‥‥
‥‥‥‥‥‥
‥‥‥‥‥
‥‥‥‥
‥‥‥
‥‥
‥
‥‥『the World Entertainments Association(WEA:世界芸能協会)』
「ははーん。シャローン女史、キーワードの頭の3っつはこれっぽい感じだな」
トントンとモニターを叩く高邑。
「WEAPONの最初の三つ、WEAは俺たちの組織の略号と一致する。まあ、この場合は芸能の方ではなく、こっちのほうだな」
──ガシャガシャッ
‥‥the Werewolf Exchange Association(WEA:狼男交流協会)』
「‥‥とすると、のこりの三つは? PONはなんの略号?」
「さあな‥‥これからそれを色々と調べないとならねぇし‥‥にしても、PONって間抜けな響だよな‥‥」
〜Fin