神霊装甲 仮面の道化師アジア・オセアニア

種類 ショート
担当 緑野まりも
芸能 2Lv以上
獣人 1Lv以上
難度 やや難
報酬 3.1万円
参加人数 8人
サポート 0人
期間 03/18〜03/22

●本文

「おはようございます!」
「おはよう」
 ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』の収録スタジオ。今日は、ある人気声優が打ち合わせにきていた。
「池内さん、これが台本になります」
「ありがとう」
 男性声優、池内秀忠(57歳)。アニメの大手プロダクション『サンシャイン』制作の有名人気ロボットアニメである『軌道戦記』シリーズでは、人気キャラ「仮面の男」を演じ、一躍人気声優となった。その後も、多くの作品で人気キャラを演じているベテラン声優である。
「役名はトリックスター。謎多き仮面の男という役柄です」
「なるほど‥‥」
 渋くクールで落ち着いた声は、大抵のアニメ世代には一度は聞いたことがあり、熱狂的なファンも多い。秀忠は、説明された役柄に苦笑しつつも、承知したように頷いた。それは、彼にとって典型的な持ちキャラであったからだ。
「それで、やはり今回も裏のあるキャラなのだろう?」
「え、ええ、まぁ、そういうことです」
 本来は気さくで後輩の面倒見も良い人柄なのだが、「仮面の男」を演じてからは「優秀だが、何かしら裏のあるキャラ」が回ってくることが多くなった。一時期それを不満に思ったこともあったが、いまでは自分の中でも「池内キャラ」として確立できているようだ。
「わかった。では、そういう感じで演じさせてもらうよ」
「はい、よろしくおねがいします」
 頭を下げるスタッフに、ニコリと温和な笑みを浮かべる秀忠。本当に、本来の彼は、人当たりのよい気さくな男性なのであった。

●ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』
・作品概要
 戦いの世界ヴァルハラへと召喚された現代人たちが、この世界で起きている戦い「ラグナロク」にいやおうなく巻き込まれていく物語。
 召喚された現代人たちは、それぞれが戦士の魂を持つ者であり、「魂の騎士(スピリットナイト)」と呼ばれる存在であった。彼らは、「神霊装甲(スピリチュアルアーマー=SA)」という巨大人型ロボットを託され、ヴァルハラに存在する国々の戦士として戦いを強要されることになる。

・世界設定
ヴァルハラ 我々の世界と対になる魂や精神が具現化した世界で、精神力(心の強さ)が力となる世界。絶えず争いが起きていることから、戦いの世界とも言われている。この世界には、それぞれアース神族、ヴァン神族、巨人族という三種族が国を作っており、それぞれがそれぞれの国と争っている。

神霊装甲 アース神族、ヴァン神族が巨人族に対抗するために、それぞれ独自の技術によって作り出した人型戦闘用巨大装甲。操縦者が乗り込み、意志の力によって操縦する。通称SA(スピリチュアル・アーマー)。

SAフレイ ヴァン神族の作り上げたプロトタイプSA。意志力によって複数の剣を飛ばし、自由自在な遠隔攻撃を可能にするソード・オブ・ヴィクトリーを持つ、ヴァン神族の切り札。その存在はいくつもの謎に包まれており、オーバーテクノロジーによって作られているといわれている。まるで炎に包まれたかのような、燃えるような赤いボディが印象的なSA。二人乗りで操縦と武装を分けて行う。パイロットはヴァン神族の双子の姉妹レイとリア。

SAスキールニル ヴァン神族の量産型SA。基本性能は低いが、肩に積んだ二門のオーラキャノンで、遠距離攻撃を得意としている。

SAロキ アース神族のプロトタイプSAの一つ。高い運動性能と、周囲に溶け込む迷彩ステルス機能を持つ隠密性の高い機体。戦闘でも、近接遠距離ともに優れた戦闘力を持っているが、薄い装甲や稼働時間に難があるため扱いづらい機体となっている。また、様々な特殊機能が備わっているそうだが、そのほとんどが不明。ボディの基本色は黒。アース神族の上級仕官トリックスターの専用機。

SAヘーニル アース神族の汎用量産型SA。性能は低いが、整備が楽で稼働率も高く、一般兵士用として使用されている。装備を変更することによって、様々な用途で用いることができ、通称「足長(あしなが)」と呼ばれる。

アース神族 神の国アスガルドを首都に持つ、好戦的な種族。力(精神的に)が強く、謀略にも長ける。侵略、支配を繰り返し、巨大な国を作り上げた。我々の世界でいう騎馬民族のようなイメージ。

ヴァン神族 新緑の森ヴァナヘイムを首都に持つ、平和的な種族。魔術が得意で、身のこなしも素早い。農耕を行い、大地に根付くことで豊かな国を作り上げた。農耕民族のイメージ。

・次話あらすじ
 ある日突然、ヴァン神族の領地に召喚された現代人達は、ヴァン神族の首都ヴァナヘイムに招かれることになる。ヴァン神族は、現代人達を手厚くもてなしながら、アース神族の非道を語り、戦いに協力してくれるよう要請するのだった。
 アース神族との戦いでは、ヴァン神族の切り札SAフレイが活躍する。そのパイロットは双子の姉妹、レイとリアであるが。ある日二人は、戦場に現れた仮面の道化師トリックスターの駆るSAロキによって、ソード・オブ・ヴィクトリーを破られ、リアが大きなダメージを受け倒れてしまう。
 一人でも戦場に出ようとするレイ。彼女を心配した現代人の一人が、共にフレイに搭乗し、戦いに出ることになる。そして再び合いまみえるロキとフレイ。
 戦いの中、パイロットの息が合わず、再びロキに劣勢に追い込まれるフレイ。だが、他の現代人達の協力もあり、からくもロキを撤退させることに成功するのだった。

・登場人物
現代人(男女可)3〜5名 ヴァン神族の領地に召喚された現代人達。
レイ(女性) ヴァン神族、SAフレイのパイロット。明るく勝気で、行動的な17歳の双子の妹。SAフレイでは操縦を担当していたが、リアが倒れた後は武装を担当することになる。
リア(女性) ヴァン神族、SAフレイのパイロット。おしとやかで大人しげながらも芯は強い17歳の双子の姉。SAフレイでは武装を担当。主にソード・オブ・ヴィクトリーの遠隔操作を行う。
トリックスター(池内秀忠) アース神族側の上級仕官で、「仮面の道化師」と呼ばれている。その名の通り、素顔は仮面で隠されており、元々の素性も出生も本名さえもわからない謎の男。ある日を境に、アース神族側に現れ、卓越したSAの操縦技術と、優れた戦術によって、数々の実績を上げて上級士官にまで上り詰めた。また、SAの知識にも精通しており、新型SAの開発に深く関わっている。
その他 ヴァン神族や、アース神族など様々なキャラが登場します。

・声優募集
 ロボットアニメ『神霊装甲ヴァルキュリア』では、作品に参加する声優を募集しています。経験の有無は問いませんので、奮っての応募をお待ちしております。
 役柄は審査のうえ決定させていただきます。得意なタイプ、希望などありましたらご連絡ください。

●今回の参加者

 fa0463 伊達正和(25歳・♂・竜)
 fa0509 水鏡・シメイ(20歳・♂・猫)
 fa1435 稲森・梢(30歳・♀・狐)
 fa1609 七瀬・瀬名(18歳・♀・猫)
 fa2401 レティス・ニーグ(23歳・♀・鷹)
 fa2554 リーベ(17歳・♀・猫)
 fa2582 名無しの演技者(19歳・♂・蝙蝠)
 fa3098 天道・獅子雄(18歳・♂・獅子)

●リプレイ本文

●憧れの人気声優
「まさかあの人と一緒の仕事が出来るなんて! 池内さんだぜ! 軌道戦記の仮面の男役の! 我が輩がアニメ声優に引かれたのも池内さんのことを知ったからだっていうのに‥‥こんなにも早く会えるなんて!」
「ははは、その気持ちはわかるが、そんなに興奮するなよ。まぁ、俺も初めてお会いしたときはかなり緊張したけどな。とても気さくで親切な人だぞ」
 早朝、スタジオ入りした名無しの演技者(fa2582)と伊達正和(fa0463)は、一緒に廊下を歩きながら、人気ベテラン声優池内秀忠の話で盛り上がっていた。そんな二人は、スタジオに早めに来ては心の準備をし、憧れの先輩である池内を待っていようと考えていたのだが‥‥。
「やぁ、おはよう」
「‥‥‥!!」
 控え室のドアを開けた二人に掛けられる挨拶。アニメで聞き覚えのある、知的で冷静で、それでいて気さくな声。二人は一瞬真っ白になって硬直してしまった。
「おおおおお、お久しぶりです! またお仕事できる日が来てよかったです宜しくお願いします!」
「貴方のファンです! あの‥‥池内さん、サインお願いします!!」
「伊達君、相変わらず元気そうでなによりだ。仕事がんばっているようだね。君は、ネームレス君だったかな? ‥‥これでいいかい?」
 誰よりも早く来て準備をしているベテラン声優池内。意表を付かれた二人は、まるで素人のように緊張しまくってしまう。そして、そんな二人にも笑みを浮かべてちゃんと応対する池内は、まさにベテランの貫禄といった雰囲気であった。

●神霊装甲ヴァルキュリア 仮面の道化師
 ある日突然、ヴァルハラと呼ばれる異世界へと召喚された現代人達。彼らは、ヴァン神族という、巨大な森に国を作っている種族に保護されていた。
「驚きましたね、歩いてみればまさかこのような不思議な世界に迷い込んでしまうとは」
「すっげぇ、まさにゲームやアニメの世界! 僕は世界を救う勇者ってわけだ!」
 穏やかな表情で国を見渡す青年エリス(CV:水鏡・シメイ(fa0509))と、感激し目を輝かせ、まるでゲームの主人公になったかのように歓声をあげる少年純也(CV:天道・獅子雄(fa3098))。二人は案内を受けながら、国の中央部へと向かっていた。
 ヴァン神族の首都ヴァナヘイム。天まで届く巨大なトネリコの木を中心に、新緑の森で囲まれる美しい国。彼らはここで、植物を育て、豊かな生活を送っていた。
「なんなのよここは! 早く私を元の所に返してよ!」
「お、おちついてください。この人達も悪そうな人達ではないようですから‥‥」
 中央部では、先に来ていた気の強そうな女性マリア(CV:稲森・梢(fa1435))がヒステリックな声をあげ、それを同じように召喚された気の弱そうな少年虎雄(CV:伊達)が、マリアをなだめようとしていた。
 集められた現代人達は、ヴァン神族の代表者に接待を受けつつ、ヴァルハラについて、ヴァン神族について、また現在の状況などの説明を受ける。
「僕はかまわないぜ。ゲームみたいで面白そうじゃん」
「嫌よ! どうしてアタシがあなた達に手を貸して、殺し合いなんかしなくちゃいけないのっ!? 早く元の世界に帰して頂戴!」
「残念ながら、無差別に魂の騎士を召喚し、戦争の道具にしているのはアース神族側であり、私共に貴方がたをお返しする技術はないのです。しかし、いずれ研究によりその方法が見つかるかもしれません」
 気楽に承諾する純也と、嫌悪感を示すマリア。マリアの願いに、代表者が申し訳なく答える。
「それまで私達に戦えと? 申し訳ありませんが、私は協力できません。戦うことで平和が訪れるとは、私には思えませんので」
 協力できないと席を立とうとするエリス達に、ヴァン神族は双子の少女を案内として付けさせた。
「リアと申します。SAフレイの武装を担当しています、以後お見知りおきを」
「レイよ。SAフレイの操縦担当。私達がいれば、あんた達の協力なんていらないんだけどね!」
「こんな若い少女達を戦争に‥‥この国、いや世界はいったいどういうつもりなのでしょう」
 神霊装甲のパイロットと名乗る双子の少女リア(CV:七瀬・瀬名(fa1609))とレイ(CV:レティス・ニーグ(fa2401))。若い彼女達を戦争に狩りだす世界のありかたに、エリスは表情を曇らせるのだった。

●仮面の男
 場所は変わり、アース神族の拠点。やはり召喚された現代人、安則(CV:名無し)、涼香(CV:リーベ(fa2554))、ヴィオ(CV:ニーグ)の三人は、仮面の男トリックスター(CV:池内)と会っていた。
「トリックスターさんですね‥‥緑川安則です。よろしくお願いします」
「やぁ、君達の噂は聞いてるよ。魂の騎士が協力してくれることはとても心強い。頼りにしているよ」
 安則の握手に気さくな声で応えるトリックスター。しかし、「彼は危険だ」と感じ取る安則。
「君は、いい感性を持っているようだね。それを闘いにも役立ててくれ」
「は、はい‥‥」
 まるで安則の心を読み取ったかのように声をかけるトリックスター。仮面の下で、彼はどのような表情を浮かべているのか‥‥。

「姉さん!」
「ええ、わかってるわレイ。剣達よお願い‥‥ソード・オブ・ヴィクトリー!」
 燃える炎のように赤い機体、双子の少女が操るSAフレイ。背部から射出された幾本の剣が、まるで意思を持ったかのようにヘーニルへと飛び掛り、国境の森を超えようとしたアース神族は、舞うような剣の動きに翻弄され、次々と撃破されていった。
「ひゅ〜、あのお嬢さん達、やるねぇ。僕も負けられないっての? ヒュ〜ドカーン! やった!」
 純也もスキールニルに乗りこみ、背中に積んだ二門の砲で敵を撃つ。命中し爆発する敵を見て、まるでゲームのように歓声をあげる純也。
 ヴァン神族の切り札であるフレイの活躍で、戦いの勝利は確実かと思われたそのとき‥‥。
「悪いけれど、これ以上やらせるわけにはいかないの! 秘剣燕返し!」
「え‥‥? 切られた!? 嘘だろおい‥‥う、うわぁ!」
 突然、空から飛来したSAヴァルキュリアが、急降下と共に敵を切り裂き、返す刀でもう一度切り裂いてはその場を離脱する。涼香の秘剣になすすべもなく砲を破壊される純也。
「黒い機体! いつの間に!」
「‥‥フレイか。悪いがこの場は退いてもらう!」
「そんな! ソードが効かない!? きゃぁ!!」
「姉さん!!」
 援軍として現れたトリックスターの部隊。迷彩ステルスにより、気付かれずにフレイの後ろを取った漆黒のSAロキが、両手に持った双剣でフレイのソードを弾き返し、そのまま機体を切り裂いた。爆発が起こり、後部座席のリアが巻き込まれてしまう。
「ちょっと! 止めまで刺す必要がどこにあるの!」
 ヴィオの駆るヴァルキュリアが、止めを刺そうとするロキの双剣を止める。訝しがるトリックスターに、ヴィオは剣を向け、隙を突いては傷ついたフレイと共に空へと戦場を脱出するのだった。
「ヴィオさん! どこへ行くの!」
「美剣君‥‥しかたない、深追いはせずこちらも撤退しよう‥‥」
 ヴィオを追おうとする、涼香を制止し、トリックスターは隊を撤退させる。仲間の裏切りにショックを受けながら、安則と涼香は彼の命に従うしかなかった。
「‥‥今ここでフレイが落ちてもらっては困るからね。戦争は長引いて貰わねば」
 漆黒の機体の中で、仮面の道化師は小さく呟くのだった。

「待ってください、どちらへ‥‥」
「姉さんの仇を討つ! 邪魔しないで!」
「戦うことが正しいとは思えません‥‥ですが、レイさん一人を危険に晒させるのを黙って見ているわけにもいきません。私も戦いましょう‥‥」
「僕も、戦います!! 僕に優しくしてくれた人を助けて見せます!!」
「人の命を奪うのは嫌‥‥。でも、黙って殺されるのはもっと嫌よ!」
 戦闘後、辛くも撤退したヴァン神族軍。しかし、リアが重傷を負い、戦いの士気が落ちるなか一人、姉の仇を討とうと戦場に出ようとするレイ。彼女を心配した現代人達は、戦いを否定しながらも、大事な何かを守るため神霊装甲に搭乗していく‥‥。

「黒い機体‥‥姉さんの仇!」
「レイさん! 落ち着いてください!」
「動きは悪くないが‥‥攻撃との息があっていないようだ」
 フレイに搭乗したエリスとレイ。戦場で再びロキと相対するが、焦るレイに息を合わせることができずエリスは苦戦する。ロキの攻撃に防戦一方になるフレイだが‥‥。
「やめろ! 僕に優しくしてくれた人達を傷つける奴は、許さない!」
「うわぁああ! お前さえ‥‥、お前さえ落ちれば、アタシは帰れるんだ!!」
「いまですレイ!」
「いっけぇ! ソード・オブ・ヴィクトリー!!」
 苦戦するフレイを援護するように、スキールニルにのった仲間達が攻撃のチャンスを作る。そのチャンスを逃さず、エリスの指示に、レイがソードを繰り出す。そして、一陣の刃が漆黒の機体を切り裂くのだった。
「ええぃ、さすがは魂の騎士というところか‥‥」
 機体に損傷を受け、呟く仮面の男。しかし、それはどこか満足そうな響きがあり‥‥。ロキは、周囲に溶け込むように姿を消し、撤退するのだった。
「なんとかなりましたか‥‥しかし、相手側も決して善ではないとはいえ、若い少女を戦場へ送り出す此方側も、決して善ではありませんね‥‥」

●ピンナップ


水鏡・シメイ(fa0509
PCシングルピンナップ
草薙玖穏