魔女×王子 白い花騒動アジア・オセアニア
種類 |
ショート
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担当 |
緑野まりも
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芸能 |
2Lv以上
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獣人 |
1Lv以上
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難度 |
やや難
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報酬 |
3.1万円
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参加人数 |
8人
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サポート |
0人
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期間 |
03/20〜03/24
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●本文
ホワイトデー‥‥。チョコレートを貰った以上はやっぱりお返ししなくちゃいけないと思う。でも、魔女にお返しなんてどうすればいいのだろうと考えていた僕は、とんでもない提案を聞かされることになる。ホワイトデーのお返しは三倍返しなんて言葉をよく聞くけど、まさかこんな目に遭うとは思わなかったよ‥‥。
〜声優募集〜
TVアニメ『魔女(おとめ)が王子(ぼく)を狙ってる』の声優を募集いたします。新人・ベテラン関係なく、広く参加者を募集いたしますので、奮ってのご応募をお待ちしております。
〜作品内容〜
主人公『伊藤悠李(いとう・ゆうり)』は平凡を愛する普通の高校二年生。冬休みも終わり、学校は三学期の初め。今年は三年に進級し、進路も真剣に考えなければと思っていた悠李の前に、突然魔法の国の使者と名乗る人物が現れる。
使者は、悠李が魔法の国の王子であり、18歳になった際には王位を継承するために魔法の国に戻らなければならないと告げる。そして、それまでに花嫁を娶るように言われるのだった。
その日から、悠李の前には花嫁候補という『魔女っ子』たちが次から次へと現れ。悠李の花嫁の座を狙って様々な騒動を巻き起こす。平凡を愛する少年悠李は、突然そんなとんでもない騒動の当事者となってしまうのだった。
〜次話あらすじ〜
3月14日はホワイトデー。バレンタインに魔女っ子にチョコレートを貰った悠李は、友人に諭されて何かお返しをすることになった。しかし、魔女っ子になにをお返しした方がいいかと悩む悠李に、魔女っ子のマスコット(または本人)がとんでもない提案をしてくる。
「魔法の国の隅に咲く、珍しい白い花をプレゼントする」、その提案を半強制的に応じさせられることになった悠李は、マスコットに無理やり魔法の国へと連れて行かれてしまう。そして、巻き込まれた友人と共に、『珍しい白い花』を取りにいくことになるのだった。
さてこの『白い花』、実は「愛を誓い贈った者と受け取った者は永遠に結ばれる」という曰くつきの花であった。魔法の花であるため、その効果は絶大で、ほとんど呪いに近いものである。というわけで、そんな花を贈られてしまったら花嫁が決まってしまうと、他の魔女っ子たちが花を取るのを妨害したり横取りしようとしたりと大騒ぎ。
果たして悠李は、無事に帰ることができるのか、そして『白い花』の行方は?
〜世界設定〜
・魔法 この作品での魔法とは、『想像を具現化する』ことです。自分の中での想像が強ければ強いほど、より強い魔法になります。しかし、あまりに強すぎる魔法(想像力)は、術者の深層心理にも影響され、術者にもコントロールできず暴走する場合があります。また、他人に影響を及ぼす魔法は、心に『望むべき世界(内なる世界)』が確立されている人ほど影響しにくくなります。
・魔法の国 現代世界とは別の空間にある世界。いわゆる中世ファンタジーのような世界で、魔法(想像力)の影響を受けやすい世界。基本的に常春だが、場所によって常夏、常冬、常闇など、それぞれの場所が一定の環境を保っている。
・現代世界 いわゆる私達と同じ世界。科学が発達し、魔法の存在が認められていない世界。基本的に魔法の影響を受けにくいので、よほど強い術者でないと自分の家を作るなどの世界を構築する魔法は効果がない。
〜募集キャラ〜
チョコをあげた魔女っ子(女性限定)1名
花嫁候補の魔女っ子(女性限定)2〜4名
主人公の友人(男性限定)1〜2名
魔女っ子のマスコットキャラ(男女可)若干名
その他 魔法の国の住人・妖精など
〜作品備考〜
主人公伊藤悠李役には最近売り出し中のイケメン声優、南方雄治(みなかた・ゆうじ)を起用。
毎回新しく3〜5名の魔女っ子が登場し、主人公の花嫁になるべく様々な騒動を起こします。
担当は、審査のうえイメージにあったキャラを担当していただきます。得意なタイプなど希望がありましたら、事前に申し出てください。
魔女っ子の基本設定として、『変身する』『変身後は想像を具現化する魔法を使える』『決め台詞』があります。これらを踏まえて希望を出してください。
●リプレイ本文
「セイロン・グリーンリバー役の緑川だ、よろしく。ホワイトデーということで、女性陣にちょっとしたプレゼントだよ。買ってきたものだが、よければどうぞ」
「ユリウス・橘役のユリウス・ハートです。よろしくお願いします。俺も、クッキーを持ってきたので、よければみなさんで召し上がってください」
収録の始まる少し前、スタジオに来た緑川安則(fa1206)とユリウス・ハート(fa2661)は、共演者達に差し入れをする。安則は綺麗に包装されたマシュマロの箱、ユリウスは袋でラッピングされたクッキー、どちらもホワイトデー用のものであった。
「気が利くわね〜、ありがとう」
「ありがとうございます! 甘いものは大好きです〜」
「ありがと。これ、もう食べていいの? ん、美味しい♪」
「わたくしにも? ありがとうございます」
共演する女性陣、結(fa2724)、鈴木 舞(fa2768)、大道寺イザベラ(fa0330)、槇島色(fa0868)は、それぞれマシュマロやクッキーを貰い、嬉しそうに礼を述べる。
「美味しそうだね、僕もクッキーを貰っていいかな?」
「はい、お父さんの作った物ですが、よろしければどうぞ」
「ほう、それは素敵なお父さんだね。うん、美味しい」
お菓子を楽しそうに頬張る女性陣の様子に興味を引かれたのか、梁井・繁(fa0658)もクッキーを口にしては笑みを浮かべる。そして、お菓子を配られた出演者達は和やかな雰囲気で収録を始めることができたようだ。
●魔女が王子を狙ってる『白い花騒動』
学校の下校途中、悠李(CV:南方)は何か悩んでいるように首を傾げていた。というのも、バレンタインに魔女っ子からチョコを貰ったお返しをどうしたらいいか考えていたのだ。
「う〜ん‥‥、やっぱりお返しはしたほうがいいよね。でも魔女にいったい何を贈ればいいのだろう‥‥」
「ユーリ先輩? 百面相して、どうかしちゃったんですか?」
トボトボと道を歩いていた悠李の背中から、抑揚のある声で少年が声をかけた。
「あ、ユリウス君。いや、明日ホワイトデーだから‥‥」
「なるほど〜、ニッポンではバレンタインのお返しをする習慣があるんでしたね」
「うん、チョコを貰ったのはいいけど、お返しになにを用意したらいいのか迷っちゃって」
銀髪碧眼で、一見少女にも見える美少年ユリウス・橘(CV:ハート)は、困った様子の悠李に納得したように頷いた。彼は帰国子女のため、日本の習慣には疎いようだ。
「いた〜! こんな所でなにやってるのよぅ!」
「うわ!?」
「オゥ! スプライト!?」
道端でホワイトデーについて話をしていた二人に、突然コブシ大の光の玉が飛んできた。光の正体は妖精デイジー(CV:結)、悠李にチョコを渡した一人、魔女っ子リリのマスコットだった。デイジーは驚いている二人の前で早口にまくし立てる。
「リリへのお返し、ちゃんと用意した? リリ、楽しみに待ってるんだから〜!」
「ご、ごめん、なにを返したらいいか迷っちゃって‥‥」
「すごい‥‥本物だ‥‥」
「もぅ! そうだ! 魔法の国に咲く、魔法の白い花を贈ってよ! リリもきっとよろこぶわ!」
ぴゅんぴゅんと周囲を飛び回りながら、デイジーは悠李に、魔法の花を贈るように言う。
「魔法の国って‥‥ええ!?」
「いいから、いますぐ取ってきて! えぃ、ゲートオープン!!」
「う、うわぁ〜〜!」
「ミステリアス! オゥノゥ〜〜!」
あまりのことに驚く悠李だが、デイジーはそれを無視し、問答無用で魔法を使う。そして魔法の光に包まれた悠李とユリウスは、光の粒子となって消えてしまうのだった。
場面は変わり、高層マンションの最上階。大きな鏡に映し出された、先ほどの悠李の一部始終を見ていた黒髪の美女、風の魔女エル・グレイス(CV:槇島)は、苛立ったように顔をしかめていた。
「あの馬鹿者達! あの花はもう‥‥」
呟きながら、胸元からカードを取り出したエル。カードを掲げると、エルは黒いつむじ風に包まれ、一瞬のうちに消えてしまうのだった。
「た、たいへん! 魔法の白い花は、贈った者と贈られた者が永遠に結ばれるという花なのに!」
貧しくても心は錦? 質素なアパートで暮らしている割烹着の魔女カオリッセは、鍋に張った水に映る悠李達に、ワタワタと慌てていた。永遠に結ばれるという白い花の由来を口にしては、そんなものを贈られてしまっては大変とオロオロしている。
「‥‥そうよカオリ! なんとかお止めしなくちゃ!」
しばらくオロオロしたあと、ハッとしたカオリは、魔法のオタマを取り出してクルッと一振り。何故か魔法の国に通じた押入れに入り、パタンと戸を閉めて消えてしまうのだった。
再び場面は変わり魔法の国。中世ヨーロッパのような美しい城の大広間では、初老の男性(CV:梁井)が温和な笑みを浮かべて玉座に座っており、広間の中央にある大きな水晶を眺めていた。
「どうやら、息子がこちらに来ているようだね」
「はい、王子は白い花の丘へと向かっているようです」
「ふむ、白い花か‥‥あれはもう‥‥」
玉座の男性、つまり魔法の国の王であり、悠李の父にあたる彼は、どこか楽しそうな声で呟く。それに応えるように、一人の男性が王の前に立ち、報告をしては笑みを浮かべた。
「グリーンリバー卿、息子は国には慣れておらぬ。悪いが、面倒を見てもらえるかな?」
「心得ておりますとも。用事がお済になったら、再びあちらの世界にお返ししておきます」
「うむ、頼んだぞ。久しぶりにユーリに逢いたいものだが、王位継承者は王位に付くまで向こうで暮らす決まり。しかたあるまいて」
魔法の国の伯爵セイロン・グリーンリバー(CV:緑川)は、王の命を受け優雅に会釈をする。王は水晶に映る悠李の姿を眺めながら、顎を擦っては残念そうに苦笑するのだった。
さて、悠李とユリウスは、不思議な空間を抜け魔法の国へと飛ばされていた。見たことも無い植物や、虹色のオーロラのような霞がかかった不思議な空。そこは、悠李達の暮らす世界とはまったく違う世界だった。
「ようこそ、我らが世界を支えし未来の王にしてすべての魔女たちの標的となりたる少年よ‥‥初めましてだね、伊藤悠李くん。私はセイロン・グリーンリバー。妹のグレースが世話になっているね」
戸惑う悠李達の前に、一人の男性が現れた。銀髪で片眼鏡、精悍な美青年ながらも、悠李達から見れば時代錯誤的な貴族の豪奢な服を着たセイロンは、優雅にお辞儀をすると悠李に挨拶をした。
「あの‥‥僕達、バレンタインのお返しに白い花を採ろうと思って‥‥」
「ふむ、目的は魔法の白い花だね。それは素晴らしいことだが‥‥。よし、私がそこまで案内してあげよう。さぁ、こっちだ」
セイロンに事情を話す悠李。それを聞いたセイロンは、ニコリと笑みを浮かべ、悠李達を案内するように、小高い丘を指差した。
「さて、この森はいささか厄介だ。道に迷わないよう、私についてきたまえ‥‥王子?」
魔法の森に入った一行。注意を促すセイロンだが、いきなり悠李ははぐれてしまう‥‥。
「セイロンさん? そんな‥‥こんなところで一人なんて‥‥」
「王子‥‥悪いけれど、貴方に白い花を渡すわけにはいかなくてよ!」
「え、リリさん‥‥?」
「あんな落ちこぼれの姉と一緒にしないで欲しいわね! アタシはベラ・ロッソ! ロッソ家を継ぐ者よ!」
はぐれた悠李の前に現れたのは、リリとそっくりの少女ベラ(CV:大道寺)。彼女は、リリの双子の妹だった。
「アタシの可愛いお馬鹿さん達、さあやっちゃいなさい!」
「う、うわぁ! なんで僕が〜」
赤いエナメルのハイレグに身を包んだベラは、魔法の鞭を振るうと、周囲の植物や昆虫を操り、悠李に襲い掛からせる。情けない声をあげて逃げ出す悠李を、植物のツタや羽虫達が追いかけていく。やがて、足を滑らせて崖へと落ちてしまう悠李。
「う、ううん‥‥」
「王子様‥‥」
「き、君は‥‥?」
気を失っていた悠李が目を覚ますと、割烹着を着た少女が膝枕をしていた。状況がよくわからず、悠李が少女の顔を見つめると、少女は顔を真っ赤にして慌ててその場を逃げ出してしまった。
「今の子は‥‥あれ? そういえば崖から落ちたのに怪我がない‥‥」
立ち去る少女に首を傾げる悠李だが、その身体には崖から落ちた傷が消えていた。彼を助けたのは魔女カオリ、結局妨害できず悠李を見守ってしまったようだ。
その後、セイロンと合流した悠李は、白い花の咲く丘へとたどり着く。丘には、一輪の花とエルの姿。
「この花は‥‥取ってはいけない‥‥これが最後の一輪だから」
「そう、しかし王子の君には採る権利がある。決めるのは君だよ」
「そんな‥‥」
ようやくたどり着いた白い花。しかしそれはこの世界に咲く最後の花であった。エルとセイロンに話を聞き、選択を迫られる悠李は‥‥。
「リリさん‥‥ごめん、白い花を採ってこれ無かったよ」
「ううん‥‥いいんです。貴方が無事であれば‥‥」
「えと、それでその代わりなんだけど‥‥ユリウス君に習ってクッキーを焼いてみたんだ。よかったら、貰ってくれないかな?」
「王子様の手作り‥‥どんなものよりも素敵なお返しです! ありがとうございます!」
結局、白い花を採ることをやめた悠李。しかし、代わりに手作りのクッキーを贈られ、リリは満面の笑みを浮かべるのだった。